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2020年1月

2020年1月31日 (金)

次世代型商業施設「新生渋谷パルコの店づくり」

 昨年11 月22 日に約3 年の時を経てグランドオープンした「渋谷パルコ」。全く新しく生まれ変わった次世代型商業施設として話題になっています。(このブログ2019.12.29付け参照)

  この14日、その開発のキーマンといわれる泉水 隆 常務執行役によるImg_29111 トークイベントが、ユニバーサルファッション協会による運営の下、渋谷区代官山カラート71にて行われました。テーマは「新生渋谷パルコの店づくり」です。

 まずビルについて。渋谷区の再開発事業として建設され、名称は「パルコ・ヒューリックビル」で、B1~10階までがパルコ、11~18階はオフィスになっています。以前のパルコパート1とパート3の敷地を一体化し、中央に幅8mの通路(ナカシブ通り)を、またビルの外周をぐるりと回る立体街路(スパイラルウォーク)を設置、この立体街路がつなぐ屋外広場なども設けられ、歩行者が街を歩くようにショッピングを楽しめる空間を創出しているといいます。
 次にコンセプトです。ファッションに逆風が吹く中、本気でファッションを再生しようと、取り組んだのがこのファッションビルと強調。
 その理由は、“東京ファッション”がおもしろいからだそう。海外ではとくに日本のモード系メンズファッションが高評価されていて、そこを凝縮したフロアづくりを考えたといいます。
 ターゲットのキーは、 “ノンエイジ” 、“ジェンダーレス”、 “コスモポリタン”。“ノンエイジ" は、ファッション好きに年齢は関係なしというものの、反応がよいのは20代ミレニアルと50代DC世代、またハナコ世代も意識しているとか。“ジェンダーレス”は、文字通りLGBTQ、“コスモポリタン” はインバウンドにフォーカスしているといいます。
 また構成要素として挙げたのが、1. ファッション、2. アート&カルチャー、3. エンターテインメント、4. フード、5. テクノロジーの5つの柱。今回出店した180のショップがお互いの魅力を引き出し合えるように、それぞれのジャンルをミックスしながらフロア編集したといいます。

 さらに各フロアを紹介。
B1階「カオスキッチン」 グレードはピンキリ、ごちゃまぜにしたようなレストランフロアです。裏テーマは“ミュージック”で、音楽好きな大人が楽しめるカオスな飲食ゾーン。オープン以来大人気といいます。
1階 「商店街エディット東京」 商店街のように編集したフロア。ラグジュアリーブランドとしてグッチのコンセプトショップが入り、ロエベなども。コムデギャルソンは、日本の女の子たちがモードにチャレンジして欲しいとの思いから、コムデギャルソン ガールを出店し好調といいます。また日本の伝統工芸を売るディスカバージャパンのショップや化粧品ショップなども。
2階 「モード&アート」 ファッションのコアのフロア。国内外のデザイナーブランドショップが並び、モードとアートが一体化した2Gも人気。シンガポールのテセウス・チャンがインテリアデザインを手がけ、渋谷スクランブル交差点をイメージしたボーダー模様のフロアも好評。
3階 「コーナー・オブ・東京ストリート」 デザイナーズ、ストリート、ヴィンテージなど、東京ストリートの路面店を集積したフロア。
4階 「ファッション・アパートメント」 リアルな東京ファッションに、レストラン、ギャラリー、古着やクリーニングなどのサステナブルなサービスも展開。
5階 「ネクスト東京」 ファッションにテクノロジーを掛け合わせた売場、オムニチャネルなど。裏テーマは“裏原”だそう。
6階 「サイバースペース渋谷」 任天堂やポケモンセンター。
7階~9階 「パルコ劇場」 劇場入口は8階。糸井重里“ほぼ日曜日”など。9階には渋谷区との施設があるとか。
10階 「ルーフトップ パーク」 屋上広場やイベント施設。

 最後に、売上はこれまでのところ狙い通りにクリアしている、と自信のほどを見せていたのが印象的でした。

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2020年1月30日 (木)

「ワークマン」 新たなブランド戦略への挑戦

 アパレル不況といわれる中で、独り勝ちしているのがワークマンです。元々群馬県のスーパーマーケットの一部門に過ぎなかったのが、今では売上高1千億円に迫る勢いとか。もう成長期のユニクロさながらです。
   主力は作業服の販売ですが、最近はブランドイメージが変化してImg_9266 “オ シャレで機能性の高いアウトドアブランド”になっているそう。インスタグラムの「#ワークマン女子」というハッシュタグが快進撃しているといいます。

 先般、ライフスタイルウィークのセミナーで、このブランド戦略仕掛け人、専務取締役の土屋 哲雄氏が登壇する講演会が行われました。講師プロフィールによると、ワークマン入社時、目標は①ネット専業に「定価」で勝てる作業服の開発。②仕事・アウトドアウェア・スポーツに使える機能性ウェアの開発だったそう。①は上下組で税込3000円からのG-Nextシリーズを開発して年間400万着販売。この分野では独走中。②はスタイリッシュな作業服とアウトドアウェアの複合店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を立ち上げ、現在、全国出店を加速中といいます。
 講演は「“作業服のワークマン”から、“アウトドアブランドのワークマン”へ 新たなブランド戦略への挑戦」がテーマでした。一般消費者向け、新業態店舗「WORKMAN Plus」の事例を交えながら、ブランドの在り方や売り方を変えていく、その戦略が語られました。
 かつてはワークマンといっても取り扱い商品は職人の作業服で、知る人ぞ知るの地味な存在だったようです。それが2018年、新型店の「WORKMAN Plus」をオープンすると一転、突如小売業界の表舞台に現れたのです。 
 これは30数年来の大改革だったといいます。客層拡大とデータ経営を目標に、心掛けたことは同じ商品を違う客に売ることと、見せ方を変えたことだったとか。 
 そのきっかけとなったのはリーマンショックで、作業服が企業業績の悪化で売れなくなってきたことにあったそう。そこで一般の個人客にも作業服を買ってもらおうと、大幅なデザインチェンジを行ったといいます。作業服は筋肉のある体型を意識して大きめなつくりになっているのですが、若い一般客に向けてスタイリッシュなシルエットに変更。アウトドア・スポーツ市場に参入したといいます。
 アウトドア・スポーツ市場では、機能性があって普及価格を求めるホワイトマーケットは、実はどこもやっていないとか。競合のない4000億円のホワイトマーケットを開拓できたことも大きな勝因といいます。
 またワークマンのアパレル業界に対する優位性として、下記三つを挙げました。
 一つは超低価格で、原価率は64%でやっているそう。
 二つ目は継続商品であること。PBは5年間継続して生産し値下げはしない。値引き販売率はわずか2%。変化させるのは色柄のみだそうです。
 三つ目は共通商品であること。作業服と一般客と共通のものが多い。
 今後はアマゾンに負けないようにクリック&コレクト化を進め、マスマーケテイングで競争を起こさない仕組みをつくることが大切とも。
 さらに重要視しているのがアンバサダーマーケティングであるといいます。女性客が半数いることもあり、SNSではインスタグラムに力を入れていて、現在30人のインフルエンサーをこの秋から50人に増やすそうです。インフルエンサーとコラボしてファッションショーも計画中といいます。
 ワークマン、驚くべき絶好調ぶりです。

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2020年1月29日 (水)

マトフ日本の眼 展 日本美意識に迫るコレクション集大成

 ファッションブランドの「マトフ(matohu)」が、日本の美意識に迫る「matohu 日本の眼展」をこの22日まで青山スパイラルガーデンで開催しました。これはマトフが2010-11年秋冬から18-19年秋冬までの8年間17シーズンにわたり、発表してきた“日本の眼”シリーズのコレクションの集大成となる展覧会でした。

Img_28151_20200127165001  上は本展のトークイベント「日本の眼とは何か?」に登場した「マトフ」のデザイナー、堀畑裕之 & 関口真希子のお二人です。ここではこの折りの模様をご紹介します。

 まず、ブランド名の「マトフ」から。漢字で「纏う」ですが、外国語に翻訳できない独自のニュアンスがあり、「待とう」即ち、「待ちましょう」と時間をかけて待つ、消費の在り方も提示している言葉といいます。時が必要な「成熟」に重きを置く、このブランドらしいネーミングですね。
 次にブランドを象徴する作品、「長着」について。最初の創作がまさにこの「長着」だったそうです。ブランドとして絶対に変わらないものをつくろうと考え、「きもの」のエレガンスを現代のファッションに採り入れた新しいデザインの服をつくったのがこの「長着」だったとか。この15年間、型紙を全く変えずに、400着から500着制作してきたとのことで、本展でもこの「長着」がメインです。
 さらに「日本の眼」とは? これは元々柳宗悦の論文の中の言葉で、「眼」とは「美意識」のことといいます。デザイナーの堀畑さんは柳の考え方に感銘し、「日本の眼」をテーマにコレクションをシリーズで展開してきたのですね。近代化=西洋化の中で日本人が失ったものは何か。グローバル化する世界で独自の価値を持つものは何か。マトフはそれらを追求しながら、現代の目線に重ねて、美意識そのものをクローズアップし続けてきたといいます。

 この後、お二人は、コレクションで取り上げてきたたくさんの日本の美意識の中から、下記をピックアップして、一つひとつ丁寧に解説されました。

「かさね」 色を重ねることを楽しむのは日本独自のファッションだったといいます。自然を色に置き換え、言葉をつける美意識で、例えば“花冷え”など。マトフも「川沿いの菜の花」など、コーディネイトに名前をつけているそうです。

「無地の美」 フラットな無地ではなく、使い込んだことによるシミや擦れなど、微妙な濃淡やひび割れも「景色」と呼んで楽しんだ日本人の美意識のこと。普段見慣れたものの中にある美であるとも。
Img_28321jpg  上は、この「無地の美」の長着です。ダブルフェイス地で圧縮すると裏のウールの糸が染みだして模様のように見える生地。自然に生まれた不思議な「景色」こそ無地の美であるといいます。

「見立て」 比喩ではなく、あるものを全く別の使い方をすることで新しい価値を生み出す、転用の「見立て」であるそう。ルールや固定観念から自由になる「使い方の再創造」であるとも。
Img_28481pg  上は、三角ジャカードの長着。柄がかすれた三角形のモチーフの布をイメージしてつくったジャカード織。

「やつし」 豊かなものがあえて簡素に姿を変えること。いわゆる「侘び寂び」の美意識ですImg_28751 。枯山水や盆栽も自然の美の「やつし」だそう。
 右は、青いハケ染めのドレスです。
 本展のポスターに使われているシンボル的な作品と言ってもいいものでしょう。
 素材はシルクのくず繭を手紡ぎして織った生地で、コットンの擬麻加工をシルクに施しているとか。
 ハケの幅やストロークを何度もテストして、ドレスに縫製してからハケで一気に手染めしたといいます。

「かざり」 意表を突くデザインや極彩色、派手な装飾の情熱的な美意識で、「侘び寂び」とは対極にあるものです。
Img_28851  上は、牡丹柄の立体ジャカードの長着です。
 
「吹き寄せ」 例えば落ち葉が風に吹かれて道の窪みや隅に集まった姿に見られる無作為の美。
Img_29061pg   上は、切り継ぎ長着です。端切れや残布を切り継いで新しい服に蘇らせたものです。

「おぼろ」 姿や形がかすんではっきりしないこと。能の夢幻の世界や「もののあはれ」を尊ぶ美意識です。
Img_28801  上は、おぼろ柄グラデーションの長着です。

「なごり」 花の移ろう様を楽しむなど、終わりゆくものを最後まで慈しむ心。「もののあはれ」に通じる美意識です。

Img_28681jpg 上は、なごり模様ろうけつ染めの長着です。夕暮れ時の浜辺の「なごり」をイメージしているとのこと。

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2020年1月28日 (火)

ミナ ペルホネン/皆川明 つづく展 100年つづく人生の為に

 「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展が今、東京都現代美術館で開催されています。これはデザイナー人生25年を迎えた皆川明さん自身の企画による展覧会です。ちなみにブランド名はフィンランド語で、ミナは「私」、ペルホネンは「蝶」の意味だそう。蝶のモチーフ、確かに多いですね。
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 先般、この皆川さんが写真家 在本彌生さんと対談するイベントに行き、本展の図録にも掲載されている在本さんの写真を見て、服の空気感をもろに感じ、すばらしいな---と思いました。皆川さんの服には「着る」というだけではなく、服とともに「居る」という感覚があります。写真にはそれが見事に表現されているようでした。

 展覧会は、大きく8つのエリアで構成されています。<実>タンバリン、<森>洋服の森、<風>生活とデザイン、<芽>テキスタイルのためのデザイン、<種>アイデアと試み、<根>挿画、<土>洋服と記憶、<空>インタビュー映像です。各エリアに自然界における植物の永遠の循環を表す言葉が冠されていて、タイトルがなぜ「つづく」になっているのかがわかる気がしました。皆川さんは流行に流されずに、人生とともに歩み続ける、“100年つづく人生の為に”、服をつくっているのです。

 <森>洋服の森では、たくさんの服が森のように並んでいてその迫力に圧倒されます。
Img_26761  よく見ると年代順ではなくて、25年前の服も最新の服も混ぜこぜです。でも昔の服が少しも古臭くないのです。いつまでも着続けて欲しいという思いが込められているからでしょう。
 
 <種>アイデアと試みは、本展の核を成すエリアです。
Img_27101g   皆川さんのものづくりの哲学やアイデアが、過去・現在・未来を通して、様々なオブジェや映像、言葉など多様な形式で紹介されています。

Img_27291jpg  ここではもうファッションだけにとどまりません。「創造的なデザインやアイデアを社会に提供する集合体」をミナが目指していることが、わかるようなエリアになっていました。
 
Img_27061jpg  上はデニムのダメージですが、単なる修復ではなく、使い手とのコミュニケーションによってデザインを加えたものになっています。小花の刺繍が可愛いです。
Img_27241  右は「かくれんぼ」と名づけられたドレスの布です。
 服としてパーソナルな個性を出せないかという意識から生まれたという布で、円のシルエットの内側を切ると中からいろいろな白い蝶が現れます。
 
Img_27321  右のドレスには「時々幸せ」という題が付いています。

 一つの服に、一つの四つ葉のクローバーを見つけることができるようになっているとか。

 四つ葉が見つかったら、ちょっとうれしい気持ちになります。

 そんな控えめな幸せを想う服といいます。
 


Img_27341  上は「シェルハウス」です。これは皆川さんが構想している「簡素で心地よい宿」のプロトタイプだそう。ユニークな渦巻型の構造で、フィボナッチ数列から着想を得たものとか。旅の宿として快適な場所とは何かを問いかけているように思えます。
 
 <土>洋服と記憶のエリアは、私がもっとも心に響いたエリアです。
 ここではミナの服を着ていた人のかけがえのない一着が披露されているのです。(写真撮影が禁止で残念でした。)
 「このワンピースを着るといつも我が子の入学式のときを思い出す」とか、「14年前にセレクトショップで出会ったスカート」など、一つひとつの服に思い出が綴られています。
 長く着てこなれた服が魅力的に思えたり、使いなじんだシワに惹かれてみたり---、そんな風に思う服って確かにあります。皆川さんはそんな想いを大切に、まさに「記憶をつなぐ服」をつくっているのです。
 
 形がシンプルなので、布地へのこだわりも徹底しています! 生地はすべて職人さんとともに一からつくり上げたという独創的なものです。
 服飾評論家の深井晃子氏は「皆川さんの服づくりは着物をつくるステップに似ています。その服には日本の伝統が引き継がれているようです」と語っています。私もそんな風に思いました。皆川さんのテキスタイルデザインに着物の工芸文化を感じるのです。
 
  たとえば本展の最初のエリア、<実>タンバリンで展示されていた刺繍布は、51btrr64xl_sx330_bo1204203200_ 一見何でもない刺繍に見えます。でもその一つの輪をつくっている刺繍はみんな微妙に違っているのです。自然は不規則です。その不規則な“自然の揺らぎ”を機械刺繍でつくっているのですね。製造しているのは神奈川レースだそう。驚きの匠の技です。

 右は、図録の表紙に使われているミナを代表するタンバリンの生地です。(実はこのエリアも一般は撮影禁止でした。)
 
 ともあれそんな細かな気配りが込められているからこそ、ミナの服は何気ない日常の大切さを気づかせてくれる「特別な日常の服」なのですね。
 「100年つづく人生の為に」なくてはならない服になりそう。
 
 展覧会は2月16日まで。まだの方、どうぞお急ぎください。

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2020年1月27日 (月)

「ハイパンダ」表参道店 デジタルとアナログ織成す未来空間

 昨年末、話に聞いていた「ハイパンダ (HIPANDA)」の表参道旗艦店に行ってきました。昨年4月に日本に上陸した上海発のストリート・ファッション・ブランドです。
 店内はまさにデジタルとアナログが織成す未来空間でした。
Img_18351jpg  白黒の「ハイパンダ」のTシャツが勢揃いする中、現実世界・映像世界・ARといった異なる世界とのインタラクションを体験します。

Img_18361_20200126200001  Img_18381   最上階では、突然煙がもくもく湧き出し、ハイパンダが見えなくなるプレゼンテーションが見られます。
 Img_18441  ウインドー側にも奇妙に変形するマッピングで、もうお化け屋敷のよう。
 ほんとうにビックリ!
 遊び心たっぷりのアミューズメントパークのような演出で、すっかり楽しませていただきました。
 店舗設計はグエルナル・ニコラさん。銀座シックスのインテリアデザインを手掛けたことでも知られるフランス人デザイナーです。
 それにしてもショップのディスプレイが、デジタリゼーションの採用で、こんな風に単にモノを売るだけではないコトを楽しむものに変化しているのですね。驚きでした。

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2020年1月26日 (日)

レクトラ ファッションとインテリアのコラボセミナー ⑵

 (昨日の続きです)
 セミナーはいよいよ佳境に入りました。
 四番手として、登壇したのが繊研新聞社業務局部長、PLUGIN事務局長の中村善春氏です。
 Img_22711jpg 「ファッションマーケットの変化:カスタマイゼーションの動向」をテーマに、2020年代を前に激変するファッションビジネスとマスカスタマイゼーションの今後を、具体的な数字を挙げながら、展望しました。
 今まさに大転換期にあるファッションビジネス、そのキーワードは、①サステナビリティ、②マスカスタマイゼーション、③DtoCやDNVB(Digitally Native Vertical Brand)へ。BtoCは終わり、CtoBへ、消費者があって生産する時代へ、④閉店ラッシュへ、です。
 そうした時代にあって、2020年代へ向けて変化のポイントは何か、というと、①DX(デジタルトランスフォーメーション)、ファッションテック(ものづくりから小売りまで)、AIやVR・AR、SNS、DtoC、②サステナブル、SDGs、③カスタマイズ、コミュニケーション、④世界、グローカル、インバウンド、⑤マーケティング・経営戦略・組織と運営体制など、すべてが変わると指摘します。
 これら産業パラダイム転換の鍵となるのがカスタマイゼーションで、これは新しいビジネスチャンスの到来を意味しているとも。課題として次のような問題を解決する必要があるといいます。
 ①分業制の壁⇒ハイスペック分業性へ、②デジタル化の推進は全産業で一気通貫に、③採寸精度⇒着心地重視へ、④市場創出と文化創造、⑤UX、コミュケーション。
 最後に、まとめとして下記3つを挙げました。
 ①サステナビリティとマスカスタマイゼーションは待ったなし。
 ②新しい洋服文化を創り出す、産業のパラダイム転換が起こっている。
 ③ファッションテックを活用しオーダーしてつくる文化の構築へ。
 私たちは今、そんな新しい産業パラダイムの入口に入って来ている、このことを痛切に認識させられた講演でした。
 
 最後にレクトラ・ジャパンの代表取締役 田中明彦氏が登場。Img_22991 「ファッション及びファニチャー オンデマンド」と題して、インダストリー4.0に基づいたレクトラの最新テクノロジーと、国内と海外のファッションおよびファニチャーの、カスタマイゼーションの取り組みの事例をプレゼンテーションしました。(このブログ2019.9.10付けも参照)
 そのポイントは、次のようです。
 1.カスタマイゼーションのトレンドとデジタル化は相性がいい。
 2.生産をデジタル化しないとカスタマイゼーションは完成しない(作業の自動化ではなく、プロセスの自動化)。
 3.デジタル化実現の鍵はバーチャルとリアルが融合するところで行動しなければならない。
 その上でオンデマンド生産、最適化された生産に、同社が適切なソリューションを提供できることをアピールして、セミナーを締め括りました。

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2020年1月25日 (土)

レクトラ ファッションとインテリアのコラボセミナー ⑴

 アパレルおよび家具業界向けの製造ソリューションを販売するレクトラ・ジャパンが、昨年12月10日、東京・港区の在日フランス大使館で開催した「ファッションとインテリアのコラボレーションセミナー」に参加しました。
 ミレニアル世代が購買層の多数を占めるようになった今、ファッションやインテリア業界にはどのような変化が起こっているのか。そして各マーケットはこの変化にどのように対応していくのか。レクトラのソリューションや海外の事例などを交えて、現状を分析し、未来像を語る意義深いセミナーとなりました。
 ビジネスフランス日本事務所 副代表 ベルトラン・ヴェロン氏の挨拶の後、演壇に立ったのは以下に記した5人のスペシャリストです。
 
 一番手は、ネリーロディ・ジャポン代表ブノワ・ピケ氏で、「世界のファッション&インテリアトレンドとカスタマイゼーション」と題して、「リ・バランス(再均衡)」の重要性を訴求、そこからオンデマンドによるマスカスタマイゼーションを提唱しました。
 世界は今、経済問題(デジタリゼーションやコミュニケーションの問題から生産の在り方が変わり不安定な状況が生まれていること)や、環境問題(ファッションは食料問題とつながっていて、環境汚染を引き起こす大きな要因になっていること)、アイデンティティ問題(マイノリティや男と女、ジェンダーの問題など)で、不均衡状態にあるといいます。そこで2021年のライフ&スタイルにおいて考えるべきは均衡(バランス)への復活、「リ・バランス」であると指摘します。消費者を「リ・バランス」の下、4つにプロファイリングしてそれぞれの特徴を披露。その上で、2021年に向けて焦点になってくるのはマスカスタマイゼーションであるとし、変化するトレンドをオンデマンドで考える“トレンド・オンデマンド”へのリアクションが重要と強調しました。
 
 二番手は、オーダーメイドファッションスタイリストの神崎裕介氏です。「今、ファッションマインドをインテリアに」をテーマに、インテリアとファッションの融合が必要な理由や、インテリアとファッション業界の今後について見解を述べました。
 ファッションブランドがインテリアに進出してきたのは1980年代頃からで、2000年代以降、アルマーニやフェンディ、ブルガリなどはホテル経営にも乗り出してくるのですが、これにはライフスタイルを丸ごと取り込むというブランド戦略があったといいます。
 当時、多くのインテリア企業では、世界観を伝えるための魅せ方が不足していたことなど、問題点があったそうです。これを乗り越えて成功した代表例がイケア(IKEA)で、売り手発信で魅力や使い方を伝えていきます。
  またイギリスのテキスタイルメーカー「リバティ」や、パリのセレクトショップ「メルシー」、そ1_20200126173501 れに神崎氏がスタイリングを手掛けたROOM DECOの「大人の女性のドレスルーム」(写真右)など、インテリアとファッションのコラボを実現した企業やショップの実例をプレゼン。いずれも人気店舗となって現在にいたっています。
 最後にインテリアとファッション業界の今後に寄せて、①センスの向上が不可欠であること、②家具も服も使ってこそ意味があるので、売場では提案型の仕掛けが必要、③商品ではなく、ライフスタイルそのものを提案して売ることが大切、とポイントを紹介しました。
 
 三番手は、アトリエファヴォリインターナショナル代表でインテリアデザイナーの石黒久美子氏です。
 「ビスポークの喜び=ファッション・アート・インテリア」をテーマに、インテリアがファッション化し、若い人たちがインテリアに目を向けるようになり、ファッションを楽しむようにインテリアを楽しむようになったこと。またインテリアのビスポーク「オーダーメイド」が欧米のインテリアマーケットでは当たり前となっていること、そのアートやエコを絡めたアイディアなど、最新のトレンドを語りました。

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2020年1月24日 (金)

エコプロ2019 ⑵ 興味深かったセミナー二つ

 先般の「エコプロ2019」で興味深く思ったセミナーを二つご紹介します。
 一つは、「リユースが拓く持続可能なビジネス ~LOOPの挑戦~」と題したシンポジウムです。東京都知事の小池 百合子 氏やテラ サイクル(TerraCycle,Inc. )CEO トム・ザッキー 氏、持続性推進機構理事長で東京大学 名誉教授の安井 至氏らが登壇し、持続可能な消費・生産とリユースの重要性が語られました。
 最初にテラ サイクルのトム・ザッキー 氏が、開発した"LOOP"をプレゼン。これはリユース可能な容器で製品を販売するサービスで、アメリカやEUの一部などで既に始まっているといいます。日本では今秋から東京都の支援により化粧品や飲料などの容器を回収して再利用するプロジェクトの試験運用をスタートさせるそうです。P&Gジャパンやイオン、味の素、キヤノンなど13社が参画しているとのこと。
Img_19541jpg  次に東京都知事の小池 百合子 氏が「2050年ゼロエミッションと持続可能な資源利用を目指して」をテーマに講演。"LOOP"との革新的なビジネスモデルへの期待感を表明しました。ゴミをゼロにする取り組みがいよいよ始まったようです。
 
 もう一つは、さかなクンが登場した「地域ならではの生物多様性をさかなクンとギョ一緒に考えましょう!」のトークセッションです。たくさんの子どもたちが集まっていて、私もこどもたちとともに楽しみました。
 さかなクンはこの日の朝、南房総の海で釣ったほんものの魚を持ってきていて、この魚たちにまつわる「魚クイズ」を出したのです。ほんもののキントキダイとか私も知らないいろいろなお魚を見ながら、答える子どもたちの喜びの表情が何ともかわいくて、忘れられません。
Img_20121  生物多様性を教育するさかなクン、ほんとうにすばらしい!です。 地元の食材を旬に食すことの大切さがしっかり伝わった、すてきなセッションでした。

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2020年1月23日 (木)

エコプロ2019 ⑴ 持続可能な社会の実現に向けて

 「エコプロ2019」が、昨年12月5~7日、東京ビッグサイトで開催されました。来場者は147,653人と発表されていますから、まさに国内最大の環境見本市といえるでしょう。
 持続可能な社会の実現に向けて、700社余りが出展し、様々な特別展やセミナーなどが行われました。
 
Img_21431  展示でとくに面白いナと思ったのは、上の「木からつくったミライのクルマ」、環境省の「COOL CHOICE」ブースに設置されていたコンセプトカーです。東京モーターショー2019にも出品されたとか。車体にはセルロースナノファイバー(CNF)が使われていて、大幅な軽量化とCO2排出量の削減を実現したといいます。CNFは植物由来の次世代素材といわれているセルロース繊維で、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度をもっているそうです。
 
 また700社という多数の出展社の中で今回、繊維関連で注目したのがダイワボウノイです。ブースでは「エコフレンド」プロジェクトを打ち出していました。
Img_20591  上はサステナブルなアメリカ綿を使った製品の展示です。

Img_20621  右は「リコビス」という新しいセルロース繊維で、廃棄された綿100%デニムやTシャツの古着、不要となった端材を原料にして誕生したアップサイクル素材です。
 この他生分解レーヨンなど、地球や人にやさしい素材をアピールしていたのが、印象的でした。

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2020年1月22日 (水)

近藤サトさん 一歩踏み出す勇気で、自分らしさを手に入れる

 先般の「日経ウーマンエキスポ2019」で、元フジテレビアナウンサーの近藤サトさんが登壇するセミナーに出席しました。さすがのセレブリティだけに、会場は満席状態で、熱気にあふれていました。
  テーマは、「一歩踏み出す勇気で、自分らしさを手に入れる」です。Img_17431 お話はやはりブームを巻き起こした“グレイヘア”、そしてそこから学んだことが中心でした。
 局付けアナウンサーだった頃、なぜスカートを強要されるのか、なぜメガネをかけられないのか---、こういうことはいかがなものかと思っていたといいます。白髪を隠さないのも同じで、推奨されないと言われてきたそうです。
 3週間ごとに白髪染めを続けていたある日、突然アレルギーが出るようになり、毛染め薬品が悪いと言われても、なかなかやめられなかったとか---。しかしあるとき、白髪染めを強いる風土とは何か、私はもっと自由でいい、と気付くようになって、黒髪として自分をだまし続けていたのをやめたそうです。
 そうなったらそうなったでまた大変だったといいます。鏡を見て白髪のおばあさん、女性として劣化した存在に見られる、と思ったのですね。ところが意外にも周囲から「いいネ」と言われて、自分自身が古い価値観にとらわれていたことがわかったとか。
 現在51歳の近藤サトさん、一人でやるリスクは大きかったけれど、リターンも大きかったと振り返ります。今はマルチステージで生きる時代です。人の意見を聞き過ぎたり、世間の目を意識し過ぎたりする日本は、女性活躍後進国とバッサリ。もうそんなことを気にしないで、一歩踏み出せば新たなネットワークが生まれ、新しいステージが拓けるといいます。
 最後にまとめとして、次の5つを挙げました。
1. 同意を求めないで一人でやる。誰かが評価してくれる。
2. ルーティンを疑う。変えれば世界が変わる。
3. 自分自身の声を聴く。
4. 断崖絶壁に立っていると思うこと。
5. 良い意味の孤独を求める。
 容姿や属性が評価され、同調性がとりわけ強い国、日本。この国で女性が自分らしく意志をもって生きることがどんなに難しいことか、私も身に染みて感じています。そこを超えて自分らしさをどう手に入れるか、小さなヒントが見つかったような気がしたセミナーでした。

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2020年1月21日 (火)

スプツニ子!さん 女性が活躍する未来の在り方を語る

 昨年11月末、働く女性に向けたイベント「日経ウーマンエキスポ2019」が、東京ミッドタウンにて開催されました。すべての女性が自分らしく輝くための様々なグッズの展示や、セミナーも多数行われ、盛況の様子でした。
 この中で私がもっとも興味深く思ったのが、スプツニ子!さんによるセミナーです。スプツニ子!さんといえば、東京芸術大学美術学部デザイン科・准教授で起業家の顔も持つアーティストで、その活動は世界的に高く評価されています。女性が活躍する未来の在り方を語るというので、ぜひお話をお聞きしたいと思い参加しました。
Img_17251  セミナーは羽生祥子日経ウーマン総編集長とのインタビュー形式で行われ、テーマは「女子のパワーで社会が変わる! 世界が今注目するFemtech(フェムテック)とは?」です。
 実は“フェムテック”とは何か、そのとき私も知りませんでした。「女性」と「テクノロジー」の造語で、2016年頃から登場し、女性特有の悩み(特にヘルスケア)を解決するテクノロジーを指す言葉です。日本での認知度はまだ低いようです。
 スプツニ子!さんは、この“フェムテック”が日本でもようやく今注目されるようになってきたといいます。たとえば老舗百貨店の大丸梅田店で、昨年試験的に「生理バッジ」が導入され、女性のリズムに寄り添う新ゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」がオープンしたことなど。最近やっと生理の話が話題に上るようになりましたが、10年くらい前までは、タブーで隠すべきものでした。でももうその頃に、スプツニ子!さんは「生理マシーン、タカシの場合」という映像を発表してセンセーションを巻き起こしていたのですからほんとうにスゴイです。その後THINX(シンクス)などより機能的な生理用ショーツがあらわれ、ここ1、2年の変化は激しいといいます。
 次に「32歳あるある」へ話は移り、妊娠・出産のタイムリミットと向き合わなければならなくなる女性の悩みがディスカッションされました。スプツニ子!さんも32歳頃に落ち込んだそうです。「いつ生むか?」、「どう働くか?」は、働く女性にとって深刻な問題です。将来の子づくりのために、スプツニ子!さんは34歳の時に「卵子凍結」をしたことを打ち明けられ、「えっ!」とビックリ、衝撃でした。「子づくりしたいなら、35才以内に卵子凍結しておくべき。これは新しい始まりで、10年後には当たり前になっている」とも。確かに生殖医療の進化には目覚ましいものがあります。
 続いて、現在取り組まれている、生殖医療に関する新しいプロジェクトに触れ、「32歳あるある」を仕方ないと思わないで解決していかなければいけない、この問題は私が解決すると、強調したのも印象的でした。
 最後に古いヒエラルキーを女子パワーで逆転し、女性が生きやすい世界をつくっていきましょう、と呼びかけ、セミナーを終えました。
 女性として考えさせられるお話が続出、我慢しないですむ明るい未来が待っているように思えてうれしい気持ちになりました。

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2020年1月20日 (月)

新年の賀詞交歓会に出席して

 2020年がスタートし、恒例の各業界団体の賀詞交歓会が華やかにとり行われました。
 中でも盛大だったのが、日本アパレル・ファッション産業協会が15日に東京・ホテルニューオータニで開いた新年会です。最近は女性の参加も少し増えているようですが、今年もその圧倒的多数は黒っぽいスーツ姿の男性たちでした。女性服を扱うアパレルメーカーが多数であるはずなのに、何故なの?と首をかしげさせられます。
 挨拶に立った北畑稔理事長は、「今年3月に東京クリエイティブサロンを開催し、東京ファッションを発信していく。また昨年6月に制定したCSR憲章の下、持続可能な社会の実現に向けて脱プラスティックへの取り組みを進めるとともに、女性活躍の場を広げていく」とお考えを述べられました。
Img_29401 来賓の小池百合子東京都知事(写真右)も、「東京クリエイティブサロンへの支援や、環境問題で都としてCSR投資に力を入れていく」と語り、社会事業家でもあった渋沢栄一にも触れていたのが印象的でした。
 また赤松憲日本百貨店協会会長も「ファストファッションの雄、ザラがリセールを手掛ける」などと話され、中古販売を立ち上げたH&Mに続いて、あのザラも、とビックリしました。
 今年はいつになくサステナビリティが強調された賀詞交歓会でした。

 西印度諸島海島綿協会の賀詞交歓会は、新体制となって初めての新年会とあって、会場を東郷記念館という奥ゆかしい場所に移しての開催です。
 昨年9月に新理事長に就任された八木原保氏の挨拶の後、ジャマイカのアリコック大使が、「今年はビジネスが再開されるすばらしい一年になることを期待している」と祝辞を述べられました。Img_29511
 次いで三宅正彦TSIホールディングス会長が、「サステナビリティの流れから、天然のものが復活し、海島綿が戻ってくる」と激励され、一同大いに勇気づけられたことと思います。
 なおアリコック大使ですが、今年3月に6年半過ごした日本を去ることになられたそうです。少し寂しくなりますが、次に期待しましょう。
 
Img_29601  「繊維の宝石」と呼ばれる海島綿製品の展示も行われ、各社選りすぐりの商品の数々に目を細めたことでした。

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2020年1月19日 (日)

「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展

 今、「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展がパナソニック汐留美術館にて開催されています。先日この内覧会に行ってきました。
 冒頭、遠山館長が「今年は東京五輪の年ということで、日本をテーマにした企画展を4本計画している、その第一弾が本展です」と挨拶。「日本が工業化して大量生産が本格化した1930年代から60年代にスポットを当て、当時の家具や建築などに見られるモダンデザインに影響を与えた建築家やインテリアデザイナー、家具デザイナーの作品資料など約160点を展示しています」と概容を語られました。
 続くギャラリーツアーでは、大村理恵子学芸員が「モダンデザインとは?」に触れ、「大衆の生活をより豊かにするために量産していこうという時代になったとき、新しい美の概念が必要になり、欧州でこれをモダンデザインと呼ぶようになりました。その特徴は機能的で合理的、シンプルな造形を持つデザインです。各国に拡がって異文化交流し、それぞれの国に土着のデザインが生まれていきました」。

 本展では5章仕立てで、日本におけるモダンデザインの開花の過程が紐解かれます。(写真は特別な許可を得て撮影しております)
 
 第1章 ブルーノ・タウトと井上房一郎たち「ミラテス」を中心に
 ブルーノ・タウトはドイツから来日したドイツ人建築家で、京都桂離宮に出会い、日本建築の美を欧州に伝えた人物です。
Img_27511  上は、「ミラテス」という銀座にあった伝説の家具工芸店です。
 タウトは群馬県高崎で工芸の指導と執筆活動をしていて、その時に懇意になった井上房一郎が軽井沢と銀座に「ミラテス」をオープン、タウトのデザインによる生活用品などを扱ったといいます。ここではそうしたタウトの作品や「画帖―桂離宮」も展示されていて、印象的でした。 

Img_27621  上は、タウトが来日中に竣工した建築作品「旧日向別邸」、別名「熱海の家」のインテリアです。
 
 第2章 アントニン&ノエミ・レーモンド
 井上房一郎と親交のあったもう一組の建築家、アントニン&ノエミ・レーモンド夫妻の作品を紹介するコーナーです。アントニンはチェコ出身のアメリカ人建築家で、世界初のコンクリート打ちっ放しの住宅を実現、ノエミはフランス出身のインテリアデザイナーです。
Img_27711jpg  上は、赤星四郎別邸です。和風の要素を取り入れた上質な洋風建築は当時の人々を魅了したといいます。
 
第3章 剣持勇の「ジャパニーズ・モダン」
 タウトの助手を務め、「ジャパニーズ・モダン」を提唱したデザイナー、剣持勇のコーナーです。
Img_27871jpg  上の奥にあるのが、代表作ともいえる籐の丸椅子です。他に柏戸椅子なども出品されています。
 すべて釘など使わず木組みでつくられていることがわかります。
 剣持作品には確かに、素材を探求したり手触りに拘ったり、大胆なデザインと繊細なディテールが共存していて現代的です。

第4章 ジョージ・ナカシマと讃岐民具連
 日系二世のジョージ・ナカシマが作った家具が展示されています。
Img_27951  40年代からのものなのに、それが全然古臭くなく洗練されていてステキです!

第5章 イサム・ノグチの「萬來舎」とあかり
 言わずと知れたイサム・ノグチのあかりシリーズです。岐阜提灯の技術を応用して1950年代に制作されたといいます。
Img_28041   今ではごく普通にどこにでも見かけるこのあかりですが、イサム・ノグチは、単なる照明器具ではなく“光の彫刻”と考えていたそうです。だからこそバリエーション豊かに展開していくことになったのですね。
 (このコーナーは誰でも写真撮影できます。)
 
 本展を見て、1930年代から60年代は大量生産の時代だったとはいえ、必ずしも工業生産ばかりではなかったことが理解出来ました。手仕事による量産を考えたモノづくりがされていたのですね。一つひとつの作品には職人たちの未来への夢が込められているようでした。
 
 展覧会は3月22日までです。詳細はホームページhttps://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200111/ をご覧ください。

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2020年1月18日 (土)

ジャパン ベストニット セレクション2019 国産ニット一堂に

 「ジャパン ベストニット セレクション(略してJBKS)2019」が、12月4日~5日、東京国際フォーラムで開催されました。
 第12回目となる今回は国産ニット関連メーカー、60社が一堂に会して出展、その内訳はニット42社、カットソー4社、生地・素材・靴下・小物12社、協賛2社。来場者は市場の停滞もあって昨年に比べ減少し2,686人と発表されています。
 各社提案ではSDGsへの意識の拡がりが注目されます。天然素材やリサイクル原料の使用、環境負荷の低い染色仕上げ法の採用、省資源に貢献する無縫製ニット“ホールガーメント”訴求など、といった動きが目立っていました。

 最終日の午後、恒例の2019アワード表彰式も行われました。グランプリと経済産業省経済産業大臣賞にバーンズファクトリー、準グランプリに奥山メリヤスと昨年グランプリのサトウ エススクエアがそれぞれ受賞、また特別に設けられた奨励賞に今間メリヤスが選ばれました。
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◇バーンズファクトリー
Img_17741  東京都・板橋区で2010年に創業。自社工場で丸編みを行い、糸という原料から縫製までコントロールし受注生産体制を確立しているニット企業です。
 アワード受賞は今回で3回目とのことで、松浦永社長は「大変励みになります。これからもみんなで力を合わせていい未来を築きたい」と挨拶されました。
 右は、シルエットの美しいカシミアニットのコートです。
 しなやかな軽い着心地が魅力です。
 縫製は“TPS”縫製という、特殊千鳥ミシンにより生地を突き合わせて縫製する、縫い代の無い製法になっていることも特徴です。縫い目が平坦で、生地に厚みが出ません。縫い代のアタリがないので、着心地良く着用できるのです。

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          (上の写真は裏側から見た縫い目) 

◇丸正ニットファクトリー
 新潟県見附市で天保3年創業の老舗で、プルミエールヴィジョン・パリにも出展し、ホールガーメントを積極的に設備してブランド開発につなげるなど、新しいことにチャレンジしているニット企業です。

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 今回の一押しは、経編と横編みをハイブリッドした製品(上写真)です。デザインの幅が広がり、目新しく映りました。

◇東亜ニット

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Img_17961  大阪府松原市で丸編み生地の企画・製造販売を手掛ける企業です。
 
 両面選針機を活用した3Dニット技術で、斬新な編地を多数提案しています。

◇トシテックス
  桐生産地の小巾ラッセル編メーカーです。
Img_17881jpg  今回は“きものストール”を提案。これはきもの地をテープ状にスリットして編み込んだストールで、服飾素材の付属としても使えるといいます。
 アップサイクルへの取り組みの一つとして、期待されます。

◇島精機
 本展示会に協賛出展している、日本を代表するニット編み機のトップメーカーです。

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 Img_17811jpg 今回は、スプリング式可動型シンカーを搭載した4枚ベッド機構のホールガーメント横編機のMach2XS 103を紹介していました。
 100cm幅で女性用ドレスが編めることや、8色使いが可能になったこと、今まで手編みが必要だったカフス部分も、その必要がなくなったことなど、新型機を実動しアピールしていたのが印象的です。

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2020年1月17日 (金)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑷ 環境配慮に拘りのデニム

 先般の「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、環境配慮に徹底的に拘ったデニムが注目されました。

◇カイハラ
 デニム製造における全工程、「紡績」「染色」「織布」「整理加工」を一貫体制で行っている日本を代表するデニムファブリックメーカーです。年間800~1000種類もの生地開発を行い、徹底した品質管理による高品質な素材を提供しているといいます。
Img_13841  今回は新染色「E-BLUE」を訴求していました。これは精錬剤(洗剤)を使用しなくとも従来通りのインディゴ染色を実現する染色法といいます。
 これまでは染色性を高め、均一に染める目的で精錬剤を使って糸に含まれる油分を除去してきたそうです。排水にも精錬剤の成分が流れ出て排水処理にも負担がかかっていたのですね。でもこの環境配慮型の新染色方法なら、美しい藍色をキープでき、水使用量も精錬工程の効率化により20%削減でき、薬剤使用料は「ゼロ」、排水処理エネルギーも17%削減するとのことです。さすが選ばれるカイハラデニム、ですね。
 
◇篠原テキスタイル
 カイハラと同じ福山市が本拠地で、糸や染め、織、仕上げに深く拘った、上質なデニムを追求しています。
Img_15481jpg  ブースではCOTTON USAの認証ジーンズを展示していました。デニムは40番手コーマ糸使いのきれいなストレート糸シリーズのものです。
 リサイクルポリエステルを使用したり、従来に比べよりCO2の排出量を減らした染色方法を採用したり、エコやトレーサビリティといった環境配慮にも力を入れているメーカーです。

◇ダックテキスタイル
 ここも福山市が本拠地のデニムメーカーです。
 Img_14641_20200118230701 2020秋冬向けには、環境配慮を意識したエコ染色によるデニムと、起毛したデニム、色落ちしにくい反応染めデニムなどを提案。また独自性、意匠性の高いジャカードデニムも多数揃えて、高い開発力をアピールしています。

◇シバタ
Img_14551  同様にデニムのメッカ、福山市にあるメーカーで、ブースではとくにオーガニックコットン使いのジャカードを展示していました。

◇播(へそデニム)
 西脇産地で播州織の企画・製造・販売を行っている企業で、“へそデニム”はこの産地初の一貫生産デニムです。
Img_14531jpg  今季は綛染めを中心に、加工や撚糸によって様々な変化をつけた生地を提案しています。

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2020年1月16日 (木)

JFW JC2020/ PTJ20AW⑶ サステなハイエンドカジュアル

 先般開催された「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、サステナビリティを意識したハイエンドカジュアル素材が広がりました。ウールやウインターコットンなどの天然素材が、充実した展開を見せています。

◇大江
 丹後産地の生地製造卸で、シルク、ウール、綿、麻、再生セルロースなどの天然素材系にノベーティブな加工を施し、他にはない新しい素材を開発しているメーカーです。とくに今シーズン、間伐材から液体を抽出して糸を染める「原木染」を訴求して注目されます。
 日本中で放置されたままになっている間伐材を利用することで、「SDG’s(持続可能な開発目標)に貢献できる」上、従来の染色と比べて大幅に染色時間も短いとか。
Img_15671jpg  色は基本的に茶色一色ですけれど、糸の種類によってむら感が出るのが特徴だそう。木材を原料にしているため、天然の抗菌性や消臭性、耐光性などに優れるほか、自然なハリ・コシも出るといいます。

◇森菊
 三河産地の生地メーカーで、2018年に立ち上げたサスティナブルマテリアルのテキスタイルブランド「NATURE & SONS」を今回も大きく打ち出しています。 Img_14171 Img_14191g Img_14241
 オーガニックコットン、リヨセルを中心に混紡、交織、特殊加工など、他にはない泥染めや多重織コットンガーゼなどエコ素材を提案し、好評の様子です。
 
◇アバンティ
 オーガニックコットンを専門に手がける同社、今回、久しぶりの出展です。
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 環境に極力負荷を与えない加工工程、杢糸シリーズの展開、ウールや麻、シルクとの交織企画を提案し人気を集めていました。
 
◇豊島
 「フード テキスタイル FOOD TEXTILE」を展開。とくに食べ物が持つ「色」に注目したテキスタイルブランドで、食品会社・飲食店・農園の製造過程で出る、野菜や食材の残渣が色の元になっているそう。
Img_15251  食品廃棄物問題の解決方法を提案する注目のブランドです。
 
◇スタイルテックス
 埼玉県川越市を本拠地に、抜群の耐光堅牢度を誇るスレン染の技術を駆使した高密度織物を手掛けているメーカーです。
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  コート用の本物のギャバジン、綿100%、綿/ポリエステル交織、 ポリエステル/綿交織の3品番をストック販売していて、ミラノウニカにも2018秋冬Img_14321 ものから出展、 その高いクオリティが 国内外で好評を得ているといいます。
 今シーズンは全ての商品に撥水加工を施し、エコの一環としてフッ素フリーの撥水加工への取り組みをアピールしていました。

◇東海染工
 今回のテーマは「コンビネーション」で、今まで取り組んでこなかった新しい素材を 加工と組み合わせたテキスタイルを提案しています。
Img_13641jpg  右は「せのうみ(石花海)」と名づけられた加工です。波紋のようなフェードした色合いやヴィンテージ調の表現が特長。また新風合い加工「VOLIBIA(ボリビア)」や「塩縮風ニット ゴットン」なども。

◇鈴木晒
 遠州産地にて、創業60年以上の天然繊維を中心に染色、整理を行っている加工場です。
 今シーズンは花粉症のようなアレルギー症状をかかえる人向けの、アレルゲン鎮静化加工「アレルアタック」を訴求していました。
Img_14981pg  上はこの「アレルアタック」加工の生地を使ったパジャマです。

◇柴屋
 プルミエールヴィジョン・パリにも出展しているハイエンドなカジュアル・テキスタイルのメーカーです。
Img_15331  “極上天日干し”を大きく打ち出していました。
 
◇小松和
Img_15391  小さな釜で染色することで、織物にテンションを加えずリラックスさせて染める「東炊き(あずまだき)加工」に続いて「織姫炊き加工」をアピール。肉厚な素材も「織姫炊き加工」でソフトな仕上がりになるといいます。バリエーションが増えています。

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2020年1月15日 (水)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑵ ファンシー・プリント・先染め

 先般のテキスタイルビジネス商談会「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」で、出展各社の新作コレクションの中から注目した素材を分野別にピックアップしてご紹介します。

<ファンシー>
◇森川レース
 福井産地のレース生地メーカーで、昨年2月のミラノウニカや前シーズンのPTJに出展していて、このブログにも記事を掲載しています。(このブログ2019.6.15付け参照)
 打ち出していたのはトップテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんが手がけるオリジナルブランド「andante」です。ここで扱われているレースは国内に2台しかない1987年製のラッシェルレース編機で生み出されているといいます。従来のラッシェルレースの概念を覆すデザイン性にあふれたラインナップで、魅了されました。
 Img_13361jpg  上はデニム カムフラージュ レースで仕立てたジャケットです。

Img_13401 Img_13521pg
 左上はストライプ・リブ、コーデュロイのようなレースです。
 右上はストライプ刺し子レースです。
 いずれも綿高率混で、ヴィンテージ感や和のイメージも感じさせます。

◇久山染工
 京都にある手捺染の工場で、古来よりまつわる友禅染を継承しているといいます。そのオリジナルの特殊加工によるクリエイションは、内外のバイヤーの目を惹き付けてやみません。
Img_13681  今シーズンの一押しは、土に還る成分解機能をもった自然に優しい素材で、しかも革の表情をもった素材「3WL」だそう。
Img_13721 Img_13791jpg  左上は綿100%のもの、右上はボロボンディングです。

◇クロスジャパン
Img_15041jpg  テキスタイルの企画・提案会社で、東京・千駄ヶ谷にショールームがあります。
  ブースでもドビー・ジャカード織物を中心に、刺繍・カットソー等、テクスチャーにこだわった自社オリジナル企画の生地を展開していました。

◇クリスタルクロス
 大阪が本拠地の婦人テキスタイル企画・販売会社で、今シーズンも布帛・ニット・プリント・刺しゅうなど、トレンディなテキスタイルコレクションが人気です。
Img_14861 Img_14881  毛足のある表情豊かなウール地が注目されます。

◇マルマス
 ファンシーな宇仁繊維グループ企業で、元老舗だった頃のアーカイブに着想したファッション性の高いオリジナルテキスタイルを開発しています。
Img_15101 Img_15121  左上はTCRストレッチコール、右上はマットオーガンジーフロッキー顔料加工のものです。

<プリント>
◇コッカ
 プルミエールヴィジョン・パリに毎回出展している日本を代表するプリント生地商社です。商品はALLSTOCKされていて、コッカネットで商品在庫検索、注文、発送を行う事が出来るようになっています。Img_15281pg
Img_15291 Img_15301_20200118143401  日本製やサステナビリティにこだわったものづくりにも注目です。
 
◇イマダ
 プリントのモチーフは花、花、花---。
Img_14931 Img_14941  地組織を活かしたプリントや、スカーフパネル柄のものなど。

◇グローブ
Img_15161jpg  大阪が本拠地のテキスタイルコンバーターで、プリントテキスタイルならあらゆるニーズにクイックに応えられるといいます。
 その斬新なグラフィックが今も目に焼きついています。

<先染め>
◇植山織物
 播州織の織布工場で、オリジナルの企画生地は600品番以上を在庫していて国内外の様々な要望に対応できるとのこと。またグループ企業を通じて生地の企画・製造・販売から衣料製品・付属品の企画・製造・販売まで、一貫して行っているのも強みといいます。
Img_13891  2020秋冬は「昔と今、自然とそこにあるモノと日々を、大切にゆっくりと積み重ねた時間の経過を感じさせるヴィンテージ感と洗練されたナチュラルへの未来」をテーマに新作を発表。表情豊かで心地良い天然素材による「サスティナブル」で「ナチュラル」なブース構成が印象的です。Img_13981g

◇カゲヤマ
Img_14911_20200118150101  播州織の産地西脇市が本社の産元商社です。
 今シーズンは、しっとりとやわらかく温かいヤク使いのテクスチャーを打ち出していました。

◇浅記
 新潟産地で「糸染、製織、整理加工」等全ての工程を一貫生産している織物メーカーです。
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 Img_1474j1pg 今季の目玉は、一つが「ウインターツイーディコットン」シリーズで、一押しは起毛素材やネップツイード素材によるチェック柄。もう一つは「メイキング テクスチャーズ」でより表面感とテクニカル感を出したドビー織や複合素材のシリーズです。

◇モナ・ニット
  愛知県豊川市で丸編みニット生地とアパレル製品を主体に、Img_15421 企画から製品化まで自社一貫生産している繊維メーカーです。
 ブースでは編みと加工のテクニックによるオリジナルデザインが数多く取り揃えられていました。
  今シーズンはジャカードニットを中心に展開、下はスペック染めによるインディゴ調のカットソーです。Img_15441

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2020年1月14日 (火)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑴  新作素材一堂に

 2020/21秋冬新作素材を一堂に集めた日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」が、昨年11月19日~20日、東京・有楽町の東京国際フォーラム・展示ホールで開催されました。
 今回は、84件・294社/210.3小間(うち海外出展者9件・19社/19.5小間)、PTJは85件/116.5小間(9件・9小間)と過去最多の出展社数となり、来場者数は、消費税導入など衣料市場の苦戦にもかかわらず、16,811人(昨年17,220人)とほぼ前年並みを維持したとのことです。全体に新規出展者が増加し、バリエーションが拡大、海外からの来場者が増えたことも特徴だったといいます。
 
 各社一押しの素材が並ぶトレンド&インデックスコーナーには、新しい商材を求めるバイヤーが熱心にメモをとる姿が数多く見受けられました。とくにサステナブルに対応した素材は高く評価された模様で、来年度からのサステナビリティコーナー開設が期待されています。

 下記注目のトレンドコーナーをご紹介します。メインテーマは「意識と感覚」で、791点の素材が4つのストーリーに分類され、提案されました。詳細はHPをご覧ください。
 
哲学 ≒ 美学 -Philosophy ≒ Aesthetics-
 ソフトで柔らかな感性を利かせた、繊細なカラーパレットで展開されるグループ。
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魅力 ≒ 魔力 -Charm ≒ Mystique-

 ダークに妖しく魅せるカラーを、ヴィヴィッドに鮮度アップされたカラーで魅せる。
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発想 ≒ 妄想 -Inspiration ≒ Delusion-

 パウダリーグレイッシュソフトカラーを、品よく洗練させたカラーパレットで展開。
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個性 ≒ 感性 -Individuality ≒ Sensitivity-

 シックで深みを感じさせるミディアムカラーバリエーションを、情緒的なカラーパレットで。
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2020年1月13日 (月)

杉原厚吉氏講演会 不可能立体最前線~脳の不条理な世界

  先般のAIITイノベーションデザインフォーラムで、明治大学の杉原厚吉研究特別教授が登壇、「不可能立体の最前線~脳が作り出す不条理な世界~」をテーマに講演されました。
 先生は、国際ベスト錯覚コンテスト(Best Illusion of the Year Contest)の常連ファイナリストで3回優勝、2回準優勝され、また現在、2月23日まで台湾の故宮博物院の特別展で作品が展示されている、不可能立体の第一人者です。
 まず“不可能立体”とは何か、ですが、これは絵を見たときなどのあり得ない立体の印象であり、そのような立体を表す“だまし絵”のことです。エッシャーの名画などに見る技法であり、ファッションデザインの表現にもよく使われます。
 この不可能立体をつくるトリックとして、次の3つ、①不連続のトリック : つながっているように見えるところにギャップを設ける。②曲面のトリック : 平面のように見えるところに曲面を使う。③非直角のトリック : 直角に見えるところに直角以外の角度を使う、があるといいます。
 次に紹介されたのが、あり得ない動きが見えてくる「不可能モーション立体」です。(ここから方程式による立体の探索が始まり、頭が混乱してきます----。) 人間の脳は、3組の平行線しか使われていないのに、面と面が直角に接続していると勝手に思ってしまうそう。脳が直角好きだからで、車を運転していて遭遇する“お化け坂”、つまり上り坂が下り坂に、また下り坂が上り坂に見える坂道錯視もその一つといいます。
 さらに変身立体という鏡に映すと姿が変わる立体について解説。これは二つの方向から見たとき、まったく別の形に見える立体で、本当に不思議!と思いました。
Img_16201jpg Img_16171  
 上の写真はそのとき先生がお持ちになられた実物見本の中の二つです。正面から見た立体は、鏡の中のものと全く異なる形をしています。
  P_20191120_203401_vhdr_on2_3 でもそれを横から見て、分かりました。
 右のように正面からは円筒形に見えたのが、実は角のある立方体だったのです。
 
 最後に、まとめとして不可能立体の背景には次の二つの性質があるといいます。①数理的性質 : 一枚の画像には奥行きの情報がない。②心理学的性質: 脳は直角を優先する傾向がある。確かに人は平行四辺形の立体を直方体と思って見ているようです。
 
 先生はこの錯視の考え方を、道路信号の位置や標識などに採り入れることで交通安全に役立てられるといいます。グラフィックデザインのポイントとして心に刻みたいと思いました。
 但し、なぜ人間は直角が好きなのか、その理由は謎のようです。

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2020年1月12日 (日)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来

 先般開催された “AnyTokyo(エニートーキョー)2019”は、クリエイティブの祭典というように、予測できない未来を実験、そして発見するための斬新なアイデアがいっぱい。中でもオヤッと思ったのが、コミュニケーションに新たな価値を生み出そうとする動きでした。

 トークセッション「伝えるの未来」ではそうしたアーティストたちの活動に目を見張ったことが思い出されます。
Img_12681jpg    それは博報堂が発刊する雑誌「広告」の編集長でクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀さん(右)をモデレーターに、パネリストとしてインタープリターのmmm/サンマロさん(左)と、クラウドファンディング・MOTION GALLERY/POPcorn共同代表の大高健志さん(中)が参加して行われた座談会でした。
 コミュニケーションといえば主体は言語です。最近は翻訳もテクノロジーの進化で精度が上がり、国境の壁がなくなってきました。しかしこのディスカッションで気づかされたのは、言葉だけでない、ボディランゲージやビジュアルの重要性でした。

 とくに印象に残ったのは、mmm/サンマロさんです。手話を第一言語に育ち、インタープリター、つまり手話通訳家であるそう。盲聾の方に向けて触手話もやっていらっしゃるといいます。mが3つ並ぶお名前には、音波の波のイメージが込められているようです。
1_20200112091501  ここでは音楽家Kenta Tanakaと音で空間をデザインする展示を見せていました。ヘッドフォンを通して聞こえる音とそこに存在する空間,視覚での実像と聴覚での虚像の関わりを感じる実験行為です。文章で表現するのは何とも難しいのですが---。写真はAnyTokyoのHPからの引用です。
 
 さらにお話しは音の可能性へと展開し、音とは振動であること、その振動のバイブレーションが骨を通して音として伝わる「骨伝導」へ広がりました。今人気の骨伝導イヤホンから、話題は本展の目玉となっている「エコー(echo) プロジェクト」へ。これは以前から私がもっとも注目しているプロジェクトです。このウェアが“骨”を中心につくられていると伺って、納得しました。

 ところでこの「エコー(echo)プロジェクト」とは何か、簡単にご紹介しましょう。
 これはダイアログ・イン・ザ・ダーク檜山晃とライゾマティクスリサーチ、アンリアレイジが協働で取り組んでいる事業で、目の見えない方を支援しようと、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017での展示から始まったといいます。服には導電性繊維が用いられていて、信号を発し、距離を計測することで空間を認知し、その反応が振動として着ている人自身に返ってきます。服自体が発信し空間との距離を感じる「エコー(echo)」を通して、今までに感じたことのない空間の知覚方法を体験、思い巡らすという、感動的なプロジェクト!です。
Img_11881jpg  Img_11871jpg  
 この「エコーウェアecho wear」を制作したのがアンリアレイジのデザイナー、森永邦彦さん。和服は“骨”、洋服は“肉”で着るとの考え方を基に、和服をイメージしてシルエットをつくったといいます。さすが森永さんと、またしても敬服させられたことでした。
 
 この他、表現の伝え方、その理解の仕方など、楽しいトークが続き、何と茶道の茶室の提案も出てビックリ。暗闇で所作をする茶の湯では触覚が頼りです。見えない場所では感覚が研ぎ澄まされます。
 現代人はそうした直観力をもっと磨く必要があるのかもしれません。
 
 この先の「伝える」とは何か、改めて考えさせられたトークセッションでした。

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2020年1月11日 (土)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」

 クリエイティブの祭典といわれる“AnyTokyo(エニートーキョー)2019”が、昨年11月16日~24日、kudan house(東京・九段下)にて開催されました。
 2015年に国の重要文化財・増上寺(このブログ2015.11.30参照)で開かれて以来、4年ぶりの開催で、4回目となる今回は、会場が東京・九段下の九段ハウスkudan house(旧山口萬吉邸)でした。登録有形文化財として登録されている歴史的建造物で、2018年にリノベーションされて、日本庭園のある会員制ビジネスサロンとしてオープンしています。
 どんなところかしらとドキドキしながら門をくぐり受付をすませて入ってみると、玄関前には、巨大な蜘蛛のような“モンスター”が鎮座していました。
Img_12511jpg  これはアーティスト高島マキ子さんの「Hopeful monster」という作品です。女性が嫉妬から蜘蛛へと変身させられるギリシャ神話の生物に着想し制作したといいます。キメラ化された妖怪は現代女性の不条理・恐怖を考察し具象化したものとか。抑圧者から逃れようと長い足を時折動かして、少しの希望を求めてもがいている姿が、何か切なく見えました。
 
 大正ロマンの香り漂う洋館の内部では、高島さんのような各分野のイノベーターたち、25組の作品が、インスタレーションされていました。テーマは“Crazy Futures / かもしれない未来”で、プロダクトからファッション、インテリア、建築、ロボティクス、コミュニケーション… まで様々。いずれも暮らしにイノベーションを起こすこれからのデザインです。それらがジャンルの垣根を超えて集まり、お互いの創造力やイマジネーションを刺激し合っているように思われました。

 Img_12071_20200110120801 ファッション分野で、一つ、興味深かったのが右の「アルゴリズミック/キメラ」です。これはAIによる衣服の製造システムを提案するもので、手掛けたのはファッションとテクノロジーの融合を目指すSynfluxのメンバー、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんと佐野虎太郎さん、デザインエンジニアの清水快さんと藤平祐輔さんです。
 このシステムなら、これまで大量に出ていた生地の廃棄部分を削減でき、環境面でもコスト面でも効果を発揮できると明言しています。生地もバクテリアを培養してつくった生分解素材を使用し、バイオロジカル・テーラーメイドを目指しているとのこと。次の“スパイバー”になれるか、期待されます。ファッションブランドの「ハトラ」も係わっているとのことで、驚きました。
Img_12091  アルゴリズミック・クチュールを衣服製造の新たなスタンダードにしていきたいというSynflux、今後が楽しみです。

 “AnyTokyo 2019”では、「着るの未来」と題したトークセッションも開かれました。
 WWD JAPAN.com編集長・村上要氏をモデレーターに、バイオアーティストの福原志保さん、それに上記「アルゴリズミック/キメラ」の作品制作に携わったスペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんが、私たちの衣服、着る行為は、この先どのように変わっていくのか、語りました。Img_11831jpg
 過去100年ほどの間、衣服の形はそれほど大きく変わらず、ファッションシステムもあまり変化しなかった業界ですが、近年、激震が起こっています。情報技術の発達や深刻化する環境問題をはじめとした、ファッションに関わる倫理的な問題を提起する動きが活発になっているからです。
 こうした中で、川崎さんはサステナビリティの見地から、ファッションシステムの見直しと更新を訴えました。福原さんはテクノロジーを採り入れることでイノベーションを起こしている伝統工芸や職人の話をされていたことが印象に残りました。

Img_12441  右は福原さんが着用されていたリーバイスの「トラッカー ジャケット ウィズ ジャカード バイ グーグル」です。袖のカフス部分に、ご自身も開発を担当した導電性繊維が埋め込まれていて、この部分に触れるとスマホを操作できようになっています。
 Img_12471jpg 右のサンローランのリュックサックのショルダーベルトにも、この導電性繊維が使われているとのことで、有力ブランドを中心にこのようなウエアラブルテクノロジーが広がっていることに驚かされました。

 目に見えないところでデジタルが活躍するエキサイティングな未来が増殖し始めています。「着るの未来」、どんどん楽しくなってきそうでワクワクします。

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2020年1月10日 (金)

IFFT/インテリアライフスタイルリビング⑵ ハイムトレンド

 先般のIFFT/インテリアライフスタイルリビング展で、現在ドイツのフランクフルトで開催されている「ハイムテキスタイル(HEIMTEXTIL)」のトレンドを解説するトークショーが行われました。テーマは「布のトレンドがみるみる分かる!南村 弾のファブリックマジック2019」で、プレゼンターは無論、ダンプロジェクト代表でハイムテキスタイルのトレンドセッターでもある南村 弾氏です。ジャーナリスト 本間美紀氏との対談形式で、その先行情報を披露しました。
1_20200109190701  メインテーマは「WHERE I BELONG (私が属しているところ)」で、サステナビリティであることが大前提といいます。人は地球上のどこに属しているのか、新興国の人々から見ると違った解釈があり、そこが好奇心を誘う興味深いテーマになっているようです。

 提案されたのは次の5つのストーリーです。

マキシマム・グラム MAXIMUM GLAM
Img_12751jpg  エキセントリックにシュールリアルな表現や色彩のぶつかり合い、装飾を盛った一点もの風、手織り調、不完全なものも。

ピュア・スピリチュアル PURE SPIRITUAL
 ナチュラル、シンプルを求める動きで、自然由来の天然素材、綿や麻のみならず、海藻や菌類、苔、木の布も。

アクティブ・アーバン ACTIVE URBAN
Img_12711  スポーツよりのテーマで、リサイクルやアップサイクルといった循環性を意識させるもの、廃棄されたエアバッグでつくったクッション(右)、回収した布のフュージョンなど。

ヘリテージ・リュクス HERITAGE LUX
 ロココやバロックなどリッチな伝統を再解釈する。ノスタルジアとともに、アーティスティックな贅沢感も。透ける素材や、希少な貴石、パールの光り。

マルチ・ローカル MULTI-LOCAL
Img_12731  アジアやアフリカ、中東など多様な国々の文化に影響されたデザイン。民族の文化とクラフトマンシップの混淆など。

(なお、上に掲載した写真3点は南村氏が提案された布です。ここではそのほんの一部をご紹介しました。)


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2020年1月 9日 (木)

IFFT/インテリアライフスタイルリビング ⑴ 注目の展示

 東京国際家具見本市(IFFT)を前身とするIFFT/インテリアライフスタイルリビング展が、昨年11月20日~22日、東京ビッグサイト南館にて開催され、行って来ました。日本各地の家具産地をはじめ、テーブルウェア、デザイン雑貨、生活用品など、空間全体を構成する商材をもつ400を超える出展者が集まり、3日間の来場者数は合計16,005名と発表されています。
 
 今回とくに注目した展示をご紹介しましょう。

特別展示「アップサイクル」
 「アップサイクル」とは、廃棄物を利用するリサイクルや繰り返し使うリユースに対し、元の何かに新たな視点やアイデアを加えて、魅力あるものを生み出すことです。とはいえ一般にはなかなか浸透していっていないようです。そこで有力デザイナーや建築家に依頼し、アップサイクルの事例を作品展示することになったそう。この特別展示がアップサイクルを再考するキッカケになるといいなと思います。
Img_13201  いろいろあった中で、おもしろいなと思ったのが、上の作品です。
 “もこもこソファ”(鈴野浩一、禿 貞哉/トラフ建築設計事務所)と名づけられた、ポリエチレン発泡体の端材をカットして束ねただけのソファです。
 
Negura(ねぐら) 大東寝具工業
 これは睡眠に特化した空間で、普段の寝室に天井や四方をカバーリングすることにより、いつもと違った快眠を体感してみては、というアイデアです。Img_12841jpg_20200109164001   中芯2層構造によるオリジナル敷布団“伏見”や、以前から訴求している“テトラ tetra”を提案。テトラは座ると自然に背もたれが立ち上がり、姿勢を変えるたびにビーズ素材が身体に寄り添って、体勢に合わせて変形するクッション座椅子です。素材はしっかりした8号帆布やシェニール、デニムなど、替えカバーも揃っています。
 
KEIKO KUROISHI
 デザイナー黒石恵子さんによるオリジナルテキスタイル・ブランドで、七夕の網飾りの構造を布で再現したストールは代表作です。私も時折、着けて楽しんでいます。Img_12891
 Img_12911 今回は新しく布張り茶箱を提案していました。
 スツールやちょっとしたベンチとしても使用できるといいます。
 布はコットンサテンのジャカード織で、“オリーブの樹 ” を表現したデザインが印象的です。
 
BIWACOTTON(ビワコットン)
 カイタックファミリーが手がける新ブランドです。“びわ”というように、滋賀県北西部に位置する琵琶湖の畔、高島市で江戸時代からつくられてきた“高島ちぢみ”が源流といいます。その製法を現代服に合うように進化させた“ビワコットン”は、綿100%の心地よさと強撚糸使いによる清涼感のある風合いが特長です。
Img_12801jpg  “からっと、かるい、きもちいい”のコピーで、Tシャツをアピールしていました。

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2020年1月 8日 (水)

FB学会 特別講演 齊藤孝浩氏「ファッション・サバイバル」

 先般、ファッションビジネス(FB)学会2019全国大会で、昨年2月に上梓された「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞社刊)の著者、ディマンドワークス代表の齊藤孝浩氏が特別講演されました。Img_09702 テーマは「ファッション・サバイバル~これから10年のファッション消費の未来」です。講演は、ご著書「アパレル・サバイバル」に沿う内容で進められ、ITシフトにより大きく変わる「消費の形」とともに、進化するアパレル業界の最前線に迫る、という大変興味深いものでした。
 前半はデジタルショッピングを中心に、後半はサステナブルの考え方、とくにクローゼットに溢れている服やものの循環について語られました。
 冒頭挙げたのが日本の衣料品市場規模と販路別シェアの変化です。2008年から2017年までの10年間で、規模は7%シュリンクし、販路別では百貨店や量販店が減じた一方、専門店や通販は約4割増となり、プレイヤーが入れ替わったといいます。
 まず、ファッションの流通革新は10年周期で起こっているとし、これからの10年を意識して活動していかないといけないと注意喚起しました。1990年代後半にユニクロなどのベーシックSPAが登場し、2000年代後半にH&Mなどのファストファッションが旋風を巻き起こしました。その後2010年代後半にはショッピングのデジタル革新が起こり、ファストファッションには定着感があるといいます。2018年はポストファストファッションへ向けて節目の年だったと指摘します。
 次に日本は欧米から10年遅れで追随していると釘を刺します。欧米では既にオムニチャネルを卒業し2020年からサステナブルの時代に入っているのに、日本はまだオムニチャネル時代でECモール依存からも脱皮していないといいます。
 そこで変化のヒントをつかむべく、ポストファストファッション時代に向けて先行する欧米の事例を大きく4つ、紹介しました。
①都市型トレンドファッションディスカウンターの台頭。例えばH&Mの6掛けで販売する英国のプライマーク。また米国のオフプライスストア(ブランドの余剰在庫を低価格で販売する店舗)TJXカンパニーなど。TJXはもしかしたら世界一の売上高とか。日本でもワールドが子会社を通じてオフプライスストア「アンドブリッジ(&BRIDGE)」を展開しています。
②女性の内面の美にフォーカスするビューティ部門を導入したファッションストア。ビクトリアシークレットを始め、アンソロポロジーもスキンケアに乗り出しています。
③コト提案をする体験予約型ストア。教室やパーソナルカウンセリングに力を入れるルルレモンやセフォラなど。
④ショッピングのオンライン活用とオムニチャネルリテイリングOMOへの取り組み。アマゾンの自宅をフィッティングルームにする「アマゾン プライム ワードローブ」やゾゾのWEARなど。
 これら、とくに④のサービスがこれまでと違うのは、情報のパーソナライズを提供することで、時間短縮やコスト節約、それに加えて無駄足なし待ち時間なしでストレスを解消していることといいます。従来のオンラインショッピングは事前情報収集や店舗行き、商品探しといった消費者が抱えるショッピングの悩みを流通革新(イノベーション)により解決してきました。しかしこれからはアマゾンなどの例にみられるように、パーソナライズを通じて、顧客の発見の過程をさらに加速する(最適化)する時代になっているのです。
 その上で、オンラインショッピング時代に残された課題は、フィッティング、コーディネイト、商品受け取りであるとの見解を披露。デジタル時代の店舗革新の例として、英国ではクリック&コレクト、米国ではストアピックアップが進んでいること、また欧米店舗では、来店客のスマホを店頭でオンラインにつなぐことにより、ショッピングの体験価値を拡張する試みが進行中であるとレポートしました。情報収集~ショッピング~その後のフォローを途切れることなくシームレスにつなぐシームレスショッピングにより、とくにザラでは顧客に「失敗」させない最適解を提供しているといいます。
 またテクノロジーの進化に関する明言も興味深かったです。「これまでテクノロジーは企業の勝ち残りのためのものでした。しかしスマホ・4G以降、テクノロジーは消費者の豊かさのためのものになった」といいます。そして「次の革新は消費者のスマホの中で起こる。解決すべき消費者の課題は買うだけではなくその先にあるクローゼットにも広がっていく」。パラダイムシフトが「~1990年代のプロダクト・アウト」から「1990年代のマーケット・イン」へ、「2000年代はクローゼット・イン」へ変化している、との提言も目からウロコでした。
 さらに「革新の舞台は店頭から顧客のクローゼット最適化へ」お話は佳境に入っていきます。ここではスマホを舞台に繰り広げられる、主なワードローブ(服)の循環支援型ファッションテックをピックアップしました。
①コーディネイトをヒントに買い足しを手伝うシェアリングサービス
②ワードローブの着回し管理アプリ
③着なくなった服を下取りして新しい服を買うオンライン古着販売
④大好きな服と長く付き合うオンラインクリーニング完結型サービス
⑤オフシーズン服を預かり撮影、オンラインクローゼットにのせる都市型トランクルームサービス
⑥着なくなった服をもって買い物に行く、自己完結型衣料品循環プロジェクトなど
 ほんとうにいろいろな事例があっていずれも巨額の利益を出しているというのも驚きです。

41r20ccpbl  最後に「クリエイティブとは、新しいものを創り出すだけでなく、問題提起をし、解決策を提案すること」の言葉で締めくくりました。このことに気付いて実行できれば、未来は決して悲観するばかりではありません。逆に明るく楽しいショッピング環境が整うと、改めて思いました。

 今やサバイバルの分岐点、「アパレル・サバイバル」、ぜひ一読をお勧めします。

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2020年1月 7日 (火)

JAPANTEX 2019 ⑵ 特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子

 今回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019で行われたセミナーの一つ、「テキスタイルデザイナー特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子」に参加しました。わたなべひろこ氏は国際テキスタイルネットワークジャパン 代表/多摩美術大学 名誉教授、須藤玲子氏は(株)布 取締役デザインディレクター/(株)良品計画 アドバイザリーボードメンバーです。
  この我が国を代表するテキスタイルデザイナー、お二人が「日本のImg_09351 繊維産業が忘れているものを考える」をテーマに、 日本の豊かな繊維文化をもう一度取り戻し、新しい繊維産業の未来を拓く為に私たちは今何をすべきか、語られました。

 最初にわたなべひろこ氏が自己紹介。四季の風土に根ざした日本の染織文化には世界に誇れるものがあり、この仕事に長年携わってきたことに喜びを感じているといいます。
 その上で、テキスタイルデザイナーとは、色柄はもちろん素材加工、使用目的に応じた諸々のことまで企画する職業であると定義。かつてテキスタイルデザインといえば京都や大阪が主体で、ファッション系に偏っていたといい、東京はどちらかというと不毛だったそうです。そこで住居の中のインテリアテキスタイルの道に進もうと思うようになり、そのためにはテキスタイルの勉強だけではなく、建築も学ぶ必要があると気づかれたと話されました。

 次に紹介された須藤玲子氏が、そのキャリアをプレゼンテーション。1984年に「布」ブランドの設立に加わり、1987年から本格的に「布」のものづくりから販売まで、全てを担当するようになったといいます。建築家伊藤豊雄氏との出会いは「布」を立ち上げた頃で、今治市伊藤豊雄建築ミュージアム「シルバーハット」のテキスタイルを任せられたのが始まりとか。その後伊藤豊雄氏とパリのポンピドゥセンターでの展覧会など、いろいろな仕事をするようになったそうです。「せんだいメディアテーク」の壁の布がN YのMOMAで再現されるなど、そのすばらしい技量が重なり国際的に高い評価を集めるようになっていきます。
 そうした折りに入って来たのが、2005年に開業したマンダリン オリエンタル東京というホテルのオリジナルテキスタイルを手掛ける仕事だったといいます。皇居が見えることから「森と水」の“成長と成熟”をテーマに、京都や桐生など全国80カ所の工場とテキスタイル制作に取り組まれたそう。あれから14年経った今も、テキスタイルは当時のまま変わりなく古びていないのは、まさに職人の為せる技だからでしょう。わたなべひろこ氏も「感動した!」と絶賛されていました。

 2018年に国立新美術館で開催された「こいのぼり」展(このブログ2018.5.14参照)も話題に上り、須藤玲子氏が「産地の職人との布づくりが何よりも大切」と強調。「デザインの仕事は人をつなぎ、人の暮らしを豊かにする仕事」と述べると、わたなべひろこ氏も、「生活の中にアートが入りクロスオーバーする時代に、テキスタイルアートの世界には大きな未来がある。これが廃れてしまうのはもったいない」と持論を展開。「繊維産業は国策でやるべき」と提言されたのも印象的でした。

 最後に、日本では繊維産業の多くが軽んじられ、目先のビジネスに追われて衰退している現状を憂えて、日本の繊維文化を見直し、忘れてしまったもの取り戻そうと呼びかけ締めくくりました。

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2020年1月 6日 (月)

JAPANTEX 2019 ⑴ デザインコンペとデニムのカーテン

 今年も国内最大級のインテリア展示会、第38回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019が昨年11月13日~15日、東京ビッグサイトで開催されました。今回はジャパン・ホーム&ビルディングショーやトイレ産業展、アジアファニシング展との合同開催展となり、全体で40,664名(プレス別)の来場があったと報告されています。
 
 全体を回って、ちょっと気になった展示を二つ、「インテリアデザインコンペ」とデニムのカーテン「瀬戸内デニム」のブースをご紹介します。
 
 「インテリアデザインコンペ」のコーナーでは、「空間を装うインテリアファブリックス」をテーマに応募のあった219点の作品の中から約40点をパネル展示。この内、3作品が優秀賞に選ばれて表彰されました。

  その一つが、「Hagire ステルヌノカラ、ウマレルヌノ」(新潟工科専門学校の杉山翔太さん)の作品です。
Img_09441jpg  子どもの頃に愛用していたタオルやブランケット、お部屋を飾っていたカーテンなどの布は、寂しさを解消してくれた大切な布です。そうした布はなかなか手放せないものです。これは長年手元にとっておいた布を裁断して、クッションやラグマットなどに作り替えるアイデアです。
 一人暮らしをするようになったときなど、そんな布のアイテムがあったら不安な気持ちもきっと落ち着くかもしれませんね。大事なものを捨てられないという、誰もが抱く心理を突いた提案です。
 
   もう一つ、今の時代を反映していると思ったのが、審査員特別賞のImg_09511 「ファブリック×終活のインテリア」(茨城大学齋藤ゼミC 今井菜摘・中野頌子・齋藤芳徳)です。
 これは故人が生前に使用していたファブリックを裁断して額に飾り、オリジナルの空間を演出したり、また葬儀場の壁に張り、葬儀後は持ち帰って故人を偲んだりするというもの。
 超高齢社会から多死社会となり、お葬式も様変わりして、小規模になり家族中心になっているといいます。
 これはそんな現代の葬儀事情に似合う、インテリアの新しい発想、と思いました。

 展示ブースでは、瀬戸内デニムに注目しました。
 デニムのオーダーカーテンを扱っているメーカーで、デニムは備後福山でつくられているといいます。備後福山は同社の本拠地で、瀬戸内海に面した“高級デニム生産日本一”の街です。
Img_09591  無地だけではなく、インディゴと生成りのストライプなど柄物もローンチ。また同社のデニムはきちんと色止めされているので、色落ちの心配はないといいます。
  ジーンズの裾をロールアップするように、カーテンのボトムもImg_09631jpg ロールアップしてみたり、トーンを変えてみたり、オーダーですので加工は自由自在。お部屋に遊び心のあるジーンズの世界観を取り入れて、自分らしい空間を表現してみるのも楽しいですね。

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2020年1月 5日 (日)

映画『アパレル・デザイナー』 業界を熱くするストーリー

 先月半ば、映画『アパレル・デザイナー』の特別試写会に行ってきました。東京・代々木の会場には、ファッション関係者らが続々詰めかけ、ほぼ満席でした。

Dac42e4540f5be9c  このところ、現在活躍しているデザイナーをクローズアップしたドキュメンタリー映画を目にする機会が多くなりました。でも“インハウス・デザイナー”と呼ばれる企業内デザイナーはあまり表に出て来ません。ましてやアパレル企業の中で働くデザイナーを主人公にした映画なんて、これまでありませんでした。この映画はまさに日本初のアパレルをテーマにした画期的な作品です。

 ストーリーは、苦境に追い込まれた老舗アパレル企業を立て直すという、業界を熱くするようなお話しです。会社再生を託されたデザイナーの藤村雄二(高嶋政伸)を中心に組成されたデザインチームが、新しいブランド立ち上げに向かって挑戦する姿が描かれています。
 ここでは服づくりの裏方であるパタンナー、加世田京子(堀田 茜)も準主役です。仕事を命じるデザイナーを殺したいと思うほどに疲れ切っているのに、服をつくりたい一心で奮闘します。靴職人ヒールクリエイターの岸本ゆり子(西村美柚)の凛とした初々しさも魅力的です。そんな脇役たちの存在感が光っていました。

 言ってみればファッションの舞台裏で起こるドタバタの苦労話です。現実はそんなに甘くないと思われる業界人は多いかもしれません。でも旧弊を乗り越えようとする藤村雄二の精神にはきっと誰もが励まされるのではないでしょうか。
 26年ぶりに主役を演じた高嶋政伸は、流石の名演技を見せてくれました。その藤村の科白の一つ、「服は人間の身体に一番近いアート」という言葉が印象的です。
 
  なお試写会では出演者数人が挨拶しました。 また上映終了後には映画の大団円となったファッションショーが、 主題歌『Destiny』に乗って、 画面から 現実の舞台に飛び出す ハプニングの 演出もありました。
Img_24881   たくさんのモデルたちが登場し、目の前でショーを繰り広げた、大変楽しい試写会でした。

 業界人なら必見の特筆すべき記念作です。一般公開は1月10日から。ぜひご覧ください。
 


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2020年1月 4日 (土)

理研よこはまシンポジウム AIと人間の感性による価値創出

 昨年11月25日、横浜ランドマークタワーホールにて「理研よこはまシンポジウム」が開催されました。これは理化学研究所主催、横浜市経済局後援「横浜ライフイノベーションプラットフォーム」の補助事業として実施されたイベントで、メインテーマは「人工知能(AI)と人間の感性の融合による新しい価値の創出」です。シンポジウムでは価値創出の例として、第1部 AIを用いたドレスのデザインのファッションショー、第2部 分身ロボット「アバター」の実演、第3部 座談会「心とは何かから考える知性としての健康」が行われました。
 AIと人間の感性が融合する近未来を実体験したような印象的な内容でした。以下その概要です。
 
 第1部は、「エマリーエ(EMARIE)」2019-20秋冬コレクションの発表会でした。
 Img_16211 エマリーエはデザイナーのエマ理永(旧名 松居エリ)さんが手がけるドレスのブランドです。
 理化学研究所とコラボレーションした、AIとの協働による新作がファッションショー形式で披露されました。
 作品はすべて、AIが同ブランドのアーカイブ500点のデータや“自然の美”から生成したイメージをもとにエマ理永さんがデザイン制作したもの。
 
 右は、色彩がグリッド状に散りばめられたドレスです。
 
Img_16451jpg Img_16571  左上は、美しい曲線を持つ貝殻の形に着想してデザインしたドレス。
 右上は、横浜市の花「バラ」をモチーフにAIがイメージをアウトプットして、制作された華やかなドレスです。

Img_16591  フィナーレのウエディングドレスのパターンの美しさにも感動しました。

Img_16681
 ファッションとは人を幸せな気持ちにさせてくれるものです。人それぞれが美を求める個の時代となり、異なる個性を持つ人間の一人ひとりを幸せにするために、AIとの共創は欠かせないものになってくる、と改めて思ったことでした。
 
 第2部は、アバターのデモンストレーションです。「アバター技術開発の現状と未来の可能性」をテーマに、ANAホールディングスのアバター準備室ディレクター 深堀 昴氏が、アバターを介して、その場にいながら離れた場所を観光したり、さまざまなアクティビティを体験したりすることができる「アバター・イン」プロジェクトを紹介。さらに、実際のアバター(ロボット)を介して遠隔地(東京都中央区)にいる人と会場(横浜市)をリアルタイムでつなぐ実演も見せてくれました。Img_17081jpg
 2050年頃までに物理的距離と身体的限界をゼロにするそうで、これまで夢としか思われていなかった物質の“テレポーテーション”も可能になるといいます。ほんとうにスゴイ!ことが起こってきそうで、その可能性にワクワクさせられました。
 
 第3部は、座談会です。「心」の持つ意味や、「健康」について「病気か、病気ではないか」という二元論を超えた考え方、科学の役割、「心と身体」「感性と理性」の融合としての『知性』が 社会にとってなぜ重要なのか、などが語られました。現代社会の課題の一つ「死」にも触れるなど、興味深かったです。
 
 今やAIは第三次ブーム迎え、社会実装の段階に入っているといいます。最後を締め括ったのは、AIに無用の警戒心を抱くよりもAIとの共同作業で人類にとっての新しい価値を開拓する、そんな明るい未来に期待している、との言葉でした。

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2020年1月 3日 (金)

箱根駅伝2020 ナイキの厚底シューズに注目!

  お正月恒例の箱根駅伝、復路に当たる茅ケ崎の浜須賀交差点までサイクリングして来ました。
 先導する車やバイクの後からアナウンスが流れて、8区を走る選手が近づいているのを報せてくれます。

20200103101650imgp57825  待つこと数分、トップランナーが淡々と走ってきました。青学大3年の岩見秀哉さんです。履いているのは、あの噂のナイキ製ピンクの厚底シューズ「ヴェイパーフライ ネクスト%」です。軽くてクッション性がよく、しかも撥水性の高い素材が用いられているので給水で濡れないのもよいといいます。
 続いて現れた東海大4年の小松陽平さんも、ナイキのシューズで左右色違いのものでした。

20200103103134imgp58461  それにしてもナイキのシューズ、多かったです。とくに注目はピンクの厚底シューズで、選手たちのお気に入りのようです。

 沿道には旗を持っている人がいっぱい。でもランナーには「旗を振らないでください。大声で叫んでください!」との呼びかけがされていました。旗を振ると音が響いて、応援の声がランナーに届かないからだそうです。応援のスタイルも最近はそんな風に変わってきたようです。

 総合優勝したのは青学大でした。あれからもずっとトップを譲らず逃げ切ったのですね。ついにやりきったといった表情の選手たちをテレビ画面で見て、みんないい顔をしているなと思いました。

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2020年1月 2日 (木)

初詣 鎌倉鶴岡八幡宮に混雑覚悟でお参りして来ました!

 鎌倉で初詣といえばやはり鶴岡八幡宮です。今年は久しぶりに混雑覚悟でお参りに行ってきました。
Img_26511g  お正月はいつも大混雑していますので敬遠していたのですが---、行列は思っていたほど長くはなくて、30分ほどで石段へ。

20200102141642imgp05251  参拝後、源氏池へ。ユリカモメの群れや鴨の間に海鵜もいて羽根を休めていました。穏やかに泳ぐ水鳥の姿が印象的でした。

Img_26491  池の近くには “さざれ石”が置かれています。今年はオリンピックイヤーなので、君が代に詠まれているこの石に注目が集まりそうです。 正式名称は「石灰質角礫岩」で、小石が雨水などで溶けた石灰岩の乳状液により凝結して岩のように多きくなったものとか。
 ここには何度も来ているのに、今まで気づきませんでした。
 
 来てみるといろいろな発見があるものですね。
 
20200102155818imgp57681jpg  稲村ケ崎から見た夕方の江ノ島です。右手に富士山も望める絶景ポイントですが、あいにく富士山は薄雲に隠れて山頂だけがうっすらと見えました。

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2020年1月 1日 (水)

2020年初日の出 尾瀬岩鞍から明けましておめでとう!

 明けましておめでとうございます!
20200101071512imgp55871pg  2020年の初日の出は尾瀬岩鞍スキー場のリゾートホテルの窓から見ました。猛吹雪だった大晦日から一転、晴れ間が見えてうれしかったです。
 スキー場はどこも雪不足で、オープンできないゲレンデが続出していました。ここも同様でしたけれど、昨日の雪は“恵みの雪”になったようです。晴れているのに小雪が降る“狐の嫁入り”状態で、コンディションは少し良くなっていました。昨日は運休してしまったゴンドラやリフトが運行し、ブッシュも隠れて新雪を楽しむことができました。
 
20191231205942imgp55621   昨夜は花火イベントも行われて、屋台が出るなど賑やかな年越しでした。
 
 本年も楽しい一年になりますように心から祈っています。

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