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2019年12月15日 (日)

アウトドア ファッションの未来に微生物由来タンパク質繊維

  2019 メンズファッションブランドナビによると、アウトドアウェアの人気ブランドランキングの第一位は、ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」でした。
Img_24631jpg  このブランドのショップ(渋谷パルコ)では今、スパイバー(Spiber)による石油や動物資源に頼らない微生物由来のタンパク質を使ったアウトドアジャケット「ムーン・パーカ MOON PARKAⓇ」が店頭を飾っています。
 アパレル産業においては今や、環境への配慮、対策は必要不可欠です。アウトドアウェア分野ではこの意識がとくに高く、上記ゴールドウインとスパイバーは、機能性と環境性を高度に両立した素材、製品のあり方を考え、共同開発に取組んできたといいます。

 先般のファッションワールド東京では、“ジャパン ノース・フェイスを作った男”といわれるゴールドウイン副社長の渡辺 貴生氏(このブログ2019.9.2も参照)とスパイバー代表の関山 和秀氏が登壇。「アウトドア、ファッションの未来」をテーマに基調講演されました。

 まず関山氏がプレゼンテーション。タンパク質に目をつけ、鋼鉄よりも強いといわれる蜘蛛の糸という魅力的な材料を基に微生物を使ってつくれないか、と研究を始めたといいます。その主成分のタンパク質は20 種類のアミノ酸が直鎖状に繋がった生体高分子で、アミノ酸の組み合わせパターンはほぼ無限に存在するそうです。関山氏らは微生物の発酵プロセスを利用して繰り返し実験、その結果、発酵構造タンパク質(ブリュード プロテインBrewed Protein)ファイバー、「クモノス QMONOSⓇ」の開発に成功したのです。
 2015年にゴールドウインとの協力が実を結び、「ムーン・パーカ」のプロトタイプを発表、今年2019年に製品化されたと語られました。

 次に渡辺氏が、ムーン・パーカに先駆けてTシャツを今夏250着限定で発売し完売したことを報告。今年はアポロ11号から50周年という記念の年でもあり、開発当初は水に弱かったそうですが、防水透湿機能を改良し、開拓者精神に則って、ムーン・パーカを製品化したといいます。12月12日からの抽選販売を発表したところ、50着限定なのに応募者多数ですぐに受付終了となったとか。価格は1着15万円ですが、大人気のようです。

 続いてこの新素材の今後について、興味深いお話がありました。今後この繊維を使って様々な種類の素材がつくられるようになり、循環型ではないタイプの繊維は、ファーフリーファーやレザー、インシュレーションを含めてあらゆるものが、この発酵構造タンパク質繊維に置き換えられていくというのです。
 現在、タイに量産のためのプラントを計画中で、2030年までに100万着の服の原料を生産するといいます。ゴールドウインではあと5年以内に他のブランドも一定アイテムをこの構造タンパク質繊維に変えていき、一着丸ごと再生可能なものにしていくそうですし、2025年には他のメーカーも使えるようにしたいとのことでした。

 最後にまとめとして、関山氏は「人類が直面する課題解決に貢献したいという気持で取り組んだ。アパレル先行で始めたが、自動車など多様な業種に広げていきたい」。渡辺氏は、「テクノロジーは環境をより良いものに変えることができる。スポーツやアウトドアをこの方向に少しでも前進させていきたい」などと語られました。
 お二人の環境への強い思いが伝わるセミナーでした。

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