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2019年12月10日 (火)

講演 ユナイテッドアローズ ブランドビジネスへの挑戦

 先般開催の「ファッションワールド東京 秋」では、ファッション業界のキーパーソンによるセミナーも多数行われました。その一つが、(株)ユナイテッドアローズ(UA)上席執行役員 第一事業本部 副本部長/(株)デザインズ 代表取締役社長 田中 和安氏が登壇した基調講演です。セレクトショップが曲がり角を迎えたといわれる中、ファッション業界はどうあるべきか、「ユナイテッドアローズが挑戦するブランドレーベルの育成 ~小売視点とブランド視点の融合・BLAMINKの事例をもとに~」をテーマに語られました。

 第一に、問いかけたのが「洋服が売れないのは本当か?」です。
 売れない要因として、“イノベーション”という変化に追いついていけず、①若者のファッション離れ、②人口減少・少子高齢化、③デフレ経済があるといわれます。が、しかし「我々は売れると思っている」ときっぱり。
 服が売れないのは、選び方や買い方に変化が起こっているからで、服は売れると次のように分析されました。①服は必需品であり、服を着なくなることはあり得ない、②自己表見や自己実現は世界的な流れであり、自分らしさを表現するのに服ほど手っ取り早いものはない、③美意識への高まり、文化的成熟はもう後戻りできない、④ファッション消費はグローバルで増加している。

 第二に、「商売は競争か?」です。
 競争というと勝つか負けるかの話になり、コストとスピード勝負の結果、商品の同質化が起こります。こうなると客は欲しいものがなくなり、勝者も疲弊してしまうといいます。とくに現在はビジネス環境の変化で、大量消費に対する反省とともにノームコア疲れが見られます。こうした現状において、「商売は競争よりも“共走”」の精神でいかないとうまくいかないと指摘します。“共走”とは全員が勝ち組になって差別化していくことであり、このためのブランディングは最重要になってくると断言しました。

 第三に、ブランディングの事例として「ブラミンク(BLAMINK)」にフォーカス。
 Img_18053 これはUAがトレンドマーケット向け事業として2016年秋にローンチした新ブランドです。南青山に旗艦店を構えています。
 このブランドを立ち上げた理由は、高感度富裕層が増えているからと明快です。価格が高くても長く着られるものが欲しいという客層の声に応えてのオープンであるそう。店舗では将来ビンテージとなって、アートピースのように時間の経過とともに値打ちが上がる服を展開しています。私も行って見て洗練された高級感漂うムードに圧倒されました。日本発のラグジュアリーを目指すブランドというのに納得です。
 ラグジュアリーブランドというと、①最低でも100年の歴史がある、②世界に流通し、主要都市で注目されている、③独自性がある、とされています。ですから日本のブランドでは無理かと落ち込んだこともあったとか。しかしラグジュアリーであるかどうかを決めるのは顧客であると気づき、独自性のある「モノ」、価値ある「ウツワ(店)」、優秀なスタッフ「ヒト」を揃えて、設立に踏み切ったと胸の内を明かされました。 
 
 最後に、UAにとってのブランド開発とは、①個性を豊かにする差別化、②「ブラミンク」のジャパンラグジュアリーへのチャレンジ、③PB強化を挙げ、「すべては顧客のために」の言葉で講演を締めくくりました。

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