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2019年12月13日 (金)

スマートテキスタイル最前線! 要素技術と世界の開発動向

 昨日のこのブログの続きで、最近のスマートテキスタイルの状況について福井大学産学官連携本部 客員教授・名誉教授/繊維技術活性化協会 理事長 堀 照夫氏が講演されました。テーマは「スマートテキスタイル最前線! 要素技術と世界の開発動向とは?」です。そのポイントをまとめました。Img_87501jpg

 まずスマートテキスタイルとは何か。直訳すると“賢い繊維”です。とくに周囲の環境の変化に応じて,着用者の好ましい状態に動的に修整する機能を持つテキスタイル素材をこう呼んでいるといいます。したがってここには電子・電気・情報などの分野が関わってくることになります。IT機器を「身に着ける」ウェアラブルに対応する繊維といわれるのもこのためなのですね。
 世界の開発動向を見ると、先行しているのはフランスなどEU、また台湾もそうです。アメリカは非公開ですが最先端技術を持つNASAがあることから、進んでいるとみられています。日本は欧米らに比べ遅れていますが,ここ数年加速度的に進み出しているといいます。
 次にスマートテキスタイル用部品と要素技術を挙げて解説されました。
①生地 ― 肌との接触を考慮した着心地のよいもの
②導電性センサー ― 耐久性があり、30回の洗濯に耐えるもの
③センサー、デバイス、ICチップ ― 小型、軽量、耐久性があるもの
④電源 ― バッテリーは小型、薄型、軽量
 またお互いを接続する技術として回路構成のためのハング、接着、プリントなども。
 さらに国内に様々ある導電繊維を下記のように分類されました。
①銀イオン繊維 ― 塩化銀を練り込んだりメッキしたりすることにより電気が流れる抗菌性のある繊維で、メッキしやすいナイロンがメイン。ミツフジやセーレン、ウラセなど
②導電性インキやペースト ― ナガセケムテックスのコーティング剤
③伸縮性導電糸 ― 旭化成ロボ電の伸縮性電線
④ヒーティング材料 ― 三機コンシスの温かい手袋など
⑤圧電素子テキスタイル ― 帝人×関西大学の圧電組紐や圧電ロールなど
⑥テキスタイル用新電源 ― 住江織物の繊維状布帛型太陽電池
⑦布状各種センサー ― 槌屋
 この他、いろいろ。
 その上で生体信号を測定できるテキスタイル、心拍モニタリングなどを行う生体センシングウェアの展開例として、ヒトエ(東レ)、ココミ(東洋紡)、スマートフィット(クラボウ)、ハモン(ミツフジ)、帝人、グンゼ、ゼノマなど。海外ではフランスのシティズンサイエンス(Cytizen Science)社のスマートシャツなどを紹介。
 上記がいずれも接触型なのに対して、最近、非接触型で心拍モニタリングをする衣服、ノン・コンタクト・スマートスーツ(Non-contact Smart Suit)が台湾工業技術研究院で発表されたことにも触れ、世界は進化していると思いました。
 その上もう一つ、画期的と思ったのが、フランスのバイオセレニティ(Bioserenity)社研究所のスマートテキスタイルを使ったウェアです。このウェアには多数のセンサーが入っていて、一着で60項目ものデータをパリの病院のナースステーションに送ることができるといいます。2020年からは在宅でのデータ送信も可能になるといい、これまでの年間5万着から今年は10万着をつくって用意しているそう。しかも素材はコットン100%であるとのことで、堀 先生は、「これぞ最先端」と絶賛されていました。
 
 最後に、スマートテキスタイルの開発には電気電子メーカーやソフトウェア、ハードウェアとの共創が必須と述べて、講演を締めくくりました。

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