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2019年11月25日 (月)

静嘉堂文庫美術館 初の染織展!「名物裂と古渡り更紗」

 今、静嘉堂文庫美術館で「名物裂と古渡り更紗」展が開催されています。今月初め、この内覧会に行ってきました。
 これは静嘉堂文庫美術館所蔵の茶道具と煎茶道具に含まれる優れた染織品を紹介する展覧会で、同館初の染織展であるそう。
Img_05931  河野元昭館長は「これらの染織品は日本文化そのもの」といいます。(右は金襴のネクタイを着けた河野館長)
  抹茶の文化は日本では連綿と受け継がれて現代に至っていますが、中国にはもうないのですね。本展の主軸となっている茶道具を包み飾る布「仕覆 = 士服(しふく)」というものも今の中国にはありません。「名物裂」とは、この厳選された布のことで、そのほとんどは中国渡来の貴重な織物です。裁ち切って使用したことから、“裂地”と呼ばれているのです。
 ところで「仕覆」とは、茶の湯で使われている言葉で、比較的新しい語であるそう。語源は「季節の服」の意味の「時服(じふく)」で、昭和初期頃から「しふく」と呼称されるようになったとか。
 日本では仕覆のような中身よりも価値ある高価な包装で品物を大切に扱い保存する文化が培われてきたのです。こうした「包む文化」は西洋など他の国々には見られない日本独特の文化と改めて感じ入ったことでした。
 
 ここから展覧会の模様を簡単にご紹介します。写真はほんの一部です。(美術館より許可を得て撮影しました)
 エピローグから第二章までは「名物裂」の展示になっていて、大きく次の3つの種類があるといいます。「金襴(きんらん)」という金糸を贅沢に使ったもの、なめらかな繻子織りの「緞子(どんす)」、縞や格子、絣などの「間道」(かんどう)です。
 第三章からは先は「古渡り更紗」です。名物裂が絹の織物なのに対し、古渡り更紗は木綿の型や手染めのプリント生地で、17世紀頃に南蛮貿易により伝えられ、とくにオランダの東インド会社を通して日本に来たものが多いといいます。“紋づくし”など様々な愛称がつけられていて、武士は中でも“ぶどう”や“リス”のモチーフを好んだそう。また本場の「インド更紗」は日本でつくられた「和更紗」に比べ退色が少なく、洗っても色落ちしないとのことです。そこには明らかに技術の違いがあったようです。
 
 プロローグ~至宝を包む~
Img_06981  静嘉堂文庫美術館が誇る国宝の“曜変天目”の仕覆です。いずれも明時代(14~16世紀)のもので、左手前は牡丹唐草紋の金地金襴です。金がはがれていますが、元は地紋の入子菱が金色に輝いていたそう。その右奥のものは白地金襴で格調の高さを感じます。

 第一章~名物裂、古渡り更紗を愛でる~「唐物茶入<利休物相>」の次第から
Img_06281  千利休が所持していたという茶入れに合わせて誂えられたという丸い仕覆です。明時代初期の裂地で仕立てられているといいます。
 
 第二章~茶入・棗を包む~織りの美、「名物裂」の世界
 ここでは中国の宋末~明時代に日本にもたらされた「金襴」、「緞子」、「間道」から、その後の桃山~江戸時代、南蛮貿易やオランダとの貿易により輸入された名物裂まで、大切に仕立てられた仕覆が展示されています。
Img_06001g  真ん中に置かれている仕覆は元から明時代の鶏頭金襴(14~15世紀)。江戸時代、当時の金額で200両ぐらいだったのではないか、と言われているそうです。

Img_06441  左は古金襴の裏を表にして仕立てた貴重な作例の仕覆、右は清水裂、片身替わりの仕覆です
 
 第三章~茶銚・茶心壺を包む~染めの美、「古渡り更紗」の世界
 「更紗」はヒンディ語の「sarasa(最高級)」から来た言葉で、インドの高度な染織技術によって誕生した木綿布です。ヨーロッパだけではなく、アジア、日本にも輸出されて、日本人は大いに魅了されたといいます。Img_06031_20191127165501
Img_06581g  上はインドの絣更紗(16~17世紀)の仕覆。
 
   江戸時代中期に煎茶文化が日本にもたらされると、更紗は茶銚・茶心壺など煎茶の主要な道具の仕覆に採用されるようになり、道具を華やかに引き立てるものとなっていきます。
 また大判の布のまま敷物にも用いられて、茶席に“異国の風” を吹き込んだともいわれています。 
Img_06741  敷物となっている鮮烈な赤地の更紗は、19世紀ヨーロッパのもの。ローラープリントによるもので、長さ16mあるそう。ここまで長い更紗を保管しているのは珍しいといいます。
 
 美しいデザインと繊細な手の技を今日に伝える名物裂と古渡り更紗、その優品を堪能させていただいたひと時でした。
 本展は12月15日までです。詳細はHPhttp://www.seikado.or.jp/exhibition/index.htmlをチェックしてください。

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