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2019年9月 2日 (月)

「ザ・ノース・フェイスの挑戦」渡辺 貴生 副社長が講演

 先般開催された「日経クロストレンドFORUM 2019」で、ゴールドウインの渡辺 貴生 副社長が登壇。「ザ・ノース・フェイスの挑戦」をテーマに基調講演されました。Img_51281jpg  「ザ・ノース・フェイス」は日本で独自に進化したといいます。渡辺 貴生氏はこの“ジャパン ノース・フェイスを作った男”といわれているのです。何故アウトドアのプロからストリートの若者まで熱烈に支持されるようになったのか。また注目企業・スパイバーと共同開発した構造たんぱく質素材で何を目指しているのかなど、その裏側を語られました。

 まずは設立の歴史です。1966年にサンフランシスコで、登山を趣味としていたダグラス・トンプキンスが「ザ・ノース・フェイス」という名前の小さなスキー用品店を立ち上げたのが始まりといいます。後を継いだのがケネス・ハップ・クロップで、アウトドアに着目してビジネスを発展させます。続いてリチャード・バックミンスター・フラーが“デザインサイエンス” という思想を持ち込み、この中で「最少の物質、時間、エネルギーが最大の効果を発揮する」という考え方を打ち出します。
 フラーのこの哲学は以後、ザ・ノース・フェイスが掲げる3つの理念に受け継がれているといいます。すなわち、①地球環境保護活動に積極的に関わること。②アウトドア業界の中で最高のパフォーマンスを創造すること。③アウトドアスポーツからアスレティックへ、より多くの人が楽しめるよう拡張すること。
 次に、今秋冬からの「ザ・ノース・フェイス」の新たな事業です。
 一つは、水を通さず空気は通す新素材「フューチャーライト(futurelight)」を使用したアイテムの発売です。この素材はナノスピニングの技術を応用した不織布の一種で、通気性のないゴアテックスに比べ革新的と強調します。
 二つには、“Core & More(コア・アンド・モア)”、つまりアスリートの発想をコアにマーケットのさらなる拡大を図る戦略です。例えば人気のヒューズボックス(FUSE BOX)はアスリートの意見を参考に背負い心地を改良してリニューアルしたといいます。
 またファッション業界への認知度を高めるために、コム・デ・ギャルソンやハイクとのコラボ、ナナミカによる別注ラインのパープルレーベルなどに力を入れていくとも。
 三つには、リテール・オペレーション、小売り事業戦略です。これには様々な取り組みがあり、例えば「ザ・ノース・フェイス・マウンテン」は山好きに特化した店、「ザ・ノース・フェイス・プラス」は、ノース・フェイス以外のブランドも扱うアウトドアの店、「ザ・ノース・フェイス・マーチ」は女性向けの店など、それぞれに個性のあるショップについて、一つひとつ解説されました。
 さらにもう一つ、これまであまり提案してこなかったキャンプ市場にも、来年度からは本格参入するといいます。

Img_51361  最後に取り上げたのが、未来へ向けたプロジェクトです。
 注目はやはり“ムーンパーカ(MOON PARKA)”です。これはベンチャー企業のスパイバーと共同開発している人工クモの糸素材“クモノス(QMONOS)”を使用したダウンジャケットで、いよいよ年内に発売予定といいます。とはいえデザイナーたちは早くもこの素材を扱い始めていて、サカイは2020春夏メンズコレクションでスパイバーとのコラボTシャツを、またユイマナカザトも同じ素材で今秋冬オートクチュールコレクションを発表しています。
 “クモノス”は人工合成タンパク質素材で生分解可能です。生分解へ向けて開発が進み、ファーフリーファーやフリース素材がこのような素材に置き代わっていけば、海洋汚染の要因となっているマイクロプラスチック問題の解消につながるかもしれません。
 「生活環境に密接に関わる事業に取り組み、さらなるチャレンジを続けていく」、 渡辺氏はこう力強く述べられ、講演を締めくくりました。

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