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2019年9月12日 (木)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑶   「デジタルテキスタイルの現状と将来」

 (昨日のブログの続きです。)
 さらに続いて、デジタルテキスタイル研究部会運営委員でキャノンR&D本部材料技術22開発室の城田 衣 氏が登壇し、「部会運営委員が見たITMA~デジタルテキスタイルの現状と将来:材料の観点から~」と題して、デジタルテキスタイルの現状やITMA2019の出展状況などに関するお話しがありました。
 まず「デジタルテキスタイルとは何か」というと、スクリーンの版などを使用せずにデジタルで布にプリントする技術で、多品種小ロット短納期、デザインの自由度、それに低排水を実現するものであると分かりやすく解説。
 今、従来の大量生産・大量廃棄からミニマムな工場で必要な分だけ生産する方向への変革期にあって、デジタルテキスタイルは環境問題や社会問題を解決する鍵の一つになるといいます。
 市場規模は2025年に300兆円に拡大し、シェアは7.6%になると見込まれているとのこと。
 
 次にデジタルテキスタイルには大きく2つの方式があると説明。①直接方式で、布に直接プリントする、②昇華方式で、紙にプリントし、布に染料を移行させるもの。現在はこの2つが、ほぼ半々の割合で行われているそうです。
   直接方式                 転写方式
Img_58111jpg   Img_58171  (実物サンプルをみせていただきましたが、直接方式も転写方式も違いはないように見えました。)

 今回のITMA2019では、既にコニカミノルタの稲田 寛樹氏が述べられていたように、顔料インクの技術が進歩し、直接昇華という新しい方式が注目されているといいます。これまでできなかった顔料転写が発表され、紙を媒介とするプリント方式が綿など全ての布で可能となり、対象布が拡大しているそうです。

 講演の後、質疑応答で話題となったことがあります。それは転写プリントの転写紙の問題です。転写紙は再生不可能な紙で、また転写専門の専用紙でないとプリントできないそうです。デジタルプリントがいかに節水に貢献するといっても、転写紙の製造に水の使用量が多くなっては環境に優位とはいえない、と指摘されました。
 「あちらを立てればこちらが立たず」、環境問題はほんとうに複雑です。
 とはいえ、従来の捺染プリントはデジタルへと置き代わっていくと結論づけました。今後の予測として、①デジタルプリントの市場は拡大する、②顔料インクの進歩で直接昇華が広がり、用途により昇華方式から直接方式への転換も可能になる。とくに環境問題から直接方式が多くなってくることが見込まれているようです。③従来捺染との組み合わせによる新たな表現が生まれるなど。
 
 私にとってデジタルテキスタイルの技術について、何となくしか分かっていませんでした。今回3人の専門家のお話しを拝聴し、改めて学び直し概容がつかめた気がしました。大変参考になる有意義な講演会でした。

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