ロンドンでマリー・クワント展 元祖ストリートファッション
今期欧州出張ではファッション・マーケット・リサーチのため、またしてもロンドンに行ってきました。ロンドンに来ると毎回立ち寄るファッションスポットが、ヴィクトリア&アルバートミュージアムです。
ここで開催されていたのが特別展「マリー・クワント (Mary Quant)」でした。マリー・クワントは英国のファッションデザイナーで、ミニスカートやホットパンツ、カラフルなタイツをはやらせ、コスメ業界へも進出するなど、1960年代のロンドンのハイ・ストリートに革命を起こしたと言われています。まさに現代ストリートファッションの元祖のような人物なのです。 展示されたのは1950~70年代まで200点あまり。そのポップで遊び心あふれるファッションは、当時の明るいムードそのままで、懐かしくなりました。それほど古い感じもしませんし、今着てもおかしくないものが多いのです。
中は意外にもそれほど混んでいませんでした。
1階は、マリー・クワントがいかにストリートの若者たちに影響を与えたか、その栄光への軌跡を振り返る内容でした。
マリー・クワントは1930年、ロンドン郊外のブラックヒースで生まれました。(日本では1934年生まれとなっていますが、本展でもまた英語版ウイキペディアでも生年は1930年となっています。)
ゴールドスミス・カレッジを卒業後、夫となるアレグザンダー・プランケット=グリーンらとともに、1955年チェルシー地区のキングスロードにブティック「バザー(BAZAAR)」を開店します。(上はその頃のファッション)
1957年にはその2号店を、あのテレンス・コンランのデザインでナイトブリッツにオープンさせ、1959年に画期的な「ミニスカート」を発表します。
「ミニ」の名称は、愛車の「ミニ」からとったとか。
シンプルで力強い直線的なラインが特徴で、これが瞬く間に若者たちを虜にし、カーナビ―ストリートなどストリートを中心に若者たちの人気を集め、後の大ブームのきっかけをつくることとなったのです。 上はメンズスタイルを取り入れたボーイッシュなファッション。
1963年には縫製を担うジンジャー・グループを立ち上げ、量産による低価格のラインを構築します。こうなるともうその勢いは止まりません。米国向け輸出も大きく成長し、ミニスカートは世界中を席巻するようになるのです。
私もあの頃、スカート丈を短くしたことを思い出していました。
水玉やタータンなどのチェック、花、ウィリアム・モリス風のクラシックな花柄のデザインも見られます。
1966年、ついに英国への功績を讃える大英帝国勲章(OBE)が授与されました。
右のドレスは、マリー・クワントがそのときに着用したウールジャージーのドレスです。
ローウエストでスカートには少しギャザーが入っていて、ハイカラーで胸元はジッパー開き、袖にはベル型のカフスが付いています。
またこの年、化粧品のデザインも始めています。
2階は、ますます明るいカラフルでポップな空間となっています。
カラーあふれる楽しいデザイン。
ホットパンツやジャンプスーツなど、スポーティなデザインもいっぱい。
マリー・クワントは、「ファッションで肝要なのは、ファッショナブルな服をすべての人に提供することです」と述べています。1963年に「ジンジャー・グループ」を設立し、量産体制により低価格ラインの服を発表していったのもこのためだったのです。
重要なデザイナーと言われながらも、マリー・クワントがあまり高く評価されているといえないのは、ファッション業界が安い服をデザインしているデザイナーを評価していないという事情があるからのようです。高額の服をデザインするデザイナーにばかりスポットが当てられる、それはとても残念なことと思っていました。本展では、それを払拭するようなマリー・クワントのすばらしいファッションが満載でした。
展覧会は来年2月16日までです。ロンドンに行かれたら、ぜひ一見してみて、と思います。x
| 固定リンク
「ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事
- ピエール・カルダン氏逝去 ファッションの未来創った先駆者(2021.01.11)
- JAFICビジネスマッチング 企業とクリエーター商談会開催(2020.12.29)
- ファッションワールド東京 昔懐かしい「ガラ紡」に出会う(2020.12.17)
- 篠原ともえ サステナビリティが広げるクリエイションの可能性(2020.12.15)
- プラグイン10月展 バーチャルリアリティシステム初導入(2020.12.02)
コメント