YKKファスニングクリエーション展 新技術とアワード発表
この3~4日、「YKKファスニングクリエーション・フォー・2020」展が、YKK60ビルにて開催され、かねてより興味を持っていた新技術を見に行ってきました。
一番の関心はやはり、話題の「エアリーストリング」と呼ばれるテープなしのファスナーです。 これはファスナーと言えば必ず付いているはずのテープがないファスナーなのです。右の写真下のファスナーに見るように、エレメント(かみ合わせの歯の部分)と呼ばれる紐状の部分しかありません。
x このメリットは多々あります。テープがないのでより軽く、柔らかく仕上げられます。またテープを縫うステッチ工程が省かれますので、縫製工程が簡略化されます。それなのに開閉動作もスムーズです。実際に動かし てみて確認しました。
デザイン面では、テープとの色合わせが不要ということで、右のように布地と一体化したすっきりとしたデザインがしやすいです。また配色によってファスナーや縫い糸を際立たせた千鳥のようなステッチ効果のサンプルも見せていただきました。ステッチでデザイン変化を生み出せるうれしい使い方です。これによりクリエーションの幅も広がりました。
デメリットとしては専用ミシンが必要ということでしょうか。YKKではジューキと共同で、これ用の特殊ミシンを開発したといいます。この専用ミシンは、布地にエレメントを沿わせて、ジグザグ縫いで布地に直接縫い付けていくというものです。設置されているのは、今のところ国内工場で一か所のみとか。
これからの技術として注目されます。
また最高級「エクセラ」シリーズで、 曲線に合わせてエレメントのピッチを変化させられる新ファスナー「エクセラカーブ」も発表。これは以前からデザイナーの間から要望が出ていたもので、オーダーメイドでの対応になるといいます。
防犯対策用のファスナーも、二重構造にするなど様々なものが出ていました。バックルも操作が簡単でセキュリティ性の高いものへ、さらにサステナブルを意識したリサイクル素材のアピールも目に付きました。
同展では第19回YKKファスニングアワードのコレクションショーも行われました。 ショーに登場した30点の中から、グランプリ作品をご紹介しましょう。
右は、アパレル部門でグランプリを受賞した名古屋モード学園の杉山 侑己菜さんの作品です。テーマは「3D switch」で、平面にスナップを留めることで立体に、形を変形させてゆがみや違和感を楽しむドレスです。
下の写真は、ファッショングッズ部門でグランプリを受賞した作品です。
名古屋モード学園の岩堀 真理乃さんによる「ORIGAMI (オリガミ)」バッグで、ファスナーをすべて開くと一枚の布になります。
いずれもインパクトのある印象的なデザインで感銘しました。栄えある受賞、おめでとうございますございます。
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