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2019年9月10日 (火)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑴ 「デジタル化で変わるファッションマーケット」

 先月末、ファッションビジネス学会デジタルテキスタイル研究部会が主催する講演会に出席しました。メインテーマは「テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ~」です。
 ITMAは、4年に一度開催される国際繊維機械機器展ですね。今年は6月に、スペインのバルセロナで“デジタリゼーション”をコンセプトに開催されたそうです。ここでは3人のスペシャリストが登壇し、ITMA2019のデジタルテキスタイルの最新技術や、デジタル化によるアパレル生産の近未来を語りました。大変新鮮で中身の濃い講演会でした。

 トップバッターはレクトラ(LECTRA)ジャパン代表取締役社長 田中昭彦氏です。Img_57821jpg 「デジタル化で変わるファッションマーケット」をテーマに講演されました。
 まずレクトラについて、ファッション・アパレル、自動車内装、家具などの企業に対し、インダストリー4.0で企業をサポートする世界のリーダーカンパニーであると紹介。1973年フランスのボルドーに設立され、以来40年以上が経過して、現在、各国に32の支社を持ち、100か国以上にまたがる25,000社の顧客にサービスを提供しているといいます。

 次にデジタリゼーションの背景を探る4つのメガトレンド、①顧客トレンド(人口減少の日本と異なり、欧米や中国では購買力のある30~40代の層が厚い)、②技術トレンド(デジタル化)、③産業トレンド((インダストリー4.0の進展)、④市場トレンド(中国への対応など)を挙げて解説。
 「何故この4つをメガトレンドとしたのか?」というと、そこにはスピードと自分だけのオンリーワンを求めるハイパー・コネクテッド・カスタマーの出現があるからといいます。オンラインとオフラインがシームレス化する時代が到来し、これまでのビジネスシステムが役立たなくなっている、つまりこれまでのメインストリームが変わりつつあると指摘します。

 「デジタル化の意味するところは何か?」、それはデジタル化により利便性が増すだけではなく、過去の履歴が残ること。つまりデータの蓄積により、「あなただけのもの」を提供できるようになる、カスタマーセントリックな手法がとれるようになることが最大のメリットといいます。
 「デジタル化とマス・カスタマイゼーションは相性がいい」のですね。

 それでは「何故、ファッション業界ではデジタル化が進んでいないのか?」です。その理由として下記があるといいます。
・ファッション業界はエモーショナルな部分に係るリアルなものを扱っているが故に、デジタル化が難しい。
・経営層にテクノロジーに理解のある層が薄く、IT投資を最小限にとどめたいコストと思っている。
・サプライチェーンが細分化され、分断されているため個々の企業がトータルのメリットを享受しにくい。
・デジタル化による成功体験を実はまだ誰も享受していない。
 ここでデジタル化は一つひとつ個別にデジタル化してもうまくいかない、すべてをデジタル化しないと進展しない、と強調されたのが印象的です。

 「そもそもインダストリー4.0ってそれまでとどう違うのか」、これについてもわかりやすく説明されました。それはこれまでの量産からマス・カスタマイゼーションになるということ、しかも確実に売れるものをつくること。工場も「これならできる」から「これもできる、あれもできる、何でもつくれる」工場へ進化させることがインダストリー4.0であるといいます。

 最後に、インダストリー4.0化したプロセス=デジタルの世界と現実の世界を結びつけるソリューションとして、レクトラの「レクトラ カッティング・ルーム4.0 (Lectra Cutting Room 4.0)」を紹介。これは労働集約的な裁断室のオペレーションをインダストリー4.0へ変革するもので、MTM/MOMなど多品種変量生産に対応した裁断工程へのアプローチとか。
 「つくるところから売るところまで、すべてを考えないとデジタル化は進まない」の言葉で締めくくりました。

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