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2019年9月

2019年9月30日 (月)

PVパリ ⑶ 第11回PVアワード 日本勢の受賞なし

  プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ初日の夕刻、恒例のPVアワード授賞式が行われました。今回で第11回となるエキサイティングなイベントです。
Pvparispvawardssept19francoisdurand29336
 審査委員長は、今シーズンを象徴するPVヴィジュアルを担当したオランダのアーティストでデザイナーのバート・ヘス(Bart Hess)氏です。
 写真やビデオ、アニメ、造形美術、ファッションといった様々なアート分野に表現手段を求め、日常生活の中にある材料、新たなテクスチャーや素材を革新的な手法で使うことで独自の世界をつくり出している、国際的にも著名な人物であるとか。

 授賞式ではファブリック部門とレザー部門、それぞれ4つの賞が発表されたのですが、ここ2年続いていた日本勢の受賞はなりませんでした。ちなみに日本企業は10社がノミネートされていました。
 しかしながら、レザー部門で初めて日本以外の韓国と台湾が受賞し、アジアのパワーを引き続き印象をづけることに成功しました。
 
 PVアワード受賞者は下記です。
 
<ファブリック部門>
Thepvfabricsgrandjuryprize2019lanificiol ・グランプリ 
 ルイジ・コロンボ Luigi Colombo(伊) 
 カシミア100%のダブルフェイスでクロテン (黒貂) のように、 ソフトでしなやか、反発感もありモダンなタッチがシーズンを象徴していると好評。
 
・イマジネーション賞
Thepvfabricsimaginationprize2019jakobsch  ヤコブ・シェラエファー Jakob Schlaepfer (スイス)
 レーザーカット・レースです。独創的な3Dを表現したポリエステル素材。 
 ハンドメイドでテクニカル、クチュール感覚なアート性が高評価を得ました。
 
・ハンドル賞
Thepvfabricshandleprize2019lyria  リリア Lyria (伊)
 緻密でドライでありながらエモーショナルな感触も喚起させる、浮上するテーラードな仕立てにふさわしいクオリティと評判。
 ウール/ポリエステルのタイムレスな素材です。

・ファッションスマートクリエーション賞
Thepvfabricsfashionsmartprize2019bonotto  ボノット Bonotto (伊)
 ペットボトルからの100%リサイクル素材によるウインドーペインチェックの織物です。
 流動感のあるフェミニンな感覚とテクニカルなクリエーションが評価されました。
 

<レザー部門>
・グランプリ                   ・ハンドル賞
  アクト Akto (韓国)                Marmara Deri (トルコ)
  リサイクルレザー。                ダブルフェイスのレザー。
Thepvleathergrandjuryprize2019atko1 Thepvleatherhandleprize2019marmara1








・イマジネーション賞          ・ファッションスマートクリエーション賞
   FC Creacio / Innovacio (西)       Kotai Tannery (台湾)
 リサイクルでイノベイティブ。                リサイクルレザー。
Thepvleatherimaginationprize2019fccreaci Thepvleatherfashionsmartcreationprize201

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2019年9月29日 (日)

PVパリ ⑵ 環境への責任とデジタルとスポーツ&テック

 恒例のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリ初日の記者発表会に参加しました。今期の概容を解説したのは、PVジェネラルマネージャーのジル・ラスボルド氏です。Img_73411  
 会見によるとポイントは大きく3つあります。環境への責任 (エコ・リスポンシビリティ)デジタルスポーツ&テックです。

 第一番目に挙げた環境への責任は、この中でもっとも重要とみられているテーマです。今回の記者発表会もホール3のスマートクリエーションエリア(旧スマートスクェア)で行われました。ここは責任あるクリエーションへのニーズに対応する素材が集積したエリアです。このことを一つとってみても、PVパリがエコ・ファッションをいかに重要視しているかがわかります。
 スマートクリエーションエリアは今期、規模を拡大しています。面積は1,200 m2となり、出展企業は新規出展企業30社を含む50社で、昨年9月展の28社と比べ大幅に増加しています。エコに関する新たなパフォーマンスコードも5つ設けられ、バイオポリマー(生体高分子 有機物や再生可能な資源からつくられた化合物)、メタルフリー(なめし加工や仕上げ加工に重金属を使用しないレザー)、ウォーターレス(通常の工程よりも水の消費が少ない染色加工や仕上げ加工)、トレーサビリティ(追跡可能性)、製品寿命後のプロセス(生分解性/コンポスト(堆肥)可能/リサイクル可能といったデザイン段階から製品寿命後のことを考えられた素材)です。これに沿い、出展各社からは原材料の調達から工業プロセスまで、より持続可能でエコなデザイン、エシカルなファッションに向けた最新のイノベーションが提案されました。
 またエコ・ファッションに関する概観が、スマートトークで発表されることも紹介されました。これはPVが支援するIFM(フランスモード学院)の講座の一環として行われた「エコ・ファッションの消費に関する研究」です。ここではその成果の一部を公表。例えばフランス、イタリア、ドイツ、USAの5,000人をアンケート調査したところ、過去1年間にサステナブルなファッションを購入した人は全体の48%で、約半数が関心を持っているという結果が得られたといいます。しかし購入しないという人も50%います。何故かというとこのことを十分に理解していない、素材への認知も不十分、と答えているのです。
 そこでPVではさらなる発信に注力すべく、パリ市主導で始まった「PARIS GOOD FASHION」プロジェクトに加盟したことを明らかにしました。これはファッション産業を持続可能な産業にすることを目指す、2024年までの5か年計画プロジェクトです。サステナブルなファッションをともに推進していくことで、サステナビリティへの関心を高めることがファッション市場活性化への鍵になるといいます。
 環境への責任ある素材の打ち出し、その強化がさらに求められています。
 
 第2番目はデジタルの進展です。PVのe-コマース、B to BプラットフォームのマーケットプレイスPVは、この9月展で1周年を迎えました。最初の結果は、65,000人のユニークビジター、800,000ページビュー、オンライン掲載素材7,500点、完了したサンプル注文数3,500点と非常にポジティブだったといいます。レザー、デニムに続きPVアクセサリーの出展企業も登場し、来年2月展にはPVヤーンも参加するとのこと。同様に2020 年、バイヤーたちの強い要望に応え、通年素材やアウトレット素材のストック・サービスが、新機能として追加されます。
 会場内2カ所には専用エリアも設けられ、出展企業や来場者に情報を発信しサポートする体制も、しっかりとられていました。
 
 第3番目はスポーツ&テックです。ホール6のスポーツ&テックエリアでは新規8社を含むテキスタイルメーカー80社が出展。新しい試みとして、PVのアプリ上でスポーツ系ファッションや機能素材に関わるスペシャリスト約700社のブースを巡るスポーツ&テック・トレイル・ルートの提供も話題に上りました。
 またアメリカのオレゴン州ポートランドで、この8月14日~15日に開催されたスポーツPVにも触れ、58社が出展、2,200人の来場者があったといいます。これによりこの分野の重要性はますます増すものと思われます。
 
 この他、PVモードチームによるシーズントレンドセミナーなど各種セミナーやカンフェランス、PVアワード、TEXSELECT授賞式、イエールでPV審査員大賞を授与されたオーストリア人クリストフ・ルンフ氏の特別展など、盛りだくさんなイベントの案内があり、会見を終えました。

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2019年9月28日 (土)

PVパリ ⑴ インスピレーションとイノベーション求めて

 プルミエール・ヴィジョン(略してPV)パリが、パリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて9月17日~19日、開催されました。この世界最高峰のテキスタイル見本市はクリエイティブなファッション業界のトッププロフェッショナルたちのショーです。2020/21年秋冬に向けてインスピレーションとイノベーションを求める多くの人々が集結し、今回も盛況裡に幕を閉じました。
Pvparisfabricssept19francoisdurand196441   
 まずはそのご報告をお伝えします。

 出展社数は6つの見本市全体で世界48か国から2,056社、内新規出展は230社で、昨年同期比2.5%増。6つの見本市別では軸となるPVファブリックが811社、PVレザーが329社、PVアクセサリー328社、PVマニファクチュアリング278社、PVデザイン248社、PVヤーン62社。国別ではイタリアが617社、フランス275社、中国217社、トルコ200社、英国143社、スペイン97社、ポルトガル79社、そして日本が56社です。
 来場者数は136か国から56,154人で、前年比1.89%減。その要因として、Brexitへの懸念からくる厳しい経済情勢や、ファッション消費の継続的な減少、ロンドンとミラノのファッションウィークの間での開催となった影響などが挙げられています。また来場者を国別で見るとヨーロッパ諸国からの来場が73%ともっとも多く、トップはフランスですが微減して30%、2位はイタリアの8%、3位は英国、とはいえBrexitにより急落したといいます。続いてスペイン、ドイツ、ベルギーの順。北欧もスウェーデンとデンマークを中心に来場したとのこと。アジアからの来場は約12%と増加し、中国5%、次いで日本、韓国が続きます。トルコも増加し3%を占めたと発表されています。

 各社を回ってお話しを伺ったところによりますと、出展の手応えはまだら模様でした。PVファブリックのホール5は概して来場者増で好況の声が聞かれたのですが、PVファブリックでもホール6の方は今一というところが多かったです。PVアクセサリーやPVレザーも、少し期待外れだったようでした。時期的な遅さやデジタル化も影を落としているのかもしれません。
 とはいえ世界中から5万人以上ものファッション業界のプロを集めるPVパリ。その影響力は他を凌駕して大きく発信力は依然として健在です。

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2019年9月27日 (金)

プラート織物博物館 イタリア最大の織物文化センター

 フィレンツェからプラート織物博物館 (Museo del Tessuto di Prato)を訪ねました。というのも昨日のブログで、ミラノからフィレンツェまで来たのは、この博物館を見学したかったからでした。
 プラート駅には電車で20分、そこからバスに乗って10分で着きました。但し慣れない私には切符を買うのにも待ち合わせが大変でした。バス停で降りて博物館への道を訊きましたら、少しお年の女性でしたが、その方が館の前まで案内して下さり、ほんとうに助かりました。プラートでイタリア人の優しさと親切心に触れて心温まる思いでした。
 
 ここトスカーナ地方は昔から「イタリアのマンチェスター」と呼ばれてきた織物の産地です。プラートは毛織物で知られていますが、もちろん絹や綿織物もたくさん生産している織物の町です。この町の旧カンポルミ工場敷地に移転してきたのがこの織物博物館で、2003年にイタリア最大の織物文化センターとしてオープンしました。
Img_68051   建物は14世紀の歴史的にも重要な建造物だそう。高い煙突のようなものが立っています。
 
Img_67201   中に入ると、すぐ左手にかつての工場の痕跡を見ることができます。
 その先に暗く広い展示室があり、古裂など歴史資料がずらりと展示されています。15世紀ルネサンス時代のものが中心でした。
 Img_67921  神秘的なフレスコ画を背景に、古い織物の片々が重々しい雰囲気で飾りつけられています。

Img_67371     15世紀後半頃の布片です。
Img_67441
 ルネサンスを先導したメディチ家で使用されていたシルクのカットベルベット。
 
 
Img_67401jpg

 

 薔薇の花のモチーフ
 


Img_67341  




 15世紀のテーブルクロスの切れ端です。
 糸染めで、ひし形模様や杉綾のような形の織柄が流行っていたことがわかります。


Img_67471   17世紀のチュニックです。生地はシルクと金ラメ糸使いの緯糸で紋様を織り出したブロケード。(ガラスが光って写真が上手く撮れず残念!)他にもいろいろ。
 
 ここを抜けると広めの通路です。
Img_67561 Img_67551jpg

 両側は、繊維の原料や紡績から機織・染色まで、織物ができるまでの一連の工程をわかりやすく解説する展示コーナーになっています。
 
 ウールやシルク、コットン(右)についての説明パネルもありました。
 学生グループや小学校の生徒たちも先生に引率されて、見学に来ていたのが印象的です。


 


 二階に上がると、往時の機械が展示されていたり、レクチャールームがあったり。
 その一番奥が、企画展会場になっていて、レオナルド・ダ・ヴィンチ展が開催されていました。
Img_67611jpg   今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年とあって、ミラノでもイベントが多数開かれています。(その模様はこのブログの7月11日7月24日付けで掲載していますのでご覧ください。)

Img_67801   ここでは巨大なパネル動画でわかりやすく紹介。
 
Img_67651   ダ・ヴィンチ関連の動画上映をバックに、木製の糸紡ぎ車が設置されていました。
 
 15世紀の希少な端切れもガラスケースに納められていました。Img_67731  右はシルクのカットベルベット、金ラメ使い。当時流行ったザクロ紋様です。
 左はクジャクの羽のようなフレットワーク。ウールと金銀糸使いで、衣服のフリンジ装飾に使用したといいます。
 
Img_67961jpg   織物博物館の隣には、モダンな居心地のよいライブラリーがあります。ここはイタリアのテキスタイル研究に欠かせない文化の中心地になっているようです。
 改めてイタリアの織物文化の奥深さに感銘しました。

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2019年9月26日 (木)

フィレンツェでゴージャスなグッチガーデン

 今回は欧州出張ということでミラノに行き、日程の合間にフィレンツェへ旅しました。ミラノからは列車で2時間足らずです。
 到着して向かったのはシニョリーア広場に面して建つルネサンス様式の建物、「グッチガーデン(GUCCI Garden)」、つまり元のミュゼオ・グッチです。現クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレが新たにデザインを手掛けて、2017年にオープンしたもので、行ってみたいと思っていたスポットでした。 
 
  1階はショップになっていて店頭はさすがゴージャス! 
Img_68341   今秋一番のドレスやここでしか買えないバッグもあります。グッチ好きにはたまらないかも。

 2階から4階までがギャラリーになっています。
Img_68081 Img_68101jpg  往年の名品に交じって最近のコレクションが展示されていました。
 
Img_68111   バッグの逸品を揃えた展示室です。
 
Img_68311   被り物も中国か日本のお堂なのか、独特な形のものがみられます。
 
Img_68181    階段を上がるとメンズコレクションがズラリ。

   左は松に鳳凰のような鳥の刺繍   右はキモノスタイル
Img_68241jpg Img_68211

Img_68171  
Img_68271   グッチ流のトロンプロイユも興味深い。右のコートには蛇を模したブレードがあしらわれています。
 
 全体を見てラグジュアリームードを満喫しました。とはいえ何かもの足りない思いがしたことは確かです。制作の工程やパターンなどアトリエや職人に関する展示があってもいいのに---。
 とはいえ創作のヒントはいっぱい、ぜひ訪れたい価値あるミュージアムと思いました。

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2019年9月25日 (水)

ミラノのギフト・インテリア見本市「ミラノ・ホーミ」視察

 ロンドンからミラノに飛び、以前から話を聞いていたミラノのギフト・インテリア見本市「ミラノ・ホーミ(MILANO HOMI)」9月展を視察してきました。ミラノといえば世界最大のデザインイベント「ミラノ・サローネ(MILANO SALONE)」が毎年4月に開催されています。「ミラノ・ホーミ」も39か国から1,100を超える出展者、世界91か国から80,000人が集うといいます。そこで期待しながら、ミラノ・ウニカと同じ会場のフィエラミラノに足を運びました。
 会場は大きく二つあり、「ホーミ・アウトドア(HOMI OUTDOOR)」と「ホーミ・ファッション&ジュエル(HOMI FASHION &JEWELS)」に分かれています。
 「ホーミ・アウトドア」では、目新しかったのが、2020年10月から始まるドバイ万博「デザインコンペティション」の展示エリアです。35歳以下の受賞者による作品展で、ドバイ万博で展示されることになっています。
Img_68801    作品は、万博のコンセプトである「心をつなぎ、未来を創造する」に沿い、若いデザイナーや企業が「コネクティング・スペース(Connecting Spaces)」をテーマに制作。イタリアの伝統的な工芸品を革新的な手法で、デジタル接続したIoT空間がデザインされていて、近未来のライフスタイルを変える興味深いヒントを感じました。
Img_68811   上はACELL ITALY社の「CO-SITE」。モジュラー・エレメンツを組み合わせた空間で、人間の感覚を刺激する楽しいアプローチ。

Img_68791   右はF-EDという作品。マットレスになり、カーペットにもなる、バックパック。内部にはポケットがたくさん付いています。とくにトラベリング(旅行)には欠かせないアイテムになりそう。この他いろいろ。
 
 またマリークレール・メゾンの「都会のオアシス」をテーマにしたオープン展示も、すばらしかったです。
Img_68881jpg    “砂漠のティータイム”といった風情で、くつろぎの空間を演出していました。砂漠の砂に、グリーンをあしらい、畳のようなマットを敷いて、ナチュラルな雰囲気たっぷりです。

 日本のセレクトされた和食器を中心にインテリア雑貨を出品していたのが、ソフィア・ディフュージョン(SOPHIA DIFFUSION)。スイスのジュネーブが本拠地で、和食器が人気といいます。
Img_68841   ホームパーティを頻繁に開いているヨーロッパの人たちは、テーブルアートにこだわります。洗練されたエキゾティックを演出するのに、和食器はぴったりなのでしょう。
 
 「ホーミ・ファッション&ジュエル」では、新規出展ブランドが604ブランド、その内イタリア以外が29%と好調の様子でした。ファッションよりもジュエリーなどアクセサリー雑貨のブランドが多く、ファッションショーも行われていました。
Img_68481jpg   上はローマ発のファッションブランド「Antica Sartoria」です。バックミュージックが流れて華やか!

Img_68991   とくに目が向いたのが、上の「スプリメンタ・ファッション(SPRIMENTA FASHION)」のエリアでした。ユニークなオリジナリティや手工芸を訴求する実験的なブランド、60社が集結していました。

Img_68631jpg   中でも注目は「楽 (raku)」というブランド。日本人でイタリア側のスイス在住、Keiko CARMINEさんが、ヴィンテージキモノの生地を利用してハンドメイドのバッグ、例えば風呂敷バッグなどのアクセサリーをつくっています。すてきな日本人がここにも活躍していました。
 
Img_68471   さらにもう一つ、上の写真のような「#IAMTHEMAKER (私はメーカー)」というイベントも行われていました。これはミニインタビューを放送するプロジェクトで、出展者やバイヤーらが、ここでの体験を生で話すことで、展示会を活気づけようというもの。
 
 好況とはいい難い状況の中、様々な企画でビジネスを盛り上げようと取り組む姿勢が目立った見本市でした。

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2019年9月24日 (火)

ロンドンでマリー・クワント展 元祖ストリートファッション

 今期欧州出張ではファッション・マーケット・リサーチのため、またしてもロンドンに行ってきました。ロンドンに来ると毎回立ち寄るファッションスポットが、ヴィクトリア&アルバートミュージアムです。
 ここで開催されていたのが特別展「マリー・クワント (Mary Quant)」でした。マリー・クワントは英国のファッションデザイナーで、ミニスカートやホットパンツ、カラフルなタイツをはやらせ、コスメ業界へも進出するなど、1960年代のロンドンのハイ・ストリートに革命を起こしたと言われています。まさに現代ストリートファッションの元祖のような人物なのです。
Img_65881   展示されたのは1950~70年代まで200点あまり。そのポップで遊び心あふれるファッションは、当時の明るいムードそのままで、懐かしくなりました。それほど古い感じもしませんし、今着てもおかしくないものが多いのです。

 中は意外にもそれほど混んでいませんでした。
 1階は、マリー・クワントがいかにストリートの若者たちに影響を与えたか、その栄光への軌跡を振り返る内容でした。
  マリー・クワントは1930年、ロンドン郊外のブラックヒースで生まれました。(日本では1934年生まれとなっていますが、本展でもまた英語版ウイキペディアでも生年は1930年となっています。)
Img_64651 Img_64831   ゴールドスミス・カレッジを卒業後、夫となるアレグザンダー・プランケット=グリーンらとともに、1955年チェルシー地区のキングスロードにブティック「バザー(BAZAAR)」を開店します。(上はその頃のファッション)
    1957年にはその2号店を、あのテレンス・コンランのデザインでナイトブリッツにオープンさせ、1959年に画期的な「ミニスカート」を発表します。
 「ミニ」の名称は、愛車の「ミニ」からとったとか。
 シンプルで力強い直線的なラインが特徴で、これが瞬く間に若者たちを虜にし、カーナビ―ストリートなどストリートを中心に若者たちの人気を集め、後の大ブームのきっかけをつくることとなったのです。
Img_64681  上はメンズスタイルを取り入れたボーイッシュなファッション。

 1963年には縫製を担うジンジャー・グループを立ち上げ、量産による低価格のラインを構築します。こうなるともうその勢いは止まりません。米国向け輸出も大きく成長し、ミニスカートは世界中を席巻するようになるのです。
  私もあの頃、スカート丈を短くしたことを思い出していました。
Img_65061 Img_65041jpg
Img_64771jpg  水玉やタータンなどのチェック、花、ウィリアム・モリス風のクラシックな花柄のデザインも見られます。
Img_65121  
 1966年、ついに英国への功績を讃える大英帝国勲章(OBE)が授与されました。

  右のドレスは、マリー・クワントがそのときに着用したウールジャージーのドレスです。
 ローウエストでスカートには少しギャザーが入っていて、ハイカラーで胸元はジッパー開き、袖にはベル型のカフスが付いています。
 
 またこの年、化粧品のデザインも始めています。
 
 2階は、ますます明るいカラフルでポップな空間となっています。Img_65381 Img_65241  カラーあふれる楽しいデザイン。
 Img_65401  ホットパンツやジャンプスーツなど、スポーティなデザインもいっぱい。
 
 Img_65471 マリー・クワントは、「ファッションで肝要なのは、ファッショナブルな服をすべての人に提供することです」と述べています。1963年に「ジンジャー・グループ」を設立し、量産体制により低価格ラインの服を発表していったのもこのためだったのです。
 重要なデザイナーと言われながらも、マリー・クワントがあまり高く評価されているといえないのは、ファッション業界が安い服をデザインしているデザイナーを評価していないという事情があるからのようです。高額の服をデザインするデザイナーにばかりスポットが当てられる、それはとても残念なことと思っていました。本展では、それを払拭するようなマリー・クワントのすばらしいファッションが満載でした。
 
 展覧会は来年2月16日までです。ロンドンに行かれたら、ぜひ一見してみて、と思います。x

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2019年9月23日 (月)

メゾン・エ・オブジェ パリ ⑷ 「茶室」が人気

 ジャポニスムがブームを呼ぶ中、何と「茶室」を海外向けに提案しているメーカーがあり、びっくりしました。
 一つは、椿建築デザイン研究所の「禅庵 (ZEN-An)」というブランドの組立て型の茶室です。これは世界中どこへでもスーツケースに入れて持ち運べる、「スーツケース茶室」になっていて驚嘆させられました。
Img_64291jpg   写真右手前のボックスが、そのスーツケースです。スーツケースの中に指物、畳、簾、和紙と伝統的な匠の技が詰まっているのです。
  これならどこにでも旅をして、気軽にお茶が点てられますね。今や、茶の湯も欧米をはじめ中国などで人気を集めているとか。様々なイベントで大好評の茶室に注目です。
 
 もう一つ、日本木材輸出振興協会(JAPAN WOOD PRODUCTS EXPORT ASSOCIATION )のブースで見たのが、施工型の茶室です。
 これは「利休美」と名づけられた神社やお寺の建築を得意とする花升木工によるもので、本格的な建具が使われています。Img_64201jpgImg_64231   外国人は意外にも抹茶が好きで、茶道は精神を落ち着かせるとあって人気といいます。また木造建築も今、これからは木の時代かと思われるほど、熱が入っている様子です。
 茶室をつくる動きも今後、世界に広がっていきそうですね。

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2019年9月22日 (日)

メゾン・エ・オブジェ パリ ⑶ 日本企業の「和」目立つ

 「メゾン・エ・オブジェ パリ(M&O PARIS) 」は、毎回1月展の方が日本企業の出展が多いとのことです。ジェトロの支援があるからなのでしょう。とはいえ今回の9月展も、相当数の企業が出ていました。とくに「和」の打ち出しが目立ち、来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、どこも人気を博していた模様です。

東京手仕事
 東京都指定の伝統工芸品41品目の中から2018年度の支援商品として採択された18商品が参加して盛り上がっていました。Img_63671
 商品展示と併せて、三絃司きくおか、富田染工芸、サクラワクス、岡半、根岸産業、田房染織の実演も行われ、来場者の目を惹きつけていたのが印象的です。
Img_63811   上は、田房染織の日本伝統工芸士、田房剛章氏がまだら模様のカスリ糸をつくる作業をしているところです。
Img_63841   工房は、東京の武蔵村山市にあり、村山大島紬の伝統を1914年より、先祖代々受け継いでいるといいます。
  特徴は板締め注入染色(夾纈染め)と呼ばれる染色法で、糸をいじめない分、艶とハリがある生地に織り上がるそう。
 
 右は石原染色工房の墨染めです。
Img_63761  染めの匠、石原 実氏の手で染め上げられた墨染めは、単なるモノクロームではありません。ぼかした色味の幅は広くて深い。
 江戸時代、庶民は鼠色を粋な色として愛したようです。墨の材料も様々で、紺鼠、藍鼠などいろいろな色があったのですね。
 これは松を燃焼させてつくった煤の松煙墨による黒のグラデージョン、わずかに青色を感じる鼠色がシックなストールです。
 生地は綿のガーゼです。


夏水組 (NATSUMIGUMI)

 このブログ8月18日付けでご紹介した襖紙のブランド「夏水組」が、タイムレス・エレガントなブランドを集積したホール7の“フォレバー”ゾーンに出展していました。
Img_63441  迎えてくれたのは、坂田 夏水 さん(写真右)と大場 匠真 さん(写真中)、それに妹の大場麻美さん(写真左)のお三人です。
  壁紙の人気柄、獅子地紋を注染染めした浴衣姿が小粋でおしゃれ!
  Img_63451  新たな商談もいくつか持ち上がり、ビジネスは好評の様子でした。
 
アワガミ(AWAGAMI)
   これはあわ(阿波)徳島のアワガミ・ファクトリーのブランドです。
Img_63881   アワガミ・ファクトリーというのは、2015年の夏に私が訪れた阿波和紙伝統産業会館を運営しているところで、その時のことを懐かしく思い出したことでした。(このブログ2015.8.20付け参照)
 阿波の藍で染めたアートな壁紙は、こちらでも多くのファンを集めているようで、客足が絶えないようでした。

KYOGO (キョウゴ)
 ホール5Aの中央に設置されたクリエイティブなクラフトアートゾーンで出会った、京都の西陣織のブランドです。
Img_64331   大自然をモチーフに、生命の息吹が聞こえてくるようなインテリアファブリックを提案。その優雅で洗練された雰囲気に魅せられました。

KYOTO T5 (京都T5 )
   KYOTO T5(京都伝統文化イノベーション研究センター)によるスニーカーのアイデアにはびっくり!
Img_63921   何と下駄の鼻緒が付いているのです。
「京組み紐」は京都の伝統的工芸品ですね。その技をスニーカーに採り入れるとは。こういうミックスもありですね。

丸眞 (MARUSHIN)
  タオルを中心とする名古屋発のメーカーで、日本のキャラクターをいろいろ訴求しています。中でも人気は浮世絵だそうで、とくに北斎シリーズが好調。先染めジャカード織りタオルで、世界初のフルカラーを実現したというアートタオルです。
Img_64461jpg  最終日の午後で販売可能とあって、ブースは購入客でにぎわっていました。

原田テキスタイル(HARADA TEXTILE)
 KIYOI(きよい)ブランドで、今注目のタオルやふきんを中心とするメーカーです。本拠地はパイル産地の和歌山県高野口とか。
Img_64391   ふわふわとしたマシュマロのようなボディタオルやあら生地ふきん、パイルやボアレンジのふきん、吸水マットなどが人気とのこと。

ニシグチクツシタ(NISHIGUCHI HUTSUSHITA)
 コットンや麻、ウールなど良質な天然素材にこだわった靴下を生産している奈良県のファクトリー・ブランドです。
Img_64561jpg  「はくひとおもい」で少しでも気持ちいいモノを目指して、つくっているそう。日本製ソックスは欧米でも上質でリーズナブル、と定評があります。

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2019年9月21日 (土)

メゾン・エ・オブジェ パリ⑵ 照明も「ホーム・オフィス」

 今回のメゾン・エ・オブジェ パリ(M&O PARIS) の主催者より、招待デザイナーとして7年連続選ばれたのが、石井リーサ明理 (I.C.O.N.)と石井幹子(石井幹子デザイン事務所)です。
Img_64061  毎年光りのトレンドを発信されているブランドで、今年のテーマは「プログレス(PROGRESS)」だそう。今回は「ホーム」と「オフィス」で混じり合う現象が、デザインのトレンドとなっていることから、お二人の仕事も「ワーク・イン・プログレス(Work in Progress)」とか。
 展示では「ホーム・オフィス」を意識して、最新の技術でスマートかつヒューマン・セントリックな照明を提案したといいます。
Img_64101
 右はLEDキャンドルです。
 時折、ミュージックも流れ、ろうそくのともし火のような優しい光に癒されます。

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2019年9月20日 (金)

メゾン・エ・オブジェ パリ ⑴ 「WORK!」発信

 このブログの2019.7.7付けでお知らせした「メゾン・エ・オブジェ パリ(M&O PARIS) 」に行って来ました。
 この9月展での出展社数は69か国2,762社3,137ブランドだったと発表されています。その内訳は、地元フランスが1,233ブランドとやはり断トツのトップです。フランスを除いたトップ5は、イタリア、ドイツ、オランダ、ベルギー、英国となっています。
 来場者数は160か国から76,862名、昨年同期比0.5%増で、フランスが47,003名、フランス以外からはイタリア3,984名、ドイツ2,511名、オランダ2215名、英国2,100名だったといいます。
 私が行ったのは10日、最終日でしたので、全体に静かな印象でした。フランスは土曜日の黄色いベスト運動が続いていますし、交通ストライキもありました。店頭は今一冴えない様子でしたが、本9月展ではそれなりに人が入り、手応えを感じている出展者が多かったようです。
 
 毎回、その発信が注目されるインスピレーションテーマ、今回は「WORK!」でした。このテーマにまつわるプロダクトを展示していたのが、「WHAT’S NEW」で、1,200㎡のエリアに最新の商品が紹介されていました。
Img_63471jpg  これを見ると、オフィスデザインがアットホームな雰囲気の空間デザインへと方向転換していることがよくわかります。まさにオフィスに住宅のコンセプトが乗り移ってきたようです。
 様々な商品が見られましたが、ほとんどは家具や電気製品で、繊維製品はとても少なく、目に留まったのが下記です。
 
 右は、昼寝用の「オストリッチピロー(OSRICHPILLOW)オリジナル」です。
 Img_63511 これはダチョウ(OSTRICH)の頭の様な形をした枕(PILLOW)で、シエスタ(お昼寝)が文化になっているスペインのデザイン会社STUDIO BANANA THINGS (スタジオバナナシングス)がつくったもの。
 前後左右に充填されたシリコン加工のマイクロビーズが優しく頭を包み込み、オフィスでの昼寝や旅行等の移動中の仮眠に最適な安眠枕との触れ込みです。照明や話し声、雑音などの中で快適な昼寝をすることはなかなか難しいものですが、これさえあれば、プライベート空間で短時間でも質の高い昼寝が実現出来るといいます。横から手を入れる口があるので、うつぶせ寝が好きな私にはいいな、と思いました。
 
 右は、G.rideのバックパックです。
Img_63521  パリ発アウトドアのバッグメーカー、G.rideが開発したものです。街角に弾けるストリートファッションの若者たちに、この都会的な雰囲気のバックパックが大人気だそう。こんなバックパックを担いでオフィスへ出かけるパリジャン、なかなか格好いいですね。
 
 右は、スイスの家具メーカー、VITRA(ヴィトラ)のクッションとテーブルです。
Img_63531  クッションの赤とブルーのグラテーションによるグラフィックなヘリンボンのデザインが洗練された感覚です。
 綿リッチ混で、Raw-Edges(ロウ・エッジズ)による最新作だそう。シンプルな赤いテーブルとマッチしています。

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2019年9月19日 (木)

ギフトショー ライフ×デザイン展 サステナブルな社会

 今回のギフトショー東京2019秋で同時開催された「ライフ×デザイン展」では、“サステナブル”をコンセプトに持続可能な社会をつくるための商品やサービスを提案する出展社が多く集まっていました。

 セミナーも行われ、「サステナブルな社会のあり方―日本のエシカル消費とアメリカのサステナブルライフスタイル」をテーマに、エシカル協会 代表理事で日本ユネスコ国内委員会広報大使の末吉 里花氏と、「ゼロ・ウエイスト・ダニエル(zero waste Daniel)」を手掛けるダニエル・シルバースタイン(Daniel Silverstein)氏が対談。興味深く拝聴しました。
Img_63321  
 末吉氏は、TBSテレビの人気番組「不思議発見」のミステリハンターを務めるなど人気タレントだったとか。2004年にアフリカのキリマンジャロに登ったときに、氷河が消失していることにショックを受けたそう。ロンドンでフェアトレードのことを知り、以後“エシカル”消費の普及に専念しようと決意して、2015年にエシカル協会を立ちあげたといいます。現在エシカル・コンシェルジュ講座を開講するなどエシカル消費に関する啓発活動を行われているそうです。
 一方、ダニエル氏は、ニューヨークのFITを卒業後、服づくりの生産段階で生地の無駄があまりにも多いことに気付き、「ゼロ・ウエイスト・ダニエル」を設立したといいます。廃棄処分されるはずの素材を使ってデザインすることは、デザイナーとしての責任と思い、端切れなどを使用して一点物の服をつくっているそう。

 お二人のお話をまとめてみましょう。
・大人より若い人、とくにゼネレーションZといわれる世代ほどサステナブルへの関心が高い。
・透明性が何よりも大切。そのモノがどこから来たものかという「過去」、モノを長く使う「現在」、モノを手放す先の「未来」を考えて消費することが重要。
・日本には元来、モッタイナイなどエシカルの精神が根付いている。この心を見つめ直し、そうした流れをつくっていけばいい。アメリカもここ3年で、流れはエシカルへ変わってきていて、一人ひとりの個人が自分ゴトとしてエシカルを考え始めている。
・企業もエシカルを取り入れるべき。そうすれば若い優秀な人材がひとりでに集まって来るはず。
・モノの背景にエシカルなストーリーのあるものを購入する消費者が増えている。エシカルはそのモノの付加価値をつくり出す。

 ここでアメリカ発のおすすめ商品を紹介。
 「フードハガー(FOOD HUGGERS)
Img_63161jpg    これは果物や野菜を新鮮に保つことができるシリコン製のフードセーバーです。使い捨てのプラスティック・ラップやビニール袋、アルミホイルの代わりとして、繰り返し洗って使える優れもの。見た目もキュートと、ダニエルさん大のお気に入りの様子でした。

 「ラッピリー(wrappily)
Img_63151   ハワイのマウイ島で二人の主婦がつくったというラッピングペーパーです。これまでのものとは一味違う高品質なエコペーパーで、植物ベースのインク使いで生分解素材が使われているそうです。リバーシブルのデザインなので一枚で2倍楽しめるというのもいいですね。

 最後に、サステナブルへの熱い思いを持つことが何よりも大切、と述べて、締め括りました。

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2019年9月18日 (水)

ギフトショー ライフ×デザイン展ダイバーシティプロダクツ

 この3~6日、東京ビッグサイトで開催されたギフトショー東京2019秋で、併催された「ライフ×デザイン展」を見て来ました。新企画がいろいろある中で、とくに興味深かったのが特別展示イベント「ダイバーシティ プロダクツ」エリアです。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え「多様性」、つまり「ダイバーシティ」という言葉がより身近なものになってきたことを受けて、このエリアが新設されたといいます。
 ここでは様々なマイノリティに合わせた製品の展示が行われていました。
 
 例えば目に障がいを持っている方でも利用できる腕時計や、口当たりのやさしい介助に適したスプーン、など---。
Img_60591  上は、結ばなくてもいい靴紐の「クールノット」です。COOLKNOT JAPANの製品で、伸縮性があるので靴のフィット感が高まり、脱ぎ履きが楽、というメリットがあります。
 結ばなくてもいい、結ばないからほどけないという逆転の発想から生まれたといいます。

Img_63201  右は、超簡単で軽くて優しい車いす用の着物セットです。リノーズの「えもん(EMON)」というブランドのもの。
 2部式で下衣のスカート部に特定の構成パターンを採用しているので、座ったままで楽に着られ、着崩れ防止性も高く、着用者の着心地もよいといいます。

 開発されたのは東京・渋谷のパターン企画テルヌマ代表の照沼範子さん。パタンナー歴42年のベテランです。
 本格的な着物スタイルを誰でも一人で簡単に着られる着物として再現されました。3ステップ、たった3分で着付け完了、洋服感覚で手軽に着られるといいます。
 とくに最近は喪の着物の需要が増えているとのことでした。
 これまで着付けが困難で着物を着るのをあきらめていた方も、これなら着物スタイルを楽しめます。これもまた「ユニバーサルファッション」と思いました。

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2019年9月17日 (火)

中川政七商店「大日本市」アタラシイものづくりとの出会い

 1716年創業の奈良の老舗、中川政七商店が4~6日、東京・品川区で開催した「大日本市」に行って来ました。テーマは“アタラシイものづくりと出会う3日間”です。日本各地の気鋭の工芸メーカーからスタートアップのメーカーまで、約50社のつくり手たちが集結し、来場者は3日間で約2,900人と発表され、いつにない大盛況の賑わいでした。

 トークイベントも多数行われ、私は「designshop」オーナーの森 博氏による「伝統工芸とバイイングによる最適なお店作り」に少し遅れて参加しました。
Img_62961jpg   伝統工芸のつくり手と売り手が手を組む店づくりについてのお話で、多岐にわたる取り組みを紹介。岩手の南部鉄器や和紙、漆、竹細工、箒など、思い入れのある地域の商品やものづくりに着目し、それを現在のライフスタイルに落とし込むことが大切などと語られました。隠れた伝統工芸を探し出し、独自の発信をして欲しい。メディアに取り上げてもらうことが重要で、そのプレスやインフルエンサーも過去の実績を研究する必要があるなどとも。
 最後に近江商人の三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」の考えを経営に活かすことを挙げて、了としました。
 
 下記は繊維製品で出展していた3社です。
 「smilecotton(スマイルコットン)
 ルームス39展では、ファッション衣料の「HAAG(ハーグ)」を出していましたが、ここでは同社ならではのベビーウェアや肌着を訴求していました。
Img_63081    独自素材のスマイルコットンは、他にはないふんわりとした肌触りで、敏感肌のベビーに最適。日本アトピー協会推薦品マーク承認証も展示して、選び抜かれた品質の高さをアピールしていました。
 
 「orit(オリット)」 
 西脇産地の播州織のメーカー、阿江ハンカチーフのストールのブランドです。
Img_63011jpg   繊細なダブルガーゼ(綿100%)のオリジナル素材が心地よく、おぼろな透け感の美しさにも惹かれます。価格は1万円(税抜き)。
 
 「IIE Lab.(イーラボ)」
 400年の歴史のある会津木綿を30年前に復活させて、ストールや風呂敷などの製品を提案しているメーカーです。
Img_63031jpg   昔からの素朴な縞模様がモダンにアレンジされて、粋な趣を感じさせる一品に仕上がっています。

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2019年9月16日 (月)

「rooms 39」展 ⑵ プラスティック・スマートエリアに注目

 今回の「rooms 39」展で、私がもっとも注目したのは「プラスティック・スマート」のエリアです。昨今、海洋プラスティックごみが長期にわたり残存し、環境汚染が懸念されていています。ここではこの問題と向き合う興味深いブランドが出展していましたのでご紹介します。

 伊那食品工業の「かんてんパパ」です。
Img_62621   これはオブラートのような食べられる可食性フィルムで、寒天をはじめとする食品を材料にしてつくられているとのこと。海ごみゼロアワード(2019開催/日本財団 環境省 共同事業)で、審査委員特別賞を受賞したそうです。

 ソックスの福助です。
Img_62761jpg   基幹ブランドの「fukusuke」では“すべて土に還る” をテーマに、天然素材のレディスソックスを今秋から新発売しています。プラスティックフックから紙フックへ、プラスティックピンから糸止めに、植物性インクにシフトするなど、あらゆるものにこだわりがあってビックリ!

 ウルシミクストでは、プラスティック代替素材として、環境を汚さずプラスティック以上の強度を持つ乾漆に着目。漆と綿でつくられている天然素材100%のクレジットカードを提案していました。
Img_62661jpg   漆特有の質感と美しさも魅力ですね。

 モード工芸では紙製のトルソーを提案。
Img_62711   マネキンやトルソーは国内で年間10万体以上が消費されていて、その多くはプラスティック製品であるといいます。そこで再生紙製のトルソーをつくったそう。
 製品を再生紙に変えていくことで、地球にやさしいエコな店づくりが実現できるとアピールしていました。

 この他、アキュラホームでは木のストロー、ノルウェーのrik skog(リーク スクーグ 豊かな森)の紙のハンガーなど。

 プラスティックを生分解性のある素材へ転換させていく、サステナブルへの動きが様々な分野で広がりを見せています。

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2019年9月15日 (日)

「rooms 39」展 ⑴ クリエイティブの祭典 盛況の内に閉幕

 アッシュ・ペー・フランスが主催する「rooms(ルームス)39」クリエイティブの祭典が、4~6日、五反田TOCで開催され、3日間来場が途切れず、盛況のうちに閉幕したといいます。私も初日に行って、若いパワーを感じて来た一人です。
 全体にアートやアクセサリー雑貨ブランドが多くなっている印象でしたが、それでもファッションはクリエーションの中心的存在でした。

 会場を進むと、現在建て替え中の渋谷パルコの模型が展示されていました。
Img_62311   バックのクリエティブ・デュオ「M/M(Paris)」(エムエムパリス)のヴィジュアルが強烈! ビルは18階建てで9階から上はオフィスビル、中低層階が商業施設となり、これまでのパート1~3は一体化して遊歩道でつながれる構造のよう。
 ファッションではグッチとロエベが入ってくるといいます。オープンはこの11月22日予定とか。仮囲いに描かれていた大友克洋さんの漫画「AKIRA」は撤去され残念ですね。

 ここを抜けるとファッションのエリアです。ここではコットンを中心に展開しているファッションブランドが目立っていました。
 
 「Bebrain(ビブレイン)」は、和歌山県の老舗ニッター、丸和ニットのファクトリーブランドで、同社が独自に開発した「バランサーキュラー(Balancircular)」編機によるカットソー製品を提案していました。
Img_62391jpg  バランサーキュラーは、縦糸に極細ナイロンを成型し、布帛とニットを融合させたニット生地で、織物のきちんとした表情とニット(編み物)の機能性を併せ持っています。エレガントなのに伸縮性があって軽い、また型崩れしづらく、しわになりにくい。ほつれにくく、裁ち切り使いができることも特徴。縫い代を0(ゼロ)に裁断したパーツをつなぎ合わせる縫製テクニックもアピールしていました。

 「HAAG(ハーグ)」は、三重県のニットメーカー「スマイルコットン」のファクトリーブランドで、スエットシャツやTシャツなどのアイテムを展開。
Img_62411jpg  スマイルコットンは、糸の撚りをほぐしてわたの繊維にもどすことによってつくられる糸を使った編地で、ふんわりと軽くてやわらかい、他にないやさしい感触です。
 糸にこだわってつくった、究極の心地よさを追求した製品といえるでしょう。
 
 「daysbasic (デイズベーシック)」は、名古屋のアパレルメーカーで、さわやかなコットンの感触が楽しめる日常着を揃えていました。
Img_62511   高級綿の清楚なファッションを提案していました。

 「ダンジョデニム」は、デザイナーの福川太郎さんが、理想のGジャンをつくりたいと国産ジーンズ発祥の地、児島に移り住み、立ち上げたGジャンのブラントです。「Gジャン革命」のコピーが勇ましい!
Img_62541   デザインからパターン、縫製までを福川さん一人でやっているとか。デニムというとジーンズが主で、Gジャンに特化したブランドというのは確かにないようです。今後の展開を期待しています。

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2019年9月14日 (土)

YKKファスニングクリエーション展 新技術とアワード発表

 この3~4日、「YKKファスニングクリエーション・フォー・2020」展が、YKK60ビルにて開催され、かねてより興味を持っていた新技術を見に行ってきました。Img_62231
  一番の関心はやはり、話題の「エアリーストリング」と呼ばれるテープなしのファスナーです。
Large_ykk_  これはファスナーと言えば必ず付いているはずのテープがないファスナーなのです。右の写真下のファスナーに見るように、エレメント(かみ合わせの歯の部分)と呼ばれる紐状の部分しかありません。
Img_62212 x  このメリットは多々あります。テープがないのでより軽く、柔らかく仕上げられます。またテープを縫うステッチ工程が省かれますので、縫製工程が簡略化されます。それなのに開閉動作もスムーズです。実際に動かし てみて確認しました。
 デザイン面では、テープとの色合わせが不要ということで、右のように布地と一体化したすっきりとしたデザインがしやすいです。また配色によってファスナーや縫い糸を際立たせた千鳥のようなステッチ効果のサンプルも見せていただきました。ステッチでデザイン変化を生み出せるうれしい使い方です。これによりクリエーションの幅も広がりました。
 デメリットとしては専用ミシンが必要ということでしょうか。YKKではジューキと共同で、これ用の特殊ミシンを開発したといいます。この専用ミシンは、布地にエレメントを沿わせて、ジグザグ縫いで布地に直接縫い付けていくというものです。設置されているのは、今のところ国内工場で一か所のみとか。
 これからの技術として注目されます。

Img_62201jpg  また最高級「エクセラ」シリーズで、 曲線に合わせてエレメントのピッチを変化させられる新ファスナー「エクセラカーブ」も発表。これは以前からデザイナーの間から要望が出ていたもので、オーダーメイドでの対応になるといいます。

 防犯対策用のファスナーも、二重構造にするなど様々なものが出ていました。バックルも操作が簡単でセキュリティ性の高いものへ、さらにサステナブルを意識したリサイクル素材のアピールも目に付きました。
 
 同展では第19回YKKファスニングアワードのコレクションショーも行われました。
Img_61871   ショーに登場した30点の中から、グランプリ作品をご紹介しましょう。 
 右は、アパレル部門でグランプリを受賞した名古屋モード学園の杉山 侑己菜さんの作品です。テーマは「3D switch」で、平面にスナップを留めることで立体に、形を変形させてゆがみや違和感を楽しむドレスです。

 下の写真は、ファッショングッズ部門でグランプリを受賞した作品です。
 名古屋モード学園の岩堀 真理乃さんによる「ORIGAMI (オリガミ)」バッグで、ファスナーをすべて開くと一枚の布になります。
Img_61661 Img_61711   
   いずれもインパクトのある印象的なデザインで感銘しました。栄えある受賞、おめでとうございますございます。
 

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2019年9月13日 (金)

2020春夏「エズミ 」建築家サンティアゴ・カラトラバに着想

 JALの制服をデザインするなど、このところ精力的な活動が目立つファッションデザイナー江角泰俊さんが手がけるブランド「エズミ」が3日、東京・渋谷で2020春夏ファッションショーを開催しました。

 Img_61561 今シーズンは、あのガウディの再来かといわれるスペインの建築家で彫刻家のサンティアゴ・カラトラバの美に着想したという、流れるような構築的なラインのコレクションでした。
 かっちりとした線と緩やかに揺れる面のレイヤーや、鮮やかな色合いのチェック柄の切り替え、プリーツのリズミカルなシルエットが、小気味よく感じられます。
 軽やかでエレガント、しかも未来を感じさせるスポーティなデザインは、デジタル時代に生きる女性たちにぴったり! 新しい「エズミ」にまたしても好感しました。
Img_61591jpg

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2019年9月12日 (木)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑶   「デジタルテキスタイルの現状と将来」

 (昨日のブログの続きです。)
 さらに続いて、デジタルテキスタイル研究部会運営委員でキャノンR&D本部材料技術22開発室の城田 衣 氏が登壇し、「部会運営委員が見たITMA~デジタルテキスタイルの現状と将来:材料の観点から~」と題して、デジタルテキスタイルの現状やITMA2019の出展状況などに関するお話しがありました。
 まず「デジタルテキスタイルとは何か」というと、スクリーンの版などを使用せずにデジタルで布にプリントする技術で、多品種小ロット短納期、デザインの自由度、それに低排水を実現するものであると分かりやすく解説。
 今、従来の大量生産・大量廃棄からミニマムな工場で必要な分だけ生産する方向への変革期にあって、デジタルテキスタイルは環境問題や社会問題を解決する鍵の一つになるといいます。
 市場規模は2025年に300兆円に拡大し、シェアは7.6%になると見込まれているとのこと。
 
 次にデジタルテキスタイルには大きく2つの方式があると説明。①直接方式で、布に直接プリントする、②昇華方式で、紙にプリントし、布に染料を移行させるもの。現在はこの2つが、ほぼ半々の割合で行われているそうです。
   直接方式                 転写方式
Img_58111jpg   Img_58171  (実物サンプルをみせていただきましたが、直接方式も転写方式も違いはないように見えました。)

 今回のITMA2019では、既にコニカミノルタの稲田 寛樹氏が述べられていたように、顔料インクの技術が進歩し、直接昇華という新しい方式が注目されているといいます。これまでできなかった顔料転写が発表され、紙を媒介とするプリント方式が綿など全ての布で可能となり、対象布が拡大しているそうです。

 講演の後、質疑応答で話題となったことがあります。それは転写プリントの転写紙の問題です。転写紙は再生不可能な紙で、また転写専門の専用紙でないとプリントできないそうです。デジタルプリントがいかに節水に貢献するといっても、転写紙の製造に水の使用量が多くなっては環境に優位とはいえない、と指摘されました。
 「あちらを立てればこちらが立たず」、環境問題はほんとうに複雑です。
 とはいえ、従来の捺染プリントはデジタルへと置き代わっていくと結論づけました。今後の予測として、①デジタルプリントの市場は拡大する、②顔料インクの進歩で直接昇華が広がり、用途により昇華方式から直接方式への転換も可能になる。とくに環境問題から直接方式が多くなってくることが見込まれているようです。③従来捺染との組み合わせによる新たな表現が生まれるなど。
 
 私にとってデジタルテキスタイルの技術について、何となくしか分かっていませんでした。今回3人の専門家のお話しを拝聴し、改めて学び直し概容がつかめた気がしました。大変参考になる有意義な講演会でした。

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2019年9月11日 (水)

テキスタイルのデジタリゼーション~ ITMA2019に学ぶ ⑵  「ITMA2019に見るデジタルプリント」

 (昨日のブログの続きです。)
 続いて登壇されたのが、コニカミノルタのテキスタイル事業推進部 稲田 寛樹氏です。「ITMA2019に見るアパレル4.0時代の生産プロセスの変革とシングルパスの活用」をテーマに、ITMA2019と業界動向、主要プリンターベンダーの訴求点などをプレゼンテーションされました。ここではそのほんの概略ですが、記します。

 まずデジタルテキスタイルの市場動向から。
 デジタルプリントは今では全テキスタイルの5~6%(面積比)となり、2017-21年の年間平均成長率は20%と順調に成長、とくにデジタルプリント高速機シングルパスでの生産が増加し、また昇華転写は全体の44%になっているとのこと。プリント機のシェアはアジアとヨーロッパがそれぞれ38%と37%で、アジアでの稼働率はヨーロッパの2倍といいます。

 次に今回のITMA2019のデジタルプリントについてです。
 高生産のプリンターは超高速スキャンや多色化などもあって改善され、色合わせプロセスも簡略化、前後処理プロセスも短縮化して品質の見える化が進んでいるとのこと。中でも顔料の堅牢度がよくなり、E-コマースとの連動に大きな期待が集まっている、またハイブリッド捺染機が、スクリーンとデジタルの「ブリッジ」となりうる新たな選択肢として注目されているといいます。
 さらに主要メーカー各社に関する動きです。コニカミノルタの新機能を搭載したシングルパス捺染機SP-1や、MS Printing SolutionsのシングルパスLario、HPのスティッチSシリーズの発表などを紹介。
 Img_58191 右は東伸工業の靴下用プリンターGINGAのサンプルです。(実物の写真を撮らせていただきました。) 昇華、酸性、反応など素材によってインクの選択が可能で、印字後2分で熱定着するとのこと。発色もとても美しかったです。

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2019年9月10日 (火)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑴ 「デジタル化で変わるファッションマーケット」

 先月末、ファッションビジネス学会デジタルテキスタイル研究部会が主催する講演会に出席しました。メインテーマは「テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ~」です。
 ITMAは、4年に一度開催される国際繊維機械機器展ですね。今年は6月に、スペインのバルセロナで“デジタリゼーション”をコンセプトに開催されたそうです。ここでは3人のスペシャリストが登壇し、ITMA2019のデジタルテキスタイルの最新技術や、デジタル化によるアパレル生産の近未来を語りました。大変新鮮で中身の濃い講演会でした。

 トップバッターはレクトラ(LECTRA)ジャパン代表取締役社長 田中昭彦氏です。Img_57821jpg 「デジタル化で変わるファッションマーケット」をテーマに講演されました。
 まずレクトラについて、ファッション・アパレル、自動車内装、家具などの企業に対し、インダストリー4.0で企業をサポートする世界のリーダーカンパニーであると紹介。1973年フランスのボルドーに設立され、以来40年以上が経過して、現在、各国に32の支社を持ち、100か国以上にまたがる25,000社の顧客にサービスを提供しているといいます。

 次にデジタリゼーションの背景を探る4つのメガトレンド、①顧客トレンド(人口減少の日本と異なり、欧米や中国では購買力のある30~40代の層が厚い)、②技術トレンド(デジタル化)、③産業トレンド((インダストリー4.0の進展)、④市場トレンド(中国への対応など)を挙げて解説。
 「何故この4つをメガトレンドとしたのか?」というと、そこにはスピードと自分だけのオンリーワンを求めるハイパー・コネクテッド・カスタマーの出現があるからといいます。オンラインとオフラインがシームレス化する時代が到来し、これまでのビジネスシステムが役立たなくなっている、つまりこれまでのメインストリームが変わりつつあると指摘します。

 「デジタル化の意味するところは何か?」、それはデジタル化により利便性が増すだけではなく、過去の履歴が残ること。つまりデータの蓄積により、「あなただけのもの」を提供できるようになる、カスタマーセントリックな手法がとれるようになることが最大のメリットといいます。
 「デジタル化とマス・カスタマイゼーションは相性がいい」のですね。

 それでは「何故、ファッション業界ではデジタル化が進んでいないのか?」です。その理由として下記があるといいます。
・ファッション業界はエモーショナルな部分に係るリアルなものを扱っているが故に、デジタル化が難しい。
・経営層にテクノロジーに理解のある層が薄く、IT投資を最小限にとどめたいコストと思っている。
・サプライチェーンが細分化され、分断されているため個々の企業がトータルのメリットを享受しにくい。
・デジタル化による成功体験を実はまだ誰も享受していない。
 ここでデジタル化は一つひとつ個別にデジタル化してもうまくいかない、すべてをデジタル化しないと進展しない、と強調されたのが印象的です。

 「そもそもインダストリー4.0ってそれまでとどう違うのか」、これについてもわかりやすく説明されました。それはこれまでの量産からマス・カスタマイゼーションになるということ、しかも確実に売れるものをつくること。工場も「これならできる」から「これもできる、あれもできる、何でもつくれる」工場へ進化させることがインダストリー4.0であるといいます。

 最後に、インダストリー4.0化したプロセス=デジタルの世界と現実の世界を結びつけるソリューションとして、レクトラの「レクトラ カッティング・ルーム4.0 (Lectra Cutting Room 4.0)」を紹介。これは労働集約的な裁断室のオペレーションをインダストリー4.0へ変革するもので、MTM/MOMなど多品種変量生産に対応した裁断工程へのアプローチとか。
 「つくるところから売るところまで、すべてを考えないとデジタル化は進まない」の言葉で締めくくりました。

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2019年9月 9日 (月)

静嘉堂文庫「入門 墨の美術―古写経・古筆・水墨画」展

 今、静嘉堂文庫美術館で開催されている「入門 墨の美術―古写経・古筆・水墨画―」の内覧会へ行ってきました。
 冒頭、河野館長が鑑賞のポイントを語られました。その中で印象に残ったのがタイトルの「入門」です。「書」というと、とかく敷居が高いと思われがちなので、少しでも多くの方々に「墨の美の世界」を楽しんでいただきたいと、この言葉を入れたそうです。書道は苦手、と思っていた私も、これで少し気が楽になりました。
 出品されているのは、同館所蔵の六曲一双の大屏風を含む30点で、墨の選りすぐりの名品揃い。それらが古写経・古筆・水墨画の3つのグループに分けられ展示されています。
 (写真は特別の許可を得て撮影しています。)
Img_60221jpg  水墨画によく登場する「寒山拾得(かんざんじっとく)図」(上)からオリジナルのキャラクター「かんざんくん」もつくり、古写経・古筆・ 水墨画の各コーナーで案内に一役買っています。

  最初は奈良時代、漢字の「祈りの墨―古写経―」です。
Img_60211   上は奈良に都があった1200年前のお経で、「5月1日経」という、仏教が伝来して間もない天平時代のものといいます。当時写経は一大事業であったとか。楷書の字体がきちんと揃って端正、美しく見えました。

 次が平安時代、「雅なる墨―古筆―」です。
Img_60021   平安朝となって、平仮名が生まれた頃のものです。「古今和歌集」高野切」など、水が流れるように流麗なやわらかい筆致は、一幅の絵を思わせます。厳かだった奈良時代と比べると、なんて優美なのでしょう。
Img_60061 x  上は、国宝「倭漢朗詠抄 大田切」唐紙のような下絵の上に書かれています。
 法華経の信仰が篤かったこの時代、末法思想からお経を筒に入れて土に埋めたそう。その経筒も展示されていました。

 さらに時代は下って室町時代、「墨に五彩あり―水墨画―」です。
  Img_59841  当時の詩画軸の典型的な美術品や、「伝 周文」筆と伝承される重要文化財「「四季山水図屏風」など大屏風が多数展示されています。 Img_60251   中国ではBC1500年、殷の時代には既に「墨」があったといわれているそうです。漢字が絵から発達したように、書画一致思想は東洋独自の文化で、その根底には墨というマテリアルがあったのですね。
 東洋美術の根幹をなす墨の世界、「書」の絵画のような芸術性に改めて感動しました。
 なお展覧会は10月14日までです。HP http://www.seikado.or.jp/exhibition/index.html
で詳細をご覧ください。

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2019年9月 8日 (日)

ジャパンジュエリー フェア 玉虫を用いたジュエリーの技法

 先般開催されたジャパンジュエリーフェア2019で、日本ならではの職人によるアクセサリーがいろいろ紹介されました。
 その一つが玉虫を用いたジュエリーの技法です。これは古くから美術工芸品に使われてきた、超絶技巧といわれる日本の国宝技術で、法隆寺の国宝「玉虫の厨子」の装飾にも玉虫の羽が使われているといいます。
 伊東商店の元工場長/厚生労働省認定「卓越技能者(現代の名工)」(2013年度認定)の早川 守彦 氏が永年の研究の末、実現されたという技法や作品を披露されました。
 
Img_59551  右は1975年にダイヤモンド インターナショナル デザインコンテストで入賞したブレスレットです。
   シンプルでモダンなデザインの中に技術が詰まっています。
 
Img_59611
  深みのある緑や紫の金属的な艶のある玉虫の色は、見る角度によって微妙に変化する玉虫色。その神秘的な美しさに目を見張ります。
 
 玉虫は江戸時代、幸せを呼ぶ虫として珍重されたといいます。「玉」という言葉は宝石を意味していましたから、まさに「宝石の虫」だったのですね。かつては玉虫も国産でしたが、現在は使用されているもののほとんどが東南アジア産だそうです。
 寿命を終えた玉虫の羽をはがして切って貼った繊細なジュエリーの数々。螺鈿細工に似ていますが、生漆を塗るなど、技法はもちろん異なります。しかし早川氏は玉虫の羽を使ったものを「螺鈿」と命名しているといいます。
 
 得も言われぬ美を生み出す古代からの技術、その匠の技が現代に受け継がれていることに、改めて感動を覚えます。

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2019年9月 7日 (土)

ジャパンジュエリーフェア 真珠の話―令和の真珠と万葉集

 先般開催されたジャパンジュエリーフェア2019で、真珠に関するセミナーが行われ、真珠に関する蘊蓄を深めてきました。
 その一つが歴史研究者・美術史家 山田 篤美 氏による「ビジネスに役立つ(かも?)真珠の話―令和時代の真珠と万葉集」です。講演によると万葉集は真珠を詠んだ歌の宝庫だそうです。そこで令和という時代は、真珠業界にとって大きなビジネスチャンスではないかと、今回のセミナーではタイトルの頭語に「ビジネスに役立つ(かも?)」を入れたといいます。
Img_59681  まずは「真珠」の「珠」ともう一つ、似た言葉の「玉」についてです。中国では「珠」は水に浸かっているもの、「玉」は山からとれるものという区別があるそうです。ところが日本では日本最古の歴史書の古事記でも違いはなく、万葉集でも同様の扱いといいます。真珠と言ったり、白玉とかアワビ玉と呼んだりされているのですね。
 次に真珠を詠んだ歌をいくつか披露され、その中でぜひ覚えて欲しいというのが下記です。

 磯の上に 爪木折り焚き 汝がために 我が潜き来し 沖つ白玉
 (いそのうへに つまきをりたき ながためと わがかづきこし おきつしらたま)
 ― 磯の上で薪を折っては焚き火に当たり、温まっては素潜りしておまえのためにとってきた真珠だよ ―

 このように万葉集には、親や恋人など愛する人へのプレゼントとして真珠がたくさん歌に詠まれているといいます。ところが中国では、真珠は「珠履三千」にもあるように威信財であり顕示の品で、西欧でも真珠は聖書「マタイ伝」にみるように全財産を投げ打ってでも手に入れたいものだったといいます。 
 万葉集の作者は天皇から農民まで幅広い階層に及んでいますから、日本では真珠が庶民の文化といかに密接に関係していたかがわかります。
 真珠という商品に付加価値をつけるストーリーブランディングに、万葉集の歌が役立ちそうですね。
 最後にもう一度、先ほどの歌を復唱してセミナーを締めくくりました。

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2019年9月 6日 (金)

第7回「ウーマン オブ ザ イヤー」表彰式 土屋太鳳が受賞

 「ジャパンジュエリー フェア2019」が8月28~30日、東京ビッグサイトで開催され、恒例の「ジュエリー業界が選ぶ ウーマン・オブ・ザ・イヤー」表彰式が行われました。これは「ジュエリーの輝きのように最も美しく輝いている女性」を文化・芸能・スポーツ界の中から選出する賞で、今年で第7回目を迎えます。
 主催する日本ジュエリー協会とUBMジャパンから、栄えある賞を贈られたのは、俳優の土屋太鳳さんでした。
Img_59331   土屋さんはプラチナ・エメラルド・ダイヤモンドのネックレスを胸元に着けてステージに登壇しました。エメラルドは60ctを超える透明度と美しさで世界でも類を見ないコロンビア産の逸品とか。お値段は何と5億円といいますから超豪華です。
 Img_59371 受賞インタビューで、土屋さんは「夢みたいです」と挨拶し、「ジュエリーにエネルギーを感じます。ジュエリーというよりも、小さな地球がここにある感じです。エメラルドの持つパワーが一つの命になっているような感覚で、ジュエリーというと温度を感じないものと思っていましたが、これはとっても温かいです」。
 また美しさを保つために実践されていることを問われて、「今は勉強の時期なので、新聞を読んだり、いろいろな人と会ったりして、世界を広げるように努めています。」そしてこの後「新聞には情報がいっぱい。『大根』を包むのにもいい」とコメントしました。『大根』という庶民的な言葉が飛び出して、会場には笑いが---こぼれて、少し緊張した空気感が和みました。憧れのセレブが身近に降りてきたような感じでした。
 「この受賞を誇りに女性として一生懸命に踏ん張って生きたい」と力強くおっしゃっていたのが印象的です。
 ほんとうにすてきな女優さんですね。

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2019年9月 5日 (木)

日比谷「松本楼」 孫文と辛亥革命支えた日本人の秘話

 先日、日本ファッション協会うらら会の懇親会で日比谷「松本楼」に行く機会がありました。「松本楼」といえば、日本初の洋式庭園である日比谷公園の中にある森のレストランです。

Img_57621  会の冒頭、小坂文乃社長から日比谷「松本楼」の歴史を伺いました。 この土地は江戸時代に伊達家の屋敷があり、伊達政宗もここで亡くなったそうです。明治に入って、日本にも西洋風の公園をつくることになり、この地が選ばれたのです。ここでクイズを出されました。「洋式庭園に必要な3つの要素は何か」というものです。「花壇」と「レストラン」はすぐに答えられたのですが---、あと一つは「音楽を聴くところ」だそう。確かに日比谷公会堂がありますね。
 ともあれこうして日比谷「松本楼」は1903年に開業し、文化の発信地として評判を呼んだ戦前から戦後へ、激動する時代の舞台となっていくのです。
 ここで孫文との秘話が吐露され、その驚愕の史実を知って身が引き締まりました。孫文は清朝を打倒するため辛亥革命を起こし、中国革命の父と呼ばれる人物です。小坂社長の曽祖父、梅野庄吉は、この孫文と香港で出会い、生涯にわたって、物心両面で支えたといいます。日比谷「松本楼」にも度々訪れ、なじみの客だったとか。
 このお話は遺言もあり戦後もずっと封印されてきたそうです。しかし今では著書を始め講演などで積極的に披露されているといいます。2008年の福田総理主催夕食会では故胡錦涛国家主席も来店されるなど、時代は変わり、日中友好交流にも一役かっていらっしゃるのですね。
 
 一階ロビーには燭台付きのアップライトピアノが置かれています。これは梅野庄吉邸で孫文夫人の宋慶齢が弾いていたピアノで、ヤマハの前身である日本楽器製とのこと。さすがに重厚! Img_576811
 日比谷「松本楼」の10円カレーのエピソードも伺いました。ここ松本楼は1971年の学生騒動で火焔ビンを投げられて全焼してしまったといいます。何と衝撃的な事件でしょう。全国の志ある方々の支援で立ち直り、今あるお礼の気持ちから名物のカレーを毎年10円で提供されているとか。今年は9月25日に行うそうで、売り上げ金は子どもたちのために寄付されるといいます。ほんとうにすばらしいですね。
 
 この日のメニューも大変美味しく、楽しい一夜を過ごさせていただきました。感謝!

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2019年9月 4日 (水)

セミナー「パナソニックのユニバーサルデザインの取組み」

 先日、ユニバーサルファッション協会の定例会、カラート71プロジェクトでユニバーサルデザイン(UD)の家電に関するセミナーが開催されました。テーマは「パナソニックのユニバーサルデザイン第一人者 中尾洋子さんに聞く ― 誰もがいきいきと暮らせる社会を目指す最先端のユニバーサルデザイン」です。
Img_57431   創業以来「UDは我社のDNA」と宣言するパナソニックは、UDのリーディングカンパニーとして自他ともに認められる存在です。今年も国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)国際デザイン賞金賞を二部門で受賞しました。医療福祉部門の「歩行トレーニングロボット」と、住宅設備部門で高齢者でも安全に利用できる「スマイル浴槽」です。
中尾洋子さんはこのパナソニックで2005年からUDを担当、全社UD推進担当 主幹として商品開発から広報活動まで様々なかたちでUDに関与されています。
 本セミナーでは、実際に開発に携わられた幅広い事業領域の商品やサービスを例に、UD を実現する様々な取り組みを語られました。その要点をピックアップしてみましょう。
 最初の話題は「“様々な人が使い、暮らしの中で人の近くにある家電”だから考えてきたこと」です。家電は生活必需品ということもあり、想定していない人の安全性も考える必要があるといいます。例えば洗濯機ですが、「ななめドラム式」が車いすユーザーにも使いやすいと、好評を得ているとのことです。
 次に「大切に思っているのは想像力と創造力」というお話に移ります。障がいを持っている方には想像力を働かせて、「何かお手伝いしましょうか」と声をかけるなど、選択肢を提供していくことが大切といいます。ここでのキーワードはまさにこの「選択肢」です。商品開発にあたっては、多様な選択肢に配慮した視点が欠かせないと強調します。環境や製品が対応していれば、障がいは顕在化しないのです。 
 例えば目の見えない方もTVや照明を使われているのですね。視覚障がい者の方は日常的に家電を使用されている、その例としてTVがあります。TVは情報の入手になくてはならないものになっているといいます。音声による美術館鑑賞ガイドも必須のサービスになっている様子です。また視覚障がいといっても全く光を感じていないという訳ではないので、防犯のためにも照明は必要といいます。
Img_57471   右は肢体不自由者のために開発したというライトです。
 手の甲や肘でも押して使え、電池はどのタイプのものでも対応可能という大変便利な照明器具です。

 ここからは具体的な取組み事例を、実物とともに次々に紹介されました。
Img_57461   まずは世界初のUDフォントの開発とその具体的活用例から、白内障疑似体験ゴーグルの開発、家電では手・指以外でも操作できる「レッツリモコン」(右)など。

Img_57481
 とくに高齢者を見つめた家電にも力を入れているとのことで、 重さ2.0kgの超軽量掃除機(右)や、さらに軽い750gのハンディスティック掃除機も見せていただきました。

Img_57161   暗い道で安全・安心を高めるネックライト(右)は、子どもだけではなく大人にも「あったらいいな」と思うライトです。

 先進技術についても触れられ、空港での顔認証ゲートを始め、人の身体や心の状態をセンシングする様々なテクノロジー、ロボットも上記に記したIAUDアワード受賞の「歩行トレーニングロボット」や、重い荷物を持って見える位置でついてきてくれる運び屋さん「ポーターロボット」など。
 最後に、目指す社会は、「誰もが社会参加できることで、いきいきと暮らせる社会、コミュニケーションを誘発して人と人との繋がりが生まれる社会」と明言。「UDとは人や社会を想いやる創造力」の言葉で締めくくりました。

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2019年9月 3日 (火)

「日本のグラフィックデザイン2019」展 関連トークも

 先般、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)主催「日本のグラフィックデザイン2019」展が、東京ミッドタウン・デザインハブにて開催されました。これはこのほど年鑑『Graphic Design in Japan』2019年版が発行されたことを記念する展覧会で、掲載作品の中から身近な雑貨や書籍、商品パッケージ、シンボル・ロゴ、ポスターなど約300点が実物やモニターで展示されました。
 
Img_53361jpg  上はアワード受賞作品の展示コーナーです。中央右のモニターに映し出されているのが、最高賞の亀坂雄策賞で色部義昭氏による「地下鉄のCI計画『Osaka Metro』」、また手前は、JAGDA賞パッケージのカテゴリーで受賞した渡邉良重氏の「Tartine(洋菓子店のパッケージ)」、奥に架かっているグリーンの作品は、JAGDA賞ポスターのカテゴリーで受賞した永井一正氏の「LIFE」です。
 
Img_53201jpg  またアワードとは別の「This One!」に選出された作品で、私がとくに注目したのが、浅葉克己氏による「デザイナーブランドのショップ」です。 これはイッセイ ミヤケが2018年に京都に出店したときのもので、Img_53211 一生さんの「一」の書を大胆に書いた暖簾です。
  「一」の一文字に強い意志が感じられ、インパクトがあります。
 うちわも添えられていて、何とも小粋!
 
 さらに関連イベントとしてトークショーも行われ、その一つに参加しました。
Img_53331  出演は、伊藤忠ファッションシステム/ifs未来研究所所長の川島蓉子氏と、廣村デザイン事務所 主宰の廣村正彰氏、聞き手はJAGDA年鑑委員長の柿木原政広です。
 最初に、東京2020スポーツピクトグラムの開発チームの一員としてデザインを担当された廣村氏が、その舞台裏を語りました。
 スポーツピクトグラムは1964年の東京オリンピックで初めて採用されたものだそうで、今回は当時のものをリスペクトしつつ、普遍性と先進性を追求したといいます。
 躍動するアスリートを幾何学的に単純化して表現するために、筋肉の動きに着目。胴体部分を抜くことでそれらしく見えるように表現したそう。そぎ落とせる部分はできる限り省いたといいます。とはいえ人の姿はどの競技にも入れたそう。ちなみに1964年のセーリングでは人は入っていません。体操は床、新体操はリボンの場面、バスケットボールはシュート、サッカーはシュートだったのをドリブルにしたなど、以前と変化したものも多々あるとのことです。
 Tokyo2020_03_o 33競技50種類をデザインされて、「会心の作は?」と問われて、廣村氏は「陸上競技」(右)と答えていました。
 スッキリと美しくて印象的です。
 
 次に川島氏が企業との事例、とくに「とらや」との取り組みについて明かされました。これはifs未来研究所と三越伊勢丹がコラボレーションして、「未来の夏ギフト」を展開したときのお話しで、興味深かったです。
 従来の地味な羊羹のイメージを超える「皆でワイワイ、シェアできる“みらい”の羊羹」をテーマにした、3人のデザイナーによる創作和菓子、グエナエル ニコラ氏の雅な扇子の形、テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏の粋な縞模様、アートディレクターの渡邉良重氏の水中花のような表現は、もう従来の地味な羊羹のイメージを超えている、と思いました。
 バカラをイメージしてつくったという、ひと口サイズの和菓子の詰め合わせも、ほんとうにおしゃれでビックリ!です。「職人に無理を言うことで新しいものができる」というのも名言ですね。
 創業500年の老舗に新風を吹き込むことに成功した川島さん、これからもご活躍を期待しています。

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2019年9月 2日 (月)

「ザ・ノース・フェイスの挑戦」渡辺 貴生 副社長が講演

 先般開催された「日経クロストレンドFORUM 2019」で、ゴールドウインの渡辺 貴生 副社長が登壇。「ザ・ノース・フェイスの挑戦」をテーマに基調講演されました。Img_51281jpg  「ザ・ノース・フェイス」は日本で独自に進化したといいます。渡辺 貴生氏はこの“ジャパン ノース・フェイスを作った男”といわれているのです。何故アウトドアのプロからストリートの若者まで熱烈に支持されるようになったのか。また注目企業・スパイバーと共同開発した構造たんぱく質素材で何を目指しているのかなど、その裏側を語られました。

 まずは設立の歴史です。1966年にサンフランシスコで、登山を趣味としていたダグラス・トンプキンスが「ザ・ノース・フェイス」という名前の小さなスキー用品店を立ち上げたのが始まりといいます。後を継いだのがケネス・ハップ・クロップで、アウトドアに着目してビジネスを発展させます。続いてリチャード・バックミンスター・フラーが“デザインサイエンス” という思想を持ち込み、この中で「最少の物質、時間、エネルギーが最大の効果を発揮する」という考え方を打ち出します。
 フラーのこの哲学は以後、ザ・ノース・フェイスが掲げる3つの理念に受け継がれているといいます。すなわち、①地球環境保護活動に積極的に関わること。②アウトドア業界の中で最高のパフォーマンスを創造すること。③アウトドアスポーツからアスレティックへ、より多くの人が楽しめるよう拡張すること。
 次に、今秋冬からの「ザ・ノース・フェイス」の新たな事業です。
 一つは、水を通さず空気は通す新素材「フューチャーライト(futurelight)」を使用したアイテムの発売です。この素材はナノスピニングの技術を応用した不織布の一種で、通気性のないゴアテックスに比べ革新的と強調します。
 二つには、“Core & More(コア・アンド・モア)”、つまりアスリートの発想をコアにマーケットのさらなる拡大を図る戦略です。例えば人気のヒューズボックス(FUSE BOX)はアスリートの意見を参考に背負い心地を改良してリニューアルしたといいます。
 またファッション業界への認知度を高めるために、コム・デ・ギャルソンやハイクとのコラボ、ナナミカによる別注ラインのパープルレーベルなどに力を入れていくとも。
 三つには、リテール・オペレーション、小売り事業戦略です。これには様々な取り組みがあり、例えば「ザ・ノース・フェイス・マウンテン」は山好きに特化した店、「ザ・ノース・フェイス・プラス」は、ノース・フェイス以外のブランドも扱うアウトドアの店、「ザ・ノース・フェイス・マーチ」は女性向けの店など、それぞれに個性のあるショップについて、一つひとつ解説されました。
 さらにもう一つ、これまであまり提案してこなかったキャンプ市場にも、来年度からは本格参入するといいます。

Img_51361  最後に取り上げたのが、未来へ向けたプロジェクトです。
 注目はやはり“ムーンパーカ(MOON PARKA)”です。これはベンチャー企業のスパイバーと共同開発している人工クモの糸素材“クモノス(QMONOS)”を使用したダウンジャケットで、いよいよ年内に発売予定といいます。とはいえデザイナーたちは早くもこの素材を扱い始めていて、サカイは2020春夏メンズコレクションでスパイバーとのコラボTシャツを、またユイマナカザトも同じ素材で今秋冬オートクチュールコレクションを発表しています。
 “クモノス”は人工合成タンパク質素材で生分解可能です。生分解へ向けて開発が進み、ファーフリーファーやフリース素材がこのような素材に置き代わっていけば、海洋汚染の要因となっているマイクロプラスチック問題の解消につながるかもしれません。
 「生活環境に密接に関わる事業に取り組み、さらなるチャレンジを続けていく」、 渡辺氏はこう力強く述べられ、講演を締めくくりました。

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2019年9月 1日 (日)

インテリアライフスタイル ⑿ 暮らしの新しいアクセント

インテリアライフスタイルの「アクセント」ゾーンには、デザインプロダクトやファッションアイテム、ベビー&キッズグッズ、ギフトなど、暮らしに新しいアクセントを加える幅広い商材が集まっています。

SYN(シン)
 長野市が本拠地のニットメーカー「タイコー」による新ブランドです。信州長野のライフスタイルから感じる心身のすこやかさを伝えるプロダクトを発信しようと、今回初出展していました。ブランド名の「SYN」は「Sympathy Lab in NAGANO」の頭文字をとったものです。デザインデュオの「キギ(KIGI)」(このブログ2019.8.24付け掲載)もこのプロジェクトに参画しているといいます。
Img_50401  プロダクツはすべて長野の自然の中での暮らしや知恵を研究してつくられていて、主力は靴下です。デイリーなものからランニングやフィッシングなどのスポーツソックス、さらに医療機器としての着圧ソックスなど。
Img_50311  とくに私が注目したのが、右写真のツボソックスです。着圧が苦手な方向けのもので、磁石で足指に程よい刺激を与え、血行を促進するといいます。隠れ五本指になっているのもいいですね。足指を開いて履けるようになっているのに、見た目は普通で、外側からは5本指ソックスであることがわかりません。
 これなら靴を脱いだときも慌てないですみます。

COTTLE(コトル)
 デニムの街、倉敷市児島で、昨年立ち上がったばかりの新しいブランドです。築120年以上の古い織物工場をリノベーションして工房兼ショップにしたといいます。
Img_50221   使い捨てでない愛着を持って長く着込んでいける特別な定番品をつくる取り組みを進めているとのこと。その精神性に共感しました。
 
G.F.G.S 
   ブースには明るいカラーのボーダーのTシャツがいっぱい。ここはオーダーボーダー(完全受注生産)でカットソーをつくる新潟県加茂市のニッターです。G.F.G.S.は"Good Feel, Good Style."の頭文字からとったそう。
  ボーダーの幅と配色、それにサイズを選んでオーダーすると、“あなただけ”のボーダーシャツをつくることができるのです。生地は天然素材のコットンが中心で、軽くてやわらかい。
 ニットシャツのオーダーメイドという新しい業態に注目です。

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