インテリア ライフスタイル ⑸ 地域を活かすものづくり
インテリア ライフスタイルのトークイベントで、もう一つ興味深かったのが、幅広いデザイン活動を行なうKIGI(キギ)と、本見本市 アトリウム特別企画のディレクターを務めるメソッド 代表 山田 遊との対談です。
テーマは「地域を活かすデザイナーとものづくり」。KIGIは、クリエイティブディレクター・アートディレクターの植原 亮輔氏とアートディレクター・デザイナーの渡邉 良重氏の二人によるデザインユニットです。
今回アトリウム特別企画に初出展したKIKOF(キコフ)は、KIGIが滋賀県の琵琶湖周辺を拠点に活動する伝統工芸の技術者の組織であるマザーレイクプロダクツと共同で立ち上げたプロダクトブランドです。トークではこのKIKOFの話題が中心となりました。
湖琵琶湖の周辺には古窯があり、その一つが信楽焼です。KIKOFはこの信楽の焼ものです。信楽焼といえばたぬきの像が有名で、火鉢のような厚みのある大きいものが得意といいます。
キギはこのような伝統のイメージを打破するアイデアを提案したのです。それはグラフィックデザイナーらしいペーパークラフトからの発想で、紙のように薄く軽い陶器です。紙を折って立ち上げていくことでデザインを考え、直線のみで構成された器を設計しました。
最初に一番難しいと思われるポットをつくったそう。それができればあとはついてくると思ったといいます。
ベースとなる形は、尖り過ぎず、また角が甘くならない八角形に落ち着きます。ろくろでつくることが習わしになっていた職人さんたちが、これを受け入れて、石膏の型を使い積極的にチャレンジしてくれたそう。試行錯誤を重ねて完成した器は、空気を含んで軽い信楽の土だから再現できたとも。
なおKIKOF(キコフ)の「キ」は器の音読み、「コ」は湖で、「フ」はフリーの意味だそう。色は琵琶湖の湖面の色彩で、新色はグリーンとか。
第二弾として木工家具も制作。ブースではそのテーブルやイスも展示し、統一感のとれたモダンなテーブルウェアが一際目を惹いていました。
2015年度の東京アートディレクターズクラブ主催のADC賞でKIKOFはグランプリを受賞したとのこと。伝統工芸を現代の感性で解釈し、新しい価値観を生み出して地域を活性化させる好例ですね。
この他、越後妻有の美しい盃、「酔独楽(よいごま)」プロジェクトや、信州長野発のSYNプロジェクトも紹介。
地方発ものづくりにデザイナーが大きな力を発揮していることに改めて感銘しました。
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