島津冬樹さん 段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル
「荷を解いたら捨てられる運命の段ボール」に目を留めたアーティストがいます。それがCarton代表の島津冬樹さん。島津さんは拾った段ボールから財布やカード入れなどをつくる活動をされています。
先日、カラート71プロジェクトで、スピーカーとして登壇、「段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル」をテーマにその魅力を語りました。

湘南育ちの島津さん、子どもの頃は貝拾いして標本にしたり、キノコにもはまったり。集めることと表現することが好きで、それが段ボールアーティストへの道につながったといいます。
段ボールで財布をつくったのは大学生のときで、動機はいたって単純。財布を買い替えたくてもお金がなかったからだそう。つくってみたらカッコいいし耐久性もあり、多少の雨も大丈夫。学園祭で500円の値段をつけて売ったら、柄が選べると好評だった。段ボールに愛おしさを感じ、そこに物語があることに気付き、それがどこから来たのか、元の場所に返そうという気持ちになったそう。段ボールの7割は食品関係なので、全国の市場を巡るようになったとか。日本の段ボールには各地の“ゆるきゃら”が描かれているものが多く、そのダサさにも惹かれるそう。段ボールの表面にはこすった跡がついていて、そんなところにもストーリーを感じるといいます。
ルーツをたどる旅は世界へ広がり、自ら段ボールピッカーと称し、これまでに世界35か国を旅して、街角で段ボールを拾っては財布をつくってきたといいます。国によってデザインに特徴があるのを発見するのも楽しいそう。例えば欧米の段ボールは日本のものよりも色が濃くて堅い。木が含まれているからだそう。
島津さんの活動は「旅する段ボール」というタイトルで、2018年に映画化され、全国に順次公開されています。また初のエッセイ「段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル」も出版し、一躍メディアの寵児といった存在になっています。
誰もが見向きもしなかった段ボールをデザインし、機能的な財布に生まれ変わらせている島津さん。今やあちらこちらの教室で教えたり、ワークショップを開いたり、引っ張りだこの様子です。
作品はオンラインストアCarton Storeで購入できます。国立新美術館のミュージアムショップにもあるそう。撥水のような化学的な加工は一切されていない自然のままの段ボールです。そのあたたかな表情もいいですね。
「不要なものから大切なものを生み出す」島津さんのコンセプトに、共感の輪が広がっています。
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