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2019年7月 2日 (火)

オランダ テキスタイルミュージアムに学ぶ繊維産業の未来

 オランダの首都アムステルダムから車で1時間ちょっとの郊外にあるティルブルグ(Tilburg)という町に、テキスタイルミュージアムがあるといいます。日本ではあまり知られていませんがオランダでは有名な繊維博物館だそうです。このミュージアムを訪問して大いに刺激されたという業界のキーパーソン、糸編代表取締役・宮浦晋哉氏、うなぎの寝床代表取締役・白水高広氏と、オランダ大使館広報のバス・ヴァルクス氏によるトークイベントが、先月初め、東京・墨田区の国際ファッションセンターにて開催されました。
  題して「テキスタイルミュージアムから学び考える日本の繊維産業の未来」です。司会・進行は宮浦氏で、「このミュージアムに学んで、このような拠点を日本にもつくれないか」と考えているとか。その軽妙な語り口に乗せられて、実際に現地に行ったかのような雰囲気にさせられた、楽しいセッションでした。

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 まずはバス・ヴァルクス氏がミュージアムの概容を紹介。この辺り一帯は歴史的に中世以来テキスタイル産業が盛んだった地域だったそう。とくに羊を飼育していたことからウール事業で栄えたといいます。しかしながら1960年代になると衰退し、倒産が相次ぐようになります。ティルブルグのモマス(Mommers)家も例外ではなく、ウールブランケット工場を営みながら、産地郷土資料館に姿を変えていき、現在のテキスタイルミュージアムになったそう。
 ここではボランティアを含む288人前後の人々が働いていて、予算は年間8億3千万円、3分の2が公的資金、3分の1が入館料などの売上で賄われているとのこと。来館者は昨年約8万人だったとか。中でも好調なのがミュージアムショップで「by Textile Museum」という知名度のあるブランド商品が人気といいます。
 博物館としての展示機能に加えて、テキスタイルラボがあることでも有名です。ラボというのは撚糸から織物、編物、染色仕上げまで全ての工程を一堂に集めた実験室のような空間で、それぞれの工程に技師がついていて、誰でも希望すればテキスタイルづくりを学べるとのことです。ここにくれば体験アクティビティをして誰もがメーカーになれるし、プロ向けには宿泊などの環境も整備されていて、充実したサービスを提供できているといいます。
 伝統技能の保存、展示、製作のそれぞれが一緒になっている世界でも稀なミュージアム、ゆっくりと時間をかけてその魅力を堪能して欲しいと語られました。
 
 次に白水高広氏が日本とオランダのモノづくりに対する考え方の違いをプレゼンテーション。日本は技術に頼るところが大で、産業に多様性があるが、オランダは産業を切り捨て、デザインやアートに特化させたと分析。日本はソフト事業にシフトしていく側面と産業として他国と差別化した開発を行い、戦っていく両面が必要ではないかといいます。
 またミュージアムを訪れて、新しいことが誕生する空気感を感じてワクワクしたそう。テキスタイルラボでは技術の継承が脈々と行われていて、日本でもこうした施設をつくれないものか、と述べていました。
 
 繊維産業が縮小しつつある日本ですが、その魅力を伝え、世界に発信していくためにテキスタイルミュージアムがあるといいですね。それにはティルブルグに行って見ることが先決、私もそんな機会をつくりたいと思っています。

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