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2019年7月

2019年7月31日 (水)

アーカイブ ストア 90年代のジャン=ポール・ゴルチエ展

 「アーカイブ ストア(Archive Store)」という、ブランドの希少なアーカイブを展開しているセレクトショップが渋谷区神南にあります。今、この店で90年代のジャン=ポール・ゴルチエ展「Collection of Jean Paul GAULTIER from 1990's」が行われていると聞き、行って来ました。
 ジャン=ポール・ゴルチエといえば、アバンギャルドなパンク精神にあふれたファッション界の異端児と呼ばれるデザイナーです。1980年代にはフランスを代表するファッションブランドとなり、長年人気ナンバーワンを守り続けました。パリコレでは常に大喝采を浴びていたことが思い出されます。
Img_53591  そのゴルチエ作品約50点が、ビルの地下にあるショップで展示・販売されています。狭い部屋ですが、全面鏡張りなので広く感じました。
Img_53551jpg  入って真っ先に目に飛び込んできたのが、右の “キモノ”ドレスです。
 1999年春夏コレクションで発表されたもので、ベールのような透ける素材に女性のボディがプリントされています。
 ちょっと妖しげな雰囲気が漂う逸品です。

 ハンガーにはゴルチエのアイコニックなアイテム、マリンボーダーニットからドラゴンのタトゥープリント、メンズ用スカート、“見せる” ランジェリーなどがズラリ!と揃っていました。

Img_53581  上は"サイバードット"、1995年秋冬の作品です。

 ジャン=ポール・ゴルチエがいかに当時のファッションを塗り替えた先駆者だったかがわかるエキシビションでした。
 なおこれは31日までの開催で、次回は8月半ば頃からアンダーカバーのアーカイブを展示するそうです。また楽しみですね。

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2019年7月30日 (火)

ユニーク バイ モードシティ⑶ ジューンブライドの白が復活

 ユニーク バイ モードシティの会場で、最初に目に付いたのが特別展示「Bride to Be(未来の花嫁)」でした。Img_33421  6月の花嫁、“ジューンブライド”の伝説があるヨーロッパでは、日本と異なりこの時期にウェディングベルを鳴らす人たちは多いのです。
 このコーナーには白いウエディング・ランジェリーが集結していました。Img_33441
 とはいえ清楚なコットンの白いドレスは、普通にタウンウェアとして着こなせます。ボイルやチュール、ドット・メッシュなど、無垢な白ほど洗練されたエレガントを強調する色はありません。
 2020年夏はその白が復活してくると予想されています。ブライダルの白に注目です。

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2019年7月29日 (月)

ユニーク バイ モードシティ⑵ 2020年夏のトレンドショー

 ユニーク バイ モードシティでは会期中様々なイベントが行われます。中でも注目は華やかなファッションショーです。2020年夏に向けて出展ブランド各社がレディス水着を中心にビーチウェアコレクションを発表しています。
 トレンドとして浮上しているのは次の3つ。
Img_35831  1つは、シンプルでミニマル、ストレスフリーの着心地のよいワンピースやツーピース水着です。シームレスでワイヤレス、ショーツのウエストがお腹あたりまであるハイウエストのものも増えていて、スポーティでレトロな感覚のもの。(右はマックスマーラ)
 2つ目は、ボディに自信のある人向け、インスタ映えするウルトラ・ブライトカラーの大胆なルックです。プレタに見られるような装飾的なフリルやラッフル、ボーなどのディテールやレイヤードの意匠、ウィンテージ調の花やストライプなどのパターンミックスも。
 3つ目は、水着なのに海やプールだけでなく、ウイークエンドウェアとしても着用できるようにデザインされているもの。チュールのロングスカートあるいはドレープするパンツとのペアになっていたり、ワンショルダーやフリルをアシンメトリックなアクセントとして見せたり。

 会期中は連日、華やかなファッションショーが開催されました。
Img_34161jpgImg_34661  上は「ビタミン・シー (VITAMINE SEA)」をテーマにしたファッションショーです。ポップで楽しいサマータイムを90年代風のスタイリングで見せていました。
 
Img_35571  Img_36191jpg  上は「ダンシング・ウィズ・ザ・フィッシュ (DANCING WITH THE FISH)」をテーマにしたショーです。海底をイメージさせるすばらしい演出でした。

  ショーには太目サイズの印象的なモデルも登場しました。
Img_35701  ワコール・ヨーロッパの「elomi(エロミ)」のような豊満体型の女性のための下着ブランドが増えていて目が行きました。
 インクルーシブ・ファッション、つまりどの様な体型であってもファッションを楽しめる社会にしようというムーブメント、これを日本ではユニバーサルファッションといっているのですが、世界のあちらこちらで起こっています。
 会場では、「インクルーシブネス」をテーマにしたシンポジウムも開かれました。そこではたくさんの女性たちがこのために声を上げていたのです。この動きを目の当たりにして、ユニバーサルファッションの重要性を改めて実感、再認識したことでした。

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2019年7月28日 (日)

「more than Reason」展 プリーツが衣服から天井や壁へ

 東京・銀座のLIXILギャラリーで今、「more than Reason (モア ザン リーズン)」展というちょっと不思議な展覧会が開催されています。
Img_51021  ドレスに纏った紙のプリーツが頭の上に伸びて、天井や壁を覆っているのです。 微妙に響く音楽も流れていて、衣服が建築に変身していく様子が興味深いと思いました。
Img_50971  このインスタレーションは、建築家の隈研吾、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナーの森永邦彦、サカナクションの山口一郎の3人のコラボレーションによるもので、同ギャラリーの展覧会企画「クリエイションの未来展」の第19回目だそう。建築とファッションと音楽の連携プレーとは!
 カードに書かれた俳句もヒントになっているようで、和のイメージもあります。末広がりの扇形プリーツのデザインが日本的です。
 カードのQRコードをかざすと音楽が聞こえてきたりして---。こういうのも、これまでにない未来のアートの楽しみ方なのでしょうね。

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ユニーク バイ モードシティ ⑴ “ハイテク” &“グリーン”

 昨日のブログに掲載した「アンテルフィリエール パリ (Interfiliere Paris)」と隣接する会場で、同時開催されたのがビーチウェアとランジェリーの見本市「ユニーク バイ モードシティ (UNIQUE by Mode City)」です。出展したのは360ブランドで、水着が中心ですが、ボディラインを整える下着もつくりが同じということで、インナーのメーカーも多数出展しています。今回はリゾートウェアやリラクシングウェアの出展も多く見られました。
 
 2020年夏に向けて水着のファッションビジネスにも革新のときが来ているようです。とくに今季は、昨今のマーケットのニーズを反映するように、“ハイテク” &“グリーン”をキーワードに展開するメーカーが目立っていました。
 “ハイテク”では、UVカットや速乾、完璧な高密度ストレッチ、耐塩素加工、抗菌---。“グリーン”では、ナチュラルあるいはリサイクルファイバーを使用したエコ・フレンドリーやエコ・サステナブルなファブリックです。
 とくに海水のマイクロファイバー汚染に敏感なミレニアル世代に向けて、この動きはますます強まるとみられています。これからのモノづくりへ向けて新たな挑戦が始まったといったところでしょう。
 
 そんな出展社の中から、日本関連のブランドを二つご紹介します。
 一つは、ワコールです。ワコール ヨーロッパ (WACOAL EUROPE)で出展していました。Img_33411 リサイクルファイバーや廃棄プラスティック使いの素材使いの水着など、エコ・フレンドリーな新製品を発表し、関心を集めていました。

 もう一つは、日本から唯一出展したランジェリーク(L’ANGELIQUE)です。この見本市には長年にわたり、継続出展しているといいます。Img_33611  展示ブースは“エクスポーズト(EXPOSED)”の中にありました。ここは主催者によるセレクトエリアで、有力な若手ブランドが集まっています。ランジェリークは、昨夏東京・新宿ニューマンに直営店をオープンさせるなど、勢いのあるブランドですし、選ばれて当然ですね。
 肌への優しさを考えたコットンやリネン、カットドビーなど最高級のナチュラル素材を使用したランジェリーやリラクシングウェアに、新たにリバティプリントのアイテムも提案。すべてに心地よさそうで、好感しました。 

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2019年7月27日 (土)

「アンテルフィリエール 」サステナブル&ウエルビーイング

 この7月初旬(6~8日)、パリで開催された下着と水着用素材の見本市「アンテルフィリエール  (Interfiliere)」を見て来ました。
Img_36231  入口付近はリゾートのリラックスした雰囲気が一杯!
 日本からも5社、旭化成、セーレン、栄レース、クロダレース、中越レースが出展していました。

 全般傾向としては大きく二つの流れがみられるようです。
 一つは、“サステナブル(持続可能)”に焦点を当てたもので、ファイバーとしてはバイオ原料やエコ・フレンドリーなナチュラル繊維、テキスタイルではリサイクル・ニットやリサイクル織物です。
 もう一つは、“ウエルビーイング(wellbeing 健康で安心)”です。快適性やプロテクト性に優れた高機能をクローズアップするものです。たとえばUVカットや抗菌、速乾、動きをサポートする伸縮性、超しなやかでやわらかな質感の素材です。

Img_33771  上はトレンドエリアです。“オーガニック・ムーブメント”や“ラグジュアリー・テキスチャー”、“ニュー・セクシー”、“ジェネラス (カラフルな花柄)”、“グラフィック・コントラスト”などのテーマ別に分類展示されています。

 日本のメーカーもこうした流れの中で、デザインや機能をさらに向上させた素材を提案していました。中でも開発力を誇る大手2社をご紹介します。
 
 旭化成は、スパンデックス繊維では世界で唯一GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得した“ロイカ” の人気がますます高まっているようです。Img_35461jpg
 セーレンは、“ビスコマジック ビューティーパイル(VISCOMAGIC BEAUTYPILE)”と“フレックス ムーヴ(Flex Move)”を大々的に打ち出していました。
Img_35371   “ビスコマジック ビューティーパイル”は、ビスコマジック技術をパイル生地へ応用した3D凹凸デザインの機能素材だそう。
 一見フロッキー加工かと思いましたが、よく見るとデザインジャカードウェアでした。

Img_35431  “フレックス ムーヴ”は、革新的な8方向ストレッチとか。
 抜群のフィット性と、切りっぱなしでもほつれないフリーカットを実現しているといいます。
 
 いずれもインナーウェアに革命を巻き起こす素材と思われます。

 日本の技術ってほんとうにすばらしい!

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2019年7月26日 (金)

ミラノのモンテナポレオーネにバカラのショップがオープン

 今回、ミラノを訪れて行ってみたいと思ったのが、バカラ (Baccarat)のショップです。この春、ミラノの目抜き通りのモンテナポレオーネにオープンすると聞いていたからです。
Img_47791jpg  場所は、モンテナポレオーネ通りの中ほどに面した内庭にあります。
 中に入るとシャンデリアが輝くゴージャスなバーやラウンジが目に入ってきます。 

 店内はクリスタルが煌めく、美しい空間! グラスのコレクションやヴィンテージのカトラリー、ティーポット---の数々に圧倒されます。Img_47751 Img_47761jpg
 バカラは、18世紀中頃、ルイ十五世の認可のもと、フランス東部ロレーヌ地方のバカラ村に創設されて以来、現在も王侯貴族のご用達という「王者のクリスタル」なのですね。日本の皇室でも使用されていますし、もちろんフランスでは大統領府のエリゼ宮での晩餐には必須のグラスです。
 その時間を超越した華麗な光りにすっかり魅了されました。

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2019年7月25日 (木)

ミラノ“10 CORSO COMO” で「チャールズ・ジェームズ」展

 ミラノのファッションスポット“10 CORSO COMO(ディエチ コルソコモ)” で、アメリカ人デザイナーのリック・オーウェンズが手がける「チャールズ・ジェームズ 形のクチュールの秘密」展が開催されていました。
Img_44361   10 CORSO COMOはミラノでもっともハイセンスなセレクトストアです。入口にはチャールズ・ジェームズ(CHARLES JAMES) が1953年に発表した“クローバー・リーフ(4つ葉のクローバー)”と呼ばれるイブニングドレスが展示されていました。とはいえこれはレプリカで、制作したのはもちろんリック・オーウェンズです。素材は“ダスト”スエードとダブルカシミア、ラッカー加工のデニム、プラスティック・メッシュが使われているとのこと。

 チャールズ・ジェームズといえば、アメリカ初のクチュリエで、戦後のニューヨーク社交界を魅了した英国出身のデザイナーです。マレーネ・ディートリッヒといったセレブを顧客に持ち、彫刻や建築のような造形的なシルエットで、20世紀のファッションに根本的な変化をもたらしたといわれています。リック・オーウェンズは彼の崇拝者であるそう。「私は90年代半ばにブランドをスタートさせました。そのときから最終的なゴールはチャールズ・ジェームズになることだったのです」と述べています。

Img_44593 Img_44581 Img_44531jpg  店内では、チャールズ・ジェームズが1930年代から70年頃までに作成したパターンや原画、プロトタイプなどを紹介する展示が行われています。作品が数学的な比率に基づいてつくられていたことが分かります。
 そのオリジナリティあふれるクリエーションの秘密をじっくり拝見しました。このようなことめったにない、希少な展覧会でした。
 ここ10 CORSO COMOは、まさにアートとデザインとファッションが融合する貴重な空間! 本展は28日までですが、また次回訪れるのが楽しみです。

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2019年7月24日 (水)

ミラノでレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年の記念イベント

 今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年とあって、ミラノでは様々な記念イベントが開催されています。先般のミラノウニカ(MU)のサマーイベントでもダ・ヴィンチが残した作品の模型などが登場しました。(このブログ2019.7.11付け参照)
 MUからミラノの街に戻ってきて、「万能の天才」と言われるダ・ヴィンチの世界に触れてみたくなりました。訪れたのが二つのミュージアムです。 
 一つは、レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館2階のレオナルド・ダ・ヴィンチ・ギャラリーで行われていた「パレード」というタイトルの特別展示です。
Img_47161  これはもう圧巻の展示でした。暖かな電球の明かりがダ・ヴィンチの科学技術研究を取り囲み、デッサンやスケッチを基に制作された天文学や医学、建築などの資料、40点余りを照らし出しています。壁面を飾るのは16世紀の古色を帯びたフレスコ画です。
Img_47111  ここはかつて修道院だった建物なのですね。あちらこちらにその面影を感じ、ちょっと厳粛な気持ちになりました。
 
 もう一つは、スフォルツェスコ城にあるミュージアムです。ミラノには何度も来ているのですが、ミラノ市最大の観光名所となっているこのお城へ行くのは初めてでした。
 ここにはレオナルド・ダ・ヴィンチがミラノ公爵 ルドヴィゴ・イル・モロを祝福するために描いた壁画で知られる「アッセの間」があり、このほど修復工事が完了、今年5月から一般公開されているのです。
  趣のある中世ロマネスク様式の佇まいを進むと、最奥が「アッセの間」です。そのドーム状の部屋で、「モロの影の中で」をテーマにした音と映像と光のマルチメディア・インスタレーションを楽しみました。Img_47571 Img_47521 ミラノで歴史の面影を垣間見たひと時でした。

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2019年7月23日 (火)

無印良品 銀座 創設100年「バウハウス」展にみる共通点

 この4月にオープンした無印良品の銀座旗艦店で開催中の「バウハウス」展に行って来ました。
 バウハウスは、第一次世界大戦後の1919年、ドイツ・ワイマールに創立された総合芸術学校です。無印良品では、デザインにまつわる重要な記録を保存・活用し、未来へ伝達する試みとなるシリーズ「Archives」で、今回創設100年を迎えた「バウハウス」にフォーカスしたといいます。
Img_49541jpg  6階のMUJI HOTEL手前にある「ATELIER MUJI GINZA」の展示スペースには、プロデューサーの中原慎一郎氏により厳選されたアーカイブ:バウハウスでも優れた才能を発揮したマリアンネ・ブラントの実験的な写真作品や照明器具、ウィルヘルム・ワーゲンフェルドの作品などが並んでいます。無印良品から選んだ製品も見られ、何と私がいつも使っているアルミ製洗濯ハンガーもありました。
 バウハウスと無印良品、ともにシンプルで機能的、むだのないピュアなデザインですね。使い手の使い勝手がよく考えられています。世の中にない革新的なものつくりを追求する姿勢も似ています。学校と企業とで業態は異なっていても、共通点が多いと感じました。
 「感じよいくらし」をテーマに、生活に本当に必要なものを最適な素材、形、そして買いやすい価格で提供してくれる無印良品。そこにはバウハウスの精神が流れていたのです。ファン度がまたしても高まりました。
 本展は9月23日までです。

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2019年7月22日 (月)

KHギャラリー銀座「光の贈り物-コシノヒロコ×circle side」

 今、KHギャラリー銀座で「光の贈り物-コシノヒロコ×circle side」展が開催されています。これはKHギャラリー銀座の最後の展覧会です。というのもヒロココシノ銀座店が移転することになったため、今月で閉廊することになったからです。
 フィナーレを飾る本展は、光りのプロジェクションによる幻想的なインスタレーションでした。Img_49821 暗闇の中に浮かび上がるのは3体の白いドレスで、足元にはかすみ草が敷き詰められています。アートユニットのcircle sideによる光の効果で、雪が降り霜でおおわれているかのように見えます。光の粒々が美しい!

Img_49891jpg  ドレスはコシノさんが2000年から2001年に制作したペーパー、つまり紙でつくられているのです。紙なので軽いそう。光りが少しずつ動いて、そのオリガミのようなフォルムを照らし出します。まっすぐに折られたラインと陰影が生み出す様々な表情にしなやかな「生命力」を感じます。平面を立体に発展させるという、東洋の美を洋服の中に表現してきたコシノさんらしい作品です。

Img_49961  2階では、ふんわりと宙に浮くチュールの作品が展示されています。レーザー光線が上から徐々に下りてきてチュールに当たり、光の粒が揺らめきます。何とも神秘的な空間構成です。

 本展は28日まで。KHギャラリー銀座はこの後静かに幕を閉じます。この7年間、たくさんのすてきな展覧会を開いていただいて感謝です。ほんとうにありがとうございました!
 これからはKHギャラリー芦屋がアートの拠点になるそう。いつか私も足を伸ばしたいものです。

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2019年7月21日 (日)

ミラノウニカ⑿ 盛会裏に閉幕 結果報告とまとめ

 2020/21年秋冬のハイエンドなコレクションを発表した第29回ミラノウニカ(MU)が11日、盛会裏に閉幕しました。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna1
 リリースによれば、来場した企業数は6,000社以上に上り、イタリア企業の数は堅調に推移、イタリア以外の各国からの来場社数は、前年同期比2.6%増と報告されています。
 このプラスに貢献したのは、インド(+ 13.7%)、香港(+ 13%)、イギリス(+ 11%)、フランス(+ 10%)、スペイン(+ 9.5%)、オランダ(+ 8.7%)とアメリカ(+ 3.5%)の企業で、中国(-13.7%)とドイツ(-14.7%)からの減少を相殺する結果となったといいます。
 出展社数についても昨年7月の水準を維持し、総数は608社。MU独自の出展社数は465社で、イタリアを除くヨーロッパからの出展社は93社となり8%増。日程を7月という早期開催に改めて3年目、この試みは概ね成功といえそうです。
 またオープニング・セレモニーで議論された、デジタルイノベーションとサステナビリティについて、MU会長のエルコレ・ポッド・ポアーラ氏は次のように言及しています。
 まずデジタルイノベーションでは、「ピッティ・インマージネとのコラボレーションにより実現したe-milanounicaの参加者が、わずか半年で3倍に増えたことは大変喜ばしい。オープニングでも述べた通り、これからは私たち全員がデジタル化の大きな利点のひとつである、パーソナライゼーションに取り組まなければならない」。
 次にサステナビリティでは、「生産プロセスに焦点を当てることに加えて、伝統的なグリーンの製品だけでなく革新的でクリエイティブな製品にも注意を向けることが重要と考えている。今後様々な分野でのプレゼンスを強化していく。」
 デジタルイノベーションとサステナビリティは、イタリアの製造業の国際化を支える基本的な要素になっているといいます。これは日本企業も同様で、企業競争力を維持するための必要条件といえます。
 
 とくにポアーラ会長との会見で、次のような本音のようなお話しもありましたので、簡単にまとめてご紹介します。
 「デジタル・トランフォーメーションを掲げているが、それ一辺倒にはなりません。アナログ好きは必ずいて、デジタルと程よいバランスのとれた社会になります。リアルな見本市は重要であり続けます。」
 サステナブルについては、「サステナブルな製品はなかなか売れていかず、かえって消費をダウンさせているようです。実際イタリアのアパレル市況はよくないです。しかし電気自動車が少しずつ出てきているように、徐々に伸びていくはずです。サステナブルなものが売れるようになるのは、まだ先のことと考えているうちに、いつか急に変化するときが来ます。ですからそのときに備えておく必要があるのです。私たちの子どもの世代、次の孫の世代には、サステナビリティが当たり前のようになるでしょう」。
 未来に向けて、胸に刺さる印象的な発言でした。さすが慧眼!

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2019年7月20日 (土)

ミラノウニカ⑾  特別展示いろいろ

 今シーズンもミラノウニカ(MU)では、特別展示がいろいろ行われました。
 まずはトレンドエリアの「フィーロ(FILO)」の先取り展示です。フィーロ(FILO)は、この9月25日と26日にミラノのステッリーネ宮殿で開催されるアパレルおよびインテリア・ファブリックス用織糸の見本市です。
025_politecnico_mu29_ph_erdna21  今シーズンの「フィーロ」のトレンドテーマは「メタモルフォーズ(変身)」です。資料を見ると、ギリシア神話に登場する“サテュロス”のような半人半獣の自然の精霊がイメージされています。19世紀末の絵画に登場した象徴主義、オディロン・ルドンやフェルナン・クノップフ、グスタフ・クリムトらが大きな発想源になっているようです。改めて神秘的なファンタジーの世界への関心が高まりそうです。
 
 次にミラノ工科大学学生の作品展です。テーマは「ユニフォーマルズ (UNIFORM ALS)」でした。歴史的なネイビーの軍服や、スクールユニフォーム、庭師やとび職などのワークユニフォーム、世界のアーミーの制服などにインスパイアされた作品が並び、なかなか壮観でした。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna41  
015_mu_cinema_mu29_ph_erdna21  使用されている生地は、MU出展企業の提供によるものです。
 MUは毎回、このような若者のインキュベーション・プロジェクト支援活動を行っていて、その成果を見本市会場で発表しています。
 
 また今回初めて「e-MilanoUnica at the Cinema」というイベントも開催されました。025_politecnico_mu29_ph_erdna1
 これはこの2月にスタートしたデジタルプラットフォームの「e-MilanoUnica」の運用基準や出展のメリット、マーケットなどを説明する10分程度のショートムービーです。見本市や出展社情報を補完する重要なツールとなるもので、半年ごとに更新されます。コンテンツのさらなる充実に期待です。
 
 この他、いつものようにMUヴィンテージという古着展もあり、盛りだくさん。モーダインからシャツアヴェニュー、イデアビエラまでの広い会場を、会期内にすべて見ることなどできません。巨大なテキスタイル見本市は見応えたっぷりでした。

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2019年7月19日 (金)

ミラノウニカ⑽ 日本パビリオン 注目のニット生地

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、全国一の丸編みニットの産地、和歌山県のメーカーの活躍が目立っていました。
 その注目のニット生地を追ってみましょう。

カネマサ莫大小
 布帛のような丸編み、それも非常に薄地のものを開発している世界トップの技術を持つ編地メーカーです。素材がコットン100%で実現されているところもスゴイとしか言いようがありません。Img_45941jpg  写真のメンズジャケットは、ニットというのに、どこから見ても布帛しか思えませんでした。

エイガールズ
 今回はゆっくりと落ち着いて商談ができたと満足そう。イタリアを始めアメリカや中国など世界中からバイヤーが来場したといいます。
 とくに目立った動きとしては、毛足の長いエコファーやスペックル染めの太番手の編地、厚みのあるワッフル編みといったテキスタイルの存在感が増していたこと。
 ボリュームのある見た目とは裏腹に軽量というのもポイントです。Img_46271 Img_46321







吉田染工

 和歌山県の地元でつながっているグループ企業の貴志川工業と合同でブースを展開。Img_45971
Img_45981jpg  今回も島精機のスライを使用したコンピューターシャカージニットを見せていました。
 布帛のようにしっかりとしたボリューム感のあるファンシーな編地です。


森下メリヤス工場

 吊編み機からコンピュータージャカードニットまで、すばらしい技術でバイヤーを魅了するメーカーです。
Img_46371jpg  今シーズンは、毛足の長いモヘアの丸編みにチャレンジしていたのが印象的でした。

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2019年7月18日 (木)

ミラノウニカ⑼ 日本パビリオン サステナブルのパワー増す

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、MUが提唱するサステナブル・イノベーションに向けて、全体にそのパワーが増しているようです。
 とくに注目したブースをご紹介しましょう。
 
古橋織布
 今回は来場者が少ないと、少し浮かない表情でしたが---。
Img_46021jpg  人気は依然、シャトル織機による薄地のコットン生地とか。
 とくにウール芯にコットンをカバーしたコアヤーンで、ウール/綿混による縮率の差が生み出す独特のシボ感のあるテキスタイルが好評といいます。

ブルールーム
 ブルーはインディゴ、ルームは織機で、産地間コラボ、播州の「播」、尾州の「御幸毛織」、浜松の「成和第一産業」によるブランドです。今回で2回目の出展で、来場者は約60社と、前回の8割程度とか。
 シャトル織機によるセルビッチ生地は、サステナブルなスロー・ファブリックとして関心が高く、とくにメンズ関連のバイヤーが興味を示してくれるといいます。
Img_46041jpg  強撚ギャバジンのコート地や、ユニフォームのブレザー地、コンパクトなシャツ地、またインディゴ染めでブリーチ加工のコーデュロイも珍しがられるそう。

前田源商店
 オーガニックコットン生地を60点展示。一つひとつの生地にトレーサビリティを可能にするQRコードを付けたのも、新しいポイントです。折からのサステナブル志向でバイヤーが絶えない様子で、大きな人気を博していました。
Img_46111
 コットン100%のものに加えてウールや麻混の交織も提案。
Img_46151_20190720153301  また「こもれび」ジャカードも発表。これは山梨県富士吉田市の産地企業が山梨県産業技術センターと山梨大学と連携し共同開発したもので、木の葉のぼやけた影をできるだけ自然のままに再現させたジャカード柄シリーズです。カスリのようなグラデーションが生地に趣のある深みを与え、表現の幅が広がりました。

渡縫織物
 山梨・富士吉田産地のハイクオリティな先染め織物のメーカーです。
Img_46201jpg  前田源商店と同様に、「こもれび」ジャカードを提案していました。シンプルな幾何学柄に微妙なシャドーが入り、立体的な奥行きを感じさせます。素材はキュプラや化合繊、シルク、コットンなど様々です。

小林当織物
 このところ秋冬シーズンのみの出展です。
 今回は予想以上の入りで、メンズとレディスのバイヤーが半々くらい。イタリア以外のバイヤーも多いといいます。
Img_43661jpg  右は、柄のリピートが60cmという巨大なジャカード織物です。
 二色使いのシンプルなデザインが爽やかな印象で、好評を博している様子です。コットン/ナイロン/ポリエステル混。

宇仁繊維
 全体に例年に比べ来場者が少ないとのこと、今シーズンはとくに英国人バイヤーの来場が目に付いたそう。前面にディスプレーした生地をもっと華やかな彩りのものにすればよかった、などと話していました。
Img_43751jpg
Img_43801  人気は透け感のあるメッシュなど、表情のあるテクスチャーです。
 しかしながら35,000点ものストックを持ち、小ロット・短納期で販売する同社はさすがに強い。ファッション市場の低迷にもめげない様子です。

サンウエル
 日本の匠の技術でつくられたトレンドファブリックを常時ストックしていることで人気の同社。今回も約100社が来場したといいます。
Img_45751_20190720154201  ウール調合繊が好調で、前面にバイオウオッシュの光るデニムをデイスプレーして人目を惹いていました。

東レ
 前週のPVブロッサム展に続く出展の同社。ここでの提案は、またしてもウルトラスエードです。イタリア中心に約60社と商談し、絶好調といった様子でした。
Img_46241  人気はリサイクルポリエステルや生分解性素材を使用したサステナブルなウルトラスエードです。明るいさわやかな色調がウインドーを飾っていました。

八木通商
 前回並みの来場者数を維持した同社ですが、全体に少ないといいます。国別ではイギリスやドイツ、フランスからの来場が増え、イタリアが少なめだったとか。
 不況の影響か、ミニマルの価格を気にするバイヤーが増え、慎重姿勢が目立ったといいます。
Img_43861  デニムはリサイクルデニムや水節約につながるテンセルデニムなど、サステナビリティを意識した素材を提案。
 右は、コットンに和紙をボンディングした特殊加工の素材です。
Img_43811jpg  
 さらに注目は右のダッフルコートです。
 素材はウール/アクリル混で、伝統の本格的なダッフルの表情を保ちながらも、アクリルによる蓄熱機能糸が取り入れられていて、保温性の高いものになっていることがポイント。
 しかも中空糸使いで、20%の軽量化が実現されているといいます。
 緻密なヴィンテージ調のヘリンボンの風合いが昔懐かしい感じでした。

 




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2019年7月17日 (水)

ミラノウニカ⑻ 日本パビリオン 新規出展に手応えを感じて

 今シーズンのミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)には30社・グループが出展しました。その内新規は5社です。初めてながら著名ブランドのバイヤーの来場が予想以上に多く、手応えを感じたといいます。次回も出展への意欲をのぞかせていました。

ショーワ
 プルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)に長年出展してきた同社が、今回MUに初出展しました。なぜPVパリを離れたのか、と伺うと、PVパリでは来場者は多くても、実のある商談がしにくかったからだそう。元々イタリアメーカーとの取引が多いという事情もあったようです。ここMUでは落ち着いた環境で、充実した商談ができたといいます。
 主調はMUのテーマとなっている、サステナビリティやエコロジーを意識したデニムです。オーガニックコットンに草木染めしたセルビッチデニムも多数提案。
Img_45841jpg  とくに目新しく感じたのは、綿100%のプリーツ加工のデニム(右)です。
 またグラデーション調に光沢加工したプリントデニムなど、デニムのバリエーションがまたしてもいろいろ、増えていたのが印象的でした。
 
東播染工
 予想を上回るバイヤーが来場し、目標を達成できたと嬉しそうでした。目に付いたのはイタリア以外のヨーロッパ、とくにオランダ人やイギリス人が多かったといいます。またその半分くらいがメンズ関連のバイヤーだったとも。
 トレンドエリアには5点、サステナブルイノベーションエリアには10点が展示され、これを頼りに訪れるバイヤーもあったそう。
Img_43611  全体に細番手ガーゼが好調で、光沢を施したライン入りシャツストライプ(右)や、やわらかなコットン起毛や先染めシャンブレー調のものも。
 また尾州テキスタイルコンテストでアワードを受賞したドビー織ギャバジン(このブログ2019.5.18付け参照)も好評を博したといいます。
 
中外国島
 長年、PVパリに出展し、ショーワ同様PVパリでおなじみの顔の同社です。今回MUに参入を決めたのは、メンズブランドの有力バイヤーが多いと聞いたから、といいます。
 提案したのは二つの異なるラインです。一つはメンズスーティングで、細番手のオーガニックウール素材のもの。もう一つは「コボ」のハイエンド向けカジュアル生地で、ウールにリネンやコットンなどを組み合わせ、織りや加工で意匠性を出した“ありそうでない”素材です。
Img_45901jpg  さらなる拡大を目指して初出展してみて、反響の大きさに驚かれたとか。予想以上にバイヤーが来てくれて、当然のことながらイタリア人バイヤーが多かったそう。日本のクオリティがイタリアに負けていないことを改めて感じたといいます。

豊島
 輸出に力を入れているものの、イタリア向けについてはあまりできていなかったことから、認知度を上げるために出展したといいます。
Img_46421  注目は「フードテキスタイル」のコーナーです。テンセルフィラメントやトリアセ、キュプロなどとともに人目を惹いていました。これは食品廃棄物を再活用するアイデアです。トマトやキャベツ、サクランボなどの野菜・果物の残渣、コーヒーの搾りかすなどから抽出した染料で染めた「オーガビッツ」コットンのコレクションで、ニット生地が中心。
 来場者はやや少なかった様子ですが、ビジネスは「これから」と意気込んでいました。
 
織工房 風美舎
 お坊さんの袈裟地という、欧州で珍しいからみ織を提案。ポリエステルが中心ですが、シルクやカシミア混も開発し、反応はなかなか良かった様子でした。

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2019年7月16日 (火)

ミラノウニカ⑺ 日本パビリオン 客足まばらも好調を維持

 今シーズンもミラノ・ウニカ(MU)に日本パビリオンのジャパン・オブザーバトリー(JAPAN OBSERVOTORY 略してJOB)が出展しました。
 会場は前回同様ホール12の同じ区画(総面積482㎡)です。厳選された30社・グループがブース展示しました。
025_japan_observatory_2_mu29_ph_erdna1  上はJOBのトレンドコーナーです。哲学≒美学、魅力≒魔力、発想≒妄想、個性≒感性の4つのテーマで、日本のプレミアムクオリティな素材を美しく飾り付けていました。

 ところが客足の方はというと、少しまばらのようでした。前回は出展10回記念のイベントがあり盛り上がっていたのですが、今回はそんな話題もありません。地元イタリアをはじめ欧州もアパレルビジネスはダウン傾向なのです。
 とはいえ商談は来場者の多寡ではありません。質の高いバイヤーの来場やリピーターと落ち着いた商談ができたというブースも多く見られ、全体的には好調を維持したといえそうです。

 とくに集客に当たっては、MUのトレンドエリアでのサンプル展示もポイントです。2020/21秋冬のトレンドテーマ“エコロティカ”では、JOBから179点、またサステナブル・ファブリック86点が選ばれて展示されました。バイヤーはこの展示を見てブースを訪れることが多いのです。中でもMUが提唱するサステナビリティを上手く採り入れて訴求しているところほど反応がよいように見受けられました。
 まずは積極的にサンプルを提出すべきですね。
 
Img_39561  毎回恒例となった午後3時からのドリンクサービス、「スプマンテバー」は連日人だかりでした。これが目当てのバイヤーも多い様子で大好評!何でも続けることが肝要のようです。

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2019年7月15日 (月)

ミラノウニカ⑹ 今夏もオリジン・パッション&ビリーフス展

 ミラノウニカ(MU)で今夏も第6回目となる「オリジン・パッション&ビリーフス(ORIGIN PASSION & BELIEFS)」展の特設エリアが開設されました。008_origin_mu29_ph_erdna31

  これはメイド・イン・イタリーの卓越性に的を絞ったイタリアファッション製造業界の展示会で、トップを務めるのは、イタリアの巨大テキスタイルグループ企業のマルゾット(Marzotto)を率いるマッテオ・マルゾット氏。世界有数のファッションブランドの少なくとも80%が、服やアクセサリーを生産するプロセスの1つあるいは複数の段階で、オリジン・パッション&ビリーフスに依存しているといいますから驚きです。
 今回は出展社数が90社を超えてMU参加以来最大となっています。(このブログ2018.7.18付けも参照)  前回同様、4つの分野:テキスタイル、レザー、テクノロジー、そしてジュエリーに別れての展示です。
 トピックとして、サステナビリティに関するプレゼンテーションも行われました。南アフリカ ケープタウン発の“WASTEMARK 廃棄物の価値 ”をテーマに、ブルーイタリーによるゼロインパクト製品製造のための新研究、ブルー・バイオ・プロジェクト(Blue BioProject)の発表など、意欲的な取り組みが見られました。
 Img_46681jpg  上は5人の国際的なデザイナーによる作品展示です。

 とくに注目したブースをご紹介します。
 008_origin_mu29_ph_erdna51 このブログで何回かご紹介しているTessitura La Colombina - Nicki Colombo。今回も機織りの実演が目を惹きます。
 
Img_46591jpg  GRISOTTO。1959年創業のライニングと布地のメーカー。旭化成のキュプロの生地を提案されていました。プリントも前面に菊の花模様が出ていてちょっとびっくり。
 
Img_46651  ビスポークシャツのLA MORANDI。シチリアが本拠地の本格的オーダーシャツのメーカーです。高級綿のダブルツイストコットンヤーンのドレスシャツを見せていました。

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2019年7月14日 (日)

ミラノウニカ⑸ 2018年の総売上高は推計を上回る

 ミラノウニカ(MU)ではSMI(システマ・モーダ・イタリア)により毎回経済概況が発表されます。
015_mu_cinema_mu29_ph_erdna11  今回は2018年のイタリア テキスタイル産業の総売上高が、今年2月時点で推計した数字を少し上回ったといいます。(総売上高0.3%減の予測に対して0.8%増) 貿易収支の黒字額も輸入が大幅に減少したため、24億ユーロを超えたとのことです。
 それに対して、2019年の第1四半期は、生産も輸出も減少したとか。それはドイツ向け輸出の落ち込みによるものだそう。アメリカ向け輸出は15.5%増と成長し、中国への輸出もそれなりの数字3.2%増を記録したのですが、ドイツ向け輸出が18%の大幅減で、穴埋めができなかったといいます。とはいえドイツが中国・香港とともにイタリアの最も重要な貿易相手国であることに変わりはないそうです。
 他のヨーロッパ諸国についても、輸出はフランスが0.5%微減、ルーマニアが7.9%減少となったのに対し、スペイン11.1%増、ポルトガル18.5%増、イギリス13.7%増。
 EU域外国では日本は5.6%増、ベトナムは28.5%増と著しい増加、一方香港は9.2%減だったそう。
 輸入では、イタリアが輸入する生地の国別シェアは、中国が27.2%、トルコが18.8%を占めているとのこと。
 製品部門別の推移に関しては、部門ごとに異なる動向が見られ、毛織物の輸出は減少に転じ、2.4%減となったとか。紡毛織物が4.1%増だったのに対して、梳毛織物は4.7%減少したとのこと。綿織物は4.2%減、ニット生地も2.6%減でしたが、絹織物は0.8%とわずかな伸び、麻織物は9.5%増の成長だったといいます。
 これらの数字には世界情勢の変化やトレンドが反映されていて、いつも興味深いです。

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2019年7月13日 (土)

ミラノウニカ⑷ 「サステナブル・イノベーション」広がる 

 ミラノウニカ(MU)では 「テキスタイル産業は持続可能性を維持できるか?」の問いに対して、「イエス」と答えられる状況になってきたといいます。それは「サステナブル・イノベーション」エリアが広がりを見せているからです。参加企業は今回、150社を超え前回比22%増、製品数は1004点となり40%増の大幅な増加だったといいます。
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna11  また製品の分類基準に二つのカテゴリーが新たに設けられていました。一つは「エヴァ―グリーン」で時間的な持続性を表現するもの、もう一つは「ファンシーグリーン」でクリエイティブな革新的製品を対象とするものです。
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna21  「エヴァ―グリーン」コーナー
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna1  「ファンシーグリーン」コーナー
 
 ところで、そもそもサステナビリティとは何でしょう。MUのエルコレ・ポット・ポアーラ会長が正鵠を得た発言をされていますのでご紹介します。「サステナビリティは環境に対して払われる敬意であり、製品のみならず工程管理においても持続可能な革新を行おうとする業界全体の自覚に始まり、循環型経済を推進する廃棄物リサイクルにまで及ぶもの」と。 
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna31  製品サンプルにはサステナブルであることを特徴づける10種類のアイコンラベルが付けられています。ポアーラ会長の言から、これらのラベルの中で、もっとも重要なものは何かというと、それはエネルギー消費の低減や水節約といったサステナブルなプロセス(工程)管理システムなのです。データによると、このようなシステムを導入し、透明性を高める方針を示している企業は全体の約4割で、そのほとんどはイタリア企業でした。イタリアのテキスタイル産業がいかにサステナビリティに注力しているかを見せつけられました。
 またサンプルの展示で最も多かったのは有害な化学物質を排除した素材で67%、次にリサイクル素材37%、オーガニック農産物23%、スローな技術やプロセスで生産された伝統的素材18%、動物愛護10%、管理された森林保全9%、循環型化合繊9%、バイオ合繊5%となっています。
 さらにサステナブル認証では、エコテックス36%、ZDHC(有害物質の使用制限)19%、GRS(グローバルリサイクルスタンダード)19%、GOTS 16%など。
 詳細はMU「サステナブル・イノベーション」カタログに記載されています。クリックしてご覧ください。

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2019年7月12日 (金)

ミラノウニカ⑶ トレンドテーマは“エコロティカ”

 2020/21秋冬ミラノウニカ(MU)のトレンドを物語るタイトルは“エコロティカ (Ecorotica)”です。これは現代を象徴する二つの重要な概念、一つは地球環境を保全する“エコ・サステナビリティ”と、もう一つは自分自身を楽しませたい欲動の“エロティシズム”の融合から生まれたといいます。すなわち地球という複雑に息づくマクロな視野と、より個人的な感情をかき立てるミクロな視点に立った、二つの考え方が組み合わさっているのです。
 アートディレクターのステファノ・ファッダ氏は、「エロティシズムという発想は、グローバルなスケールで影響力のあるSNSが始まりです。“Like! (いいね!)”は自己を表現し、見せることで人から褒められたい、評価されたいという欲求を高める原理で、そこにはエロティシズムと受け取れるような美的次元に導くパワーがあります。一方、エコ・サステナビリティは今では避けては通れないあらゆるクリエーションの原点です」と語っています。
 加えて「このトレンドでは自らの姿を見せたい、驚かせたいという力強い美が展開されます。ダークなクチュールのムードが主調で、光りや透け感、クラフトワーク、メリハリを効かせたテクスチャーミックスが浮上する」とも。
 トレンドエリアではこのコンセプトを基調に次の3つのテーマが提案されました。ドラマティックな“エコロティック・ドラマ”、超自然的な“エコロティック・エデン”、シュールな“エコロティック・サーカス”です。

“エコロティック・ドラマ”

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 デヴィッド・リンチやリドリー・スコット、遡って1920年代のサイレント映画、さらにはマン・レイなどがアイコニックなシンボル。未来派的エロスのヴィジョンを表現するテーマで、ゴージャスなドレスに光沢の強いオーガンジーやブロケード、サテン。繊細なランジェリー風の縁取りも忘れずに。

“エコロティック・エデン”

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 キマイラやケンタウルスから食中植物、半ば昆虫で半ば人間のヒューマノイドなど、ドリーミーな超自然的世界。スティーブン・スピルバーグからソルヴァ・スンツボ、宮崎駿のアニメまで。みずみずしい自然と共生するエロティシズムが主役で、オーガニックなジャカードや羽根、ファー、タフティングなど。

“エコロティック・サーカス”
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 シュールな雰囲気、だまし絵風。不遜で揶揄しているように見えることもある、漫画のジョーカーのイメージ。映画ならリュック・ベッソンやティム・バートン、また官能的なクレイジーホースやシルク・ド・ソレイユのような世界の表現も。マクロなチェックやオプティカルなストライプ、エキセントリックなディテールなど。

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2019年7月11日 (木)

ミラノウニカ⑵ サマーイベントはトスカーナ州プラートへ

 ミラノウニカ(MU)の初日の夕べ、毎年恒例となったサマーイベント「Made in Italyへの旅」が開催されました。今夏は、毛織物の産地として栄えてきた町、プラートのあるトスカーナ州への旅です。プラ―ト産地の産地振興を担う「プラートトレード」40周年の記念の年でもあり、お祭り気分もあって盛り上がっていました。 

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 またトスカーナ州といえば州都はフィレンツェです。いわずと知れたイタリアルネサンスの盛都ですね。広場に入ると、私たちを出迎えてくれたのが、ミケランジェロのダヴィデ像のレプリカです。その奥には、レオナルド・ダ・ヴィンチが発明したといわれる模型がインスタレーションされ、寸劇も行われていてびっくり!

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 ちなみに今年はレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年で、ミラノでもダ・ヴィンチゆかりの様々なイベントが催されています。

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 毛織物産地プラートらしい展示も見られました。

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 この地域の芸術や歴史、風景が再現された場内で、バンド演奏が響くなか、おいしいフードを楽しんだ一夜でした。

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2019年7月10日 (水)

ミラノウニカ⑴ デジタル革新とサステナビリティテーマ開幕

 ミラノにパリ経由で来ています。気温は33度とのことですが、からりとした空気のせいか、暑くても吹く風が爽やかに感じられます。
 2020/21秋冬のテキスタイルと服飾付属品を発表する第29回ミラノウニカ(略してMU)が、9日、ミラノフィエラ・ローにて開幕しました。

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 出展社数は昨年7月の水準を維持し、総数は608社。またMU独自の出展社数は465社で、イタリアを除くヨーロッパからの出展社は93社となり8%増加したといいます。日本からは30社・団体が出展しています。

018_cerimonia_mu29_ph_erdna2  初日のオープニングセレモニーで、中心となったテーマは、前シーズンから継続するデジタル革新とサステナビリティ、すなわち「デジタル・トランスフォーメーション」と「サステナブル・イノベーション」です。 
 MU会長のエルコレ・ポット・ポアーラ会長の挨拶の後、ポアーラ会長を議長に、司会にバンビアンコ・ストラテジーエ・ディンプレーザのダヴィド・バンビアンコ氏が起用され、業界のボードリーダーたちが参加して、上記テーマについて話し合われました。
 まず「デジタル・トランスフォーメーション」では、トピックは「e-milanounuca」です。これはこの2月ピッティ・インマージネとのコラボレーションにより実現したマーケットプレイスのプラットフォームで、参加者はそれぞれ最新コレクションの中から最大20点の製品を出展し、クオリティのPRとともに様々な思いを伝える場となっています。リリースされた当初は60社だったのが半年後の現在、153社に増え、この急速な伸びは“うれしい驚き”といいます。デジタル提案の正しさが証明され、もう一つの刺激、拍車となるものをつくりあげることができたと評価する一方、まだまだ成し遂していかなければならないことは多く、課題は山積みのようです。
 次に「サステナブル・イノベーション」では、サステナブル・プロジェクトへの参加が想像以上に広がったといいます。参加企業は150社を超え前回比22%増となり、展示された製品数も1004点40%増と大幅に増加したそうです。また今回は、製品の分類基準に新しいカテゴリーが導入されました。それは大きく二つで、一つはクリエイティブで革新的な製品を対象とする「ファンシーグリーン」、もう一つは時間的な持続性を表現する「エヴァ―グリーン」です。
 トレンドエリアでは「エコロティカ」、つまりエロティック+エコロジーのコンセプトで大規模な展示とともに、サステナブル・プロジェクトの展示にも注目です。
 さらにイタリアファッション会議所のアワード「グリーンカーペット」への参加にも触れ、MUは持続可能なファッションをクリエイティブに表現することのできる若手デザイナーに賞を授与するとのことです。場内で参加する10人のファイナリストたちが紹介されました。
 この他、「オリジン・パッション&ビリーフズ」の質の高い提案など、今回のMUは様々な魅力に富んだ会期となりそうです。

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2019年7月 9日 (火)

セミナー 体幹トレーニングで美しい体を手に入れる

 美しい体や姿勢を山本よく手に入れるには「正しい知識」が必要ではと、2日、東京・青山で開かれたうらら会セミナーに参加しました。
 テーマは「体幹トレーニングで美しい体を手に入れる」で、講師はパーソナルトレーナーの星 工(ほし たくみ)さんです。
  「体幹」とは何かというと、胴体の腹筋や背筋を支える筋肉のことだそう。この体幹をきたえると、次の3つの効用があるといいます。まず見た目が変わる ― つまり姿勢がよくなる、次に動きが変わる ― 動作が楽になり、動きに無駄がなくなる、3つ目に怪我の予防になる ― とくに腰痛や肩こりを予防するそう。
20190702hoshi  次にZOA(Zone of Apposition)というインナーマッスルのコンセプトを図解していただきました。つまり横隔膜と骨盤底筋の間のハコのような部位で、この部位のマッスルをきたえるには肩関節や股関節を動かすことがポイントのようです。
 実際に体を動かし、姿勢→柔軟性→筋力→呼吸→動作の順で、一つひとつトレーニングを体験し、すっかり汗をかいて終了しました。
 運動はやっぱり楽しい、そう思えたセミナーでした。さあ、後は実践するだけ---。

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2019年7月 8日 (月)

モーダ・イタリア/シューズ・フロム・イタリー盛会で閉幕

 第55回モーダ・イタリア展/第65回シューズ・フロム・イタリー展が、2日~4日、ベルサール渋谷ガーデンで開催され、盛会裡に幕を閉じました。

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 出展企業は、アパレル関連46社、レザー関連42社、シューズ関連36社の124社、来場者は1.337社1.741名と発表されています。昨年同期は 997社1.286名とのことですので、大幅に伸びたことになります。

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 初日のアペリティーボ“HAPPY HOUR”で、イタリア大使館 貿易促進部のアントネッラ・マルッチさんが挨拶(上の写真)。
 今回は日本国内で地方を拠点とされるバイヤーの方々に加え、台湾、韓国、マレーシアからバイヤーを招聘し好評を得たといいます。また日本のイタリア製品、中でもカジュアルシューズの輸入量が今年の1月から4月、前年同時期と比べると、39.51%も増えたことに驚きの声を上げていたのが印象的でした。

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 上は“フォトシューティング”の写真の一部です。セレクトされた出展社のアイテムをモデルが実際に着用し、カメラマンが撮影したもので、展示会の魅力をアピールしていました。
 
 EPA発効により、衣料品の関税が撤廃され、バイヤーの買い付けに熱気が感じられた会期でした。次回は2020年2月4~6日、同じベルサール渋谷ガーデンにて開催されるとのことです。

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2019年7月 7日 (日)

メゾン・エ・オブジェ9月展は「ワーク!」をテーマに

 「インテリアのパリコレ」と呼ばれるインテリア雑貨の総合見本市「メゾン・エ・オブジェ(MAISON ET OBJECT) 9月展」が、9月6~10日にパリ・ノール・ヴィルパントで開催されます。
 これに先駆けて、プレビューのセミナー「MAISON & OBJET DAY in TOKYO」が先月末の28日、東京・永田町グリッドにて行われました。

 まず主催するSAFIの CEO フィリップ・ブロカール氏が登壇。 9 月展の概容を説明しました。

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 メゾン・エ・オブジェは年2回開催される総面積130,000㎡の大規模な見本市で、約3,000ものブランドが出展します。来場者は約85,000人から90,000人で、その半数はフランス国外から、日本からも前回実績で2,200人が来場したそうです。
 その目的は3つ、出会いの場をつくること、インスピレーションをかき立てる場となること、そして新しい才能を見出だす場となることといいます。
 展示構成については昨年の9 月展に変更した通り、大きく二つ、オブジェゾーンとメゾンゾーンがあり、前者は製品(プロダクト)カテゴリー別、後者は分野別で、クラフト、フォエバー(タイムレス)、コンテンポラリー、ユニーク&エクレクティックの4つに分かれているとのこと。
 また9月展のデザイナー・オブ・ザ・イヤーには、フランス人建築家のローラ・ゴンザレスさんが選ばれたことや、同時期に開催されるパリ・デザイン・ウィークなどについても触れられました。
 
 次に世界が注目するトレンドセッター、エリザベス・ルリッシュさんが、テーマ「ワーク!(WORK !)」を解説しました。
 Img_32521これは働き方が変化するなか、住宅のコンセプトをオフィスに採り入れる企業が増えつつある現状を鑑みたもので、こうした状況に呼応するワーキングプレイスを提案するものといいます。これにより革新的なインテリアのソリューションを提供できるとしています。
 「WHAT’S NEW」の1,200㎡のコーナーで、200から250のプロダクトが展示され、ヨーガのためのリラックススペースを含む新しいカンファレンスルームを提示するなど、従来の仕事を超えた場を紹介していくといいます。
 全体テーマは「ケア(CARE)」です。ウエルビーイング(well-being)への関心の高まりから、健康や居心地の良い空間を意識した、次の4つのテーマで展開するとのこと。
・SIMPLY TOGETHER (シンプリー・トゥギャザー) ミニマルなライフスタイルの打ち出し。
・MEDITERRANEAN CRAFT (メディテラニアン・クラフト) ボヘミアン的エスニックスタイル。
・DEEP NATURE (ディープ・ネイチャー) 自然に浸りたい、ローカリズムへのアティテュード。
・CITY ELEGANCE (シティ・エレガンス) 洗練された都会の休息を提案。
 私もこの9月展に行ってみようと思っています。どんな発見があるのか、楽しみです。

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2019年7月 6日 (土)

島津冬樹さん 段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル

 「荷を解いたら捨てられる運命の段ボール」に目を留めたアーティストがいます。それがCarton代表の島津冬樹さん。島津さんは拾った段ボールから財布やカード入れなどをつくる活動をされています。
 先日、カラート71プロジェクトで、スピーカーとして登壇、「段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル」をテーマにその魅力を語りました。

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 湘南育ちの島津さん、子どもの頃は貝拾いして標本にしたり、キノコにもはまったり。集めることと表現することが好きで、それが段ボールアーティストへの道につながったといいます。
  段ボールで財布をつくったのは大学生のときで、動機はいたって単純。財布を買い替えたくてもお金がなかったからだそう。つくってみたらカッコいいし耐久性もあり、多少の雨も大丈夫。学園祭で500円の値段をつけて売ったら、柄が選べると好評だった。段ボールに愛おしさを感じ、そこに物語があることに気付き、それがどこから来たのか、元の場所に返そうという気持ちになったそう。段ボールの7割は食品関係なので、全国の市場を巡るようになったとか。日本の段ボールには各地の“ゆるきゃら”が描かれているものが多く、そのダサさにも惹かれるそう。段ボールの表面にはこすった跡がついていて、そんなところにもストーリーを感じるといいます。
 ルーツをたどる旅は世界へ広がり、自ら段ボールピッカーと称し、これまでに世界35か国を旅して、街角で段ボールを拾っては財布をつくってきたといいます。国によってデザインに特徴があるのを発見するのも楽しいそう。例えば欧米の段ボールは日本のものよりも色が濃くて堅い。木が含まれているからだそう。
 島津さんの活動は「旅する段ボール」というタイトルで、2018年に映画化され、全国に順次公開されています。また初のエッセイ「段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル」も出版し、一躍メディアの寵児といった存在になっています。
 誰もが見向きもしなかった段ボールをデザインし、機能的な財布に生まれ変わらせている島津さん。今やあちらこちらの教室で教えたり、ワークショップを開いたり、引っ張りだこの様子です。
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 作品はオンラインストアCarton Storeで購入できます。国立新美術館のミュージアムショップにもあるそう。撥水のような化学的な加工は一切されていない自然のままの段ボールです。そのあたたかな表情もいいですね。
 「不要なものから大切なものを生み出す」島津さんのコンセプトに、共感の輪が広がっています。

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2019年7月 5日 (金)

東京都スポーツ産業セミナー ISPOミュンヘン2020概要

 (これは昨日の続きです。)
 「成長を続けるスポーツ産業と東京」をテーマに開催された東京都スポーツ産業海外展開セミナー、その一番の目的は、ISPOミュンヘン2020の「東京パビリオン」出展に向けた企業募集でした。
 ISPOミュンヘンは世界最大級のスポーツ用品の見本市とされていて、会期は来年1月26日~29日です。「東京パビリオン」は都内中小企業の海外展開を促進するため出展支援を実施するもので、審査の上、10社程度を決定するといいます。(実はもう応募は締め切られました。) 2020年は東京オリンピック・パラリンピックという一大イベントの開催年でもあり、東京のスポーツ産業が今後さらに有望な産業へと変貌を遂げると期待されているのですね。

Img_06521 上の写真はこの2月展に出展した日本のJETRO主催の日本パビリオン「J-VILLAGE」です。私はこの2月初めのISPOを取材し、このブログ2019.2.8付けに記事をアップしています。合わせてご覧ください。

 またしても来年、ミュンヘンに行ってみたいですが---。どうなりますか。

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2019年7月 4日 (木)

東京都スポーツ産業セミナー 為末大氏「スポーツの可能性」

 為末大氏といえば、有名な元陸上選手です。この400メートルハードルの日本記録保持者が6月18日、東京都スポーツ産業海外展開セミナーで講演されるというので、どのような方なのか、興味津々行ってきました。

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 テレビで見るよりもずっとさわやかなイケメンでした。
 全体テーマが「成長を続けるスポーツ産業と東京」でしたので、「スポーツの可能性」と題して語られました。
 まずはスポーツの歴史を紐解きます。最初に旧石器時代の遺跡、ラスコー壁画を見せられてびっくり!ここには未来への予測や、何かを残したい欲求が描かれていて、このような人間の精神性がスポーツへつながるといいます。次いでオリンピック発祥の地、古代ギリシアです。すべて同じ完璧な人体を表現したオリンピアンの体型は美と同義であったそう。
 次にスポーツの定義です。スポーツの語源はラテン語の「deportare(デポルターレ)」で、「日常生活から離れる」という意味があり、「気晴らし」や「楽しみ」「遊ぶ」を指しているとか。「play」もここから派生した語だそう。ちなみに現在、為末氏が代表を務めている会社は「Deportare Partners」です。社名はこの言葉から採ったものだったのですね。
 スポーツとは、身体を動かして楽しんだり憂さ晴らしをしたりするものだった ― そう考えるとスポーツビジネスも違って見えてきます。欧米ではチェスなどの遊技もスポーツというのはこのためだったのですね。2年くらい前にポケモン・ゴーというゲームが流行りましたが、これをやると捕まえるのが楽しくて、人がひとりでに動き出します。楽しさが身体を動かすスポーツの好例で、衝撃的だったといいます。
 次にスポーツと最先端テクノロジーの話に移り、今後のスポーツの可能性について触れられました。なおこの分野は、スポーツ×テクノロジーに関するプロジェクトに取り組む自身の会社「Deportare Partners」と深く関わっているようです。例えば競技用義足や加速度センサーなどコラボ企業との事例を紹介。近年とみにウェアラブル機器が進化し、人間の能力拡張が起こっているといいます。チャンピオンになるためのスポーツから健康長寿やヘルスケア、介護のスポーツまで様々。ITを組み込んだ新しいスポーツも誕生してくるといいます。
 最後に海外へチャレンジするポイントを挙げました。長期で考え、情熱を長く保持、絶対にあきらめないことが成功の秘訣だそう。石の上にも3年、これはスポーツに限らず、何にでもいえることですね。頑張りましょう。

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2019年7月 3日 (水)

循環型社会セミナー「ファッションとサステナブル」

 先月初め、「ファッションとサステナブル~これからのアパレル企業が目指すもの~」と銘打った循環型社会セミナー(繊研新聞社主催)が、東京・渋谷で開催されました。
 冒頭、主催者から在庫を扱う物流会社からの提案で企画されたセミナーであるとの趣旨説明があり、その後、業界を代表する4名の識者が次々に登壇。在庫をつくらない方法や滞留在庫の循環方法などを語りました。会場は満席で、アパレル企業のサステナビリティへの関心の高さが伺われました。
 最初は基調講演で、演壇に立ったのはディマンドワークス代表の斎藤孝浩氏です。Img_28461 在庫コントロールを生業にされてきたご自身の経験から、小売り目線でアパレル在庫をどうしたら最適化できるかを話されました。
 売れ筋と死に筋について、よく売れているからといって売れ筋とは限らない、在庫過多なら過剰分は死に筋商品で会社に損失をもたらすなどといったことから、勝ち組企業の代表としてZARAの商品企画―基本色に対し絞り込んだ色や柄をコーデイネイト提案する―や、ZARAが仕掛ける店頭マジックなどを紹介。毎シーズンのリスク回避や分散方法を解説し、最後に在庫を売り切る原則として、商品計画や販売計画を全社で共有すること、そして週毎に進捗確認・軌道修正して販売終了週までに全社協力して売り切ることが重要であると強調しました。

 休憩をはさんで次に講演したのが、アイコレクトジャパン取締役 田中秀人氏です。アイコレクト、通称アイコ(I:CO)は繊維リサイクル世界最大手、スイスのソエックスグループに属し、元はソーラーパネルを生産していた会社だったそう。2009年にドイツで不要な衣類を店頭で回収する事業を立ち上げ、アメリカ、フランス、中国そして日本にも拠点を構えて、世界中で活動しているといいます。目指すのは循環型アパレル産業の構築(CLOSED LOOP)で、パートナー企業が続々増加。今では60か国以上、H&Mやアディダスなどの小売業中心に50社以上に上っているそう。 
1img_2840  右はこのブログ2014年1月30付けに掲載したときの「アイコ」のブースです。回収箱は企業ごとに様々。当時も色々な彩りのボックスが並んでいました。
 回収された衣服は、リ・ウェア(再着用)されるものが60%、残りの40%が反毛して自動車用などに、リサイクルされるそうです。
 今後の課題は、環境への負荷をできる限り無くすこと、その上で古着をポジティブに使っていくことに焦点を当てると述べ、締めくくりました。

 3番目に登場したのが、ウィファブリック代表取締役社長 福屋剛氏です。在庫「デッドストック」を資源とみなし、企業間で簡単に取引のできる企業間マッチングプラットフォーム・スマセル(SMASELL)を運営し、循環型社会を目指していくとのこと。「オンラインプラットフォームで滞留在庫の販売機会を最大化し、廃棄の無い循環型社会を目指す!」をテーマに、スマセルの今後の可能性を熱くスピーチしました。

 トリを務めたのが、NHN SAVAWAYのTEMPOCLOUD事業部事業部長 安達友昭氏です。「プラットフォームが考える循環型マーケットのご提案」と題して、今年4月にリリースしたクラウド型ECプラットフォーム「TEMPOCLOUD(テンポクラウド)」を活用した循環型マーケットのお話をプレゼンしました。

 今や、良いものを作って売れればよいでは済まされない変革期です。セミナーを終えて、在庫削減と同時に廃棄処分後の循環過程まで、切実に考えていかなければいけない、そんな時代に突入したことを改めて痛感しました。

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2019年7月 2日 (火)

オランダ テキスタイルミュージアムに学ぶ繊維産業の未来

 オランダの首都アムステルダムから車で1時間ちょっとの郊外にあるティルブルグ(Tilburg)という町に、テキスタイルミュージアムがあるといいます。日本ではあまり知られていませんがオランダでは有名な繊維博物館だそうです。このミュージアムを訪問して大いに刺激されたという業界のキーパーソン、糸編代表取締役・宮浦晋哉氏、うなぎの寝床代表取締役・白水高広氏と、オランダ大使館広報のバス・ヴァルクス氏によるトークイベントが、先月初め、東京・墨田区の国際ファッションセンターにて開催されました。
  題して「テキスタイルミュージアムから学び考える日本の繊維産業の未来」です。司会・進行は宮浦氏で、「このミュージアムに学んで、このような拠点を日本にもつくれないか」と考えているとか。その軽妙な語り口に乗せられて、実際に現地に行ったかのような雰囲気にさせられた、楽しいセッションでした。

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 まずはバス・ヴァルクス氏がミュージアムの概容を紹介。この辺り一帯は歴史的に中世以来テキスタイル産業が盛んだった地域だったそう。とくに羊を飼育していたことからウール事業で栄えたといいます。しかしながら1960年代になると衰退し、倒産が相次ぐようになります。ティルブルグのモマス(Mommers)家も例外ではなく、ウールブランケット工場を営みながら、産地郷土資料館に姿を変えていき、現在のテキスタイルミュージアムになったそう。
 ここではボランティアを含む288人前後の人々が働いていて、予算は年間8億3千万円、3分の2が公的資金、3分の1が入館料などの売上で賄われているとのこと。来館者は昨年約8万人だったとか。中でも好調なのがミュージアムショップで「by Textile Museum」という知名度のあるブランド商品が人気といいます。
 博物館としての展示機能に加えて、テキスタイルラボがあることでも有名です。ラボというのは撚糸から織物、編物、染色仕上げまで全ての工程を一堂に集めた実験室のような空間で、それぞれの工程に技師がついていて、誰でも希望すればテキスタイルづくりを学べるとのことです。ここにくれば体験アクティビティをして誰もがメーカーになれるし、プロ向けには宿泊などの環境も整備されていて、充実したサービスを提供できているといいます。
 伝統技能の保存、展示、製作のそれぞれが一緒になっている世界でも稀なミュージアム、ゆっくりと時間をかけてその魅力を堪能して欲しいと語られました。
 
 次に白水高広氏が日本とオランダのモノづくりに対する考え方の違いをプレゼンテーション。日本は技術に頼るところが大で、産業に多様性があるが、オランダは産業を切り捨て、デザインやアートに特化させたと分析。日本はソフト事業にシフトしていく側面と産業として他国と差別化した開発を行い、戦っていく両面が必要ではないかといいます。
 またミュージアムを訪れて、新しいことが誕生する空気感を感じてワクワクしたそう。テキスタイルラボでは技術の継承が脈々と行われていて、日本でもこうした施設をつくれないものか、と述べていました。
 
 繊維産業が縮小しつつある日本ですが、その魅力を伝え、世界に発信していくためにテキスタイルミュージアムがあるといいですね。それにはティルブルグに行って見ることが先決、私もそんな機会をつくりたいと思っています。

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2019年7月 1日 (月)

Iris van Herpenとポストヒューマン ファッションデザイン

 先般、「イリス・ヴァン・ヘルペン(Iris van Herpen)とポストヒューマン ファッションデザイン」と題した講演会が、日本服飾文化振興財団にて開催されました。
 講師は『ファッションと哲学』(フィルムアート社)共編者でオランダのラドバウト大学教授のアネケ・スメリク氏です。来日を記念して、FashionStudies × 横浜国立大学のコラボレーションにより実現したもので、コメンテーターとして横浜国立大学都市イノベーション学府Y-GSCスタジオの室井尚教授と同学府博士課程後期在学中の福尾匠氏も参加されました。学生も多数来場し、熱気あふれる会場風景でした。

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 スメリク氏は、本講演の副題である「ファッションとテクノロジーの融合が作るイリスの美しいひだの表現を通して、ポストヒューマン ファッションを紐解く」に沿いながら、オランダ人ファッションデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルペン(Iris van Herpen)のファッションデザインについて、ポストヒューマンの視点から語られました。
 冒頭、トレンド予測のフォーキャスターとして知られるリー・エデルコートの名言、「現代は新しい唯物論の時代に突入しています。形、色、機能に先立つものとして物質があるのです」を紹介。
 この新しい唯物論はポストヒューマンと密接に結びついているようです。ポストヒューマンとは、これまでのような人間中心ではない森羅万象すべてを含む世界観を指します。AIやロボットが登場し機械と人間の境界がどんどん曖昧化する世界の中、ファッションとして生み出されたのがイリスの3Dプリントで設計された複雑なひだ表現なのです。

 元来、自然を大切にしてきた日本人にとって、イリスのデザインは実はなじみやすいものだったのですね。
Img_27931  イリスの2016年秋冬コレクションのテーマは「Seijaku (静寂)」(右の写真)です。また最新の2019年秋冬物は「Shift Souls (魂にシフト)」で、魂という目に見えないものをモチーフとしていて、どこか日本の禅に通じるものを感じさせます。

 スメリク氏がここで決定的に重要なのがクラフトマンシップであると断言されていたのも印象的です。最先端テクノロジーが必須なのは言うまでもありませんが、最終的にモノづくりの90%は職人の手仕事でつくられるというのです。今やイリスのデザインも素材が進化し、非常にやわらかい弾力性のあるファイバーを用いることで、自然にインスパイアされた有機的なものをつくれるようになっているといいます。ファッションとは人体が身に着けるもの、まずはボディありきで考えるべきというのも、記憶に残る言葉です。

 ポストヒューマンのファッションデザインは、人間主体から脱却し、生きとし生けるものすべてを包含する“アッセンブラ―ジュ”の精神により構成されると結ばれ、講演をお終えました。

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