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2019年5月

2019年5月31日 (金)

2020年春夏ミラノウニカ 流行色2019 SUMMER掲載

Scan00481  この春発行された「流行色2019 SUMMER No.597」に、今年2月に開催された「2020年春夏ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

  その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。

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2019年5月30日 (木)

「イタリア・アモーレ・ミオ! 2019」“七夕” テーマに開催

 日本最大級のイタリアン・フェスティバル、「イタリア・アモーレ・ミオ! 2019」が7月6日(土)~7日(日)に赤坂サカスにて開催されます。これに先立って、この21日、駐日イタリア大使館で公式記者会見が行われました。 

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 ジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使の挨拶や、オリビエロ・モレリ在日イタリア商工会議所会頭らによるスピーチの後、今年で第4回目を迎える「イタリア・アモーレ・ミオ!2019」の概要説明が行われました。
 テーマは「イタリアン七夕(Italian Tanabata)」です。というのも開催日がちょうど日本の「七夕祭り」の日だからなのですね。このイタリア版七夕の愛のシンボルは、ヴェネト州ヴェローナを舞台にしたシェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」で、場内にはジュリエットのバルコニーが再現されるとか。
 今年の「イタリア・アモーレ・ミオ! 2019」は、とてもロマンティックなイベントになりそうです。
 
Img_23691  今回の会見で、特別ゲストとして登壇したのが、俳優でタレント、司会者の峰竜太さんと、ファッションモデルの国木田 彩良さんのお二人。
 峰竜太さんは、「イタリア・アモーレ・ミオ! 2019」のPR大使に就任されるとのことで、トロフィーが贈られました。

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 イベント会場では、美食の国イタリアならではの様々な味が楽しめる他、夏らしいイタリアンビアガーデンもオープン、本場ナポリのピザマエストロによるオリジナルピザ「アモーレ・ピッツァ」も用意されるとのことです。またイタリアのドキュメンタリー映画「セレンディップ」のプレミア上映やライブ中継、アモーレミオ・オリジナルラブソングも披露されます。

 ファッションでは、イタリアNABA(ミラノ新美術アカデミー)の1_6 ファッションプロジェクト「ファミリードレス FamilyDress」(写真右)も発表されるとのこと。これは手作りのニットドレス31体が連なる作品で、当日は試着も可能といいます。

 さらにプラチナスポンサーとなっているマセラティの車両2台も展示される予定とか。
 
 グルメから音楽、ファッションなど、様々なイタリアのカルチャーやライフスタイルを丸ごと紹介するイベント、「イタリア・アモーレ・ミオ! 2019」。入場無料ですし、気軽にお出かけしてみてはいかがでしょう。私も楽しみにしています。

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2019年5月29日 (水)

「ポップサーカス湘南公演」 超人技に目が釘づけ!

 この4月下旬にオープンした「ポップサーカス湘南公演」に開始早々行って来ました。会場は湘南モノレール(鎌倉市)の湘南深沢駅前です。開業の少し前、とんがり屋根のピンク色をした建物ができているのを見て、これは一体何なの、と不思議に思っていました。気づいたらモノレールの駅や車内はサーカスの宣伝ポスターが一面に貼られていて、もうびっくり!

Img_19361  場内は満席状態で、子ども連れでいっぱいでした。
 私も子どもの頃、親にサーカスを見に連れて行ってもらったことを思い出しました。

 照明が落ちて幕が上がると,煌びやかな舞台が出現!ジャグリングのパフォーマンスからパワフルなアクロバットと様々な大技が飛び出し、落ちて事故でも、と心配します。フラフーパーのテクニックにも驚嘆したりして---。回転する両輪の中と外を行き来するデスホィールもスゴイとしか言いようがありません。フィナーレの空中ブランコまで、まさに超人技の連続に目が釘づけ!でした。

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 団員は外国人揃いです。世界のトップパフォーマーが集まっていたのですね。動物はいなかったですけれど、これも動物愛護と思えば気になりません。
 子どもたち、さぞかし楽しかったことでしょう。すばらしい思い出になったと思います。

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2019年5月28日 (火)

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」展

 今、アートの世界では、19世紀末から20世紀初頭にかけてのアールヌーボーと呼ばれる時代がクローズアップされています。 中でもこの時代、オーストリアの首都、ウィーンでは独自の装飾的で煌びやかな文化が花開きました。
 1_5_1 これを牽引したのがグスタフ・クリムトを中心とする美術家グループのウィーン・ゼセッション(ウィーン分離派)でした。彼らはファッションクリエーションにも大きな影響を与えているのですね。
  私はウィーンやパリで、彼らの作品を何度も見ています。それなのにまたしても東京・国立新美術館で「ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」展が開催されているというので、見に行って来ました。ウィーンがどのようにして世紀末文化を開花させていったのか、本展はその軌跡を探る、新しい切り口の展覧会でした。
 
 まずは、第1章「啓蒙主義時代のウィーン」です。
 始まりは18世紀のハプスブルグ家の女帝マリア・テレジアの肖像画(1744年)からです。マリア・テレジアとその息子、皇帝ヨーゼフ2世が統治したこの時代は、啓蒙思想に基づいた社会の変革が行われて、ウィーンがヨーロッパ文化の中心地へと変貌を遂げていく、そんな時代だった事がわかります。
  
 第2章は「ビーダーマイアー時代のウィーン」です。
 ウィ―ンの文化は、ナポレオン戦争終結後の「ビーダーマイアー」様式へ発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽をつくったといいます。ここでは当時の絵画や実用的な家具とともに、何とシューベルトが愛用した丸縁の眼鏡も展示されていて興味深かったです。
 
 第3章は「リンク通りとウィーン」です。
 ウィーンの大動脈「リング通り」が開通するなど、ウィーンが近代都市へ移行する時代です。当時の都市計画が、日本の映像技術(DNP大日本印刷の高精細3Dデジタルアーカイブ技術)で再現されていのにも注目です。
 
 最後の第4章が「世紀末のウィーン」です。
 グスタフ・クリムトやエゴン・シーレなど、ウィーン・ゼセッション(ウィーン分離派)が登場した、まさにウィーン文化の黄金時代の作品が集められています。

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 上は、クリムトの「エミーリエ・フレーゲの肖像」(1902年の油彩画)です。本展のポスターにもなっている名画で、唯一、写真撮影可となっていました。
 装飾的で抽象的な表現にどこかジャポニスム、日本美術への関心が感じられるようです。
 

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 上は、エミーリエ・フレーゲのファッションにインスパイアされて制作されたドレスで、文化服装学院の学生による作品です。
  
2  もう一つ注目はエゴン・シーレのコーナーです。

 とくにシーレの自画像(1911年)は印象的でした。

 彫りの鋭い目、額のシワ、背後には描きかけの作品などがあり、内なる精神状態が表されているようで、どきっとします。

 右は、シーレをモチーフにした本展のポスターの画像です。

 ミュージアムショップでは、ウィーン世紀末のポスターなどから抜き出したアルファベット30文字を使った、マグカップやTシャツが販売されていました。

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 文字もこんな風に装飾的にデザインするとは! 世紀末のウィーンがいかにエネルギーに満ちあふれていたか、窺えるようです。
 
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  美術館のロビーにはグランドピアノが置かれていました。
 Img_18351 これは“ベーゼンドルファー 全世界25台限定モデル”だそう。裏面にクリムトの傑作「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」の原画が描きこまれていました。(今はもう展示期間が終了となりました。)
 
 なお展覧会は8月5日までとロングランです。お出かけしてみてはいかがでしょう。

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2019年5月27日 (月)

2020春夏米沢テキスタイル展 爽やかな織物やニットに注目

 山形県米沢のテキスタイル産地の展示会、「米沢テキスタイルコレクション」(米沢繊維協議会主催)が、5月9日~10日、東京・有楽町の東京交通会館で開催されました。出展したのは同産地の13社です。

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 2020年春夏向けとあって、明るい爽やかな色使いの先染めやジャカード柄物が目立っていました。冷たく光る表面感も目に付きました。いずれも軽やかな薄地の、高級感のある織物です。また素材では、予想以上にコットン複合が多く見受けられました。

<軽く薄い生地
 空間を広げたストライプや少し大きめのウインドーペインチェック、サッカーやシャーリング風の表面感のある生地が、シャツやブラウスに爽やかです。
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   写真はいずれもジャカード織の老舗、安部吉のコレクションからのものです。

ニット
 特殊な丸編み機によるボーダーやチェック、ジオメトリックなニットが注目されます。クリーンなカラーが新鮮で、スポーティ。心地よい綿素材が使われています。
Img_19801 Img_19821   写真はいずれも米沢産地の青文テキスタイルの生地です。同社は織物に加えてニットにも力を入れています。
 
<光沢感>
 ファンシーといっても程よいバランスのジャカードで、上品な抑えた光沢のものが多くなっています。

Img_19951 Img_19921jpg 羽生田織物                 結城通商

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2019年5月26日 (日)

湊 茉莉展「うつろひ、たゆたひといとなみ」を見て

 今、銀座メゾンエルメス フォーラムでパリを拠点に制作するアーティスト、湊 茉莉さんの日本における初の個展が開催されています。
 タイトルは「うつろひ、たゆたひといとなみ」で「うつろいゆく世界と人々の営み」を意味しているそうです。

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 メインギャラリーでの展示は、即興的なカラーペインティングの彩りに圧倒されました。

Img_20131  白い布には、黄河やエジプト、メソポタミアといった古代文明にインスパイアされたモチーフが描かれていて、人類の遥かな歴史を感じさせます。
 
 外側のガラスブロック壁の巨大なペインティングのカラーの反映もあって壮観でした。
 
 最近のファッションテキスタイルも、原初の昔にインスパイアされたクリエーションが目立つように思われ、アートの世界との呼応を感じさせられました。
 

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 サブギャラリーでは、一転アーティストのふるさと、日本に戻り、京都の桂離宮をイメージさせるインスタレーションが展示されています。「ツキヨミ」と名付けられているのは、桂離宮が観月のための山荘だったからなのですね。雅な気品あふれる作品です。

 久々にスペクタクルな展覧会を楽しませていただきました。
 会期は6月23日まで。なおファサードペインティングの方は、好評につき6月2日まで延長されるとのことです。

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2019年5月25日 (土)

コットンの日⑵ COTTON USAセミナー&技術の最先端披露

 ウェスティンホテル東京にて開催された「コットンの日」のイベント前半は、COTTON USAに関するセミナーでした。4人のスペシャリストたちがそれぞれミニ講演を行いました。 
 トップに登壇したのは、国際綿花評議会(CCI)ハンク・ライクリー会長です。COTTON USAの最新情報を、品質、サステナビリティ、トレーサビリティのキーワードを用いて解説しました。

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   品質については、2019/20年度は豊作が見込まれ、多種類の高品質な綿花を供給できると予想されているそうです。
 サステナビリティでは、綿は強い天然の繊維であり、アメリカ綿は最高のサステナビリティ基準で生産されていると断言。しかも綿の生分解は他の繊維と比較して速いことを、ノースカロライナ州立大学の調査から紹介しました。この結果報告によると、水中では8か月後に綿100%のサンプルは生分解率が76%だったのに対し、レーヨン100%は60%、ポリエステル50/綿50は40%、ポリエステル100%ではわずか4%だったといいます。製品のライフサイクルの初めから終わりまで、コットンは環境にもビジネスにとっても良い選択肢であると強調しました。
 トレーサビリティに関しては、環境及び社会の国連企画への準拠を確保するために、サプライチェーン全体で原材料を特定できるようにしていくといいます。法科学を用いて原産地を判定するオリテイン(ORITAIN)社と協働し、スーピマとアメリカアップランド綿に原産地証明を提供するとのことで、既にスーピマ綿は産地を完全にマップ化し、100%トレーサビリティが可能になっているそうです。アップランド綿も2020年度中に本格展開する予定であるとのことでした。
 
 二番手は、アメリカの綿花生産者であるハードウィック・プランティング農場のマーシャル・ハードウィック氏です。
 Img_20601アメリカ綿のサステナビリティへの取り組みをプレゼンテーションしました。ここ35年間にわたり水使用の82%削減など環境負荷を軽減してきたことや2025年に向けたさらなる環境負荷軽減目標、また2020年に本格展開する生産者任意参加型の農場レベルのプログラムである「USコットン・トラスト・プロトコル」など、未来のためのサステナブルな農業を目指して尽力すると熱弁しました。 
 
  三番手は、村田機械VORTEXプロダクトマネージャーの森 昭二氏です。
Img_21001jpg   VORTEX精紡機はリング精紡機に比べ、工程短縮や時短効果、ロス削減で効率アップし、小ロット多様化に対応することなどを説明し、少しでもサステナビリティに役立てて欲しいとアピールしました。
 
 最後に登場したのは、CCI技術コンサルタントのロジャー・ギルマーティン氏です。
 Img_21121jpg 「サプライチェーンの各行程で高品質な綿衣料を低コストで納期通りに出荷するには」をテーマに、その研究成果を語りました。結果としてテキスタイルサプライチェーンのニーズは、製造する製品に適したアメリカ綿を選ぶことで満たされる、アメリカ綿は製造の全行程で効率が高く、廃棄物が少なく、高品質で不良品が少ないとの結論が得られたといいます。さらにアメリカ綿の本当の利点は低コストにある、一見安価な綿花購入がコスト削減につながると思ってはいけない---と見解を述べられました。
 
 セミナー終了後は「WHAT’S NEW IN COTTON? (コットンの新機能)」にフォーカス。アメリカ綿の技術の最先端がランウェー形式で披露されました。

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 これらはプルミエールヴィジョン・パリでも展示されたブランドです。このブログ2018.10.2付け2019.3.2付けにも記事を掲載していますので、併せてご覧ください。

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2019年5月24日 (金)

コットンの日 ⑴ COTTON USAアワードに吉田沙保里さん

 「コットンの日」の5月10日、国際綿花評議会(Cotton Council International 以下、CCI)主催のイベントが東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開催されました。
 そのクライマックスとなったのは、第16回COTTON USAアワードの授賞式です。アワードを受賞したのはレスリング五輪金メダリストの吉田沙保里さん。引退後も新しいことに前向きに全力で取り組む姿勢とやさしい温かみのある人柄が、コットンの世界観にふさわしいと選出されました。

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 上は授賞式で吉田沙保里さんとCCIのハンク・ライクリー(Hank Reichle)会長です。
Img_21481  舞台に上った吉田さん。まず「光栄です」と挨拶。グリーンのコットンの生地でつくられたロングドレスが爽やかで、明るい笑顔をいっそう引き立てていました。
 コットンについて訊かれて、「コットンは肌触りがよく着心地がいいのでリラックスできます。現在もそうですが、現役のときもコットンジャージにくるまっていましたし、アメリカ綿のタオルは手放せませんでした」。最後に「コットンを使いながら目標に向かってがんばります!」と力強いメッセージを送られました。

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2019年5月23日 (木)

2020春夏テキスタイルネットワーク展-未来を始めています

 今シーズンも「テキスタイルネットワークジャパン(T・N Japan)」展が、4月24日と25日の両日、渋谷文化ファッションインキュベーションにて開かれました。
 この展示会は、全国の産地に散在する、ユニークな服地づくりをする機屋を集めたテキスタイル職人による合同展です。新規3社を含む23社が出展し、「未来を始めています」をテーマに、各社得意の新作コレクションを発表しました。

古橋織布(静岡県浜松市)
1_4  浜松を中心とする遠州産地は綿織物を得意とするメーカーが集まっています。
 中でも同社はシャトル織機使いで伝統的な手法にこだわる機屋さんで、ミラノウニカにも連続出展し、海外バイヤーからも高く支持されている様子です。
 ボイルやローン、タイプライタークロス、バフクロスなどの人気素材を揃え、今季は新たに海島綿使いを打ち出していたのが印象的です。

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福田織物(静岡県掛川市)
Img_18851  極細の超細番手綿織物で好評を博しているメーカーです。
 未来へ向けて、というテーマもあるのでしょう。とくに和紙やヘンプを使用した生地を前面に打ち出すなど、多様な素材を提案し方向転換を印象づけていました。

八王子織物工業組合 澤井織物工場
Img_19051  伝統工芸品に認定されている「多摩織」を担う機屋さんです。以前グーグル×リーバイスのプロジェクト・ジャカードProject Jacquardで、導電性の糸を制作され注目されたことがありました。自然素材のローテクと最先端のハイテク技術を混淆した新感覚の素材を生み出しています。その匠の技に注目です。

播州の機屋(播州織工業組合) 遠孫織布
 播州(兵庫県西脇市)で、70年の長きにわたり播州織を支え続けている織物工場です。
 とくにジャカード織が好評で、カットジャカードのカラフルな色使いと大胆な図柄に魅せられています。
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播州の機屋(播州織工業組合) コンドウファクトリー

 Img_18941 播州織という先染め織物の中で、より複雑な柄織りを生産しているメーカーです。
 そのモダンな感覚のジャカード織物に目が留まりました。

 

HCN浜松コットンネットワーク 遠州ネット
Img_19091  遠州産地伝統の希少なからみ織を生産しているメーカーです。経糸がからんだ透け感のある生地でさらっとした心地良い肌触りが特徴。コットンに限らずリネン使いなど、様々なオリジナルを提案されています。

HCN浜松コットンネットワーク 辻村染織
Img_19141jpg  藍の糸染めから織りまでを自社で一貫生産している遠州正藍染めのメーカーです。
 藍染めの伝統に向き合い、デザイン性を吹き込んだ木綿100%の刺し子や中厚地織物が人気といいます。

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2019年5月22日 (水)

プラダ×妹島和世 一風変わったバッグがかわいい

 大連休前のことですが、ドーバーストリートマーケット銀座のショールームで、あの「プラダ×妹島和世」のバッグ・コレクションがディスプレーされていました。
 妹島和世といえば日本が世界に誇る建築家ですね。これはこの妹島さんがプラダのブランドを象徴するナイロン素材をテーマに制作したバッグで、プラダのプロジェクト「Prada Invites」の第二弾です。昨秋のミラノコレクションで発表されて大きな話題となりましたので、私も実物を見てみたいと思っていました。

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 見た目「これがバッグなの?」と思う、一風変わったバッグです。でもどこか愛らしくてかわいい! 
 コンセプトが「ペット」というように、体に巻き付ける「ボディバッグ」はペットがくっついているようにも見えます。
 ブラックナイロンのコンパートメントとふくらんだカラフルなアクセサリー部分は、ファスナーとカラビナで切り離せるようになっていて、ユーザーが自由にカスタマイズすることができるのもうれしい。そこには建築家ならではの発想があふれているようです。

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 それにしてもこれはもう、バッグの枠組から外れています。新しいものを生み出す力とは何か、改めて思ったことでした。

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2019年5月21日 (火)

皇室文化が香る「ようこそ、ボンボニエールの世界へ」展

 銀座のミキモトホールで、「ようこそ、ボンボニエールの世界へ~皇室からのかわいい贈りもの~」展が、この10日まで開催されていました。丁度平成から令和に代わる頃で、皇室文化の香りにちょっと触れてみたくなったこともあります。何しろ私のような庶民には及びもつかない世界です。

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 ボンボニエールというのは、金平糖のようなボンボン菓子を入れる手のひらサイズの小箱のことで、とくに天皇の即位や皇室の方々のご成婚、ご誕生といった慶事の際に皇室から出される引出物のようなものを言うそう。
  本展では明治から平成にかけての銀製や磁器製、漆塗りなどのボンボニエール60点が展示され、菊のご紋をあしらったものや、駕籠型のもの、可愛らしい犬張り子型のものもみられ、高度な細工にびっくり! 拡大鏡でどこが開くのか、観察できるようになっているものもありました。

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 写真撮影が可能だったのは、上の「鶴亀形ボンボニエール」です。岩上の鶴亀を付した銀製菓子器で、明治天皇の銀婚式・大婚25周年の祝典の晩餐会で配られたものだそう。 

 日本の美と技を凝縮した小さくてかわいい贈り物---。代替わりという歴史的タイミングで目にしたこともあり、印象的でした。

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2019年5月20日 (月)

スクール水着博覧会と大人の女性向けスクール水着発表会

 水泳・介護用品メーカーのフットマークが「スクール水着博覧会 ~昭和から平成女子スクール水着の歴史~」展を4月20日、同社マーク館にて開催しました。
 この一般公開に先駆けて記者発表会と新しい分野の「大人の女性のためのスクール水着」発表会が行われ、私も一般社団法人湘南くらしのUD商品研究室の有志とともに参加しました。

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Img_17571  会場には歴代の女子スクール水着を身に着けたマネキンが並び、なかなか壮観でした。

 右は今回初披露された「大人の女性のためのスクール水着」の展示風景です。

 
 発表会はまず「スクール水着博覧会 ~昭和から平成女子スクール水着の歴史~」展からスタートしました。

 前半の昭和までの歴史については、磯部成文取締役会長が直々に解説を担当。かつての海水浴風景がPPで紹介され、大変懐しかったです。合繊メーカーが台頭した昭和50年代はナイロンの水着が流行るようになり、私も家族と海で泳いだ思い出が蘇りました。
 女子スクール水着をフットマークが手掛け始めたのは1978年だったそう。その時の水着は丈夫なダブルトリコットで、折からのスポーツブームもあって水泳人気は目覚ましく、1980年には全国に5万ヵ所ものスイミングクラブができたとか。1982年には、水着に名前が書けるライン入りのものを他社に先行して発売したところ、大ヒット。一人ひとりの名前が大きく見えると、水泳指導面で大変役立ったそうです。1983年には縦横ともに伸びるストレッチ、ツーウェイ水着を登場させ、これが現在の水着の主流となったといいます。
 
 後半の平成以降は会長に代わる右腕の白川氏が、撥水、高視認性、UVカットなど新素材導入に伴う様々な新商品をプレゼンテーションしました。とくに1993年に出したアクアラインスイムスーツは、蓄熱保温素材を使用したもので、大人の女性用に開発し好反応を得てスクール水着に投入し、眼玉商品になったそう。
 2000年には健康ブームが到来し、当時フィットネスクラブで人気があった太ももまで隠す股下14cmのオールインワンタイプを学校水泳にも採用。とはいえ着替えなどの問題もあり、2002年にはセパレーツ型を企画。サイズも別々に選べる利点もあり、これによりスクール水着の売上が大きく伸びたといいます。2004年にはTシャツ型にも挑戦するなど、デザインの幅が広がっていきます。2008年にはセパレーツ型の需要がついにワンピ―スを上回るようになり、中高生では7割がセパレーツ水着になったとか。
 2012年になると、リバイバル水着が流行し、スカート付きワンピースを発信。ユーザー自身が水着を自由に選べる時代に突入したこともあり、安心安全で「かわいいスクール水着」として現在も好評を博しているといいます。
 
 私も知らなかったスクール水着の流れを伺い、そうだったのかと、まさに目からウロコでした。
 
 次に「大人の女性のためのスクール水着」発表会へ移ります。ネットショップ担当の鈴木 幸子さんが、この水着を着用したモデルを前に、そのポイントを語られました。

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  コンセプトは「かわいいスクール水着」で培ったノーハウを基に開発した、海でもプールでも使える大人の女性のためのスクール水着です。商品名は「OTONA NO SUKU-SUI スクールセパレート」。これまでの「かわいいスクール水着」の仕様を、成人向けに応用したもので、ターゲットはどちらかというと露出や派手な水着を好まないモノトーン水着を求める20~30代、友達や子どもの付き合い、ダイエットなどで水着を必要としている女性たちであるそう。そこでカラーも濃紺とグレーの二色を選んだといいます。
 特徴は、開けすぎない上品な胸元のカット、気になるお腹もフレアでゆったりカバーされ、内側には黒のインナーが付いていてめくれてもお腹は見えません。キュロット型パンツも二重構造になっているので安心とか。太ももの露出を抑え、お尻から太ももにかけてのシルエットがわかりにくいスタイルになっている、といいます。
 サイズはS~6Lまで揃っています。ネット通販のみの扱いで発送は5月10日から。価格は6,800円(税別)とリーズナブルです。
 シンプルで体型をカバーするエレガントなデザインは、万人受けするものと思われます。きっと予想以上の販売量になるのではないでしょうか。次々とヒットを飛ばすフットマーク、次は何を打ち出されるのか、ますます注目です。

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2019年5月19日 (日)

「フェンディ クラフ」展 毛皮クラフトと現代アートの競演

 先月初めから半ばにかけて、フェンディ(FENDI)の毛皮のクラフトマンシップと現代アートが競演する「フェンディ クラフ(FENDI CraFF)」展が、東京・表参道のバツ・ギャラリーで開催されました。

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 たまたま通りかかった私、入ってみてびっくり!そこはカラフルなアートワークであふれていました。こんなにも美しい色が出るとは、とうてい本物の毛皮とは思われません。しかも材料は廃棄されたファーといいます。

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 壁にはそれらを接ぎ合わせてつくった巨大な作品が一面に飾られています。まさに一幅のグラフィティ・アートです。制作したのはニューヨークを拠点に活動する日本人ストリートアーティストのレディ・アイコ(AIKO)ことナカガワ・アイコアイコさんとか。
 
 フェンディは元々フェンディ夫妻がローマに設立した皮革・毛皮工房からスタートしたブランドです。ところがこの2月に長年デザインを手掛けたカール・ラガーフェルド氏が逝去。そこで今回、メゾンに代々受け継がれてきた毛皮職人の技術を現代アーティストたちとともに紹介しようと企画展を開くことになったといいます。ラガーフェルド氏の偉大さがまたしても伺い知れるようです。
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 上の写真のように、実物ドレスの展示や工房紹介のビデオコーナーも設けられていました。フェンディのクリエーションの一端を垣間見させていただいた希少な展覧会でした。

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2019年5月18日 (土)

2020春夏尾州マテリアルエキシビション⑵ 優秀作品展

 2020春夏尾州マテリアルエキシビションでは、「ジャパン・テキスタイル・コンテスト2018 優秀作品展」も併催されました。

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 これは昨年実施されたコンテストで「JFW-JC」でも展示されたといいます。今回はそれをじっくりと拝見することができました。
 審査総評によると、全体にサステナブルへの意識が高まり、イージーケアなどの機能性や軽量化へのアプローチ、日常生活での利便性へ向けての開発に関心が集まったといいます。
 いずれ劣らぬ作品が並ぶ中、ここではグランプリと新人賞をご紹介します。いずれも播州・西脇産地でつくられたコットン素材を使用した作品でした。

 まずグランプリです。
 受賞したのはコットンの「ニュー・ギャバジン」でした。西脇産地の東播染工所属のデザイナー、小野 圭那さんが憧れのギャバジンコートを思い描いて創作したといいます。

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 密度の詰まったギャバジンは一見シンプルな無地のようですが、よく見ると角度によりチェック柄が見え隠れし立体的な奥行きを感じさせます。 これはジャカードではなく、ドビー機で織り出したものだそう。ギャバジンというベーシックな織組織を捻って、変化する意匠をさりげなく採り入れたデザインが高評価されたようです。
Img_16541jpg  仕上げには塩縮加工を施して、自然なシワ感が演出されています。
 少し硬めのタッチにもこだわったといいます。 
 洗練された上質な風合いとラフなビンテージ感を程よいバランスで表現した、文字通りの新感覚「ニュー・ギャバジン」。コートのみならず様々なアイテムに展開が期待されます。

  なお、右のトレンチコートを制作したのはコ・ハクション(ko-haction)を手掛けるデザイナー、小池俊介さん。

 
 次の新人賞も、西脇産地のメーカー、島田製織のデザイナー、白本 恵美さんが受賞。
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 Img_16571jpg 「夜と波」と題した、伝統的な“よろけ織”をエレガントに表現した作品です。
 素材は細番手コットンとキュプラの組み合わせで、落ち感と見る角度により異なるサテンの光沢がポイント。
 “よろけ織”という播州ならでは波状の視覚効果と動きのある光沢感、軽い滑らかな感触が高級感を増幅しているようです。

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2019年5月17日 (金)

2020春夏尾州マテリアルエキシビション⑴ 天然複合が人気

 一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)主催の「2020年春夏尾州マテリアルエキシビション」が、4月16~18日、東京・北青山で開催されました。第18回目となる今回は、尾州産地のテキスタイルメーカー16社が参加し、1,290点の新作生地を展示。
 来場者はこのところのアパレル不振の影響もあってか、昨年同期比微減の1,112名。サンプルリクエスト数も10,492点、社数1,577社と、いずれも前回比1割弱程度下回ったといいます。
 
 素材では毛織物で培った天然素材複合が人気で、とくに麻やコットンに化合繊を組み合わせたものが多くなっています。全体に軽やかな薄地が中心で、ふくれやしじら、ドライなタッチ、スラブ使いから、フリュイドな落ち感、ラメなどの光沢感、またサマーツィードも復活傾向です。カラーでは春夏らしいビビッドで明るい色調が目立っています。
 さらに吸放湿性や接触冷感、UVカットなどの機能素材やリサイクルなどサステナブルへの関心もますます高まっている様子でした。
 
 会場中央にはいつものように、FDCが提携しているネリーロディ社のトレンド情報を基に製作されたトレンドコーナーが設けられ、開発素材194点が展示されました。下記にその一部模様をご紹介します。
 
DREAMER ドリーマー
・詩的パイオニア 
・持続可能な社会へ向けてイニシアティブを打ち出す

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Img_16691 Img_16751 鈴憲毛織 後染めトリアセコットン       虫文毛織 綿/麻ボーダー
清涼感ある透け感ギンガムチェック     細番手のサラッとした風合い
  
SEDUCTION セダクション
 ・陽気な快楽主義者
 ・「喜び」を体現するトロピカルな雰囲気

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Img_16921jpg Img_16901 長大 リネン/コットンラメ         林実業 ドビーの風通織楊柳
薄く軽いラメ入りジョーゼット        綿とリネンの収縮差を利用
  
ORIGIN オリジン
・原初からのインスピレーション
・古代のエレガンスをピュアにモダンにしたバージョン

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Img_17061jpg Img_17111 渡六毛織 シアーデニムストライプ      宮田毛織工業 テレコメッシュ 
透け感デニム ラメをミックス            綿100%異組織の目移しJQ

 

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2019年5月16日 (木)

「ジャポニスム今再び」寄稿

 19世紀末に西欧で起こったジャポニスム(日本趣味)は、ファッションにも多大な影響を及ぼしたと言われています。20世紀初頭、女性をコルセットから解放するきっかけの一つになったのは、日本の“きもの”であった、ともいいます。“きもの”の美意識は、デザインに自由度をもたらし、人体から逸脱した造形もよしとされるようになっていくのです。
 そこで一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2019年春号)のコラム「マーケティング・アイ」に、現代に連綿と続くジャポニスムを取り上げ、「ジャポニスム今再び」と題して寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。

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2019年5月15日 (水)

2019/20秋冬プリスティン 新たな息吹感じる展示会

 今シーズンもアバンティ発「プリスティンPRISTINE」ブランドの展示会が、4月10日~12日、渋谷区神宮前のイベントスペースにて行われました。

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 オーガニックコットンならではの気持ち良さを追求したレディス、ジェンツ(メンズ)、ベビー、リビングのコレクションがフロアーいっぱいに広がっていました。

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 2013年にスタートさせた回収した服でつくるアップサイクルの「リプリ プロジェクト」にも力が入っています。その新しいレーベルを2020年にスタートさせるといいます。

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 秋冬色に染めた花柄が何とも上品でエレガントでした。

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 社会的な取り組みにも頭が下がります。1997年から始めた国産原綿プロジェクトは、今や大小30拠点で栽培が広がっているそう。国産茶綿を使ったものづくりを紹介されていました。

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 新年の訪れを祝う「着衣初め(きそはじめ)」の提案です。たくさんのおめでたい「寿」ギフトにも注目です。
 
 プリスティンの新たな息吹を感じる展示会でした。

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2019年5月14日 (火)

ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―

 今、パナソニック汐留美術館で開催されている「ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―」に行ってきました。
  ギュスターヴ・モローは、ジョルジュ・ルオーの先生だった画家です。同美術館はルオーのコレクションが有名で、昨年の秋には「ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」展(このブログ2018.10.17付け)を開いているのです。
 今回はモローに絞った展覧会です。パリのギュスターヴ・モロー美術館からの名作、油彩・水彩・素描など約70点が一挙公開されています。

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 モローは1826年にパリの教養高い裕福な家に生まれ、印象派と同時代の19世紀末に活躍した画家で、象徴主義の先駆者といわれています。ギリシア・ローマの古典や聖書の物語を題材にした歴史画を描き、「アカデミズムの画家」などとも称されているそうです。
 私も以前パリのギュスターヴ・モロー美術館を訪れ、その重厚で荘厳な雰囲気に圧倒されたことがあります。
 まさに「目に見えないものを信じ、目に見えるものは信じなかった」というモロー、人間の内なるものを表現するアートを語る上で、非常に重要な画家であるといえるのですね。
 感情を揺さぶるテーマとして女性を好んで描いていて、本展は女性を軸に4章で構成されていました。

 第1章は「モローが愛した女たち」です。
 モローはどうもエディプス・コンプレックスだったようで、母に書いたラブレターのような手紙が展示されています。30年来の親しい女性もいた様子ですが、生涯独身を通したといいます。

  第2章は「≪出現≫とサロメ」です。
20190406_2841267   モローの出世作といわれる、あの≪出現≫(右)を見ることができました。宙に浮く血みどろのヨカナーンの首をカッと見つめるサロメの神秘的なシーンです。これはオスカーワイルドやビアズリーのサロメ像を生むきっかけになった名画とも言われているのですね。先日NHKの「日曜美術館」でもこのサロメを妖艶・冷酷・意志の強い女性としてとり上げていて興味深かったです。

 第3章は「宿命の女たち」です。
 男性をその魅力で破滅へと導く女性「ファム・ファタル」をモチーフにした作品、デリラやヘレナといった女性から異形のセーレーヌやスフィンクスなどがズラリ。「エウロペの誘惑」も出品されています。モローはほんとうに女性を「悪」と思っていたのでしょうか。

 第4章は「≪一角獣≫と純潔の乙女」です。
20190406_2841264  第3章とは正反対に、女性を清らかな存在として描いたコーナーになっています。右のように、ポスターにも使われている≪一角獣≫は、「貴婦人と一角獣」のタペスリーからの影響といわれているのですね。
 そして最後の最後に飾られていたのが「聖母マリア」でした。モローにとってマリア様こそ究極のファム・ファタルだったのでしょうね。
 
 本展は6月23日までです。詳細はhttps://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/index.htmlで。ご興味のある方はお早めにどうぞ。

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2019年5月13日 (月)

YKK × sitateru「ユニバーサルファッションセミナー」

 “ユニバーサルファッション”とは“ユニバーサルデザイン(UD)”を取り入れたファッションのことです。大手アパレルも今、取り組みつつあるといったところでしょう。
 先般4月9日、この“ユニバーサルファッション”の認知度向上のためのイベント、「ユニバーサルファッションセミナー~これからのファッションを考える~」が、朝日新聞社メディアラボ渋谷にて開催されました。これはYKK × sitateru、つまりユニバーサルファッション向けの新ファスナーを開発したYKKと、衣服生産のプロセスをフルサポートする新流通プラットフォームのsitateru (シタテル)が共催し実現したもので、関係者の熱意もあり、深く考えさせられる内容となりました。

 第一部は、障がい・難病の女性のためのフリーペーパー「Co-Co Life☆女子部」編集部 エディター 守山菜穂子さんによる講演で、テーマは「アパレル企業が今すぐにできるユニバーサルデザインの取り入れ方」です。 
Img_16051  まずは「Co-Co Life☆女子部」の活動やUDに関する解説から。「障がいは個人にあるのではなく社会にある」との考え方が基本と強調。障がいのある人への社会的障壁を取り除くことこそ社会の責務であり、だからこそUDが必要といいます。UDには建築設備や道具などハード面もあります。しかしながらより重要なのはソフトの面であるそう。ソフトというのは人への対応で、気配りや気づきといったことです。「何かお困りではありませんか」とか「お手伝いしましょうか」という声かけは非常に大事といいます。私も心しようと思ったことでした。
 次にファッションとしてできることは、少しでも多くの人が着やすいアイテムをデザインすることといいます。たとえばマグネットボタンや面ファスナーの使用、袖ボタンをゴム糸でかがる、ファスナーの引手を巨大なものにする、脱ぎ履きしやすいスリッポン、ファスナーをやめて被りにするなど。
 とはいえ“あらゆる人が着やすい服”というのは存在しないときっぱり。人それぞれに体型や機能が異なっていること、つまり多様性があることを理解することが不可欠といいます。
 最後にアパレル企業には今すぐにでも、障がいや難病のモデルを起用する、座談会やインタビューなどを通じてモノづくりに心のバリアフリーを取り入れる、車いすが通れるようなUDに配慮した店舗設計を行うなどをしていただきたいのこと。
 プロダクト以上に心のUDに配慮すべきと断言されていたことが印象的でした。
 
 第二部は、ユニバーサルファッション向けの商品説明会です。
  最初にYKKジャパンの岩田知久氏が、ファスナー商品を紹介。5月発売予定という最新のファスナー、「クリック・トラック click-TRAKⓇ (このブログ2019.3.21付け参照)」は、開部パーツをボタンのように重ね合わせてスナップするだけで簡単に操作できるファスナーで、Co-Co Life☆女子部と共同開発したもの。また左右に引っ張ると噛み合わせが外れる緊急解放機能を備えた「クリック・フリー QuickFreeⓇ (このブログ2018.12.7付け参照)」や、閉じる際に上からも横からも挿入できるビスロンの「イージー・トラック ez-TRAKⓇ」など、様々なファスナーを解説され、実物サンプルを回覧していただきました。

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 次にYKKジャパンの山本 萌氏による樹脂製品のバックルの説明があり、さすが世界のYKK、多種多様なものが開発され製品化されていることに驚かされました。
 
 第三部は、トークセッションです。登場したのは、Co-Co Life☆タレント部所属の車椅子モデルでタレントの梅津絵里さんと、YKKファスニング事業本部の嶋野雄介さん、sitateruガーメンツプランナー冨山雄輔さん。

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 梅津さんは、全身性エリテマトーデスを発症して、車椅子生活になったといいます。「車椅子なので腕を頻繁に使います。袖がタイヤに当たると汚れてしまい、白い長袖を避けています。袖がだぶだぶなのも困ります。デニムは好きなのですが、股上が浅いと後ろから背中が丸見えになります。トレンドの服選びは難しいのです」などと悩みを打ち明けていました。
 またファスナーについて問われて、「手に麻痺があるので苦手です。とくにコンシールファスナーはやっかい、と思っています」。これを聞いた嶋野さんは「ファスナーがそんな風に否定的に思われているとは考えてなかったです。当事者の方々の意見を聞くことが大切と改めて思いました」。
 冨山さんは「多様化に対応し、できる限り一人ひとりにフィットするものをつくるようにチャレンジしていきたい。身体に服を合わせる時代になっていくと感じています」などと語っていました。
 
 障がいのある方は、これまでどちらかというと迷惑をかけないようにひっそりと生きてきたといいます。でも障がいがあるからこそおしゃれして目立つことが出来たら、世の中はきっともっと明るくなるに違いありません。
 誰もがファッションをあきらめない社会が来るように、私も少しでも貢献できたらと思っています。

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2019年5月12日 (日)

クリエーション・アムール 上質な暮らしのライフスタイル展

 上質な暮らしを楽しむライフスタイル総合展示会「クリエーション・アムールCREATION.AMOUR」が、4月3日~5日東京・渋谷区のホテルにて開催され、好奇心から行ってきました。ファッションからビューティー、インテリア、フードなど、厳選された16のブランドが集まった合同展でした。

 それぞれにこだわりの商品が並ぶ中、私が目を留めたのはやはりファッションで、とくに注目したのが「アトリエ ケイスズキ(atelier KEISUZUKI)」のエレガントなフォーマルドレスです。ボリュームのあるフィット&フレアドレスの洗練されたシルエットに魅せられました。

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 ブランドを手がけるのは、デザイナーの鈴木圭さんです。2013年にワンピースのオーダーブランドを立ち上げ、現在セーレン・ビスコテックスのクリエイティブディレクターでもあるそう。
 2050年までに世界100の都市にブティックを開くことが夢といいます。今後の活躍が期待されますね。
 
 もう一つ、目に留まったのが「キッドブルー(KID BLUE)」のインナーです。ベンベルグの繊細なランジェリーやファンデーションを打ち出していました。またコットンなど天然素材使いのやさしい肌触りのウェアでサステナビリティを訴求していたのも印象的です。

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 さらに話題の整体枕「キュアレ (CURE:RE)」も出展していました。これは一流の整体師が考案した特許取得の健康枕で、寝ているだけで整体効果を発揮するそう。

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 ここで体験もできるとあって、人気を集めていました。

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2019年5月11日 (土)

「ライセンシングジャパン」 ライセンス市場の新しい流れ

 去る4月4日~6日、東京ビッグサイトで開催された日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京」で「ライセンシングジャパン」を見てきました。どうしたら売れるようになるのか、と悩む企画・マーケティング担当者に、ライセンスは一つの商機を生み出せるものとして注目されているといいます。出展企業も今回は220 社が参加し、これは過去最高の数字であるそう。
 ライセンス市場も変化している模様です。デザイン会社やエージェントの出展が主だった時代から、今では思いがけない企業の出展も目に付くようになっているのですね。たとえば話題のラグビーとか野球といったスポーツ業界や、人気の高級レストラン、また出版不況もあり参入している本や雑誌業界のブランドやキャンペーンなど---。
 
 とくに新しい流れとして、サステナビリティや社会貢献に寄与するブランドが気になりました。その一つが「MOTTAINAI (モッタイナイ)」です。ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが提唱してスタートした環境ブランドで、私は以前ライセンシング エキスポ ジャパン2017で取材したことがあります。(このブログ2017.5.31付け参照) そのときと比べると、SDGsへの関心もあるのでしょう。企業価値向上に役立つと、今や大きな広がりを見せている様子です。

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 上はそのブース風景です。リサイクルコットンやオーガニックコットンのTシャツなど様々なライセンス商品をショップ風に展示していました。
 ライセンスによる環境配慮型商品の推進活動を始め、植林・育樹活動支援の森づくりプロジェクト、キッズフリーマーケットや手作りマーケットなどのイベント、収益金の寄付活動など、活動が多岐に拡大していることも知り、すばらしいと思いました。
 
 もう一つ、目に付いたのが花屋さんです。セレクトショップなどお店の入口が花売場というのはよく見られますが---、業界大手の「日比谷花壇 HIBIYA-KADAN」の取り組みには一目置かざるをえません。 

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 ブースでは美しい花のシャンデリアが来場者を魅了していました。

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 花屋さんだからこそできるフラワーグラフィックの数々も印象的でした。デザイン制作やディスプレー装飾、体験ワークショップ、各種イベントの提案など、様々なビジネスサポートを手掛けていることをアピール。
 花屋さんはもう生花を売るだけではないのです。
 
 最後に日本キャラクター大賞の展示コーナーに目が留まり、ニューフェイス賞に「チコちゃんに叱られる!」(NHKエンタープライズ)が入っていてびっくり。2018年の流行語大賞で「ボーッと生きてんじゃねーよ!」がトップテン入りしたのですから当然と言えば当然ですが----。

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 なお日本キャラクター大賞2019グランプリはサンエックスの「すみっコぐらし」でした。
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 “チコちゃん”とは対照的なやさしいキャラクターが選ばれていて興味深いです。“隅の方が落ち着く” とか“端っこ好き”は日本人の特性でもあるとのことで、おもしろいですね。

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2019年5月10日 (金)

志賀草津高原ルートを通る

 志賀高原からの帰路は開通したばかりの志賀草津高原ルートを通りました。白根山噴火警戒レベルが2でしたので規制区域があって駐停車禁止でした。
 山頂の渋峠は標高2,172mで日本の国道最高地点だそう。さすがにまだ寒かったです。
 雪の回廊はあっという間に通り抜けてしまったのですが、雄大な雪山の風景を楽しむことができました。

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 噴気孔から白っぽい噴煙が立ち上る活火山を目の当たりにすると、やっぱり脅威、不気味です。

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 雪の残る河原の風景が美しく印象的でした。

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2019年5月 9日 (木)

志賀高原「せせらぎ遊歩道」で水芭蕉の花に出会う

 志賀高原で宿泊したホテルの近くに「せせらぎ遊歩道」という散策路があります。夕方、まだ雪に覆われているその小径を歩きました。ここは木道のある湿地帯です。足を踏み外さないように雪道を行くと、小さな沼に水芭蕉の群落があって、あの白い花が咲いていたのです。

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 この時期にしか見られない清楚な花です。ちょっとうれしくなりました。

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2019年5月 8日 (水)

令和元年の連休は志賀高原で春スキー!

 今年のゴールデンウィークは何と10連休。そこでまた春スキーをしようと、志賀高原の一ノ瀬に行ってきました。
 実は昨年のこの時期、志賀高原は雪がなくて予約を断られてしまったのです。ところが今年は例年以上に雪が多くて、雪質もまずまずの状態、その上スキー場は意外にも空いていたのです。

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 焼額山山頂には「令和」の看板が立っていて、時代が変わったことを意識させられました。

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 久しぶりにスキー場に来て、今回はお天気に恵まれました。大自然に囲まれて爽やかな気分でした。

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2019年5月 7日 (火)

コシノヒロコ展 伝統芸能の新たなる創造

 ファッションデザイナーでアーティストでもあるコシノ ヒロコさんは、ほんとうに芸の達人です。小学校4年生の頃から長唄三味線をやっていて長唄杵勝会に所属し、名取となる腕前だそう。
 この4月末から歌舞伎座で開催されている長唄杵勝会の全国大会では「抄曲集」の舞台背景画を担当し、その記念としてKHギャラリー銀座で6月8日まで「コシノヒロコ展 伝統芸能の新たなる創造」が開催されています。

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 本展ではその原画となる墨絵5作品を中心に、多彩な墨の世界を展示。原画はセーレン株式会社の技術によって大型幕にプリントされ、大会のクライマックスを彩るとのこと。

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 またコシノさんが直筆で絵付けした着物も出品されています。

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 2階では、2018年、福井県鯖江市で開催された展覧会「コシノヒロコ展COLORS アートとファッションの世界」の際に絵付けした越前漆器も披露されました。

 初日のレセプションで、コシノさんは「伝統に新しい現代のくさびを打ち込むことで、ファッションの楽しさの裾野を広げてきました。 伝統芸能も同様です。今までなかった新しい風を吹き込むことが私の使命と思っています。現代のテクノロジーにより拡大された新作の墨絵には、伝統芸能の世界を身近に感じてほしいという願いを込めています。その新たなる創造をご高覧ください」などと語られました。

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2019年5月 6日 (月)

ギンザシックスに塩田千春のアートインスタレーション

 今、東京・銀座のギンザシックスに塩田千春のアートインスタレーションが出現しています。
 テーマは「6つの船」で、中央吹き抜け空間を飾っているのは、全長5メートルにもなる6隻の船です。黒いフエルトに覆われたこれらの船は、無数の白く細い糸で吊り下げられています。これは困難を乗り越え発展してきた銀座の「記憶の海」を出航し前進する様子を表現しているそうです。

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 私は以前パリのボンマルシェで塩田千春展(このブログ2017.2.15付け参照)を見たことがあります。タイトルは「私たちはどこへ向かうのか」でした。
 今回の新作は船がモチーフになっていますが、パリで見たときと同様に私たちを空想の旅へと向かわせます。
 私たちは何を求めてどこへ向かおうとしているのでしょう?考えさせられる作品です。
 なおこの6月から六本木の森美術館にて、過去最大規模の塩田千春個展が開催されるとのこと。これも楽しみです。

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2019年5月 5日 (日)

2019/20秋冬ユキコハナイ「遊び上手なスフィア」テーマに

 花井幸子デザインチームが手がけるユキコハナイ(Yukiko Hanai)が今月初め、都内で2019/20秋冬ものの展示会を開きました。
 シーズンコンセプトは「遊び上手なスフィア」です。「スフィア」とは秘密のエナジーを内包する球体で、願い事を叶えてくれるアイコンでもあるそう。そのパワーにインスパイアされたような、丸くて元気で夢があふれるコレクションが発表されました。

  とくに注目は、女性をモチーフにした大胆なニットウェアです。

Img_15291jpg この女性の絵は、花井幸子デザイナーが描いた作品に由来しています。このことがすぐに分かのも魅力的です。

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Img_15271  またこのブランドらしいエレガントなフリルのブラウスに、スポーティで軽快なボトムを合わせたり、ややオーバーサイズのボックスジャケットを組み合わせたり。

 デイリーに着用できるアイテムも充実しています。
 
 リッチな色使いのプリントは“ボーリング”がテーマというのも楽しい!

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2019年5月 4日 (土)

キャリアミセス 『ミモレ』編集から見えてくる婦人のホンネ

 アパレルの中で売上が最も大きいのが、仕事をもつ女性や大人の女性を主なターゲットとするキャリアミセス市場です。先般の「ファッションワールド東京2019春」では、このキャリアミセスのトレンドにスポットを当てたセミナーが開催されました。登壇したのは講談社のWEBマガジン『ミモレ (mi-mollet) 』編集長 大森 葉子氏と、ファッションビジネスジャーナリストの松下 久美氏です。大人世代の女性たちが求めているものや本音、悩み、価値観を語り合うという、大変興味深い対談でした。

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 ところで『ミモレ』とはどのような媒体なのでしょう。お話によると創刊は2015年1月で、会員はうなぎ上りに増えて現在6万人、PV/月900万、UU/100万とのこと。読者層は2018年のアンケートによると30~40代が最も多く、既婚75.6%、未婚24.4%、有職者は81.7%と高く、世帯年収は1,000万円以上が37.7%、600~1,000万円が30%で富裕層向けメディアということが分かります。ミモレ限定8万円のボックスを出したら即完売したそうです。
  ファッションメディアとしては大人世代ナンバーワンのスナップサイトが人気で、“なに着る”や“今日、なに着てる”で検索して入って来る人たちの、コーデを見たい、着たい、探したいという欲求に応えているといいます。これまでのスナップアーカイブ数は約12,000体とスゴイ数字になっているとか。スナップを自動解析しタグ情報を返すAIを搭載しているとも。ファッションはトレンドよりもいかに着こなすかをポイントに、自分らしさを表現したい読者にコミットしているといいます。
 コミュニティづくりも行っていて、もう一度学び直したい、同じ志を持つ人と友達になりたい、という声があることから有料講座を実施。東京や京都の大学で開講し、応募者が殺到しているそう。修了者数は延べ220名で受講生からは満足の感想を得ているそう。

 サイトを毎日訪れる層が全体の70%もある、というのにも驚かされます。それだけ多くの読者を生み出せている理由は、記事の作り手が全員顔を出し、背景にある思考のストーリーを体感できているからではないかと分析。365日毎日届くコメントは必ずバックし、次の記事づくりにつなげているとか。一人の意見の後ろにあるサイレントマジョリティの声を拾うことを常に心掛けているそうです。
 企画をリードしているのは、コンセプトディレクターの大草直子さん。例えば「大人の女性は“脱ほっこり”であか抜ける!」と“ほっこり”婦人にならないためにできることをアドバイス。この“婦人”という言葉を発案したのも大草さんで、女子カルチャーへのカウンターもあって“大人女子”ではない“婦人”にフォーカス、これで押し切ったといいます。“婦人”とは乙女心を否定しない存在、その代表が大草さんであり『ミモレ』のシンボルともなっているそう。
 たくさんの興味深いお話しの後、まとめとして下記を紹介。
 一つは女性を楽にしてあげるコンテンツであること。仕事を持ち母でもある女性は忙しい。ファッション関連が多いのは、そうした女性たちが自己表現に悩む代わりに記事を役立てて欲しいから。
 二つには「年齢を重ねることは楽しい」と思える社会を一緒につくっていくこと。若見えではない、気持ちを上げてくれるようなスタイル中心の構成はそのためといいます。
 最後に記事は中立であること。編集を手掛けているのは『ミモレ』世代で、純粋な気持ちで正直に書かないとバレることを知っている人たち。おしゃれ感度も読者とそれほど差はない。だからコスパのよいブランドなど、本当の意味で気に入ったと思うものだけを掲載しているそうです。
 女性たちの人生後半戦を応援する『ミモレ』。WEBサイトを拝見し、“婦人”の気持ちに寄り添う提案が満載、と改めて感じ入ったことでした。

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2019年5月 3日 (金)

世界一のデニム品質を誇る日本のものづくり 10年後の未来

 世界一の品質を誇る日本のデニム界。その次世代リーダーの雄たちが登壇するシンポジウムが、先般の「ファッションワールド東京2019春」で開かれました。
 パネリストはジャパンブルー専務取締役 真鍋 カツ氏、フルカウント代表取締役 辻田 幹晴氏、KUROブランドデザイナーの八橋 佑輔氏の3氏で、モデレーターはBegin編集長 世界文化社の光木 拓也氏です。「世界一のデニム品質を誇る「日本」のものづくり ~Made in Japan デニム 10年後の未来~ 」をテーマに、モノづくりへのこだわりや日本の強み、10年後を見据えた今後のヴィジョンなどが討論されました。

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 まず日本のデニムが最高と思うところについて。
 真鍋氏は「セルビッチデニムをつくれる力織機を使い、職人との二人三脚で培ってきた生地づくり」を、辻田氏も「日本には60年代の力織機が残っていて、それを修理しながら使用してきた丁寧なものづくりがあること」を紹介。「手のコントロールで、織機のスビードを変えることができ、裏毛スエットのように見えるデニムや緯糸に銀糸を打ち込むなど様々な可能性がある」といいます。八橋氏は「日本の精密なモノづくり。キメ細かい味の出し方も上手」を挙げました。
 次に他社に負けないポイントは何か、です。
 辻田氏は「最もはき心地のよいジーンズをつくっていること」といいます。「ジーンズはその人のものとなってからよりよくなっていく。体の一部になるまではき続けられるところが他の服と違うところで、肌触りの良さこそ大きな価値と思っている」そう。真鍋氏は「日本のデニムがイタリアなど欧米と異なるのは、水質の違いからくる風合いと色」と強調。とくにインディゴブルーの様々な青の中で、「日本が発信している“ジャパンブルー”は、天然藍が緑色から青色に変化する、少し緑味の青。その日本ならではの感覚を大切にしている」といいます。
 さらに将来への夢やヴィジョンを問われて。
 八橋氏は「10年後は買い方か変化する。ネットでは味わえない奥深い付加価値を提供できる店づくりを広げていく」。辻田氏は「変化する売り方にチャレンジすることと、高齢化する川上での若手育成」を挙げ、真鍋氏も「産地が産地としてあり続けるように、産地を盛り上げることが大事」。その上で「グローバルなデニムサミットをシェアし拡散すること、そして世界一を担い発信していく」と発言するなど、実に前向きです。
 日本メーカーの将来像が見えて、頼もしく思えたセミナーでした。

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2019年5月 2日 (木)

対談「ツモリチサト25年の軌跡と今後の展望」

 先般「ファッションワールド東京2019春」の特別講演に、“カワイイ”で人気の「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」を手掛けるデザイナーの津森千里さんが登壇、美モード ファッションディレクターの萩原 輝美さんと対談しました。  
Img_13631  先頃、このブランドを取り扱ってきたエイ・ネットが同事業を終了するとのニュースが流れて、衝撃を受けたばかりです。それもあってか、会場は立ち見が出るほどの満席状態でした。
 テーマは「ツモリチサト25年の軌跡と今後の展望」です。25年を経て、昨年「2018 WAKU WORK 津森千里の仕事展」を開催するなど、今も愛され続けているブランドの秘密、そしてエイ・ネットを離れて、どのように展開していくのか。興味津々で拝聴しました。

 まずは「デザイナーをやめたいと思ったことは一度もない」ときっぱり。自身のデザイン事務所のティー・シィー(T.C)を通してデザイン活動を続けていく方向といいます。
 次に「ツモリチサト」ブランドについて、印象に残った言葉があります。それはブランドのミューズが自分自身であるということ。ご自分の中に多面的な子どもがいて、その子どもの好きなものや興味のあることを、自由な発想で素直に表現するブランドが「ツモリチサト」なのだそう。
 また“カワイイ”と言われるデザインについても興味深い発言をされています。子どもは可愛いけれど、実は可愛くないのが好きで、ペットも可愛くない方が好みだそう。大人は可愛くないので“カワイイ”大人をつくるための服づくりをしているといいます。とはいえ本音は“カワイイ”ではなく“カッコいい”服と思われたかったのに---、皆が“カワイイ”というとか。 
 “セクシー”の褒め言葉もよく聞かれるそうですが、“モテ服”というのはあり得ない。“着て楽しい服”という意味に捉えていると明言します。そうはいいながらも色ではピンク、とくにサーモンピンクがお気に入りとのこと。 
 さらにパリでは、フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会のディディエ・グランバック会長からオートクチュールを薦められたこともあったそうです。その上でもしもラグジュアリーブランドからオファーがあったら、大好きな「スキャパレリ」に行きたい、というのも津森さんらしいなと思いました。 
 
 これからも着ることで気分が上がり、楽しくなれる服をつくり続けていきたいと語って、対談を終えました。

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2019年5月 1日 (水)

日本のファッション流通 ECとデジタルシフトの未来を語る

 ファッション流通はここ10年で劇的な変化を遂げました。企業はテクノロジーの進化や顧客の変化に果たして追いつけているのでしょうか。
 先般の「ファッションワールド東京2019春」ではこの課題を取り上げた特別ディスカッションが行われました。登壇したパネラーはナノ・ユニバース経営企画本部 WEB戦略部長の越智 将平氏とDoCLASSE CMO 兼 web事業長の藤原 尚也氏、SHIBUYA109エンタテイメント オムニチャネル事業部 兼 マーケティング戦略事業部 担当部長 澤邊 亮氏の3氏と、コーディネーターのビジョナリーホールディングス執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添 隆氏です。「どうなる、日本のファッション流通 ~ECとデジタルシフト 5年後の未来~」と題して、通販や小売り業の分野から今後のECのあり方を議論。川添氏の問題提起にパネラーが答えるという対談形式で進められました。
 
 まず「5年前と現在とで変化したことと変化しなかったことは?」から。
 越智氏は「変化していないのはプロダクツとプライス。 セールはクーポンで対応。Img_19291 変化したのはプロモーションとプレイスで、ポップアップストアが増えて、宣伝の仕方や売る場所が多様化した」。
 (右はナノ・ユニバースのショップ)
 藤原氏は「マーケティングの軸を常に顧客体験の最大化に置いていることに変わりはない。変化したのはメディアとITの進化で、1999年にツタヤオンラインをつくった当時は、オンラインとオフラインが敵対していた。しかし現在はシームレスにつながるようになり溶け込み合っている」。
 澤邊氏は「変わらないのはSNSの重要性と顧客の理解。変わったのは店舗やショップスタッフの役割で、ECとリアル店舗が一緒になって同じ形で売り上げを見るようになった。スタッフにはSNSのインスタやラインなどを自由に使いこなす力が求められる」という
 
 次に「これまでで失敗したと思うことは何か?」では。
 越智氏は「ファッションテックを導入したが失敗した。3Dスキャンで体型データを計測するというものだったが、体型、特に首回りを正確に測れなかったことが一因。テック系は本質的サービスがきちんとできていないと上手くいかない」。
 藤原氏は「元々紙媒体で年齢層も高い。SNSの優先順位は低く、それよりは公式サイトからの客を増やす戦略をとっている。テレビCMを初めて大規模に打ち、これをそのまま動画サイトに流したが反応は鈍かった。WEB用に動画をつくったところ、これは上手くいっている」。
 澤邊氏は「若者マーケティング研究機関“109ラボ”を立ち上げ、アンケートやグループインタビューなど、かなりアナログなことをやっている。直接会って話を聞くと、ブランドにこだわらない若者が最も多いことがわかったりする。エンタメやライブへの関心をつかんだり、新ブランドの導入に活用したりして、役立てている。2017年にオープンしたインキュベーションプラットフォームは上手くいかなかったが、今年再スタートしている」。
 
 さらに「5年後の未来を見据えて、今やるべきことは?」との質問に。
 越智氏は「ECだけではなくリアル店舗の改革が必要。店内での客の行動をデータ化する」。
 藤原氏は「サイトのリニューアルで、サイト自体をシンプル化する」。
 澤邊氏は「いったん原点に戻り、店舗の役割が増すと思う。客が何を望んでいるか、データをとり、体験価値を上げていく」など。
 
 川添氏の巧みなリードもあって、それぞれ異なる立場からファッション流通の現場が率直に語られました。近未来へのヒントもいっぱい、大変興味深い座談会でした。

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