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2019年5月 1日 (水)

日本のファッション流通 ECとデジタルシフトの未来を語る

 ファッション流通はここ10年で劇的な変化を遂げました。企業はテクノロジーの進化や顧客の変化に果たして追いつけているのでしょうか。
 先般の「ファッションワールド東京2019春」ではこの課題を取り上げた特別ディスカッションが行われました。登壇したパネラーはナノ・ユニバース経営企画本部 WEB戦略部長の越智 将平氏とDoCLASSE CMO 兼 web事業長の藤原 尚也氏、SHIBUYA109エンタテイメント オムニチャネル事業部 兼 マーケティング戦略事業部 担当部長 澤邊 亮氏の3氏と、コーディネーターのビジョナリーホールディングス執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添 隆氏です。「どうなる、日本のファッション流通 ~ECとデジタルシフト 5年後の未来~」と題して、通販や小売り業の分野から今後のECのあり方を議論。川添氏の問題提起にパネラーが答えるという対談形式で進められました。
 
 まず「5年前と現在とで変化したことと変化しなかったことは?」から。
 越智氏は「変化していないのはプロダクツとプライス。 セールはクーポンで対応。Img_19291 変化したのはプロモーションとプレイスで、ポップアップストアが増えて、宣伝の仕方や売る場所が多様化した」。
 (右はナノ・ユニバースのショップ)
 藤原氏は「マーケティングの軸を常に顧客体験の最大化に置いていることに変わりはない。変化したのはメディアとITの進化で、1999年にツタヤオンラインをつくった当時は、オンラインとオフラインが敵対していた。しかし現在はシームレスにつながるようになり溶け込み合っている」。
 澤邊氏は「変わらないのはSNSの重要性と顧客の理解。変わったのは店舗やショップスタッフの役割で、ECとリアル店舗が一緒になって同じ形で売り上げを見るようになった。スタッフにはSNSのインスタやラインなどを自由に使いこなす力が求められる」という
 
 次に「これまでで失敗したと思うことは何か?」では。
 越智氏は「ファッションテックを導入したが失敗した。3Dスキャンで体型データを計測するというものだったが、体型、特に首回りを正確に測れなかったことが一因。テック系は本質的サービスがきちんとできていないと上手くいかない」。
 藤原氏は「元々紙媒体で年齢層も高い。SNSの優先順位は低く、それよりは公式サイトからの客を増やす戦略をとっている。テレビCMを初めて大規模に打ち、これをそのまま動画サイトに流したが反応は鈍かった。WEB用に動画をつくったところ、これは上手くいっている」。
 澤邊氏は「若者マーケティング研究機関“109ラボ”を立ち上げ、アンケートやグループインタビューなど、かなりアナログなことをやっている。直接会って話を聞くと、ブランドにこだわらない若者が最も多いことがわかったりする。エンタメやライブへの関心をつかんだり、新ブランドの導入に活用したりして、役立てている。2017年にオープンしたインキュベーションプラットフォームは上手くいかなかったが、今年再スタートしている」。
 
 さらに「5年後の未来を見据えて、今やるべきことは?」との質問に。
 越智氏は「ECだけではなくリアル店舗の改革が必要。店内での客の行動をデータ化する」。
 藤原氏は「サイトのリニューアルで、サイト自体をシンプル化する」。
 澤邊氏は「いったん原点に戻り、店舗の役割が増すと思う。客が何を望んでいるか、データをとり、体験価値を上げていく」など。
 
 川添氏の巧みなリードもあって、それぞれ異なる立場からファッション流通の現場が率直に語られました。近未来へのヒントもいっぱい、大変興味深い座談会でした。

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