「ヒューマンセントリックラボ 」ユーザー視点で機能を実証
この10月末、東京お台場の「ヒューマンセントリックラボ Human Centric Laboratory(HC Lab)」見学会があり参加しました。(これは私もメンバーの一人となっているユニバーサルファッション協会商品研究会の研究の一環として、東京都立産業技術研究センターのご紹介により行われたものです。)
ヒューマンセントリックラボ、略して HC Lab は、今年5月にオープンしたばかりの繊維製品の検査機関です。とはいえ単なる検査機関ではないことが見学を通じて理解できました。ヒューマンセントリック=人間中心というように、ここはユーザー視点で製品やサービスの機能の有効性を検証し付加価値を提供していく施設なのです。
運営も民間で、伊藤忠ファッションシステム(ifs)とユニチカガーメンテック(UGT)の協業により設立されました。
まずご案内いただいたのが、ifsが手がける物性評価の検査室です。
洗濯による染色堅牢度や耐光性から、引っ張り、引き裂き、ピリングなどの物理性能、寸法変化率などを調べる機器が並んでいます。
右は摩擦強度を計測する機器です。
次にUGTの環境試験室を拝見しました。3室あり、それぞれ気温と湿度を調整できるようになっていて、機能性と快適性の評価が行われています。たとえば保温性や接触温冷感、温湿度センサーやサーモグラフィー装置による着用試験などです。
中でも興味深かったのが、発汗サーマルマネキンによるシミュレーション試験でした。 写真はサーマルマネキンによる布団保温性などを計測しているところです。
このマネキンは発熱するだけではなく、模擬発汗が可能で、発汗時の衣服内や寝床内の温湿度変化や放熱量を測定できるそう。たくさんの管につながれて、マネキンといえども可哀そうな気分になりました。
また人体生理計測、つまり筋電図や心拍、脳波など様々な生理学的測定も各種とり揃えているといいます。
HC Labではこんな風に、人と製品の間に生じる様々な課題や隠れた要求を可視化しているのですね。価値にストーリー性が求められる昨今、データ化した情報は品質保証だけではなく、消費者に有益性をアピールする材料としてもきっと役立つはずと思いました。
それにしても東京のこんなに便利な場所にある検査機関です。訪れてみてはいかがでしょう。
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