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2018年8月14日 (火)

講演会「折紙研究の最先端 ― 折紙と文化、数学、アート」

 先般、産業技術大学院大学で開催された講演会に参加しました。Img_32501
 講師はコンピュータグラフィックス(CG)の分野で形状モデリングを専門とする研究に取り組まれている筑波大学の三谷 純 准教授です。

 実はこの三谷先生の研究がきっかけで、10年ほど前にイッセイミヤケの「132.5 ISSEY MIYAKE」のブランドが開発されたといいます。3次元造形を折りたたみ、プレスして生み出す革命的な製法の衣服ブランドです。ブランド名の「132.5」には、一枚の布(1次元)から立体造形(3次元)が生まれ、折りたたむと平面(2次元)になり、身にまとうことで時間や次元を超えた存在(5次元)になるようにとの思いが込められているといいます。発表された当時は、私も大きな衝撃を受けました。「さすがイッセイさん」と驚嘆し、進化を続けるブランドにいつも注目しています。

 このイッセイミヤケの開発チームにインスピレーションを与えた三谷先生のご講演です。ちょっとわくわくしながら拝聴しました。

 講演テーマは、「折紙研究の最先端 ― 折紙と文化、数学、アート」です。数理に関わる難しい内容を、誰にもわかりやすいように解説されました。

 まずは手渡された紙を折って、折紙とは、平らに折りたためるものであることを体感します。次に平らに折りたためるパターンには数学的な法則があることを教えていただきました。この法則を追求していくとCGでどんな形でもつくることができる、切らないで、また貼らないで曲面もつくれるといいます。

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 上は展示していただいた折紙作品の一例です。細かく重ねて織っていくと球体もできるのですね。
 映画「デスノート」や映画「シンゴジラ」などでも使われた折紙も、先生がつくられたとのこと。また三越伊勢丹グループの昨年のクリスマスキャンペーンでは、折ることでカタチを変える、楽しいショッピングバッグもつくったそうです。

 さらに折紙の歴史に触れ、その起源は古く、紙の発明とほぼ同時期に始まったと思われるといいます。人類にとって紙があれば折ってカタチをつくるのは、確かにごく自然なことですね。紙を折る文化は日本に限らず、世界のそこかしこにあったようです。
 日本の場合、折り紙はお供え物や贈り物を紙で包む慣習に由来するといいます。江戸時代になると千羽鶴や紙風船などを折る立体的な造形が庶民にも広く知られるようになり、文化として定着していったとか。
 その後折り紙を再現する折り図を普及させたのが、日本の創作折紙の第一人者と言われる吉澤 章氏といいます。折紙が数学と密接に関連するアート表現であること、それを独創的な造形芸術の域にまで高めて、ついに「ORIGAMI(オリガミ)」という言葉を世界の共通語として広められたのは、まさにこの方だったと知りました。
 今やORIGAMIは世界中の数学者や科学者の研究の的になっているといいます。1990年代以降、ORIGAMI設計ソフトの進化は目覚ましく、人工衛星のパラボラアンテナの技法やロボット技術に応用されるなど、拡大を続けていて、しかもその最前線は日本にではなく海外にあるそうなのです。
 日本では折紙というと紙でつくる子どもの遊びという固定観念が強く、そこからなかなか抜け出せないのがネックとか。もっと自由に折りたためることにより、何かをつくるものととらえて欲しいと、指摘されていたのが印象的でした。

 最後にまとめとして、折紙は古くて新しい技術であり、現在はコンピュータを使った設計で様々な形をつくれるようになったこと。そしてORIGAMIはコンピュータとものづくりが融合した楽しい領域、と語って締めくくられました。

 ORIGAMI、まだまだ広がるその可能性に夢がふくらんだひと時でした。

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