« 2018年7月 | トップページ

2018年8月

2018年8月18日 (土)

服飾文化学会夏期セミナー⑵カイハラ歴史資料館染め体験

 カイハラ本社には歴史資料館があり、同社の前身、貝原織布で織られていた伝統の備後絣が展示されています。
 備後絣は福山市一帯で産した木綿絣です。この地は日本最大の絣の産地でもあったのですね。

Img_36271 上は、貝原会長が備後絣を解説しているところです。経糸を括る絣の技術が、デニムの製織に欠かせない、芯白のインディゴ糸をつくるロープ染色の開発に役立ったといいます。

 この後一同揃って、インディゴ染めを実際に体験させていただきました。
 白いハンカチを紐やゴムなどで絞って、藍染の甕に浸して引き上げると、あら不思議! 
Dsc000353  緑色が空気に触れて美しい藍色が出現します。それを水で洗って乾燥させアイロンを当てれば完成です。
 絞り方によって、白抜きの分量や形が一枚一枚違います。カイハラのスタッフ皆様のご協力もあって、それぞれに個性的な柄が染め上がりました。

Dsc000383  作品を手に記念撮影しました。
 これも忘れられない楽しい思い出となりそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月17日 (金)

服飾文化学会夏期セミナー⑴ デニムのカイハラ工場見学

 今夏も服飾文化学会の夏期セミナーが開催され、8月8日~9日、デニムや制服で有名な広島県福山市と岡山県倉敷市児島に行ってきました。

 初日のメインは、国産デニムのトップメーカー、カイハラの工場見学でした。
 最初に訪れた三和工場は、福山市でも海抜580mの山中にあり、7月に豪雨災害に見舞われた地域です。道路事情などが心配されましたけれど、迂回路を使うなどして、予定通り日程をこなすことができました。

 私たち一行が貸切バスで工場前に到着すると、カイハラ会長の貝原良治氏が自ら出迎えて下さいました。
Dsc000261  上は工場前で撮影した集合写真です。一番右が貝原会長です。

 3班に分かれて見学し、会長直々に原綿から紡糸、織布工程のポイントをご案内いただき、ふんわりとしたスライバーの感触、またリング精紡機とオープンエンド精紡機の違いなども確認、感謝感激しました。
 (なお工場内は撮影禁止でした。)

 最先端の設備を誇る巨大工場は圧巻で、もう皆、只々スゴイ!の連発でした。

 次に訪問したのが本社工場です。
Img_36501  ここにはロープ染色機がズラリと配備されています。経糸を9回染めていく様子を拝見しました。

 ところでインディゴ染めロープ染色を日本で初めて導入したのは、このカイハラだったのです。設備が稼働したのは1970年のことだったといいます。これにより国産デニムの生産がスタートし、日本製のジーンズがつくられるようになりました。

 なお私たちは時間の関係で回れませんでしたが、工場は5か所あるそうです。一貫生産体制が敷かれていて、作業はコンピュータ制御により自動化され、ほぼ無人で行われています。従業員は736人で、雇用や周辺の環境対策も万全といいます。 
 それにしても予想をはるかに超える規模とクオリティへの細心の心配りが印象的でした。
 さすが世界最高峰のデニムメーカーは違うと、感銘しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月16日 (木)

「建築の日本展 その遺伝子のもたらすもの」和を再発見

 先日、六本木ヒルズ森美術館15周年記念展「建築の日本展 その遺伝子のもたらすもの」に行ってきました。
6f7a620  タイトルが「日本の建築」ではなく「建築の日本」となっているように、連綿と伝わる日本の遺伝子に焦点を当てられています。
 建築を通して、和の美を再発見させられた興味深い展覧会でした。

 展示されたのは100のプロジェクトにまつわる約400もの模型・資料です。それらが9つのカテゴリーで分類されていました。とくに注目した作品をご紹介しましょう。

 最初が「可能性としての木造」です。日本は国土の7割が森林で、木の文化を培ってきたのですね。

Img_34921  目の前のエントランスに高くそびえるのが、「木組みのインフィニティ」(北川原温)です。“立体木格子” という木組みで、ミラノ国際博覧会2015日本館に出品されたものだそう。紀州檜の香りが漂ってきます。

 ここには奇想の建築といわれる「会津さざえ堂」の模型も展示されています。“二重らせん” のスロープがある建物で、実在するのは世界でここだけといいます。あのダビンチもスケッチで残したものの、実現できなかったとか。一度ぜひ訪ねてみたい場所です。

 次に「建築としての空間」にあった、茶室建築です。
Img_34571
 千利休の作と伝えられている日本最古のお茶室、国宝「待庵」をImg_34561jpg原寸大で忠実に再現したものとか。
 躙り口は人がくぐって入れる最小限の大きさです。
 内部には薄暗く、幽玄な空間が広がっていました。

 「連なる空間」のコーナーでは、まず目に入るのが“家具のモダニズム”と名付けられたブックラウンジです。
Img_34981  これは香川県庁舎などで実際に使われている近代の名作家具で、丹下健三らが手掛けたといいます。書棚の書籍も自由に閲覧できます。

 次に向かうのが「丹下健三自邸」の模型です。今はもう現存しない住居を、宮大工が1/3スケールで再現したものとか。
Img_34831  写真で見たル・コルビュジエのサヴォア邸風な要素を感じる建物です。

 圧巻だったのが、「Power of Scale ライゾマティクス・アーキテクチャー」の体験型インスタレーションです。
Img_34671  ステージに上がって尺貫法など、日本の空間概念を3Dで体感しました。

 最後の「共生する自然」というカテゴリーでは、“建築は自然の一部”であり、光と素材と意匠が、自然と混然一体化している日本建築の美を提示。安藤忠雄さんによる「水の教会」など、“日本人は風景をも建築化する”ことの意味がわかった気がしました。

 建築展のはずが、その中に潜む日本らしさに改めて感動した展覧会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月15日 (水)

キース・ヘリング生誕60年記念展 伝説のアーティスト偲ぶ

 キース・ヘリング生誕60年特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」が19日まで、表参道ヒルズにて開催されています。

Img_39761
 キース・ヘリングといえば80年代米国のポープアート界をけん引した画家で、“落書き”をアートの領域に高めたストリートアーティストとしてあまりにも有名です。
 ユニクロのTシャツにも作品が使われるなど日本でもおなじみですね。31歳の若さでエイズ合併症により亡くなるなんて誰が想像したことでしょう。

Img_39921jpg  壁にはポスターアートがズラリ。伝説の天才アーティストを偲びます。
 ここには100点以上ものポスターの中から58点が、またレコードジャケットも13点が展示されています。

Img_39861 地下鉄の壁面をキャンバスに見立てて描いた80年代初頭の“サブウェードローイング”から、核放棄やエイズ予防、LGBT、平和へのメッセージなど、社会的な作品が数多く見られます。

Img_40141  へリングが作品を通して社会的な活動に取り組んできたことがわかります。

 本展のもう一つの目玉が秘蔵映像です。ヘリングは日本が好きで何度も来日したのですね。

Img_40011
Img_40031jpg 上は1988年にヘリングが代々木公園近くで即興ライブドローイングを行ったときのものだそう。気軽に交流しているところなど、気さくな人柄を感じます。 

Img_40211jpg  コラボ商品もTシャツや雑貨など多数販売されています。上のようなパンクなウェアも出ています。

 キース・ヘリングの魅力を改めて追想しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月14日 (火)

講演会「折紙研究の最先端 ― 折紙と文化、数学、アート」

 先般、産業技術大学院大学で開催された講演会に参加しました。Img_32501
 講師はコンピュータグラフィックス(CG)の分野で形状モデリングを専門とする研究に取り組まれている筑波大学の三谷 純 准教授です。

 実はこの三谷先生の研究がきっかけで、10年ほど前にイッセイミヤケの「132.5 ISSEY MIYAKE」のブランドが開発されたといいます。3次元造形を折りたたみ、プレスして生み出す革命的な製法の衣服ブランドです。ブランド名の「132.5」には、一枚の布(1次元)から立体造形(3次元)が生まれ、折りたたむと平面(2次元)になり、身にまとうことで時間や次元を超えた存在(5次元)になるようにとの思いが込められているといいます。発表された当時は、私も大きな衝撃を受けました。「さすがイッセイさん」と驚嘆し、進化を続けるブランドにいつも注目しています。

 このイッセイミヤケの開発チームにインスピレーションを与えた三谷先生のご講演です。ちょっとわくわくしながら拝聴しました。

 講演テーマは、「折紙研究の最先端 ― 折紙と文化、数学、アート」です。数理に関わる難しい内容を、誰にもわかりやすいように解説されました。

 まずは手渡された紙を折って、折紙とは、平らに折りたためるものであることを体感します。次に平らに折りたためるパターンには数学的な法則があることを教えていただきました。この法則を追求していくとCGでどんな形でもつくることができる、切らないで、また貼らないで曲面もつくれるといいます。

Img_32561jpg
 上は展示していただいた折紙作品の一例です。細かく重ねて織っていくと球体もできるのですね。
 映画「デスノート」や映画「シンゴジラ」などでも使われた折紙も、先生がつくられたとのこと。また三越伊勢丹グループの昨年のクリスマスキャンペーンでは、折ることでカタチを変える、楽しいショッピングバッグもつくったそうです。

 さらに折紙の歴史に触れ、その起源は古く、紙の発明とほぼ同時期に始まったと思われるといいます。人類にとって紙があれば折ってカタチをつくるのは、確かにごく自然なことですね。紙を折る文化は日本に限らず、世界のそこかしこにあったようです。
 日本の場合、折り紙はお供え物や贈り物を紙で包む慣習に由来するといいます。江戸時代になると千羽鶴や紙風船などを折る立体的な造形が庶民にも広く知られるようになり、文化として定着していったとか。
 その後折り紙を再現する折り図を普及させたのが、日本の創作折紙の第一人者と言われる吉澤 章氏といいます。折紙が数学と密接に関連するアート表現であること、それを独創的な造形芸術の域にまで高めて、ついに「ORIGAMI(オリガミ)」という言葉を世界の共通語として広められたのは、まさにこの方だったと知りました。
 今やORIGAMIは世界中の数学者や科学者の研究の的になっているといいます。1990年代以降、ORIGAMI設計ソフトの進化は目覚ましく、人工衛星のパラボラアンテナの技法やロボット技術に応用されるなど、拡大を続けていて、しかもその最前線は日本にではなく海外にあるそうなのです。
 日本では折紙というと紙でつくる子どもの遊びという固定観念が強く、そこからなかなか抜け出せないのがネックとか。もっと自由に折りたためることにより、何かをつくるものととらえて欲しいと、指摘されていたのが印象的でした。

 最後にまとめとして、折紙は古くて新しい技術であり、現在はコンピュータを使った設計で様々な形をつくれるようになったこと。そしてORIGAMIはコンピュータとものづくりが融合した楽しい領域、と語って締めくくられました。

 ORIGAMI、まだまだ広がるその可能性に夢がふくらんだひと時でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月12日 (日)

「FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展」コスプレに熱気

 「FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展」が10日、池袋・サンシャインシティ 文化会館ビル3F Cホールで開幕しました。初日の内覧会とプロのコスプレーヤーの写真会に参加し、改めてロールプレイングゲーム「ファイナルファンタジー」の人気ぶりに驚くとともに、天野喜孝氏のすばらしいファンタジーの世界に引き込まれました。
Img_39161  
 展示されているのは「ファイナルファンタジー」のイメージイラストからCG、ファインアートの様々な作品まで、約200点です。プロジェクションマッピングなど目がクラクラするようなテクノロジーを採り入れたものも見られます。

 幻想的、かつ妖艶な作風の作品が展示される中を進むと、歓声が上がりました。何事かと近づくと、そこには作品から抜け出てきたようなコスプレーヤーたちがポーズをとって佇んでいます。

コスプレーヤーNagiの「クラウド」    弥生「ティナ」と流斗「ロック」
Img_38731 Img_38681  

 

Img_38711          コスプレーヤー はやちんの「ノクティス」

 コスプレーヤーたち、ほんとうにかっこよかった!です。その熱気あふれる2.5次元の光景を目に焼き付けました。

Img_38871  最後に、天野喜孝氏が本展のために制作したという大型作品の展示があり、締めくくりとなります。

 会期は9月2日までです。詳細はWEBサイトhttp://amano-exhibition.jp/をご覧ください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月11日 (土)

田中麻記子展で作品世界を体現するライブペインティング

 田中麻記子さんは、フランスを拠点に画家として、またイラストやグラフィックデザインなど幅広いシーンで活躍している新進アーティストです。 今月初め、新作作品集「VUVU」を発売し、東京・恵比寿のアート書店「ナディッフ」で9月9日まで個展を開いています。
 
 オープニングの夕べには、ライブペインティングを披露。ギターの演奏に合わせて、ガラスの巨大なウインドーをキャンバスに絵具をペイントしていきます。海辺のリゾートをテーマに、のびのびと楽しそう。
Img_34281_3

 Img_34481jpg時間を忘れて見入っているうちに、ご自身の作品世界を体現するようなファンタジックな作品が出来上がりました。

 「ナディッフ」の地下室には、インスタレーションも展示されています。
Img_34511jpg  大きな海に天の川、織姫と彦星、氷の鳥居、それに音楽とワイン、フロマージュなどをモチーフに、暑い日本の夏を日記風に表現したとか。何気ない日本の風物に目を留めたとは、フランス在住のアーティストらしいです。どこかやさしい癒される空間でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月10日 (金)

「そっくり展」“あなたはもうだまされている”

 今、「そっくり展」というおもしろい展覧会が、9月2日まで池袋パルコ特設会場で開かれています。これも世間に“フェイク”がはびこっているせいなのかもしれません。ニュースにしても虚実ないまぜ、何を信じたらいいのやら、“あなたはもうだまされている”のコピーがズシリと響きます。

 本展ではそんな様々な「そっくり」が大集合しています。
Img_38031jpg
“リアルな木彫り”の作品を始め、“機械昆虫の世界”では、精巧なコブハサミムシ(右写真)。

“ドア・コート”と名付けられたトロンプロンユ=だまし絵のコート作品も出品されています。前を開けると室内のイメージに早替わりします。
Img_38471 Img_38481







 興味深かったのがアンビグラムです。Img_381112jpg これはある言葉(文字や単語)を本来の向きだけではなく“異なった見方”でも読める文字アートだそう。
 パネルを回すと、「ほんもの」→「にせもの」に読めたり、「ただいま」→「おかえり」に読めたりします。
Img_38151jpg_2 Img_38141














 Img_38541 「カモフラージュ効果」、つまり身を隠す必要のあるスナイパーや特殊観測部隊を中心に軍隊で現在も使用されている“ギリースーツ”も展示されています。

Img_38611  “偽ブランド品に騙されるな”では、グッチやボッテガ ベネタのバッグ、ナイキのシャツ、スニーカーなど、有力ブランド品の偽物と本物を並べて展示、注意喚起を促していました。

 この他、ユーモアのエスプリに富んだ楽しいものがいっぱい。9月2日までの開催です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 9日 (木)

東京農工大学繊維技術研究会講演会「私の繊維博物館学」

 東京農工大学の科学博物館は、10年前の2008年まで繊維博物館の名称で親しまれてきました。実は私はこの旧繊維博物館で教官・学芸員をされてきた並木 覚氏と以前から交流があります。同氏がこの6月中旬、農工大繊維技術研究会の講演会に登壇すると伺い、聴講させていただきました。
 タイトルは「私の繊維博物館学」です。繊維博物館の基礎がどのようにしてつくられ、どのような軌跡を辿ったのか、長年にわたる活動を通して語られ、大変興味深かったです。
 まずは沿革から。その始まりは明治19年に創設された参考陳列室(蚕糸博物館)です。当時ヨーロッパでは蚕病が蔓延していて、このことを部外者にも知らせる必要があり、その対策のために建てられたといいます。明治政府は蚕糸産業を殖産興業の先鋒としていたのですね。
 昭和15年に小金井に移転します。しかしその後30年間は、戦争とナイロンの発明もあり、蚕糸産業は低迷を強いられ、ほぼ“ねむり”についていたといいます。
 昭和43年に第1回特別展「絹の錦絵展」を開催し、再スタートします。以後年2回の特別展が実施され、昭和53年に並木氏が着任。繊維原料から織物ができるまでを中心に「触れて試みる」展示法や、機械類もなるべく「動態」で展示する展示方針をとり、入館者が倍増。友の会も定着して人気を呼ぶようになります。昭和61年の繊維博物館創基100年記念イベントでは、ついに目標の1万人を達成したといいます。
 ちなみにコットンに関する展示も何度か行われました。昭和63年の「コットンの世界展」では、展示協力もさせていただきました。印象的な思い出となって残っています。

Img_12411jpg 上は、壇上で絹の糸繰りや撚りの実演をされている並木氏です。館内ではこのような風景が随所に見られたのですね。

Img_12451  次に繊維博物館の常設展示場 ――「大型繊維機械や繊維試験器」から、「繊維から織物ができるまで」、「手づくり製品と歴史的産物」、「化学繊維と工業製品」まで ―― を一つひとつご紹介していただきました。

 現在は科学博物館となっていますが、繊維関連資料がずらり。繊維学部が工学部となって久しいですが----、さすがに重厚! 歴史の重みを感じさせる展示内容となっています。
 繊維に関心のある方は、ぜひ訪れてみてください。きっと勉強になると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 8日 (水)

「パールの魅力」―日常に真珠を楽しむ―

 先月下旬、日本ファッション協会うらら会で「パールの魅力」―日常に真珠を楽しむ―をテーマにしたセミナーが開催されました。講師は利重由紀子氏で、元ミキモト広報部で活躍されていたキャリアウーマンです。現在はオフィスY.T. 代表でジュエリーに関する企画、普及活動などを行っているといいます。
Img_32391
 まずはパールの基礎知識から。
 真珠は世界最古の宝石で、何と75,000年前の南アフリカのブロンボス遺跡で穴の開いた巻貝のカケラが発見されたのが始まりといわれているとのこと。劣化しないとはいえ、そこまで古かったとは、驚きです。

 種類は大きく2つ、天然真珠と養殖真珠があります。天然真珠は食べるために収穫した貝の中に現れる偶然の賜物です。それ故に、大変貴重なものとして長い間珍重されてきたといいます。
 日本では「しらたま」と呼ばれていたそうです。きれいな言葉ですね。あのマルコポーロが著した東方見聞録には「日本(ジパング)は真珠と黄金の国」と記されているといいます。
 養殖真珠は、1893年に御木本幸吉が初めて半円真珠の養殖に成功し、1905年には真円真珠の養殖にも成功しました。これが世界中に普及し、多くの女性が真珠に親しめるようになったのですね。しかし当初、養殖真珠は偽物と訴えられたことがあったそうです。この訴訟はパリ裁判として伝わる有名なエピソードとか。もちろん勝利しましたが、最初は大変なご苦労があったのですね。

 次に主な真珠の品種と母貝の実物を一つひとつ見せていただきました。
Img_32441   しっとりとした色つやの美しさは、やはり格別!です。

 アコヤ貝のアコヤ真珠や白蝶貝の白蝶貝真珠、また黒蝶貝真珠、ゴールデンカラーパール、コンク貝のコンクパール、イケチョウ貝やカラス貝などの淡水パールと様々あって、それぞれ少しずつ違っています。
 アコヤ真珠は最大10mmで、日本産の真珠はほとんどがこれ。白蝶貝真珠はアコヤより大きく、黒蝶貝はその名の通り黒っぽい。淡水パールは楕円形だそう。

Img_32461  コンクパールは右のピンク色のパールです。これは巻貝なので養殖が不可能といいます。希少なパールなのですね。

 なおパールの良し悪しは、並べて見比べれば見分けられるそうです。

 さらにパールの魅力について、きらきらしない、まろやかで顔を明るく見せてくれる働きもあるといいます。昨今は冠婚葬祭に装うだけではなく、ファッションとして楽しむ傾向も強まっていて、カジュアルにも合わせやすいのが人気の理由とか。
 基本のパールのネックレスも、一番短いチョーカーからマチネ、オペラ、3連にもなるロープまで多種多様、使い方もいろいろです。

 最後にお手入れのポイントとして、パールは傷つきやすいので、メガネ拭きのような柔らかい布でやさしく拭くこと。酸が苦手で、また水で洗っては絶対にいけないといいます。

 パールが大好きな私は、普段からよくつけています。でも模造真珠ばかりですが----。お話しを伺って、本物を見にお店に行ってみたくなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 7日 (火)

リファッション2018シンポジウム 「SDGsから考える」

 この7月7日、文化学園大学にて開催された「リファッション2018」シンポジウムに行ってきました。これはファッションビジネス学会リファッション研究部会が毎年開いているもので、今年で10回目を迎えます。
 今回のテーマは「SDGs(国連の持続可能な開発目標)から考える」です。

 基調講演では、日本エシカル推進協議会会長の中原秀樹氏が「リファッションとエシカル ― エシカルって何?」をテーマに登壇。「ファッションがつくられ消費される結果、人と環境の両方が苦しんでいる」とし、買い手よし=エシカルな消費、売り手よし=エシカルな企業、世間よし=エシカルな社会の「三方よし」を実現すべきと強調しました。

 企業講演は2社で、最初の報告はH&Mジャパンです。世界のトップを行くスウェーデン発ファストファッションブランドの登場とあって、今回のシンポジウムのメインはやはりここでした。注目の発表となりました。
Img_14363 パネリストはH&MのPRプロジェクトリーダー、ジェンナー真帆氏 (写真 右)とCSRマネージャーの山浦 誉史氏です。「H&Mにおけるサステナビリティの今」と題して、同社のサステナビリティへの取り組みを語りました。

 そのビジネスコンセプトは「ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供すること」であるそう。既に2015年から「コンシャス・エククルーシブ・コレクション」を打ち出しています。「SDGsコンパス」はH&Mの行動指針であるといいます。そこには次の3つのポイントがあるようです。

⑴ 100%循環経済を目指す。
・2030年までに素材をすべてサステナブル、つまり再生可能なものに切り替える。コットンは2020年までにオーガニックやリサイクル、ベター・コットン・イニシアティブ認証など持続可能な綿花栽培によるものに変える。
・古着の再利用は、2030年までに95%にする。
・2040年までにクライメット・ポジティブ(地球温暖化に対して積極的に影響を与える)企業となる。
⑵ 100%変化に導く。
・技術革新を助成する。例えばトレーサビリティの実現で、昨秋立ち上げた新ブランド「アーケット(ARKET)」は、「どの生地を使い、誰が作り、どこで生産されているのか」といった情報をオープンにしているのが特徴。
・非営利のH&Mファンデーションが2015年に創設したイノベーション・コンペティションのGlobal Change Award。その目的は、革新的なアイデアを通じて廃棄物ゼロの「100%循環型のファッション業界」を達成することといいます。
 2018年の受賞者は、クロップ・ア・ポーター(Crop-A-Porter 収穫後の作物の残り物を、バイオ繊維に再生する技術)、スマート・ステッチ (Smart Stitch 服のお直しとリサイクルを簡単にする溶ける糸)、ザ・リジェネレーター(The Regenerator コットンとポリエステルの混紡布地を分解し、衣服を新しい布繊維に再循環させる技術)、藻類のアパレル (Algae Apparel 藻類をエコフレンドリーで肌に良いビタミンを放出する、バイオ繊維と染料に変える)、きのこファッション(Fungi Fashion 着古したら地面に埋めて分解。きのこの根から裁断も縫製もしない服を3Dプリンタで実現)と、まさに驚異的でびっくり!
⑶ 公平かつ平等な労働環境を支援する。
・D&Iグローバル・リーダーを創設し、バングラデシュなどのサプライ工場と民主的労働環境づくりを推進している。ちなみにD&Iとは、ダイバーシティ& インクルーシビティのことで、Diversity&Inclusivityの略。
・H&Mでは、女性従業員数が76%、その内女性管理職は72%と働く女性の比率が圧倒的に高い。

 次に企業講演したのは、ジム専務の早川千秋氏。1965年に原宿にメンズニットアパレルとして創業し、当初から、「地球環境を考える」を企業理念としていたといいます。
 オーガニックコットンとメイド・イン・ジャパンを訴求する「ギブ ライフ GIVE LIFE」を立ち上げ、その30年の変遷を追いながら、「リバース・プロジェクト」とのコラボレーションや、「エシカルタウン原宿」を発信する活動などを振り返りました。
 今後の環境変化への対応や小企業が世界に羽ばたくことの困難な状況についても言及されていたのが印象的です。

 最後に、学生による意欲的な研究発表などがあり、シンポジウムを締めくくりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 6日 (月)

「釈宗演と近代日本」展 世界に“ZEN”を広めた禅師!

 欧米で“ZEN”(ゼン=禅)は日本以上によく聞かれる言葉です。もはや世界語といっても過言ではないでしょう。
 この“ZEN”を世界で最初に広めた禅師が、明治初期に円覚寺派管長を務めた釈宗演です。1 今年はこの釈宗演遠諱100年の記念の年とあって、釈宗演が学んだ慶応義塾大学で「釈宗演と近代日本―若き禅僧、世界を駆ける 釈宗演遠諱100年記念特別展」が開催されています。とはいえ本展は本日が最終日です。
 私は円覚寺塔頭の雲頂庵とのご縁から、6月初旬に行われた記念イベントに参加しました。臨済宗円覚寺派横田南嶺管長と東京大学東洋文化研究所馬場紀寿准教授による特別対談「釈宗演とグローバリゼーション」です。
 興味深かったのは、釈宗演の今では破天荒と思える人生談でした。
 彼は25歳の若さで修行を終えて、福沢諭吉と出会い周囲の反対を押し切って慶應義塾に入学します。勉学後セイロンに留学しましたが、セイロン仏教に落胆、タイに渡りラーマ4世(「王様と私」のモデルとなった王様)に目をかけられ出家をすすめられますが、それも振り切り31歳で帰国。円覚寺に戻り管長として、シカゴ万国宗教会議に赴き、初めて“ZEN”を紹介したのです。そして晩年までグローバルに活躍したというエピソードの数々がお二人の目を通して語られました。
 その精神は戦後、鈴木大拙らに引き継がれ、あのアップル創業者のスティーブ・ジョブズを始めとする著名人にも大きな影響を与えたのですね。

 何と言っても横田老師のユーモアを交えた語り口が抜群に楽しかったです。そのよく響くお声が今も耳から離れません。

Img_11351jpg  展示会場は二つに分かれていて、私が訪れたときは、第一会場の図書館展示室では、釈宗演自筆の目力のある達磨像や、肖像画などが展示されていました。その後模様替えがあったといいます。

Img_11381jpg  また第二会場のアートスペースでは、夏目漱石が参禅して長編小説「門」を執筆した時の書簡なども見ることができました。
 ギャラリートークも毎回盛況だったそうです。

 本展で、釈宗演と慶応義塾大学、円覚寺の繋がりを知りました。ご縁ってほんとうに不思議なものですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 5日 (日)

「レイヤースケープ」展 平面と空間の境界線を探る旅

 今、銀座のクリエイションギャラリーG8で「レイヤースケープ(Layerscape)」展が開かれています。これは柳原照弘氏の作品展です。同氏は大阪を拠点に、家具や革小物、陶磁器など、ジャンルを横断したプロジェクトを多数手がけ、世界的に活躍されているプロダクトや空間デザイナーです。

 普段からクリエイティブの原点として、平面と空間の曖昧な境界線を意識しているという柳原照弘氏。今回、どうしても行ってみたかったのが「平面と空間の境界線を探る旅」とか。

Img_34141 まず目に入ってくるのが、霞んだ人物画像です。フロストガラスか何かに描かれているのでしょうか。その手前にシャープな線がのっています。
 一枚のフラットな平面なのに、人物と線との間には空間があるように見えます。不思議な錯覚を起こさせる作品です。

Img_34151  次にメッシュの透けるカーテンのある空間です。 その向こうには、ぼんやりと有田焼のオブジェが見えます。
 透ける布が光りや風によってモワレ効果を演出し、刻々と変化していく、そんな空間がつくり出されて行きます。来場者の存在があってはじめて成立する、ちょっと実験的なインスタレーションです。 

Img_34071 右はその有田焼(2016 edition series)です。
 気泡のような質感に覆われていて、光りを透過するので中が透けて見えるといいます。


Img_34081 さらに花をガラスの球体に閉じ込めた作品も。

 色と光り、透け感とのアプローチが、昨今のシースルーのレイヤードファッションに通じるところを感じて、印象的でした。

 開催は7日まで。ご興味のある方はお早めにどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 4日 (土)

「ザ ワールド オブ アナ スイ」展 華やかな歴史振り返る

 先日、話題の「ザ ワールド オブ アナ スイ」展に行ってきました。会場は東京・六本木のテレビ朝日本社ビル1階です。シンボルカラーの紫色の入口を入ると、そこには華やかな「アナ・スイ(ANNA SUI)」の世界が広がっていました。
Img_33841
 「アナ・スイ」といえば、ニューヨーク・コレクションでの人気は絶大ですね。日本では伊勢丹とのライセンスでおなじみのブランドで、キュートでかわいらしいものが多く、10代~20代の女性に受けています。とくにコスメや雑貨はひっぱりだこ!
 本展はそのコスメの20周年を祝して開かれています。アナ・スイの歴史を振り返る展覧会で、昨年ロンドンで行われた同展の初の巡回展でもあるそうです。
Img_33331jpg  ギャラリーには、これまでのコレクションで発表されたワードローブ、約100点がテーマ別に展示されています。「フェアリーテール」や「ノマド」、「スクールガール」----といったように。

Img_33531  上は「ヴイクトリアン」テーマのコレクションです。
 アナ・スイが魅せられたという、後期ヴィクトリア様式に見る装飾的で退廃的な世界観が表現されています。

Img_33591  「ロックスター」と「ヒッピー」のテーマです。
 「私は根っからのロックガールだと思う」、「リッチ・ヒッピーは私の基本的なポジションの一つ」などという言葉が添えられています。

Img_33681  一番奥は「デザインのプロセス」コーナーです。
 イメージ写真や生地見本を貼ったパネルをバックに実物のドレスがディスプレーされていて、アナ・スイのコレクションが創出される過程を垣間見ることができます。

 本展は8月26日まで。無料で誰でも気軽に行けます。どうぞお見逃しなく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 3日 (金)

2019春夏モード・イン・フランス展⑵ 初出展ブランドから

 2019春夏モード・イン・フランス展は、昨日のこのブログにも掲載したように、商談は順調だったといいます。
 初出展したブランドの中から、とくにウェアに注目し、2つのブランドを取材しました。

◇ドレス・トゥー・キル(DRESS TO KILL)
 「ドレス・トゥー・キル」とは「悩殺」という意味です。興味津々ブースに行ってみました。
 プリントや先染めのドレスには、どこか懐かしいヴィンテージな雰囲気が漂っています。セクシーというよりはエイジレスで、誰にでも心地よく着やすそうなウェアです。とはいえデザインは個性的で、意図的に着くずしたカットはファッション好きの大人の女性の心をつかみそう。
Img_33171
 ブランドを手がけるのは、アメリカ人デザイナーのジェーン・モールです。1990年に設立され、ロサンゼルスが本拠といいます。それが何故、今回初めてモード・イン・フランス展に出展したのかというと、既存の枠にとらわれないヨーロッパスタイルのアート系ブランドだからだそう。
 日本やイタリアの厳選された斬新な生地を用いて、ロサンゼルスで生産し、世界のハイエンドなブティックに卸しているのです。日本製コットン生地もたくさん使われていて、すべてのウェアは洗濯機、乾燥機に対応しているとも。

Img_33211  またここではジュエリーにも目が行きました。
 とくにオリガミのようなペーパー製アクセサリーの色や形に感動しました。紙とは思われないよくできた質感です。
Img_33261 上は、バルセロナ拠点のアナ・ハゴピアン(Ana Hagopian)のペーパーワークです。

 右は、イタリアのフランチェスカ・ヴイタリ(Francesca Vitali)のジュエリーです。 

◇ロビュール(ROBUR)
 1922年にリヨンで創業し、フランスの公共機関や有名ホテル・レストランに上質でファッショナブルなユニフォームを提供しているワークウェアのブランドです。
Img_33141
 提携している日本のプライムコーポレーションが、フランス伝統のワークウェアに現代のエッセンスを加えたレディースウェアを提案しようと、今回初出展したといいます。
 2019春夏コレクションは50年代 にフォーカスし、シンプルでナチュラルな感覚のウェアを提案。素材は中厚地の綿布が中心です。コックさんのユニフォームや白衣、カバーオールなどをヒントにしたデザインは、“ありそうでないベーシック”で、今後が期待されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 2日 (木)

2019春夏モード・イン・フランス展⑴ 好評のラベルゾーン

 2019春夏コレクションをパリに先駆けて発表する第45回「モード・イン・フランス展」が、7月25日~27日、東京・ベルサール渋谷ファーストにて開催されました。
 ファイナルレポートによると、出展社数は43社49ブランド(うち初出展は5社5ブランド)で、来場者数は昨年7月展と比べて10%の減少となったそうです。
Img_32661   とはいえ右のプロジェクトディレクターのエルヴェ・ユシェ(Herve Huchet)氏は、「商談は概ね順調で出展者の大半は結果に満足している」といいます。今年1月展で新設された「ラベルゾーン」(このブログ2018.2.3付け参照)も好評で、「今後はこれを一層充実させるとともに、メンズや雑貨ブランドも増やしていく」とのこと。
 フランスから日本への衣料品輸出にも触れ、「2017年には前年比で7.7%増。国別で全体の9位につけている。日本とEU間で経済連携協定(EPA)が発効されれば、EUから日本への輸出は全体で16~24%増加するとの予測もあり、現在最高12%の関税がかけられている衣料品の輸出拡大に大いに期待している」と述べています。

Img_33111   2回目となった「ラベルゾーン」」(このブログ2018.2.3付け参照)。出展には、メイド・イン・フランスであること、しかも創造性や伝統の知識と技術があることが求められます。今回、この厳しい基準をクリアして出展した6社の中から、下記の3社のブランドをご紹介します。

◇タンセル(TINSELS)
 初出展したリヨン本拠地のブランドで、個性的なプリントがトレードマークといいます。ブランドを手掛けるのは、エスモード出身でテキスタイルに詳しいジュリアン・ドリグエンさん(写真下)と、クリエイターのレミさんです。
Img_32691jpg
Img_32701  2019年春夏は太陽と旅をイメージし、シチリアの乾燥、マドリードの暑さ、リスボンのエキゾチックな庭園などにヒントを得たコレクションを提案しています。
 日本では既にいくつかのセレクトショップで展開されているそうです。直にコンタクトしたいと出展したといいます。

◇ヴァレンヌ(VARENNES)
 本展には連続5回参加していて、「ラベルゾーン」への出展は2回目です。
Img_32781 ソーミュールにある今年で40年の歴史ある工房は、無形文化財企業(ETV)の認定を受けているといいます。なめし皮や素材にこだわったレザーバッグは、すべて裏張りされていて、シリアルナンバーと保証書付きです。
 2019年春夏は、とくにポシェットが人気だそうです。肩にかけたり、ウエストポーチにしたり。
 テーマはスポーツで、バドミントンやテニス、ゴルフを喚起するデザインを展開しています。イエローやグリーンのパイピング、レザーとメッシュや布帛とのミックスなど、元気いっぱいなコレクションです。

Img_32861
◇フェット・アンペリアル(FETE IMPERIAL)

 2015年にクリエイターのローラ・ゴーティエ=プチがパリのマレー地区に創設したブランドで、今回初参加です。
Img_32911_2
 フランスの伝統技術とスローファッションの精神を基に、華やかなベルエポックとパンク調のワイルドカルチャーの要素を融合。 オートクチュールの技術を取り入れたメイド・イン・フランスの高品質なコレクションを制作しているといいます。
Img_33041jpg 2019年春夏は「滝」をメインテーマに、ギリシア神話の世界を思わせる自然と水の美を表現。「アポロ二―」や「天空の庭園」などと名付けたプリントのドレスやゴブラン織りのブルゾンなど、コットンやシルクのナチュラル素材を中心としたコレクションを見せています。
 一つ、特別に取り出されたのが、アンゴラうさぎ(フランス南西部産)の抜け落ちた毛を集めた糸を使って、職人たちが棒編みしたニットウェア。ふんわりとやわらかい、まさにエシカルの逸品です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 1日 (水)

特別展「縄文 1万年の美の鼓動」謎の造形美にはまる

 今、東京国立博物館で特別展「縄文 1万年の美の鼓動」が開催されています。日本の北を中心に南まで全国に広がる縄文遺跡で出土した約200件が集結しているのです。これは混まないうちに見ておこうと、先日行って来ました。

Img_32151jpg
 会場は平成館の2階で、第1会場に土器、第2会場に土偶が主に配置されています。

 第1会場に入ると、まずは前期の土器です。縄文の名前の由来となった縄目模様が付けられています。それも様々な方向に向きを変えて、杉綾の変形のようなものも見られます。黒っぽい煤の跡もあって、煮炊きに使われていたことがわかります。それにしても底が尖っているので、立ちません。どのように使ったのでしょう。不思議です。
 一昨年、青森県三内丸山遺跡を訪れたときに見た「縄文ポシェット」と呼ばれる木の皮を編んだ籠(このブログ2016.8.26付け)も展示されていました。精巧なつくりで驚かされます。当時もう漆塗りの技術もあったのですね。

 次に中期の土器です。
20180704_2678140  火焔型土器(右のチラシに掲載されているのは国宝の火焔型土器)や、王かん型土器が真ん中にずらりと並んでいて壮観です。炎を象ったような、また冠のように立ち上がる土器は彫刻アートのようです。うねる渦巻模様や蛇のようなモチーフが立体的に施されています。これはもう実用というよりも装飾が圧倒的に勝り、この造形美は一体何なのか----と、すっかりこの謎にはまりました。。
 この展示室内にはエジプトやインド、中国など他の文明の器も展示されています。比較すると、それらは皆シンプルで使い勝手のよさそうなものばかりです。
 縄文土器が世界に類をみないものであることを改めて確認しました。

 第2会場は土偶が中心です。まずは国宝の土偶が集められた展示室です。「縄文の女神」の美しいプロポーションや、厚さが何と2ミリという「中空土偶」、敬虔な気持ちにさせられる「合掌土偶」など、但し「縄文のヴィーナス」はまだ展示されていなくて、ちょっと残念!
 すべて妊娠した女性を表現しているそうです。女性が敬われていた証なのかも---と思いながら拝見しました。

 そこを抜けると広いホールに出ます。たくさんの土偶や矢じり、破片などの出土品が展示されるなか、00089773 注目はやはり「遮光器土偶」(右のチラシに掲載されている土偶)です。
 ゴーグルをつけているように見えることから、こう呼ばれているそう。SFに登場する宇宙人を模したのでは、ともいわれているのですね。眺めているとそんな気もしてきます。これもミステリー!

 最後のコーナーでは、縄文土器を評価した人物が紹介されています。
 長い間、縄文土器は考古学研究の対象であって、その芸術性については認知されていなかったのですね。
 この縄文土器の美に誰よりも早く感動し、世の中に訴えたのが芸術家の岡本太郎です。大阪万博では土偶をヒントにあの「太陽の塔」をつくりました。岡本太郎って、ほんとうにスゴイ!です。
Img_32281_2  
 ここには写真撮影可のスペースがあり、岡本太郎美術館蔵の縄文土器が出品されています。

 右は、岡本太郎が撮ったという「顔面把手」(山梨県韮崎市出土)です。

Img_32161 Img_32161_2  深鉢型土器 3点です。

 縄文時代は今から約1万5000年前から約2300年前です。古代というよりもはるかに古い時代に、1万年もの長い間、私たちの先祖は、狩猟採集をしながら土器を用いて、平和に生活していたといいます。それにしても、これほどまでに装飾豊かな土器をつくって楽しんでいたとは! 平和であればからこそ、だったのでしょうか?
 知れば知るほど謎多き縄文に、ちょっと夢中です。

 会期は9月2日まで。この夏は上野で、ニッポンの美の原点をたどってみてはいかがでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年7月 | トップページ