« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »

2018年6月

2018年6月30日 (土)

インテリアライフスタイル⑷ 注目のファッションブランド

 「インテリアライフスタイル東京2018」では、繊維ファッション関連企業も数多く出展していました。ライフスタイルがサステナブルに向かうなか、注目されたのはナチュラル志向の、洗練されたシンプルな佇まいを見せるファッションブランドです。いずれも心地よい自然素材の綿や麻を基調とした商品で人気を集めていました。

◇Handwerker(ハンドベーカー)
Img_08791jpg 次世代のデザイナーが集うネクストゾーンに、初出展していたのが「Handwerker(ハンドベーカー)」です。デザイナーの玉井健太郎さんが手がける「アシードンクラウド(ASEEDONCLOUD)」から派生したブランドで、Handwerkerとは、ドイツ語で“職人”の意味。 ある種普遍的な未来のヴィンテージになりうる“職人の服”がコンセプトといいます。Img_08821 素材は岡山で織られた上質のキャンバスや雲斎織、コットンシャツ地が中心で、着込むほどに馴染みます。
 右は職人の道具箱から出てきたようなアクセサリー・ジュエリーです

◇増見哲
 服飾資材メーカーの増見哲による割烹着のブランドがkapok(カポック)です。昨年2月に開催されたルームス展に出ていたので、このブログ2017.3.22付けで小さな記事を掲載しています。
 割烹着づくり50余年の同社では割烹着を「ハウスワーキングコート」と呼んでいるそうです。こだわり抜いてつくった新作は、外にも着てゆけるツー・ウェイスタイルのものです。
Img_09041jpg  上の写真はこのツーウェイスタイルのものを、スタッフのお一人が着用して見せてくれたものです。こんな風に前は割烹着なのですが、後ろにするとコートとして着ることができるデザインになっています。作業着として、またちょっとした外出着にもなって重宝しそう。

 もう一つ、同社では正真正銘の割烹着ブランド「K.A.ケーエー」を提案していました。K.A.は、「割烹着オーセンティックKappogi Authentic」の頭文字をとったもの。着物は生地を無駄なく使う直線裁ちです。Scan0046そこで着物のように素材を余すところなく使用した割烹着を開発したとのこと。110cm幅の綿生地に直線的なパーツを組み合わせたパターン設計は、まさに日本人の知恵の賜物と感心しました。価格は6,800円。

◇ノット knot 
 プロダクトデザイナー・花澤啓太さんが立ち上げた暮らしのブランドです。
1 注目は、“NEW PATTERN”です。一枚のコットンの布から端切れを出さずにシャツを造形するパターンを考案、着物や貫頭衣の要素を分解して引いたバターンから切り取られたすべての布地が一枚のシャツを構成し、新しい意匠を生み出しています。
 無駄を出さない作り方は、日本の“もったいない”美意識そのものです。まさに画期的なアイデアと思いました。

◇ミードット (me.)
 ハプナアンドコhapuna&Co.のリラックスウェアのブランドで、今シーズンは新しくMADE IN JAPANにこだわったシームレスなインナーウェアを展開していました。
Img_08881jpg  素材は綿100と綿/シルク素材で、右は細くやわらかなコットンを編みたてたテレコ製です。
 身に着けていることを忘れてしまうほど、肌に優しくなじむ感覚をアピールしています。
  肌触りがよくて着け心地よさそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月29日 (金)

インテリアライフスタイル ⑶ アワードの表彰式

 先般開催の「インテリアライフスタイル東京2018」で、今年も恒例のインテリアライフスタイル・アワードが発表され、表彰式が行われました。

 「ベストバイヤーズチョイス2018」を授賞したのは、初出展した株式会社HULS(ハルス)のKORAI(こらい)です。
Img_08731jpg_2
 審査員はコンランショップ・ジャパン執行役員商品部部長大野賢二氏で、授与理由は「“涼しさ”というコンセプトでありながらも、ぬくもりのあるフォルムで使う人のくらしを想像できる “豊かさ”のあるブランド」と述べていました。
 東京とシンガポールに拠点を構える、日本工芸を専門に海外発信するクリエイティブカンパニー、HULS。 日本の精巧な技術とモダンなデザインを兼ね備えたアイテムが揃うImg_08621jpg_2JAPAN STYLEのゾーンに出展し、ひときわ目立っていました。
 製品は「夏の涼」をコンセプトにしたティーセットやタンブラー、プレート、竹かごなど。
 とくに右の「水の器」は、涼やかで癒されます。

 もう一つ、若手起業家に与えられる「ヤングデザイナーズアワード」は、NECKTIE design officeを手がけるグラフィックデザイナーの千星健夫氏に贈られました。
Img_08511
 審査員のアンビエンテブランド 総責任者ニコレット・ナウマンさんは、その理由を「使い勝手がよくて、使う人の気持ちを考えたデザイン」とコメントしています。
Img_08571_2
 右は、WORDS SANDWICH(ワーズ サンドイッチ)。
 アルファベットを選んでパン型カードにはさむハンドプリントのレタープレスカードです。

Img_08491_2  右はMOMENT SCALE(モーメントスケール)と名付けられたスケールの形をした白磁の時計で、ものを乗せると時間が進むような不思議な感覚を呼び起こす時計といいます。

 ドイツ・フランクフルトで2019年2月に開催される世界最大級の国際消費財見本市「アンビエンテ」の「NEXT」ゾーンに招待されるとか。大いにアピールしてきてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月28日 (木)

インテリアライフスタイル ⑵ アンビエンテ2018トレンド

 先般開催の「インテリアライフスタイル東京2018」で、この2月にドイツのフランクフルトで行われた生活雑貨の見本市「アンビエンテ」発の最新トレンドセミナーが行われました。講師はドイツのデザイントレンド発信事務所のアネッタ パルミザーノ氏です。
 流れは総じて、革新と伝統といった相対立する要素の共存といえそうです。

◇モデスト・リジェネレーション modest regenerations
31  タイムレス/パーソナル/ミニマリスト/控えめ/モデスト/気取らない/オリジナル
 新旧の組み合わせ。工業的シックとカントリーハウスの魅惑。

◇カラフル・インテンション colourful intentions
21  パワフル/エコロジカル/ファンクショナル/スピリチュアル/フォークロア/ダイナミック/ストライキング
 大胆なカラーとリサイクル・プラスチックなどエシカルへの配慮。

◇テクノロジカル・エモーションtechnological emotions
2  ヴィジョン/リファイン/エモーショナル/バランス/実験的/インテリジェント/リラクシング
 健康を高める新しいテクノロジーとともに。

◇オピュレント・ナレーションopulent narrations
3  エクレクティック/ステージ/オーナメンタル/リッチの喚起/誇張/ゴージャス
 洗練されたエレガンスと職人技のミックス。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月27日 (水)

インテリアライフスタイル東京2018 ⑴ 盛況のうちに閉幕

 インテリア・デザインの総合見本市「インテリアライフスタイル東京2018」が、5月30日~6月1日、東京ビッグサイトで開催され、今回も盛況のうちに閉幕したと発表されました。来場者は25,302人で、昨年に比べ少し減少しましたが、出展社数は29カ国・地域から810社が出展し、とくに海外からの出展が195社と顕著に増加。

Img_09171
 目玉のアトリウム特別企画は、テーマが「For Here or To Go?」でした。「ここで食べるか、持ち帰るか」という意味で、海外のファストフード店などでおなじみのフレーズですね。監修のメソッド代表山田遊氏は、これには「商談をここで詰めるか、社内で会議するか」というバイヤーの意識を問い直す意味合いがあるといいます。会場はモノとコトが絶妙なバランスで共有出できる場所をイメージし、中央にはテーブルを用意して、モノをきっかけに話ができるような構成にしたとのことでした。
 出展者・来場者双方から、新しい出会いがあったとポジティブな情報が寄せられ、アトリウムホールは終日にぎわった模様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月26日 (火)

横尾忠則が手がけたISSEY MIYAKEパリ・コレ招待状展

 今日から1週間、銀座・森岡書店で、横尾忠則が手がけたISSEY MIYAKEパリ・コレ招待状展が行われています。ここは、書店とはいいながら「1冊の本だけを売る」ちょっと変わったギャラリーです。今週は小池一子・著『イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事』(このブログ2月1日付けの関連記事参照)を販売しています。
 展示は、この書籍の発売記念として行われているもので、本書には横尾忠則による、1977年から1999年までのイッセイ ミヤケ パリ・コレクションの招待状が収録されています。

Img_12831jpg  今回はその中から厳選された10数点が出品されて、壁面を彩っていました。

 この本のトークイベントがあった折り、横尾忠則は最初の15年間ずっと三宅一生の顔をモチーフにしたそうです。
Img_12751jpg コンピューターに興味を持つようになり、写真をコンピューターグラフィックで作品にしたといいます。封筒も特注でつくったと伺いました。
 それにしてもそんなに長期間、いつも三宅一生の顔だったなんて、さすが盟友ならではのお話しですね。

Img_12791  
 現品を見るめったにない機会です。気軽に体感しに行かれてみてはいかがでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月25日 (月)

「デヴィッド・ボウイ浮世絵展」 あの大スターが浮世絵で

 今、「デヴィッド・ボウイ 浮世絵」展が、表参道のBOOKMARCで開催されています。
 そのオープニングの人出がすごくて、さすが大スターですね。
 親日家として知られるデヴィッド・ボウイへのオマージュ展で、浮世絵プロジェクトの第3弾だそう。現代のスターを伝統木版画で表現し、浮世絵職人の技術を伝承しようというものです。

Davidbowie_bookmarc_001thumb1080x_3
Img_12511  発表された作品は2つあり、写真上はその一つです。ちらしにも使われている作品で、ロンドン出身の写真家テリー・オニールによる「ダイアモンド・ドッグズ」プロモーション撮影時の写真(1974年)をモチーフに、曲独楽(きょくごま)の芸を披露する藤次を演じるボウイを描いたもの。

Img_12581  もう一つは右で、英国人の写真家ブライアン・ダフィが手がけたアルバム「アラジン・セイン」(1973年)のジャケット撮影で撮った写真を用いたもの。
 ボウイが大蛇を操る鬼童丸の姿で表現されています。

Img_12521  壁にはボウイの有名な写真も。

Img_12711  また浮世絵ならではの手仕事がわかるパネルも展示されています。版木や小刀、顔料なども見ることができます。

Img_12681jpg  実演コーナーもあり、摺師の職人が和紙にバレンで摺る技を指導してくれます。
 浮世絵が精巧な職人技でつくられていることを改めて実感させられます。

 なお今回制作された2作品はいずれも108,000円、限定200点で販売されているとのことです。開催は7月1日まで。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月24日 (日)

「オフィスのトレンドとワークデザイン」働き方につれ変化

 先般開催されたワールドインテリアウィーク2018のイベントの一つ、東京デザインハブにて行われたセミナー「インテリアの可能性を巡って」で、「オフィスのトレンドとワークデザイン」と題したプレゼンテーションが行われました。Img_07861jpg 講師はオフィス事情に詳しい三井デザインテックの大川貴史氏です。変わるワーカーのスタイルやオフィスの環境に、デザインはどう応えていくのでしょう? この興味深いテーマを簡単にまとめてみました。

 まず語られたのが、オフィスのデザインの変遷です。ご指摘のように、私が入社した頃は、部署別にデスクが並び窓際に部長席があるといったレイアウトが普通でした。80年代にニューヨークのオフィスへ行ったとき、驚いたのはワーカーのスペースがひとり一人、パーティションで仕切られていたこと。個性を重んじる国は違う、と思いました。ところが今はもうそのような仕切りなどなくて、決まったデスクもない、フリーアドレスというカタチのオフィスが増えているそうです。その方が、仕事や気分に合わせて自由に動けて効率がよいとか。日本もそうなってきているようです。働き方につれてオフィスの姿は変化しているのですね。

 次に海外のオフィスデザイン最前線のレポートを紹介。米国ポートランドのAirbnbのオフィスはまるで邸宅のよう。サロンのような空間に広いカフェテリアがあって、ペットを連れてきてもよいのだそうです。オランダやデンマークのコペンハーゲン、オーストラリアのシドニーなど様々な先進的な事例を映像で見せていただき、感心しました。自席は用意されていても、どこでも仕事ができる環境になっていて、昇降式のデスクが備えられ席が自由に選べたり、吹き抜けのモールのような空間から自然光が射し込んでいたり----、もう至れり尽くせりです。

 この動き、日本ではどうでしょう。最近は働き方改革もあって、ユニクロをはじめこうした快適な空間をつくることを投資と考える企業が多くなってきているといいます。しかしまだまだこれからのようです。
 ワークプレイスをクリエイティブな場へ進化させていく、そのためには従来のような個人作業中心ではなく、個人作業に加えて多様なメンバーとコラボレーションできるチームで活動する場にしていくことが求められるといいます。

 最後に、その8つのポイントを挙げて締めくくられました。
①オープンオフィス ― ヒエラルキーなしに立体的にオフィスがつながる空間。
②コラボレーション ― カフェテリアなど対人コミュニケーションのとれる空間。
③フォーカス ― 集中できる空間をバランスよく配置すること。
④フレキシビリティ ― 目的を限定しないで多目的に使えるスペース。
⑤ウエル・ビーイング ― ワーカーの心と身体に配慮。自然光やグリーンなど。
⑥パーソナライゼーション ― ワーカー個人の尊重。
⑦コーポレイト・アイデンティティ ― 企業文化の発信。
⑧ソーシャライゼーション ― 社会とのつながり。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月23日 (土)

映画「ファブリックの女王」 マリメッコ創業者波乱の人生

 マリメッコに関するミニレクチャー&「ファブリックの女王」上映会が、去る5月末に開催されたワールドインテリアウィーク2018で、東京デザインハブにて行われました。
 マリメッコといえば、フィンランドを代表するファッションブランドです。このブログ2017.1.5付けでも展覧会の記事を掲載しています。映画「ファブリックの女王」も話題となりました。このブームは北欧人気も相まって現在も続いているようです。今年2月末まで竹中工務店東京本店にあるギャラリーエークワッドでは「マリメッコの暮らしぶり」展も開催されていました。
Img_07671  上映会では、このギャラリーの副館長 主任学芸員の岡部三知代さんによる、マリメッコ創業者のアルミ・ラティアやそのスピリットに関するミニレクチャーがありました。

 映画は期待していた通りの伝記的なドラマでしたが、アルミの苦悩ぶりが半端でなく暗くて重かった! 予告編にはなかった、見ていてつらくなるような場面が多かったです。それもそのはず、創業した頃は戦後間もない時代で、国土は荒廃し、生活は困窮を極めていたのです。そうした状況をデザインの力で変えようとしたアルミです。女一人で起業して生きていこうとすれば、強くたくましく、ときに破天荒にもならざるを得なかったのでしょう。鮮烈な彩りのファブリックの世界とはあまりにもかけ離れた波乱の人生模様に、すっかり気圧されました。

 とはいえフィンランドは2017年世界男女格差ランキングで第3位です。これも彼女のような女性パワーあってのことと思われます。ちなみに日本は114位と底辺に沈んでいます。また今年3月に国連が発表した世界幸福度ランキングでは、フィンランドは何と堂々の1位になりました。幸せと思っていた日本ですが、ランクを落として54位です。
 この差は何なのでしょう。背景に、のびのびと自由な環境があるかないか、そうした精神性によるのかもしれないと今思っています。フィンランドには、日々の暮らしに喜びを振りまいてくれるマリメッコのようなスピリットが、きっと息づいているのですね。
 映画を鑑賞して、その力強いユニークな「色と柄」、時代を感じさせない「タイムレス」なスタイルが何故生まれたのか、改めて考えさせられました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月22日 (金)

FB学会東日本支部特別講演「シャネルの挑戦と近未来像」

 ファッションビジネス(FB)学会では前週に続き、東日本支部でも杉野学園ホールにて特別講演会を行いました。登壇したのはシャネル代表取締役 リシャール コラス氏です。
   学園の学生も揃って参加し、熱のこもった会場風景となりました。Img_07661コラス氏は、シャネル社に入社して35年、来日して25年になられるそうです。「グローバルファッションビジネス・シャネルの挑戦と近未来像(Vision)の戦略について」をテーマに、流暢な日本語でユーモアを交えて語られました。

 講演は究極のラグジュアリーハウスを創設したココ・シャネルの人物像から始まりました。シャネルは幼い頃、父親により修道院に預けられ、父親はそのまま蒸発してしまいます。修道院育ちのシャネルにとって、そのストイックな建物や白と黒、ベージュといった色は印象的なものだったに違いないと、コラス氏はいいます。それが後にシャネルのアイコンとなるリトルブラックドレスや、シャネルNo 5の香水瓶に見るシンプルなデザインにつながっていったのですね。

 またシャネル社では同社を支える高度な技術を持つ工房を、敬意を表してパラフェクション(paraffection)カンパニーと呼んでいるそうです。フェザークラフトのルマリエ(Lemarié)や刺繍のルサージュ(Lesage)などの仕事場を映像で紹介、さらにバッグ一つ作るのにも18時間、製造技術の修得に少なくとも3年を要するとも。伝統ある職人技が大切にされている様子がわかりました。「過去を生かしてより良い未来を作るのだ」(ゲーテの言葉)は、まさに同社の哲学といいます。 

 次にココ・シャネルの創作物が常に機能という目的を持っていたことを解説されました。
 一つはショルダーバッグです。当時は女性用のバッグといえば手提げのハンドバッグかクラッチしかありませんでした。そこで彼女は鎖のチェーンを付けてショルダー掛けにし、両手が使えるようにしたのです。また軽くするために薄い子羊革を選んで、キルティングを施し強度を高めると共に傷を目立ちづらくもしています。
 もう一つはリトルブラックドレスです。この黒いドレスはその頃「フォード・ドレス」と呼ばれていたそうです。フォードはアメリカの自動車メーカーで、大ヒットしたフォ―ドモデルTが黒一色だったからだそう。黒といえば喪服の時代に、シャネルはあえて男性の下着用だった黒のジャージを使って、歩きやすい膝丈のドレスをデザインし、新時代をリードしたのですね。
 この他、スポーツウェアからシューズ、ジュエリー、時計、化粧品と、機能を重視したクリエーションは枚挙にいとまがありません。初めて日焼け止めクリームを商品化し、リップスティックを考案したのもココ・シャネルだったといいます。

 さらにシャネルの銀座ビルについても興味深いお話しがありました。設計を担当したのは著名なアメリカ人建築家のピーター・マリノ氏です。外壁を四角いモザイク形状にし、LEDイリュミネーションによりシャネルツィードの模様を演出しています。動きのある表現は確かに見ていて飽きません。またココ・シャネルがアートのピグマリオン(アーティストを育てる人)でもあったことから、ネクサスホールというギャラリーを設け、展覧会を無償で開催したり、コンサートを催したり。10階のアラン・デュカスとのコラボレストランは、名称も彼女に因んで「ベージュ」にしたといいます。

 最後に驚かされたのが、このビルの建設に携わった2,500人もの職人の名前を刻んだ大理石の定礎板が、正面に設置されているという話題でした。コラス氏は、職人への感謝の気持ちを表現したかったといいます。銀ブラで通りかかった元職人が「これは私がつくった」と言ってくれたらうれしい---と。

 まさにシャネルのスピリットを体現されていると、感銘させられるエピソードが続々。心に残るすてきな講演会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月21日 (木)

FB学会特別講演「繊維産業の課題と経済産業省の取組」

 ファッションビジネス(FB)学会総会後、特別講演会が去る5月19日、文化学園大学にて開催されました。講師は経済産業省製造産業局生活製品課長 杉山 真氏です。
Img_06601jpg_2   「繊維産業の課題と経済産業省の取組」と題して、繊維産業の現状と問題点、今後の方向などを講演され、同省の考え方を知ることができました。WEBサイトには同じ内容の文書も掲載されています。そのポイントを下記にまとめました。

 まず国内繊維産業の概況です。国内生産の減少により、繊維事業所数、製造品出荷額とも、1991年比で約1/4 に減少し、アパレル市場における輸入浸透率は2017年には97.6%まで増加しました。衣料品の輸出は先進国のなかでも極めて少ないのですが、一方で生地については競争力があるとみられているようです。織物輸出額を見ると世界的に見て高い水準にあるといい、高機能・高性能繊維や高品質・高感性の素材で世界をリードしているといいます。 
 次にファッションテックついてです。第4次産業革命到来による大きなテーマとして、強調されました。アパレル業界ではE コマースの台頭で、2017年にEC化率は11%を超え、リユース、レンタル、クラウドファンディングを含め拡大が見込まれています。
 こうした中、焦点となってくるのが「コネクテッド・インダスリー」と断言。これからは様々な業種、企業、人、機械、データなどがつながり、AI等によって、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上し、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決していくことが重要と語られました。
 その多々ある重点取組分野のなかで、とくに①スマートテキスタイルと②マスカスタマイゼーションを取り上げ、解説されました。
 ①では、生体データを取得し、高齢者、建設作業員やドライバー等の見守りや、アスリートの体調管理や運動負荷量のモニタリングを行うといった試みが見られ、「hamon」(ミツフジ)、「e-skin」(Xenoma/東大発ベンチャー)、「Smartfit」(クラボウ)、「美姿勢チェック」/「筋電WEAR」など(グンゼ)、太陽電池/太陽光発電テキスタイルの事例を紹介。
 ②では、デジタルツールを活用することで、従来の大量生産と同様の効率性で、オーダーメイドの一点物を生産・販売する試みが始まり、事例としてViscotecs(セーレン)、フクル、ZOZOSUIT(スタートトゥデイ)、島精機製作所、COUTURE(クチュールデジタル)。
 この他、マッチングプラットフォームの「シタテル」や、サプライチェーン間のデータ連携を構築する「タビオ」なども挙げられています。

 これらファッションテックは衣服というモノの概念を根本的に変革し、これまで不可能だった様々なサービスやソリューションを提供できる無限の可能性を秘めているといいます。
 今後の繊維産業構造の劇的な変化を予言する、刺激的な講演会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月20日 (水)

「触感をデザインする」ハプティックデザイン体験の衝撃!

 ITの進化でタッチ・ディスプレイをなぞると画像の質感を感じることができる技術の開発が話題になったことがありました。そのときは匂いも伝えられるというので、「えっ!そんなことできるの?」と夢物語のように思っていました。
Img_06461jpg  でもいよいよこれが実現しようとしています。それが「HAPTIC DESIGN(ハプティックデザイン)」です。ハプティックとは、手で触っている感覚を生み出すテクノロジーで、携帯電話が振動するのもその一つといいます。
 先般、開催された「日経ものづくり技術2018」で、“触覚”に基づく新たなデザイン領域を研究されている慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科(KMD) 准教授 南澤孝太氏による特別講演が行われました。題して「触感をデザインする~質感、実感、情感を生み出すHAPTIC DESIGN」です。
 バーチャルリアリティ(VR)が広がりを見せるなか、バーチャルな画像の質感、実感、そして情感までもがリアルに感じ取れるようになるとは、何という驚異でしょう。触覚を伝えるセンサーの働きで、そのものの重さや硬さ、温度、つるつるとかザラザラといった表面感、引っ張ったときの感覚など、様々な触感が再現できるようになるといいます。衣服の着心地や、フワフワ、サラサラ、カサカサなど生地の触感もデジタル化され、記録されて検索も可能になってくるとも。
 またしびれなどで皮膚感覚を失う病気がありますが、その治療にも使えるといいます。

 実演もあり、私も紙コップのデモに参加しました。水をコップに注ぐと、持っていた空のコップが重くなり、水が撥ねて動く感じがあってびっくり! まさに衝撃的な体験でした。

 南澤先生は、これを「補触器」と述べています。眼鏡は人間の視力を拡張します。補聴器は聴覚を拡張します。触覚も同様で、触感覚を拡張・増強させることができるというのです。
 そうなれば加齢によって鈍って来る皮膚感覚の回復や、熟練者の技術伝承にも役立ちます。私たちの日常生活もより楽しいものになってくるに違いありません。

 最後にEmbodied Media (身体性メディア)への取り組みについても語られました。これは身体を通して得る様々な経験を、記録・共有・拡張・創造するような未来のメディアテクノロジーといいます。触覚の本質的な価値は「さわり心地」だけではなく、身体を通じて得られる様々な経験にあることに気付いて、研究を始められたとか。
 ほんとうにすばらしい、画期的な研究です。久しぶりに人間の未来を思い、胸が熱くなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月19日 (火)

2019クラボウグループ繊維展 「歓びと驚きをお客様へ」

 「2019クラボウグループ繊維展」が「歓びと驚きをお客様へ」をテーマに、5月15~16日、今年も東京・時事通信ホールにおいて開催され、最新コレクションをご案内していただきました。(昨年の記事はこのブログ2017.6.12付けで掲載しています。併せてご参照ください。)
 多様な提案の中から、とくに着目したブランドをご紹介します。

 まず「アクアティックAQUATIC」です。
Img_05611jpg  これは昨年発信した綿100%の次世代デニムです。製品洗い加工によるユーズド・ヴィンテージ感の表現が可能な上、デニム生地が擦れた時の色移りや洗濯時に色落ちしにくいのが最大の特長といいます。
Img_05511  私も白い布で擦る実験をさせていただき、色移りしないことを確認しました。これなら衣服の他、バッグやソファ地などインテリア用途にも安心して使えますね。
 新しい加工表現や、新色のターコイズやグレイッシュブルーなどが加わり、昨年よりもバリエーションが拡大しています。

 次に「ループラス L∞PLUS」です。
Img_05781jpg  サステナブルな社会の実現を目指す取り組みで、服をつくるときに出る裁断くずをアップサイクルして再び衣服にするプロジェクトです。裁断くずの種類や量からどのようなものがどれくらいつくれるのか、シミュレーションするソフトも開発。現在、アパレルに訴求し、コラボを模索しているところだそう。

 さらに「ファインマスター FINEMASTER」です。
 これは汗ジミや水シミを軽減する素材です。生地の裏側が吸水、表側が水をはじく加工になっているため、水シミなどが目立ちません。パンツ向けになくてはならない加工になってくると思われます。
Img_05801jpg Img_05791jpg



 布の裏面です。            布の表面です。
 裏面左は加工生地で濡れた時は水をよく吸水していますが、表面にはその水シミがまったく見えません。


Img_05861jpg_2 上の写真は「インフルエンザ“0”活動」です。「クラボウ スマイル スクール プログラム」の一つで、「クレンゼ CLEANSE」の抗菌・抗ウィルス機能加工技術を小学校に提供したところ、インフルエンザにかかる子どもの数が激減したといいます。これはぜひとも全国に広げたい社会活動と思いました。
 
Img_05681jpg  最後にクラボウの「ヒューマンワークスラボ」が開発した新しいワークウェアの展示で、目が点になったのが、「ムービンカット MOBINCUT® 」です。
 動きやすい作業服をつくるための型紙作成という、クラボウはこのような技術も開発していたのかと、驚きました。

 この他、スマート衣料の「スマートフィット Smartfit」など、クラボウの先進テクノロジーにも注目です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月18日 (月)

カプセルホテル「ナインアワーズ赤坂」内覧会

 カプセルホテル「ナインアワーズ赤坂」の内覧会が、オープン前日の5月9日に行われました。カプセルホテルとは、仮眠するだけの「ウサギ小屋」のようなホテルとばかり思っていた私です。でもこれを建築・設計された建築家の平田晃久氏にご案内していただき、イメージが完全に覆りました。

Img_01581  人一人が横になれる丸いフォルムのシンプルなカプセルは、明るくて清潔感があります。テレビはありませんけれど、必要な機能はほとんど揃っているのですね。
 男女は入口からエレベーター、むろん洗面設備など、きっちりと分かれていますので、女性も安心です。

 カプセルというと暗くて閉鎖的と思われがちですが---。ここは意外にも開放的なつくりになっていて、自然光が射し込んだり、緑を感じとることができたりもします。
Img_01571  中でも平田氏のお気に入りは、上の写真の空間だそう。赤坂という街の中でキャンプしているような感覚が味わえるとか、いいます。

 ホテル名の「ナインアワーズ」は「9時間」のこと。つまりチェックインしてから「汗を洗い流す」ことに1時間、「眠る」ことに7時間、そして朝目覚めてからチェックアウトするまでの「身支度」に1時間の計9時間というわけです。一泊4,900円だそう。
Img_01621jpg_3  またここにはハンドドリップ専門のコーヒースタンド「GLITCH COFFEE BREWD」も出ています。寝るだけではなくて、美味しいコーヒーを味わいながら、人との交流を楽しむこともできるようになっているのですね。

 都心の便利なホテルもステキに進化している、と思いながら後にしたことでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月17日 (日)

2019/20秋冬ミラノウニカ開催概要 日本27社・団体が出展

 早くも2019/20年秋冬の第27回ミラノウニカ(Milano Unica 略してMU)が、7月10日~12日、ミラノのロー・フィエラミラノにて開催されます。その記者発表会がJFW事務局で、去る4月下旬に行われました。遅ればせながら概要をお伝えします。 
 総出展社数は601社で、来場者数は昨年同様6,000社を見込んでいるとのことです。
 昨年秋冬展を9月から7月に前倒して開催したMUは、来場者の増加やバイヤーの滞留時間増、出展社数の大幅増などで、主催者は7月開催を成功と評価しているといいます。但しレディスブランドにとってはテーマが決まっていない時期でもあり、求められたスワッチが発注に至る確率は落ちるとの声もあるとも。またMU終了後すぐにバカンス時期に入ることもあり、発注確定に至らないケースも見受けられたとのことでした。

Japan_observatory_010_milnounica_pe  今回で9回目となるジャパン・パビリオンの「The Japan Observatory at Milano Unica」(写真右は前回のもの)には27社・団体が出展します。この内新規は2社で、スタイルテックスと北高です。出展社のバリエーションが増し、前回よりもレディス分野が増加しているといいます。

 なお2019/20秋冬MUのトレンドも下記のように発表されています。
 テーマは「ネーション・トゥ・ネーション Nations to Nations」で、次の3つのストーリーが提案されています。

◇オーガニック・グランジ Organic Grunge : スコットランド、トルコ、ルーマニア
◇ハンドクラフト・エッセンシャリズム Handcrafted Essentialism : 韓国、スイス、スゥエーデン
◇テクノ・ロマンティックTechno Romantic : ベルギー、アゼルバイジャン、インドネシア

 このMU7月展を私も取材しに行きます。詳細はそのときまたご報告いたしましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月16日 (土)

2019年春夏ミラノウニカ 流行色2018 SUMMER掲載

Scan0045  この春発行された「流行色2018 SUMMER No.593」に、今年2月に開催された「2019年春夏ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

  その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。

32

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月15日 (金)

PTJ 2019春夏⑻ 華やかなプリントデザイン

 先般のPTJ2019春夏展で、ひと際目立っていたのが華やかなプリントデザインです。花柄、幾何柄やグラフィカル、更紗調、リゾート感覚なものまで様々。

◇北高
Img_03071  メンズのアロハ向けプリントが好調とのことで、大胆な意匠のアロハシャツを前面に打ち出していたのが印象的です。

◇コッカ
Img_02191jpg  今シーズンは、天然素材によるナチュラルなスタイルがメインといいます。花柄は全体に大人っぽい抑えた表現になっています。

◇グローブ
Img_02801  大阪が本拠のテキスタイルコンバーターで、個性あふれるプリントを展開しています。大胆な動きのあるポップな柄行きを打ち出し、意匠力を感じさせられました。

◇イマダ
Img_02251jpg  花模様が人気のプリントメーカーです。今シーズンは大柄やダーク地など、甘味を控えたロマンティックがポイントのようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月14日 (木)

PTJ 2019春夏⑺ ジャパンクオリティ支える染工場の技術

 日本の素材クオリティの高さは世界一といっても過言ではありません。それを支えているのが、様々なニーズに応えている染工場の技術です。
 PTJ2019春夏展に出展した2社の注目素材をご紹介します。

◇久山染工
 日本のものづくりの最先端を引っ張っている京都発の染工場です。世界の一流メゾンがその独自の特殊加工によるアイデア、オリジナリティに魅せられています。

Img_02441  今シーズンは上の写真のような、綿の撥水加工を前面に押し出していました。フッ素は不使用で松脂など天然材料を使っているとのことです。
Img_02401  ぐっとシンプルになって機能を打ち出していたのが印象的でした。

 もちろん、右のようなオパールベルベット加工など意匠性の高い、ファンシーなものも多数取り揃えられています。

◇三陽染工
 福山市本拠の日本有数のインディゴ染めの染工場です。環境汚染の問題にも積極的に取り組まれていて、世界から高く評価されています。
Img_02681  ブースでは右の「スミナリエ」という特殊段落ち抜染を大きく打ち出していました。二度染めして、洗い加工などで色を落とすと下から異なる色が出てくるというもので、全体的に落とせば玉虫調に、部分的に落とせば2色のコントラストが楽しめるといいます。

Img_02711jpg  また新開発のインディゴプリント「サインズ(SAINS)」も披露。これによりこれまで量産が難しかったインディゴによる様々なプリント表現が可能になったといいます。落ち感やブリーチ脱色、染め生地へのプリントなど、アイデア次第で今までにない商品開発ができるようになったとのこと、今後の活用が期待されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月13日 (水)

PTJ 2019春夏⑹ ジャカードは軽やかなタッチへ

 装飾への傾向が続いていることから、引き続き意匠素材に目が行きます。その代表がジャカードです。先般開催のPTJ2019春夏展では、軽やかなタッチのものが多く目に付きました。透け感や光沢感があって超軽量な素材や、ストライプなどカジュアル感のあるスポーティな感覚のものが増えています。

◇丸増
 1949年の創業以来、培われてきたアーカイブを現代感覚に仕上げた意匠素材を提案しています。
 今シーズンは、グラデーション調の彩りを施したポリエステル/コットンのフィルム格子をアピール。スリットクロスのプリントも美しく、大人のエレガンスを誘います。
 その軽やかな透け感と適度な張り、しかも上品な光沢にすっかり魅せられました。
Img_02551jpg Img_02461
◇クロスジャパン

Img_02131  オリジナリティあふれるテキスタイルが好評の同社です。
 ブースでは大胆なジャカードが目立ちます。とくに今シーズンの売れ筋を伺いましたら、右のようなストライプ使いのカットジャカードが一番人気とのことでした。
 カジュアル感があって、使いやすそうです。

◇クリスタルクロス
 「当たり前のものは提案したくない」というように、ブースには個性的なジャカードや先染め、プリントがいっぱいです。きらめくラメや透けるもの、カットジャカード、ファンシーな意匠糸使い、オパール加工など。とはいえ決して重くならず、春夏シーズンらしい軽快なタッチに満ちていて、見ていて楽しくなります。
Img_03111jpg Img_03091




◇近江織物

 綿や麻中心に、様々な織物の製織や染色整理やImg_01981jpg晒加工を得意とするメーカーです。
 今シーズンは薄地のエレガントなボイルやオーカンジー、インクジェットにカレンダー加工、コンピュータージャカードを提案。
 右はコンピュータージャカードの五重織です。

◇高坂繊維
 足利産地でレディス向けジャカードや特殊加工を手掛けている老舗メーカーです。
 今シーズンは、トレンドのスポーティで爽やかなカットジャカードを提案。素材はポリエステルやナイロンにコットン複合のものが多く見られます。
Img_02881 Img_02911

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月12日 (火)

PTJ 2019春夏⑸ コットンやコットン風先染めへの関心

 先般開催のPTJ2019春夏展で目立ったのがコットンの先染めで、合繊もコットン風の先染めが多々見られました。
 柄はどちらかというとチェックよりも先染めストライプが関心事で、透け感や凹凸感、光効果など表面変化のあるものが多くなっています。また間隔がやや広めになり、ボーダーも目に付きました。

◇浅記
 新潟産地にて、糸染から製織、整理加工まで、全ての工程を一貫生産しているメーカーです。スペックムラ染使いやシャーリングで動きを出すなど、洗練された感性豊かな先染め織物が多数見られ、いつも注目しています。
Img_01711 Img_01651








◇外村
 同社は各産地の技術、優れた特性を見極めたモノ作りでオリジナルの企画を提案する、京都のコンバーターです。
 今シーズンは「ナチュラル・エネルギーNatural Energy」をテーマに、自然のパワーを吹き込むようなコレクションを展開しています。光と影のコントラストで表現した、透け感や凹凸感、光沢感など変化のある先染めが数多く見られました。
Img_02311 Img_02361
Img_02271  また上のような合着のコート地も見せていて、おやっと思いました。薄く軽量、撥水などの機能を採り入れて、クラシックをひとひねりした感覚の生地です。

◇カゲヤマ
 人気の播州織メーカーです。
 今シーズンは高級感のあるヴィンテージ調に注目、シックな先染めやプリント地を見せています。光の効果も上手く採り入れています。
Img_03001 Img_03021jpg   

◇斎藤商店
 多様な先染め織Img_02941 物を展開している「播州織」の老舗です。
 今シーズンはとくに綿糸の「撚り」にこだわって開発したといいます。その反発力のある風合いは、他に類をみない優れものと思いました。
 右は綿100%のシュリプル加工。

◇大長
Img_02761  同社は琵琶湖の湖東に位置し、130年続く近江晒加工という技法を用いたシボ形状加工で人気のメーカーです。
 右は塩縮加工のストライプ。手作り感のあるシックな風合で提案されています。

◇明林繊維
 福井市が本拠のメーカーで、セルロース繊維のキュプラやレーヨン、アセテートにこだわり、それらを軸にオリジナル素材を訴求しているといいます。今シーズンは先染めも見られましたが、とくに後染めによるストライプで勝負されていたのが印象的です。
Img_02841

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月11日 (月)

PTJ 2019春夏⑷ 自然素材のコットン拡がる

 2019春夏のテキスタイルで、もっとも注目されるのがナチュラル志向へのうねりです。先般開催のPTJ2019春夏展でもコットンや麻といった自然素材が広がっています。中でもコットン使いのものは多様なバリエーションで見られ、一つひとつが印象的でした。

◇福田織物
 超極細綿糸や高密度織物や2重織など、高級感のある繊細な薄地の綿織物で定評があります。今シーズンは、このいつものラインアップに加えて、ピケや刺し子織、同社得意のコーデュロイといった少し厚地の綿織物や、ヘンプなどの麻素材の提案も目につきました。
Img_01951jpg Img_01901








◇古橋織布
 40~50年前のシャトル織機を使用した高密度の綿織物を得意とする遠州産地の人気企業です。
Img_02981  繊細なボイルやローン、細番手コードレーン、それにタイプライタークロスやパラシュートクロス、ダウンプルーフ、バフクロスなど、爽やかな風合いの生地を製品で展示し、来場者が絶えないといった様子でした。

◇鈴木晒整理
 遠州産地で天然繊維生地の染色・整理を行っている加工場です。
 皮脂汚れがつきにくい「ソイルクリーン」や涼感加工の「ニュークールマスター」など、合繊の機能を持つ天然素材に、大きな関心が集まっていて、ブースの賑わいぶりにビックリ! 
Img_02211pg  とくに人気は、昨春発表した「クリーズケア」という防シワ加工です。これはミラノ・ウニカ(このブログ2018.2.5付け参照)でも大好評だった機能加工です。綿など天然繊維のシワ防止やイージーケア、防縮性などに優れているといいます。

◇森菊
Img_03171_2  三河産地にて天然繊維を中心に手掛ける繊維総合商社です。
 今シーズンはオーガニックなどエコを大きく打ち出しています。
 多重織のガーゼシリーズなどとともに、右はオーガニックコットンとシルク混の両面ダブルフェイスのコットンスエードです。

◇渡邊パイル

 タオル産地の今治で、原料の良さを最大限に活かしたものづくりをしている同社は、Img_01761 服地にも大きな力を注いでいます。パイルやワッフル、ガーゼなどの織りや加工方法も自然を生かした取り組みで、今シーズンはとくにリネン使いの新作を展開しています。
 緯糸にリネントップ糸使いの綿織物はふっくらとやわらかい、心地よい風合いです。

Img_01791001jpg  上は綿100%素材によるシャツです。

 いずれのブースも商談客が入れ代わり立ち代わり訪れる、熱のこもった風景が見られました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月10日 (日)

PTJ 2019春夏⑶ 新境地を開くデニムやインディゴ

 先般開催の「Premium Textile Japan(略してPTJ) 2019春夏」展で、注目したのがデニムやインディゴ関連メーカーです。これまでの概念にない新境地を開いているメーカーを多く見かけました。

◇ジャパンブルー
Img_01741  同社“コレクト”ブランドの“シン・デニムSHIN DENIM”は、独自開発した反応染め技術で色落ちはほとんどない、とのこと。
 ファッションからインテリア、資材まで幅広い用途があるといいます。 

◇播
Img_02071jpg_2  西脇産地で初という播州織の“へそ・デニム HESO DENIM”をアピールしていました。ロープ染色から生地まで全工程を産地内で手掛けたデニムで、小ロットや細番手糸での生産にも対応できるそうです。

◇ワンエニー
Img_03281
Img_03201 こだわりのオリジナルデニムを訴求する岡山の匠です。
 デザイン性の高いオパール加工や綿とナイロンのボンディング素材などに目が惹かれました。

 

◇小島染色
 創業以来、武州正藍染を守りつつ、新技術を採り入れて刷新を図っていることが伺えます。
 伝統の刺し子織も反応染料も採り入れて色落ちしにくいものを提案。足袋スニーカーなど製品開発にも力が入っている様子です。
Img_02631 Img_02611jpg

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 9日 (土)

PTJ 2019春夏⑵ 「対話」を基に4つのトレンドテーマ

 先般開催の「Premium Textile Japan(略してPTJ) 2019春夏」展で、とりわけにぎわっていたのがトレンドとインデックスコーナーです。素材の落ち感や張り感などの風合いがより感じられやすい“吊り”式の構成で、出展各社から集められた823点が展示されました。

 トレンドコーナーでは「対話」というキーワードを設定。多様な情報が行き交うなか、インターネットではつかめない空気感、息づかいや触れ合いがますます必要になっているのを改めて感じさせられる昨今、絶妙なキーワードと思いました。
 これを基に提案されたのが、下記4つのトレンドテーマです。

◇ムーンナイト・ダイバー Moon Night Diver
Img_01821  フィクションとリアル、どちらの夜空も美しく、宇宙で遊ぶロマン----。我々と月との関係を求めて果てしない宇宙への夢を見るテーマ。
 宇宙の神秘を醸し出すカラー。

◇イノセント・ラブ Innocent Love
Img_01841  いつもの自分に自分でも気づかない最も自分らしい魅力を引き出す。秘めた願望を開放し、本当になりたい自分に出会うストーリー。
 繊細で気品が薫る大人スウィートなカラー。

◇自然環境実験室 Biotech Lab
Img_01881jpg  自然環境問題が叫ばれるなか、心地よい爽やかな毎日を送るためにどう生きていくのかを考えるテーマ。
 植物と自然の生命力を感じさせるグリーン系とブルーグリーン系、瑞々しいナチュラルカラー。

◇スパイシーな日常 Daily Spicy
Img_01861  静かな日常を過ごしたいと願う一方、刺激ある香りが人の心を魅了する。そうした香りを感じ取り、元気にパワフルに漂ってみてはというテーマ。
 スパイスの効いた個性的なカラー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 8日 (金)

PTJ 2019春夏⑴ ポアーラMU会長会見で提言Be Proud!

 5月9日~10日、東京国際フォーラムで開催された「Premium Textile Japan(略してPTJ) 2019春夏」展では、94社(125小間)が出展し、前年を3%上回る5,987人が来場して活発な商談が行われたとの発表がありました。

 今回はミラノウニカ(MU)会長のエルコレ・ボット・ポアーラ会長も視察に訪れ、会見しました。
Img_03701_2  (真ん中がポアーラ会長、左はJFWテキスタイル事業運営委員長貝原 良治氏)
 ポアーラ会長は「日本企業のクリエーション力を高く評価している、メイド・イン・ジャパンにもっと誇りをもつことが大事、『Be Proud!』」と激励。また売り方について、「バックグラウンドを語るストーリーテリングやサステナビリティが重要、デジタルの活用も大切」と提言されていたのが印象的です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 7日 (木)

2018ホビーショー大盛況 経産大臣賞に金網で折る折り紙

 手芸・工作などハンドクラフトの展示会「日本ホビーショー2018」が、去る4月末に東京ビッグサイトで開催され、初めて行ってきました。
 一番驚いたのはものすごい人出でした。3日間で137,244万人が来場したと発表されています。この数字は前年よりも7.1%減少だったそうですが、 出展した750ものブースはどこも大盛況の様子でした。見て、買って、体験してワイワイガヤガヤ、ほんとうに賑やかでした。
Img_99611 右は、私も以前から存じ上げている佐藤貴美枝ニットソーイングクラブです。皆さん、楽しそうにロックミシンを踏んで、ベストを制作していました。

Img_99371jpg  とくに目が留まったのは上の写真の「おりあみ/ORIAMI」です。この折り鶴は紙ではなくて、金網でできています。まさに「金網で折る折り紙」で、つくったのは石川金網という金網製造・販売会社です。今回、経済産業大臣賞に選ばれて表彰されました。
 この金網の材料は丹銅で、髪の毛よりも細い金属糸がつくれるそうです。金属なのに布のようにしなやかです。また金属ならではの張りと重厚感もあって、半永久的に楽しめそう。東日本大震災後、受注が減り、暇になった職人の遊び心から生み出されたといいます。
 アクセサリーはもちろん刺繍糸にもなるので、インテリアなど様々な分野で活用が期待されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 6日 (水)

IFF MAGIC 注目の新進気鋭のファッションブランド

 先般のJFW‐インターナショナル・ファッションフェアMAGIC・JAPAN(JFW‐IFF・MAGIC)では、注目の新進気鋭のファッションブランドが数多く出展していました。

 まずエディションエリアでは、東京コレクションでショーを発表しているブランドが目に付きました。このエリアは、クオリティ・デザイン・価格帯、すべて審査に通ったブランドのみが出展できる特設ゾーンといいます。

Ventriloquist ヴェントリロキスト
Img_99091jpg  オリジナルのデニムやジャガードなど、素材が印象的で、デザインにもこだわっていることがわかります。今シーズンのテーマは「イマジンIMAGINE」だそう。
 丁寧に時間をかけて仕上げた職人の手の温もりを感じるコレクションです。

divka ディウカ
Img_99161   しなやかな素材を他にない独特のカットで仕立てたエレガントなドレスが魅力です。
 今シーズンも大人のエレガンスに魅せられました。

ELZA WINKLER エルザ・ウィンクラー
Img_99141jpg  前衛的でありながらも、クラシックな風格を感じさせるブランドです。
 デザインされたコートが魅力的です。

 次にクリエイターズ・ヴィレッジです。ここは若手クリエーターの活動をサポートすることを目的に始まったエリアだそう。

CHIDORI チドリ
Img_99051jpg   ヴィンテージの空気感を採り入れた独特の感性に惹かれます。思いがけない異素材を組み合わせたアイディアのあるデザインが楽しい!

Rideaux en lin リドー アン ラン
Img_99071jpg  ブランド名は「麻のカーテン」の意味。さわやかな空気をいっぱいに感じるブランドです。「デニムに合う 着心地のいいブラウスで、女性に 頑張ってほしいなぁ~」と思ってつくっているといいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 5日 (火)

IFF MAGIC パリの折りたたみバレエシューズに注目

 この春開催されたJFW‐インターナショナル・ファッションフェアMAGIC・JAPAN(JFW‐IFF・MAGIC)では、ファッション先進国、フランスやイギリスから団体出展があり、私も目が引き付けられました。
  その一つが、今回初出展したBagllerina PARIS(バッグレリーナ パリ)の折りたたみバレエシューズです。
  オーナーのクリスティーヌ・ナトキンさんにお話しを伺いました。
Img_98981_3  ブランドは2011年創業で、既に世界中で販売され人気を集めているといいます。
  「バッグレリーナ」は「バッグの中のバレリーナ」で、「バッグbag」と「バレリーナBallerina」を縮めて造語したものだそう。全革の折りたたみバレエシューズは世界初で、デザインはシンプル、カラーも豊富です。Img_99011_3  制作は手作りで行われているそうで、仕上げには細心の注意が払われているとも。
  替えの靴を入れるナイロンポーチもセットになっています。これなら海や山、温泉など、どんな場所にも携帯できて機能的ですし、それにエレガント、と思いました。
 なお日本での小売価格は160ユーロ(約20,000円)くらいだそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 4日 (月)

IFF MAGIC 福田 稔 氏講演「アパレル産業の未来」

 先般のIFF MAGIC見本市のセミナーで、ローランド・ベルガー プリンシパルの福田 稔 氏が登壇しました。福田氏は、この ブログ2018.5.19付けで掲載した「シタテル」の戦略アドバイザーでもあります。
Img_99201jpg  「アパレル産業の未来~テクノロジーはアパレル産業をどう変えるか~」と題して、今後アパレル産業はどのように変わるのか、変わるためには何が必要となるのかについて、事例を交えながら語られました。

 まず10年後の未来を予測するにあたり、大きく二つの要素、テクノロジーの進化と消費者の変化があると指摘します。
 消費者の変化では、①価値観の多様化、②主役はデジタル世代といわれるミレニアル世代、③ニューエコノミーといわれるシェアサービスの拡大やメルカリに代表されるリユース市場の拡がり、④高齢社会となることから消費が縮小。ファッション消費は50歳代でピークを迎え、70歳代にはその半分ぐらいになると推測されています。
 次にテクノロジーの進化です。国内ファッション市場のEC化率は現在、14%となっています。これはますます増加を続け、2030年には3割を超えると予想しているそうです。これにより、①アパレルの消費形態が多様化し、中古やレンタル、スタイリングサービスなどが進出し、リアル店舗は購入場所から体験する場へ変貌していく。②消費者との情報格差が解消し、インスタグラムなど個人のトレンド発信力が強まる。③在庫リスクは、在庫を極限まで減らすマス・カスタマイゼーションなどの進展で低減される。④服作りが変わる。スマートファクトリーが導入され、ロボットミシンなどによる省人化が進行する。⑤布の革新が起こり、グーグル×リーバイスのプロジェクトジャカードのように、服がIoT化するといいます。
 多岐にわたる考察のなか、とくに興味深く思ったのがバリュー・プロポジションについてのお話でした。消費者への価値提案は次の7つの類型に収斂されていく、といいます。①利便性の追求、②プライスリーダー、③カテゴリーキラー、④ロングテール対応、⑤ライフスタイル提案、⑥エンターテイナー、⑦ローカル対応です。考えるべきポイントとして参考になります。
 さらにファッション産業の未来について、気になるところを解説されました。国内アパレル市場は中間層の落ち込みや少子化で厳しい状況が続きます。しかしグローバルで見ると、アパレルは大いに伸びる余地があるといいます。それには川上・川中の連携が大切であるとも。イタリアに見るようにメイド・イン・ジャパンのブランド力を育てていくことが業界の使命であると強調しました。ブランド力のあるメーカーはプラットフォームを活用して成長可能であるし、日・EUのEPA(経済連携協定)発効への期待、越境ECの拡大など、未来は決して暗くなく、明るいといいます。
 最後に同質化とは真逆の独自性の追求こそ21世紀アパレルのテーマと提言、印象に残るセミナーでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 3日 (日)

IFF MAGIC 尾原蓉子氏講演 企業が取り組むべき課題

 先般4月25日~27日、東京ビッグサイトで開催されたIFF MAGIC見本市で、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション代表理事・会長 尾原 蓉子氏がトップを切って講演されました。
Img_97971  演題は「ファッション・ビジネスのトランスフォーメーション~未来へ向けて成功する企業とは~」です。著書『Fashion Business 創造する未来』の提言に加え、2018 NRF (米国小売業大会)の最新情報をまじえて、企業が取り組むべき課題を語られました。

 まず取り上げたのが2018 NRF報告です。今年のテーマは「小売りのトランスフォーメーション」だったそうで、「トランスフォーメーション」とは「変容」の意味。蝶が蛹から成虫へ変態するような劇的な変化を表す言葉であるといいます。“ディスラプション(旧態秩序の破壊)”が“New Normal(新しい常態)となるなか、ファッション・ビジネスに今、そのような巨大な変化が進行していると強調しました。とくにテクノロジーとして目立ったのが、ARやAI、ロボット、スマートスピーカー、IoT、メモリーミラーなど。米国ではこれらは既に売り場へ落とし込まれ、進展しているといいます。それなのに日本はアメリカと比べると2周遅れ、とまたしても業界に喚起を促しました。
 また今回大きな話題は「アマゾン急拡大の脅威にいかに対抗するか」だったといいます。アマゾンは2018年にウォルマートを抜いて売上高トップに躍進するとみられているそうで、2020年には米国アパレル売上高の14%ものシェアを占めると予想されているのです。無人レジのアマゾン・ゴーや、ボタンをワンプッシュするだけで商品が届くアマゾン・ダッシュ、音声コミュニケーションにも注力していて、アマゾン・アレクサからの発注を割引にするなど、事業を急拡大しています。これに対しウォルマートを始めとする他社も、スマホやメガネ不要のARなど変革を推進、アマゾンを攻略しようとしているといいます。

 次にファッション・ビジネス成功のためのディスラプションとして、下記5つのキーワードを挙げ、革新的な事例を紹介しました。
⑴サービス化― ものにソフトをプラスする、例えばRENT THE RUNWAYのようなシェアリングサービス。ファッションを個人財から社会財にする仕組み。ショールーミングも。
⑵パーソナル化― 顧客に照準を合わせる、パーソナルスタイリングサービスやAIによるデザインを行うStitch Fixや、カスタムメイドのSuitSupplyなど。
⑶ストリームライン化― 透明性、合理性、本質指向で、中間業者を排除し無駄をなくすEverlane、クリーンなデニム工場や、画像の修正を排除する姿勢。
⑷スマート化― AI、ICタグをフル活用するRebecca Minkoff、ウェアラブルな「プロジェクトジャカード」のLevi’sなど。
⑸プラットフォーム化― C to C、企画から販売までをコネクトするEtsyやシタテルなど。

 日本のファッション産業に不可欠な変革とは何か、何を変えなければいけないのか― それはまさにデジタル化であると断言しました。これにより企画・生産・物流・販売をプラットフォーム化させる、すなわち垂直化・水平化が、価値の拡大につながると指摘します。
 さらに複雑で旧態依然の産業構造を変革=ビジネスをディスラプトせよ!と明言したのが印象的でした。

 最後に未来を創るメッセージとして「未来は既にここにある。ただすべての人に配分されていないだけだ」という作家ウィリアム・ギブソンの言葉で締めくくりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 2日 (土)

「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界―」展

 今、東京・六本木の泉屋博古館分館にて開催中の企画展「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界―」、その内覧会に行ってきました。
Img_10471  
 漆は器などで身近に使われていますけれど、工芸美術品として触れる機会はあまりありません。本展では近代から現代までの金銀蒔絵や螺鈿、彫刻----など、変化に富んだ華麗な漆工芸の住友コレクションが紹介されています。
Img_10451jpg
Img_09841_2  その見どころをご案内していただいたのが、同館学芸員の森下愛子氏です。
Img_09871jpg  まずはコレクターだった住友春翠が好んだという能の楽器、鼓や笛に見られるものを見せていただきました。
 右は、小鼓に吉祥柄、たとえば鯉の滝登りや鳳凰といったモチーフの蒔絵を施したものです。
 楽器と漆は繋がりが深いのですね。

 次に香道の香合や茶道の棗などといったお道具に見られる漆工芸のコーナーです。
Img_09951jpg  右は足利義政ゆかりの香合で、明時代の中国から伝わったものだそう。
 日本では漆に金銀などの金属粉を蒔く蒔絵の技法が独自に発展したといいます。
 ちなみにこの朱の台皿は日本製とのことです。

Img_09981  上は桃山から江戸時代にかけての典型的な香箱です。
 これは特別参加された目白漆芸文化財研究所 代表取締役の室瀬智弥氏がとくに気に入っているという逸品です。黒漆をバックにした平蒔絵で、あわびの螺鈿細工が入っている華やかなものです。漆の接着効果を駆使して鉛など様々な素材を組み合わせ、光らせたり、鈍く見せたり---、技術的にも注目されるといいます。

 次に泉屋博古館の京都本館の学芸員 外山 潔氏から、中国や琉球の作品を解説していただきました。
 中国の漆工芸は彫漆といい、漆を塗り重ねた層に彫刻刀で文様を彫り込んでいく技法で、見た目からして日本とは異なっているのが興味深かったです。

Img_10131_2  上は中国の皇帝のシンボルだった龍を彫ったお盆です。龍は本来5本指でなくてはならないのですが、これは指が4本しかありません。民間に流出した際、1本削り取られたのではないかとみられているそうです。
 中国ではこのような漆器がたくさんつくられたのですが、今では日本にしかないといいます。理由は中国では漆器が消耗品としてぞんざいに扱われたのに対し、日本では舶来品として珍重され、大切にされてきたからだそう。

Img_10241  18~19世紀の琉球漆器で、朱漆に金箔を貼った箔絵の技法のもの。琉球ではこのような日本人好みの中国風の作品がつくられ、日本への献上品として用いられたそうです。

 この他、明治政府が力を入れたという超絶技法の漆芸作品など、すばらしい作品揃いです。
 なお写真は美術館より特別に撮影の許可をいただき掲載しています。
 本展は7月16日まで。詳細はWEBサイトhttps://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/をご覧ください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 1日 (金)

コットン 2018年マーケット・リサーチ・プレゼンテーション

 今年もコットン インコーポレイテッド社による2018年マーケット・リサーチ・プレゼンテーションが4月27日、東京・日本橋で行われました。
Img_99261  講師はコットン インコーポレイテッド社本部のマネージャーで戦略分析担当のジミー・ロー(Jimmy Rowe)氏です。同社が2017年にまとめた調査資料を基に、「米国及び日本の市場動向」を語られました。
 そのポイントをざっくりとご紹介しましょう。

 まず米国も日本も、多くの消費者が自分自身及び世界により良いことをする、「ドゥ・ベター (Do Better)」な存在でありたいと思っているといいます。
 衣服へのストレス軽減を望む声は強く、日本では75%がイージケアを、71%がシワ防止と吸湿速乾などの機能を求めていて、体調を管理するスマートテキスタイルへの関心も高いようです。たとえば心拍計測ウェアへの関心度は米国49%、日本20%、水分・保湿では米国49%、日本33%など。
 サステナビリティについて日本では、サステナブルな商品を購入すると答えた人は28%と、それほど積極的ではないようです。とはいえ日本人の73%がコットンは環境に安全と考えていることがわかりました。また10人中7人が長く使えるものを少量購入すると回答。とくにサーキュラー(循環)ファッションへの意識は高く、環境負荷を減らすためリユースやリサイクルに取り組む消費者は75%と多くなっています。
 また近年、問題となっているマイクロプラスティック汚染にも触れられました。コットンとポリエステルの比較実験で、コットンは250日経つとその76%が水中で分解したのに対し、ポリエステルは4%しか分解しなかったことをグラフで提示、興味深かったです。このテーマはメディアでもっととり上げられるべきとしています。
 次に取り上げたのが、最近注目のアスレジャーとデニムです。アスレジャー市場は、2009年~2017年の8年間で28%増と急増し、アンダーアーマーなどのスポーツウェアブランドで、コットンリッチが人気だそう。デニムは2012年~2014年に市場規模が少し縮小しました。しかしその後回復し3.5%の伸びを維持しているといいます。消費者の70%は本物のコットンデニムを欲しているとも。いずれもコットンの心地よさを提供できる分野で、さらなる成長が見込めると楽観的です。
 最後に「IWW IWW IWI」、つまり「I Want What I Want When I Want It (私は欲しいときに欲しいものが欲しい)」の略のオンライン用語を挙げ、オンラインショッピングについて解説しました。
 ショッピングでは、アイディアなど情報を集めるのはオンラインで、実際の買い物はリアル店舗を好む消費者が多いといいます。オンラインで服をリサーチするのは67%、オンラインで購入するのは31%だそう。伝統的な店舗でアパレルを購入する消費者は、米国も日本も80%以上に上っていて、実店舗は依然として小売りの王様です。
 とはいえここでクローズアップされるのがVRです。2021年までに世界中で8,120万のヘッドセットが出るといいます。VRを使用するブランドへの興味は、米国の消費者で57%、日本の消費者で33%。また店舗でのデジタル利用は43%となっていて、若い消費者を中心に拡大が期待されています。
 これからの小売り業にとって、デジタルを組み合わせたショッピング体験ができることは必須になってきそうです。

 最新の消費者の動きやニーズを、日米を比較しながら語っていただき、いつものことながら大変有意義な内容のプレゼンテーションでした。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »