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2018年6月 3日 (日)

IFF MAGIC 尾原蓉子氏講演 企業が取り組むべき課題

 先般4月25日~27日、東京ビッグサイトで開催されたIFF MAGIC見本市で、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション代表理事・会長 尾原 蓉子氏がトップを切って講演されました。
Img_97971  演題は「ファッション・ビジネスのトランスフォーメーション~未来へ向けて成功する企業とは~」です。著書『Fashion Business 創造する未来』の提言に加え、2018 NRF (米国小売業大会)の最新情報をまじえて、企業が取り組むべき課題を語られました。

 まず取り上げたのが2018 NRF報告です。今年のテーマは「小売りのトランスフォーメーション」だったそうで、「トランスフォーメーション」とは「変容」の意味。蝶が蛹から成虫へ変態するような劇的な変化を表す言葉であるといいます。“ディスラプション(旧態秩序の破壊)”が“New Normal(新しい常態)となるなか、ファッション・ビジネスに今、そのような巨大な変化が進行していると強調しました。とくにテクノロジーとして目立ったのが、ARやAI、ロボット、スマートスピーカー、IoT、メモリーミラーなど。米国ではこれらは既に売り場へ落とし込まれ、進展しているといいます。それなのに日本はアメリカと比べると2周遅れ、とまたしても業界に喚起を促しました。
 また今回大きな話題は「アマゾン急拡大の脅威にいかに対抗するか」だったといいます。アマゾンは2018年にウォルマートを抜いて売上高トップに躍進するとみられているそうで、2020年には米国アパレル売上高の14%ものシェアを占めると予想されているのです。無人レジのアマゾン・ゴーや、ボタンをワンプッシュするだけで商品が届くアマゾン・ダッシュ、音声コミュニケーションにも注力していて、アマゾン・アレクサからの発注を割引にするなど、事業を急拡大しています。これに対しウォルマートを始めとする他社も、スマホやメガネ不要のARなど変革を推進、アマゾンを攻略しようとしているといいます。

 次にファッション・ビジネス成功のためのディスラプションとして、下記5つのキーワードを挙げ、革新的な事例を紹介しました。
⑴サービス化― ものにソフトをプラスする、例えばRENT THE RUNWAYのようなシェアリングサービス。ファッションを個人財から社会財にする仕組み。ショールーミングも。
⑵パーソナル化― 顧客に照準を合わせる、パーソナルスタイリングサービスやAIによるデザインを行うStitch Fixや、カスタムメイドのSuitSupplyなど。
⑶ストリームライン化― 透明性、合理性、本質指向で、中間業者を排除し無駄をなくすEverlane、クリーンなデニム工場や、画像の修正を排除する姿勢。
⑷スマート化― AI、ICタグをフル活用するRebecca Minkoff、ウェアラブルな「プロジェクトジャカード」のLevi’sなど。
⑸プラットフォーム化― C to C、企画から販売までをコネクトするEtsyやシタテルなど。

 日本のファッション産業に不可欠な変革とは何か、何を変えなければいけないのか― それはまさにデジタル化であると断言しました。これにより企画・生産・物流・販売をプラットフォーム化させる、すなわち垂直化・水平化が、価値の拡大につながると指摘します。
 さらに複雑で旧態依然の産業構造を変革=ビジネスをディスラプトせよ!と明言したのが印象的でした。

 最後に未来を創るメッセージとして「未来は既にここにある。ただすべての人に配分されていないだけだ」という作家ウィリアム・ギブソンの言葉で締めくくりました。

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