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2018年5月 6日 (日)

コンセプチュアル・クロージング 眞田塾展2018「快楽」

 「眞田塾」は、衣服造形家の眞田岳彦氏が、2003年に設立したデザイン塾です。眞田氏は昨日のブログで掲載した「七月七日会」の中心人物でもあります。
 その15周年記念となる「コンセプチュアル・クロージング 眞田塾展2018」が、先月の4月23日~29日、六本木のアクシスギャラリーで開催され、ギャラリートークに参加しました。
 テーマは「快楽」です。人工知能が進化し、シンギュラリティの到来が予見されている時代に、人は何をもって人としての幸福を享受するのでしょう。
 Img_99761冒頭、眞田氏が、「次の時代に向かう今、重要なキーワードは快楽」と挨拶。
 次いで5名の塾生が、それぞれの思いを込めて制作したインスタレーションについて語り合いました。主題が哲学的であるだけに、各人深く思い悩みながら制作されたようです。

 中でも最後にプレゼンテーションされた井上麻由美さんの作品が印象的でした。というのも一般的にポジティブに受けとめられる快楽を、ネガティブなものと捉えていたからです。発表は、井上さんのヨーロッパ出張と日程が重なり、スカイプを通して行われました。
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 テーマは「掻き消す」です。快楽への欲望は湧き続け、快楽により掻き消された痕跡だけが残される 、世界はそんな人々の欲望に満ちているという社会的メッセージ性の高い展示でした。
 Img_99801スクリーンには、ご自身の体の痒みを掻く行為などの映像が映し出されています。その前には数個の黒い巨大ゴミ袋が配置され、袋の中には空のペットボトルが押し込まれていたり、一万円札が大量に入っていたり。この袋は、福島の原発事故の除染で出た土や草木などを入れているのと同じ「フレコンバッグ」で、耐用年数は3~5年程度。それが行き場もなく環境を汚染しながら現在も増え続けているのです。
 いくら取り除いても永遠に消えない放射能汚染と、掻き消してもまた現れる一生逃れられない痒みを結びつけたインスタレーションで、その思いがけない発想に驚嘆させられました。

 中澤萌音さんは、透明液体樹脂を利用した色と光りが美しいインスタレーションを発表していました。これはゲド戦記の言葉に影響されて制作したものだそうです。
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Img_99951 本を読むことが好きで、快楽は空想と現実の世界を行き来する、その瞬間の隙間に湧き起こるといいます。
 現在も子どもの本の専門店に勤務されているそうで、右のように絵本からインスパイアされた作品も展示されていました。

 山崎広樹さんは、木材の可能性を追求し、草木染を仕事にしているそう。
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Img_00041  作品は、和紙をシワシワにし、その上にびっしりと模様を書いたものです。約1か月がかりで書いたという数百枚もの和紙をつなぎ合わせて仕立てた力作でした。
 快楽とは、制約のある場を書き埋める行為で、制約に対する反発力が快楽を与えるといいます。それにしてもほんとうにびっくり!のインスタレーションでした。

 山本佳那さんは過去の記憶が追憶へと変わるとき、快楽に包まれるといいます。
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 「リプレイス (REPLACE =更新)」をテーマに、花と透ける素材で構成された儚くも優しい展示を見せていました。花はドライフラワーにして記憶をとどめたそう。 

Img_00021  清野優奈さんは、ナチュラルな藍染めをポイントにした衣服造形作品を披露。
 徳島の阿波藍染の助手を務めていることから、人と関わり、存在を承認されることも快楽の一つといいます。

 5人5様の「快楽」の解釈と演出、アートな造形美---、若いエネルギーに圧倒されたすばらしい作品展でした。

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