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2018年4月30日 (月)

「イギリス風景画の巨匠 ターナー 風景の詩」展 内覧会

 先日、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催されている「イギリス風景画の巨匠 ターナー 風景の詩」展 のプレス内覧会に参加しました。
 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851)といえば、イギリスを代表する風景画の巨匠です。後の印象派にも大きな影響を与えたと言われています。
 ギャラリートークではターナー作品を多数所蔵するスコットランド国立美術館群 総館長ジョン・レイトン卿と日本側監修者の郡山市立美術館主任学芸員 富岡進一氏のお二人による解説があり、これまでおぼろげだったターナーの核心に迫れたかも、と思っています。

 まず第1章は“地誌的風景画”です。
Img_97231  写真はレイトン卿が名画「ソマーヒル、トンブリッジ」(1811年) を説明されているところです。本展のちらしにも使われている風景画の代表作品で、レイトン卿がおっしゃるように、地誌的といっても、これは単なる邸宅の記録ではない、見る者を絵の中に引き込むような雰囲気があります。
 また夕方の空の雰囲気は水彩風ですが、これは油彩で描かれているのも特徴といいます。

 第2章は“海景―海洋国家に生きて”です。
Img_97501  「自然と人間」をテーマにしたターナーです。海景も多数見られるのですね。
 右は、「風下側の海岸にいる漁師たち、時化模様」(1802)です。船が転覆しないように操る漁師たちの必死の姿が描かれています。
 自然の脅威に人間は無力です---。しかしそれに抗う人間のたくましさも感じた作品です。

 ターナーは多くの作家や出版社とも仕事をしたといいます。当代随一の人気挿絵画家でもあったのですね。
Img_97551 右は書籍の挿絵形式の一つ、「ヴィニエット」(1835年頃)で、詩人のトーマス・キャンベルから詩集のための挿絵制作を依頼されたときのものだそう。戦いの物語が詰め込まれた小宇宙。そこに見られる滲んだ水彩、精緻な筆致が美しく印象的です。

 第3章は“イタリア―古代への憧れ―”です。
 晩年になると、ターナーの画風は光と空気に溶け込むような雰囲気のものへ変化していったようです。
Img_97321 富岡進一氏が「風景 タンバリンを持つ女」(1840~50年頃)など、ターナーらしい水彩画を解説してくれました。ターナーは古代風衣裳が好きで、イタリアに憧れて何度か旅をしたといいます。イタリア旅行に行った後は、確かに明るい彩りに満ちた光の表現が多くなっているように思いました。

 最後は第4章で、“山岳―あらたな景観美を探して―”です。
Img_97651  イングランド人のターナーはスコットランドが好きだったそうですが、これはウェールズにあるスノードン山を屋外でスケッチして描いたものだそう。
 タイトルは「スノードン山、残照」(1798~1799年)で、夕暮れの最後の輝きを水彩で描いた作品。ところどころ見られる白は、スクレ―ピングという技法で、爪で絵具を引っ掻いて削って出したものとか。

 水をたっぷり含んだ水彩、油彩、版画作品約120点にはロマンティックな情緒がいっぱい。久々にターナー作品と出会い、贅沢な時間を楽しみました。開催は7月1日までです。
http://www.sjnk-museum.org/program/current/5319.html
 (写真は美術館より特別に撮影許可をいただきました。)

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