「ユイマナカザト×東レ ハーモナイズ」展 未来の装いを表現する新しい衣服とその生産システム
ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)を手がけるデザイナーの中里 唯馬が、先月21~25日、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で、東レとコラボし「YUIMA NAKAZATO Exhibition - HARMONIZE -」を開催しました。
中里 唯馬といえば、昨年毎日ファッション大賞新人賞を受賞し、一躍脚光を浴びたデザイナー (このブログ2017.12.17付け参照)です。最新テクノロジーとクラフトマンシップの融合を提案するデザイナーとして、記憶に新しいところでしょう。
本展では、今年1月のパリオートクチュールコレクションで発表した、その最新作が展示されました。宇宙航空研究開発機構 JAXA(ジャクサ)からもアイディアを得たという宇宙的感性のデザインで、東レの環境配慮型ウルトラスエードPXが使用されています。
が、それ以上にユニークなのは、これがユイマ ナカザト独自開発による生産システムでつくられた、人類の未来の装いを表現する新しい衣服であることです。
これらの衣服は縫製をしないでつくられています。ユニットと呼ばれるパーツを組み合わせていく画期的な製法で、衣服のデザインやサイズ、素材を自由に組み替えることができるようになっています。パーツの形はすべて異なっていて、一つひとつに番号が付いています。
会場ではこの技法の実演も行われました。指定された位置に番号通りにパーツを合わせて留めていく作業を拝見し、気の遠くなるような手仕事と驚嘆!ジャケットに組み立てるのに最低2日は要するといいます。将来はAIがこれを担うようになるのかも、と思ったりもしました。
素材は、このウルトラスエードPXの他にエアバッグやパラシュートクロスも再利用されています。会場には前作のディスプレーもあり、よく見ましたら何と綿デニム(右写真はジーンズ)でした。この技法は、天然繊維を含めてどのような素材にも応用できることがわかってうれしかったです。
「ファッションの未来はオートクチュールにある。やがて衣服は1点ものしか存在しなくなる」と予言する中里 唯馬氏。そんな未来はもうすぐそこまで来ているようです。目覚ましい勢いで進化するファッションに、またしても強烈なショックを受けた展覧会でした。
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