「イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事」
昨年12月、三宅一生氏と交流の深いクリエイティブディレクターの小池一子さんによる著書「イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事」の発売記念トークイベントが、青山ブックセンター本店で行われました。
出演は、著者の小池一子氏、企画を手がけた三宅デザイン事務所代表の北村みどり氏、装丁を担当されたアートディレクターの浅葉克己氏で、制作までの貴重なお話を聞かせていただきました。
本書は、2016年2月にタッシェンより発売された書籍「Issey Miyake 三宅一生」(北村みどり企画・責任編集)に収録された小池一子氏のエッセイ8章に、書き下ろしの第9章を加え、新たな読み物としてまとめた単行本です。各章の扉絵には、横尾忠則氏によるイッセイミヤケのパリコレ招待状の中から厳選した30点が掲載されています。
トークでは、三人三様、三宅一生氏と繋がっているからこその知られざるエピソードがあふれていました。
まずは三宅一生氏との初めての出会いから。小池氏は、多摩美の学生だった一生さんを田中一光氏に紹介されたことが始まりだそう。浅葉氏は80年代初め頃、広告制作プロダクションで知り合ったとか。北村氏は、三宅一生氏が日本で本格的に服作りを始めた頃、東洋系モデルを探していたことから、スカウトされたことが最初だったといいます。
その後北村氏は、一生さんの腹心となり「アーヴィング・ペンと三宅一生」などの展覧会を始め、様々なショーやイベントを手がけていきます。横尾忠則氏デザインのパリコレのインヴィテーション制作の裏話や、「オム・プリッセ・イッセイ・ミヤケ」ブランドの秘話などを、楽しく語られました。
書籍のユニークな仮名文字のタイトルについても話が出ました。小池氏は「一生さんと話していると、不思議な気持ちになって、この人どこからきたの?」といつも思うそうです。一生さんがスーパーコンピューター誕生と同年に生まれたことから、「宇宙から来た人としか思えない」と話されていたことも印象的です。
またタッシェンから本が出版された後、2016年に国立新美術館で「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が開催されました。このときの開幕パーティに、フランス大統領の使者としてジャック・ラング氏が来日し、なんと三宅一生氏にフランス政府から芸術文化勲章のレジオン・ドヌール勲章コマンドゥールが授与されたのです。小池氏は三宅氏の仕事がフランスで大きく評価されていること、同時に人とのつながりや友情に感動したと振り返っていました。ほんとうにすばらしい出来事で、一生さんは本当にもしかしたら宇宙人かもしれませんね。
本の裏表紙には、浅葉さんによる「一」の文字があります。「一」は一生氏と小池一子氏を表しているのですね。
私も読んでみて、三宅一生氏のバイブル本になること間違いないと思いました。
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