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2018年2月 2日 (金)

シンポジウム「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは」

 最近、SDGs(エスディージーズ Sustainable Development Goals)という言葉を耳にするようになりました。これは国連で2015年に取り上げられた持続可能な開発目標です。これを踏まえて、ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(略称WEF)主催のシンポジウムが、昨年12月12日、東京・青山で開催されました。
Img_52272jpg  主題は「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-」です。関心の高いトピックであるだけに、会場は満席で、熱気がこもっていました。 

 冒頭、WEF会長の尾原蓉子氏が、「消費者意識が変化し、テクノロジーの進展とともに流通・販売も変容、企業の社会的役割も変換し、社会的責任を果たすことが要請されるようになってきました。本シンポジウムがこの問題の解決につながることを期待しています」と挨拶。

 第一部基調講演では、3人の講師が登壇。まず慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史氏が、「SDGsが地球と人間にもたらす変革」をテーマに講演しました。
 SDGsについて、国連で全ての国、米国や北朝鮮も含む国々が合意した文書で、企業の良心に基づく行動への要請であり、法的義務はないこと。貧困や格差をなくし、地球温暖化を食い止めることなど17の分野で、2030年までの達成を目指す行動指針が採択されていることなどを説明。
 その背景やプロセス、様々なアプローチを実例とともに語られました。これによると日本は北欧などに比べると遅れているようです。とはいえ一部で推進の動きがあると、地方創生に向けた自治体SDGsの取り組み、例えば北海道下川町のバイオマス産業都市や沖縄の読谷村、また先進的な企業の例も紹介。ただしまだ本質に迫るところは希少なので、今後は本質に則った事例をつくることが課題といいます。
 このためにはSDGsの本質を社会の変革と捉え、フォアキャスティングではなく、未来から発想するバックキャスティングで行うことが重要であり、矛盾のない未来をつくることがポイントと強調しました。
 次にパタゴニア日本支社支社長 辻井隆行氏が「多様な価値観が創るこれからの社会」と題して、同社の環境ビジネスを、フェアトレード、自然環境保護、環境再生事業、カーボン・ニュートラルなどを軸に解説。リスクを認識して、先行すべきと述べ、SDGsを先にやる企業に先行者利益がある、と指摘。
 さらにオーガニックコットン事業の草分けであり、社会企業家でもあるアバンティ代表取締役社長 渡邊千惠子氏が登場。同社の理念などを語った後、とくに新鮮に思えたのが同社ブランド「プリスティン」のリサイクル、「リプリプロジェクト」のお話。これはお気に入りの一枚を、染め替えたり刺繍をしたりなどして、新たな光を当て、再び使用できるようにする事業。
 また国産綿プロジェクトに触れ、国内綿花自給率をプラスの方向へもっていくと力強く発言、風力発電による「風が作る繊維プロジェクト始動」にも言及しました。

 第二部は、ファッション・ジャーナリストでWEF理事の生駒芳子氏をコーディネーターに、上記3人とのパネルディスカッションとなりました。
 エコやエシカル、サステイナビリティはビジネスを停滞させるのではないか、という質問に、これは逆にビジネスの強力なストーリーになると主張。三者三様に、「先にやる方がお得」、「エシカルはもうカル」などと力説しました。

 最後にファッション業界へのメッセージとして、SDGs はビジネスのリスクではなく、「リスト」であると断言。「2030年にどのようなビジネスが成立しているか、想像力を駆使してみて。未来はもう決まっている」との締めくくりのフレーズが印象的でした。

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