« 2018年1月 | トップページ | 2018年3月 »

2018年2月

2018年2月28日 (水)

PVパリ⑹ マルタン・マルジェラ回顧展の先行展示

 今回のPV(プルミエール・ヴィジョン)パリで、大変興味深い展示がありました。それはマルタン・マルジェラ回顧展です。展覧会に先行してその一部が展示されました。

 マルタン・マルジェラといえば、コンセプチュアルなクリエーションとクラフトマンシップで様々な伝説を生み出してきたベルギー人アーティストで、ファッションデザイナーです。
Img_72971 この3月3日~7月15日まで、パリのガリエラ・モード美術館において開催される「マルタン・マルジェラ回顧展 1989~2009」に先駆けて、PVパリで先行展示されました。これはPVパリに出展しているテキスタイル企業を介して実現されたものだそう。

 右は、真ん中が1993/94秋冬、右が2005春夏コレクションからのもの。

 1989年春夏にパリ・プレタポルテ・コレクションにデビューしたマルタン・マルジェラは、常識を覆す「脱構築(デコンストラクション)」なスタイルを発表し、「デストロイ(破壊的)コレクション」などと呼ばれました。色褪せやほつれ、古着加工という「ポペリズム」の元祖でもあります。2006年には古着をリメイクしたアーティザナルでパリオートクチュール協会に認定されました。

Img_73081  2004/05秋冬から2005春夏にかけてのコレクション
 
 ガリエラ・モード美術館ではマルタン・マルジェラの2009年までのコレクションの中から130点あまりが公開されるといいます。パリに行く機会があったら、ぜひ訪れてみたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月27日 (火)

PVパリ⑸ 「ウエアラブル・ラブ」重要な戦略テーマに

 今回のPVパリで大きく取り上げられたのが、「ウエアラブル・ラブ(Wearable Lab)」です。これはこのブログ2017.2.24付けの記事にもあるように、昨年2月展でローンチされたものです。PVパリでは技術革新やファッション・テックをファッション業界の将来にとって重要な戦略テーマととらえ、規模を800㎡に拡大、22社が出展しました。

Img_73701jpg  日本からも一社、帝人フロンティアの技術開発部が初出展、あでやかな婚礼衣装の着物を展示して注目を集めていました。

 この着物には帯締めに圧電組紐(このブログの2017.1.26付け参照)や圧電刺繍(このブログの2018.2.5付け参照)、西陣織の電極布「テクノセンサー」といった最先端技術が使われています。
 まさに日本の伝統工芸との融合です。

 テーブルには、京都の伝統工芸士で京組紐作家の谷川住春氏によるウエアラブル小物を並べ、道行く人の目を惹きつけていました。
Img_73671

 このエリアでもう一つ、驚嘆させられたのが、クララ・ダガン(Clara Daguin)氏によるインスピレーションをもたらす特別展示、「インサイド・ザ・クリエーション」です。
Img_73331

Img_73991 実演コーナーには、オーラを視覚化する衣服が設置されていて、それを誰もが体験できるようになっていました。中に入って、円形のパネルに身体を合わせて腕を動かすと、オーラが発生し、パネルの上に放射状の光が発せられるのです。光が揺れ動く様子が何ともミステリアス!

 ダガン氏は、職人の仕事と科学技術の融合をテーマに、ファッションデザインを表現するクリエイターです。PVが支援しているイエール国際モード&写真フェスティバルでは、2016年のファイナリストでもあるそうです。 

 さらにもう一つ興味を引かれたのが、リーバイスのコミュータージャケットで、その実物が展示されていたことです。
Img_73581jpg これはスマホと連動するウェアラブル・ジャケットで、袖のカフス部分にセンサー機能を持つ電導性のある繊維を織り込んだジャカードデニムが使用されています。この布にチップ内蔵のタグを接続することで、デバイス操作ができる仕組みです。
 今、話題のジャケットを目の当たりにして、改めて時代の変化を実感しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月26日 (月)

PVパリ⑷ COTTON USA の最新アパレルイノベーション

 今シーズンもPV(プルミエール・ヴィジョン)パリの「糸とファイバーの見本市 PVヤーン」に、「COTTON USA(CCI国際綿花評議会 本部:ワシントンD.C. )」が出展しました。昨シーズン同様、コットンインコーポレイテッドと米国スーピマ協会との合同パビリオンの中央部にての展示です。
Img_73131jpg
 今回も「WHAT’S NEW IN COTTON?(コットンの新機能)」をテーマに、アメリカ綿COTTON USAによる最新のアパレルイノベーション技術を披露、来場者の関心を集めていました。
 前回はなかった新しい技術を3つ、ご紹介します。

COTTON X
Img_73231jpg  これはスキンケアを訴求するコットン100%製品で、殺菌効果を発揮する銅イオンを綿繊維に融合させ、お肌を守るといいます。
 イスラエルのArgaman社が、綿本来の良さを活かし、化学材料なしで開発したという革新的なスマート繊維だそうです。

SigNature T 
Img_73201  これは、NYを本拠とするApplied DNA Sciences社が開発したトレーサビリティ(追跡可能性)のためのタグ付けとテストのプラットフォームで、綿畑から綿製品まで、綿繊維をDNAレベルで追求することができるといいます。
 製品が消費されるまでの産地や流通経路などの過程を明確化することにより、ブランドの優れた品質管理と保証が考慮される時代です。メーカーにとって今後重要な販促ツールになってくるものと思われます。

Oritain
Img_73261jpg  Oritain社は、指紋のITテクノロジーを用いて、コットン繊維をテストする技術を確立した英国企業で、サプライチェーン・トレーサビリティを専門に手掛けているといいます。開発には米国スーピマ綿栽培者らが協力しているとのこと。
 オーガニック・コットンの土壌や収穫を分析し、透明性を改善するものとして期待されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月25日 (日)

プルミエール・ヴィジョン・パリ⑶ PVパースペクティブ

 今回、プルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)はフォーラム構成を変更しました。
 2019年春夏シーズンの方向性を示すフォーラムは、<PVパースペクティブ>となり、業種の壁を超えたフォーラムとして刷新され、またファブリックのフォーラムは、<ファブリック・セレクション>となりました。

 <PVパースペクティブ>
 2019年春夏は、新たなステージへそっと踏み出していく季節。誌的情緒にあふれたテクノロジーの開花を刺激するシーズンになるとみられています。

Img_78881pg_2  
 シーズンを代表する素材として下記の5つが挙げられています。

〇繊細                 〇しなやかさ
 一見脆そうで洗練され精緻         クリーミーなフリュイド
2
〇ハイブリッド             〇光沢
 天然と合繊など素材の掛合せ     華やか、もしくは繊細
3

〇ミニマル
 完璧な無地、モダンなビジュアル
5


<ファブリック・セレクション>
 
大きく二つのエリア、エッセンシャルズファンシーで構成されています。

Df151341
〇エッセンシャルズ

 ハイライトは、ドレス系やスーツ系向けファブリック。ニットや布帛の軽衣料、ドレス、パンツ、ジーンズ、スーツ、ジャケット、トップスを用途とするコットン、リネン、合繊の代表的素材のエリアです。
 また従来にも増して一大関心事となっている環境に配慮したエコ素材のセレクションも、このエリアで展示されていました。

〇ファンシー
 プリントやジャカード、先染め、レース、刺繍など、パターンや意匠を集めたエリアです。
 全体にシンプルなビジュアル表現が中心。トーン・オン・トーンの色使い、もしくは洗練された色の組み合わせで、夏らしく彩られるシーズンになりそうです。花やストライプはサイズやピッチが大柄化。抽象画に近いものも多くなっています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月24日 (土)

プルミエール・ヴィジョン・パリ⑵ 心地よいグリーン

 今期、プルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)の会場を彩ったのはグリーンでした。
11  グリーンといっても陽光にさらされて白っぽくなった、やわらかいニュアンスの心地よいグリーン系からアクア系です。壁面から床、什器、ネームホールダーまで、このグリーン、グリーン、グリーン----。

1
 メインヴィジュアルは、青空が広がる爽やかな大草原の上に、砂漠のオアシスの画像を重ねたもの。天空から一人の人物が水を降り注いでいる、ちょっとシュールな写真で、人間は自然環境に責任があることを認識すべきと訴えかけています。

 2019年春夏に向けてPVパリは、このイメージに象徴されるエコのエスプリを大きく打ち出していました。

 提案されたカラーは、肥沃な大地や水、植物クロロフィル、咲き乱れるバイタリティのある花々など大自然へのオマージュを強く意識させます。また同時に現代テクノロジーとの融合、ハイブリッド・ネイチャーを主張していることもポイントです。
 総じて楽天的、かつポエティックな魅惑に満ちたシーズンになりそうです。
Img_78891jpg_2
Img_74541  右は今シーズンのプレスルームのインテリアです。
 グリーンに花のピンクやオレンジの春らしい彩りがいっぱい、椅子も花の形に設えられて、温かい雰囲気にあふれていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月23日 (金)

プルミエール・ヴィジョン・パリ⑴ 活気あふれる会場風景

 2019年春夏向けファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン・パリ(PREMIERE VISION PARIS 略してPVパリ)」が、2月13~15日、パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場で開催されました。 
 今シーズンは会場構成の刷新や魅力的なプログラムで、総じて活気あふれる会場風景でした。
Df204711
 初日、恒例の記者会見で、PVゼネラルマネージャーのジル・ラスボルド氏が概要を解説しました。
Img_72781 オラ・イト氏のデザインによる新しいスタンド、再設計されたフォーラムやモード情報の発信、進化するファッション・テックのエリアであるウエアラブル・ラブの拡大、皮革製品とシューズ市場向けのバッグ&シュー・マニュファクチャリングエリア、希少なノウハウにスポットを当てるメゾン・デクセプション、マルタン・マルジェラ回顧展の先行展示、さらに今年後半に始動するというB to Bのデジタルプラットフォーム「マーケットプレイス」などについてです。

 出展企業は、テキスタイルを中心に、糸やレザー、アクセサリー、プリント図案、縫製まで、6つの分野を合わせて世界50か国から1,725社(内、新規出展113社)です。この数字は2017年2月展比で1.6%増。日本からは、60社(内、新規出展2社)が参加しました。軸となるPVファブリックには811社(内、新規出展47社)、それにメゾン・デクセプションに26社と、ウエアラブル・ラブに22社が出展したことも付加しておきます。

 結果報告によると、来場者は54,500名で、前年2月展比で3%微減しました。この僅かな減少は、中国の旧正月と日程が重なったことが、直接的な原因と分析されています。実際、中国本土、台湾、香港からの来場者数は42%減少したといいます。またアメリカからの来場者数が5%近く減少したことについては、小売業界の変容にともなう近年の課題を反映するものと受け止められています。ちなみに日本からは1,544名が来場し、アジア諸国の中では来場者数が第1位でした。

 彼ら来場者は、錚々たるブランドの影響力のある決定権者やデザイナー、発注担当者が多く、その数以上にレベルが高いといいます。しかも国際色豊かで、バラエティにも富んでいます。来場の目的は、インスピレーションを得て、発見し、素材を探し、自社の2019年春夏シーズンのコレクションを差異化することだそう。
 こうして見ると、世界のファッションの行方は、まさにPVパリで決まるといっても過言ではないでしょう。改めてその役割の大きさ、重要性を思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月22日 (木)

COTTON PROMOTIONコラム掲載                        「クロスオーバーデザインの新潮流」

 一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION(コットン・プロモーション)」2018冬号534号のコラム、マーケティング・アイに、柳原美紗子の「クロスオーバーデザインの新潮流」記事が掲載されました。ご参照ください。
Me

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月21日 (水)

ロンドンのセルフリッジ 驚きのボクシング「ラミーランド」

 ロンドンの目抜きストリート、オックスフォード・ストリートにあるセルフリッジ百貨店で「あっと」驚かされたのが、ボクシングコーナーの「ラミーランド」です。
Img_69031pg

 セルフリッジでは今シーズン、「ラジカル・ラグジュアリー」をテーマにキャンペーンを行っています。その目玉となっているのがこの「ラミーランド」で、これはファッション業界でもっとも急進的クリエイティブといわれるデザイナー、ミッシェル・ラミー(Michele Lamy)が手がけるプロジェクトです。
Img_69061_2
 ミッシェル・ラミーは自他ともに認めるボクシング愛好家なのですね。「ボクシングは魅惑的、スポーツというよりも精神面で---。それは貴族のアートです。」という言葉を残しています。それもあって世界でもっともスタイリッシュなボクシングジムBXRとコラボレーションが実現し、ユニークなポップアップショップが誕生したといいます。なお出店は3月18日までだそう。
Img_69121jpg ここには右の写真のように、本格的なジムもオープンしていました。ボクシングの試合やパフォーマンスが行われるとのことです。

 ところで彼女は、現在ミラノで回顧展を開催中のリック・オウエンス(このブログ2018.2.19付け参照)の配偶者でもあるのです。そうか、リック・オウエンスの奇才は、この女性の影響だったのかと思い当たったことでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月20日 (火)

ロンドン「オーシャン・ライナー~スピードとスタイル」展

 ミラノからパリへの旅の途中、ロンドンを訪れ、ヴィクトリア・アンド・アルバート(V&A)博物館で始まったばかりの「オーシャン・ライナー~スピードとスタイル Ocean Liners: Speed and Style」展を見て来ました。
Img_67881jpg_2
 オーシャン・ライナーとは「遠洋定期船」のことです。本展では、定期航路に就いた旅客船の中で、船旅の黄金期だったといわれる20~30年代に就航した豪華客船に焦点を当て、デザインの観点からみた展示が行われていました。
Img_67901  豪華客船は、たとえば有名なノルマンディー号やクィーン・メアリー号、クィーン・エリザベス号など、さらに映画で涙したタイタニック号も、です。 
 当時の装飾が施された船内は、もう洋上の宮殿のようです。

 ファッションデザイナーたちはそんな船上のライフスタイルに注目します。
Img_68061
Img_68131jpg_3  晩餐会のためのイブニングドレスから、普段着や水着、ジュエリーなどのアクセサリーまで、様々なシーンに対応する商品をデザインしていたことがわかります。
 乗船客たちは嬉々として、その最新ファッションを披露したのですね。

Img_68431  上は30年代の水着です。

Img_68121  上はベルリン生まれのハリウッド女優、マレーネ・ディートリッヒが着装したクリスチャン・ディオールのニュールック・スーツです。1949年のもので、クィーン・エリザベス号に乗船し、ニューヨークに到着した時の映像も流れていました。

Img_68521pg  タイタニック号については、入口付近の壁に、ポスターが掲示されていました。
 縦長のもので、右の写真がそれです。思っていたほど大きいものではありません。

 最後の最後に、タイタニック号の木彫りのパネルの一部も見ることができました。
Img_68751jpg  アールヌーボー様式の凝ったもので、1912年4月14日夜に沈没した残骸といいます。プロジェクション・マッピングを使い、まるで洋上にゆらゆらと浮かんでいるように展示されていました。

 見終わって、予想以上のすばらしい内容にびっくりしました。さすがV&Aです。クルージングがブームの昨今、ファッション関係者にとってきっと参考になる展覧会では、と思いました。
 開催は6月17日までです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月19日 (月)

ミラノ・トリエンナーレで「リック・オウエンス回顧展 」

 ミラノウニカの取材で訪れたミラノで、ミラノ・トリエンナーレにて開催されている「リック・オウエンス回顧展 」を訪れました。
 リック・オウエンス(Rick Owens)は、フランスのファッションブランド「リック・オウエンス」を手がけるファッションデザイナーです。その既成概念を打破する創造力が注目され、世界中で人気を集めています。日本でも東京・青山にブティックをオープンしています。

 本展のテーマは、「SUBHUMAN INHUMAN SUPERHUMAN」。その意味は「人間以下 非人間的 超人的」です。

Img_65901jpg
 入場するとまず、大迫力で迫って来るのが、巨大な黒雲のような彫刻のインスタレーションです。ここには彼の抜け落ちた髪の毛も入っているといいます。
 そのスモーキーな空間の中に、過去20年間にわたる革新的で力強いリック・オウエンスのコレクションが佇んでいます。いずれもパンクでアンダーグラウンドな感覚の作品群です。
Img_65951
Img_65931jpg 左右非対称も多く、影のようなくすんだミニマルな色調が主調です。
 マダム・グレとマドレーヌ・ヴィオネを敬愛しているという、この人らしいドレープの扱いも美しく拝見しました。

Img_66011
 上は2016年春夏コレクションからのものです。
 このときのショーをビデオで見ると実に奇妙です。二人のモデルがおんぶにだっこして一体化した姿で登場し、モデルは背負われたり、逆さまになったりして、足をばたつかせながら、歩くモデルに張り付いています。このあられもないパフォーマンスは、人間が四肢動物であるという当たり前の概念からの逸脱を表現したものであるとか。当時大きな話題を呼んだことが思い出されます。

 最奥は広いビデオコーナーで、ランウェイのビデオが常時上映されています。巨大なスクリーンに映し出される映像は、臨場感があって堪能しました。

 この回顧展は3月25日までの開催です。ミラノに行く機会がありましたら、立ち寄られてみてはいかがでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月18日 (日)

戦後日本のファッション史 信用情報60周年記念号掲載

 本年2018年1月5日に発行された「信用情報創業60周年記念号 第12813号号外」に、 「戦後日本のファッション史」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

Scan0020_2  アパレル企業が誕生して60年余りが経過し、アパレル産業は大きく成長しました。
  とはいえ今や時代は転換期に突入し、不透明感が漂っています。見えない未来を切り拓くために、改めて過去と向き合う姿勢が求められているのではないでしょうか。
 ここでは戦後日本のファッションの変遷を10年ごとの年代順に振り返り、10ページにわたり解説しています。お知らせが遅くなりましたがご参照ください。
12 3 4_2 5_2

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月17日 (土)

2018年秋冬ミラノウニカ 流行色2017WINTER掲載

Scan0011_3  昨年末に発行された「流行色2017WINTER No.591」に、昨年9月に開催された「2018年秋冬ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

  その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。
 お知らせが遅くなりましたが、昨シーズンの傾向もご参照ください。


Scan0019_4 Scan0016_4









Scan0017_2 Scan0018_3                 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月16日 (金)

ミラノウニカ⑹ 動員大幅増で盛り上がった会期

 第26回ミラノウニカが8日、閉幕し、直後に結果速報のリリースが届きました。 
Photo
 リリースによると、今回は出展社が14%増と大きく増加しただけではなく、このフェアを訪れた企業の総数も、前年2月展比で2.4%増の5,949社に上ったといいます。

 来場社を詳細に見ると、イタリア以外からの外国企業が10.5%と二桁増となっています。その内訳は次の通りです。香港が70%増、ロシアが54.5%増、ドイツ50%増、また米国19.7%増、中国19.6%増、フランス15%増、トルコ12%増。逆に若干少なくなったのが英国と日本で、英国5%減、日本6%減。

 全体に動員数が大幅に増加し、盛り上がりを見せた会期だったとみられています。
 また突如急逝された前会長のシルヴィオ・アルビーニ氏の功績にも報いることができたと、しています。

 次回は7月10日~12日、今回と同じミラノのロー・フィエラ会場にて開催されることになっています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月15日 (木)

ミラノウニカ⑸ 日本パビリオン「継続は力なり」

 ミラノウニカ(MU)の日本パビリオン「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」では、レイアウト上、伸び悩んだといった企業もありました。しかしおおむね満足げで、次回も出るというところが大半です。
 とくに長年続けて出展しているメーカーには、「継続は力なり」を感じさせられました。バイヤーを的確につかみ、よい結果を出されていたように思います。

鈴木晒整理
 静岡県浜松市を本拠に、綿中心に衣料用天然繊維製生地の染色整理加工を行っている企業です。
 今回は単独ブースで出展しました。一押しは同社独自の防シワ加工の「クリーズケア」です。昨春発表し、内外で好評を得たといいます。
Img_65711  右の写真のように、綿100%パンツで、加工したものと未加工のものとを比較し、その効果のほどをアピールしていました。着用したときのシワの回復度、防縮性にもすぐれていて、セルロース系繊維にも対応可能といいます。
 この他、涼感加工の「ニュークールマスター」や防汚加工の「ソイルマスター」など、様々な機能加工を開発していて、いずれも素材のよさを活かしたすばらしい風合いで驚嘆させられました。

福田織物
 最高級の綿細番手織物で定評のある遠州産地の織物メーカーです。
Img_65701jpg_2
 今回はコレクションを絞って展示し、いずれも好評といいます。継続出展で、受注生地がわかってきたことが大きいようです。
 Img_65631とくに新作として、綿かすり織物を提案。
 これはかすり染めの糸で織った綿100%のチェックです。
 塩縮など表面加工生地などとともに目新しさを添えていました。

吉田染工
 横編みなのに布帛の、それも飛びきりファンシーなジャカード織のような編み地が魅力のブースです。
Img_65591  横編み機は島精機のスライを使用、綿やリネン、化合繊、ラメやモール糸など様々な糸を駆使して編み上げられた重厚感あふれるテキスタイルを揃えていました。
 今回も大きな手ごたえを感じている様子でした。

前田 源 商店
 富士吉田産地でオーガニックコットンの織物を手がけるメーカーです。
Img_65571jpg
 今回は化学染料を使わない草木染めによる綿100%のオーガニックコットンを展示し、自然の優しさをアピール。
 MUのシーズンテーマがサステイナブルということもあり、来客が多く、人気を集めていました。

八木通商
Img_65781  表面変化のある箔加工など、特殊加工が人気です。
 右は、MUのトレンドエリアに展示された同社の素材で、ハンドメイドでスクラッチしたような二重織の立体感は、まさに日本の匠の技!

大長
Img_67871  滋賀県東近江市が本拠の綿・麻織物を中心とする晒加工および特殊仕上げ加工メーカーです。
 適度なハリコシのあるシボ効果や塩縮加工など、表面変化のある無地が注目されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月14日 (水)

ミラノウニカ⑷ 日本パビリオン 3社が新規出展

 今回もミラノウニカ(MU)に、日本ファッション・ウィーク推進機構と日本貿易振興機構(JETRO)が運営する、日本パビリオンの「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」が出展しました。
Japan_observatory_010_milnounica_pe
  参加したのは34社・団体で、新規出展は3社です。出展社数は前年2月展に比べやや少なかったのですが、来場者数は昨年以上に多く、各社盛況のうちに終了した模様です。
 MUトレンドエリアには137点ものジャパンクオリティが展示され、日本が誇るイノベーション素材や匠の技が、来場者の目を引き付けていました。

 新規出展の3社をご紹介します。いずれも化合繊を得意とする福井産地の有力メーカーです。 

日装
Img_67741_2  福井市を本拠に刺繍レースなど、カーテン生地が主力のメーカーです。
 MUでは、ラッシェルに刺繍生地を合わせた特殊素材など、自社にしかできないという服地を企画して高品質をアピール。人気を呼んでいました。 

 セーレン
Img_67811jpg_2  インクジェットプリントのビスコテックスによる3D表現による生地や、特殊加工で表面変化をつけた軽量ダブルラッシェル、機能糸と天然素材を融合した、軽くストレッチ性のある肌触りの良い機能素材などをピックアップ。人目を惹いていました。 

 マツミ
Img_67791_2  福井産地のテキスタイル産元商社です。
 アウター向け高密度織物中心に、各種天然・化繊との複合素材やストレッチ織物など、オリジナリティのある織物開発に力を入れているといいます。ヴィンテージ調の加工も注目されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月13日 (火)

ミラノウニカ⑶ 若手デザイナー育成プロジェクト発信

 ミラノウニカでは、毎回若手デザイナー育成のためのイベント、「バック・トゥ・スクール (Back to School)」と呼ばれるプロジェクトを発信しています。今回はイタリアを代表する世界的なファッションブランド、エルメネジルド・ゼニアのアーティスティック・ディレクター、アレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartor)氏をゲストに迎え、同氏とファッションエディターのシモーネ・マルケッティ氏による対談形式でセミナーが行われました。
 テーマは、「CRAFTING MODERNITY: (クラフティング・モダニティ)」です。クチュール技術と融合したクールなシルエット、革新的なデザインは、どのようにして生みだされるのか、ピッティで発表された多数のゼニアのコレクションやアトリエでのビジュアルを見ながら語り合われました。
Img_66561
 大ホールに集まった約1,000人ものイタリアのファッションスクールの学生たちは、同氏の経験にもとづくデザイン哲学に大いに刺激されたようです。質疑応答に入ると次々に手が上がり、活発なやりとりが交わされました。「第一番はクオリティ」が印象的でした。

 またもう一つ、注目されたのが、未来を担うデザイナーのための「アイズ・オン・ミー Eyes on Me」プログラムです。これは新卒の若手デザイナー20名が、独自のトータルなコレクションを展示する企画コーナーで、その個性あふれるスタイルと技量を、新しい才能を求める企業にアピールしていました。
Eyes_on_me_005_milanounica_pe19_ph_  
 このようにミラノウニカは、プロの舞台に上るチャンスを提供しているハイエンドなテキスタイル見本市でもあるのです。イタリアのテキスタイル産業、ホントに奥が深いと感じます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月12日 (月)

ミラノウニカ⑵ トレンドメッセージは「地球を救う」

 2019春夏向けにミラノウニカが発信しているメッセージは「Save The Planet地球を救う」です。

 これを基に、トレンドエリアには、今回初めてサスティナビリティに光を当てたセクションが開設されました。このセクションを中心に、三つのテーマ、「水」、「空気」、「大地」のコーナーが設けられ、各テーマを物語るビデオが上映されるという構成でした。
 またテキスタイルの川上部門のトレンドを提案する「フィーロ(ヤーン)」エリアの新設、さらに製品検索のためのタッチスクリーンの用意など、新しい取り組みが見られたことも銘記しておきます。

 トレンドテーマとヴィジュアルの一部分をご紹介します

「水Acqua」 ジャック・クストーとアトランティスの神秘

 ジャック・クストーは伝説のフランス人海洋探求家です。ここでは深海をモチーフに、深い海底の有機的なネオクラシシズムにフォーカスします。

Area_trend_acqua_003_milnounica_pe1
Area_trend_tema_acqua_tessuti_029_m

「空気Aria」 ヌレエフと北欧の光


 ヌレエフとはルドルフ・ヌレエフのことでソ連生まれのバレエダンサーです。「その魅力は天上の光」のドキュメンタリーにインスパイアされたテーマです。

Area_trend_aria_006_milnounica_pe19
Area_trend_tema_aria_tessuti_019_mi  

「大地 Terra」  マサイと砂丘

 アフリカのマサイ族の文化や、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画「ザブリスキー・ポイントの勝利」が発想源。ザブリスキー・ポイントは米国ネバダ州のデスヴァレーの一地点のこと。Area_trend_terra_004_milnounica_pe1
Area_trend_tema_terra_tessuti_029_m

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月11日 (日)

ミラノウニカ⑴ 次なるファッション・テキスタイルとは何か

 2019年春夏向け素材を発表するイタリアのテキスタイル見本市、第26回ミラノウニカ(MU)が、この6日から8日、フィエラミラノ・ローで開催されました。私も開幕の前日にミラノに到着し、連日会場を巡りました。

 今回出展したのは416社で、昨年2月展に比べ51社増えて14%増という二桁台の増加。これにオッセルヴァトーリオ・ジャッポーネ(日本のパビリオン)34社、オッセルヴァトーリオ・コレア(韓国のパビリオン)20社が参加し、出展社数の合計は470社となりました。来場者の出足も好調で、随所に活気があふれていました。

 初日、恒例のオープニング・セレモニーで、MU会長のエルコレ・ポッド・ポワーラ氏、シンギュラリティ大学教官兼アドバイザーのデヴィッド・オーバン氏、バンカ・セッラ・ホールデイングのピエトロ・セッラ氏、コンフィンドゥストリア・モーダ会長のクラウディオ・マレンツィ氏、経済発展省政務次官のイヴァン・スカルファロット氏が登壇しました。

Cerimonia_018_milanounica_pe19_ph_2  冒頭、衝撃を受けたことが一つありました。それはMU共同創設者で前会長のシルヴィオ・アルビーニ氏が急逝したというお知らせです。アルビーニ氏は国際化の立役者で、MUへの日本企業参加の道を拓いた方です。一同立ち上がり、同氏の業績に拍手、遺影に追悼の意を表しました。 
 
 MUでは今回、全体を流れる大きなテーマとして、「次なるファッション・テキスタイルとは何か?」を掲げています。新しい世代、とくにミレニアル世代が求める新しい市場へ向けて、MUが打ち出した答えは、サスティナビリティからデジタルへ、ファッションテックへの大潮流でした。

 ポワーラ会長をはじめ登壇者たちが各々、このテーマをもとにスピーチしました。

Cerimonia_024_milanounica_pe19_ph_2

 サスティナビリティについては、トレンドエリアにエコ・サスティナビリティ証明付き製品コーナーを開設。今シーズンのトレンドテーマ「地球を救う」のスローガンの下、この特別なセクションで、個々の企業の製品づくりへの真摯な取り組みを証したサンプル展示が行われました。サンプル数は53社から250点。ポワーラ会長は、サスティナビリティは今後サバイバルしていくための必須条件になると強調しています。
 デジタルやファッションテックについては、新たなフロンティアを開拓するものであり、MUは未来と取り組む姿勢にさらなる進化を促していく、としています。 
 MUの新たな転換を印象付けられた開幕式でした。

 なおコンフィンドゥストリア・モーダ会長のクラウディオ・マレンツィ氏から、イタリアテキスタイル産業における2017年の実績が披露されたことも付け加えておきます。
 イタリアのテキスタイル産業の売上高は1.3%増、貿易黒字額も0.4%増と好調で、イタリア製服地の輸出先では第一位が中国、二位はドイツだったのこと。雇用も2年連続で安定しているといいます。
 とくに注目は、テキスタイル部門の黒字額です。テキスタイル/ファッション産業の売上高は総売上高の15%程度。それにも関わらず、テキスタイル部門の黒字は貿易黒字全体の25.4%にも達しているのです。イタリア製テキスタイルの成長が、イタリア経済に大きく貢献していることがわかります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月10日 (土)

ギフト・ショー春 ライフ×デザイン ⑵ 注目の商品

(昨日のブログの続きです)
 ギフト・ショー春2018  ライフ×デザイン展に出展していたたくさんのブースの中から、
とくに注目した商品を、2つご紹介します。 

キャリーサカサ Carry saKASA
 これは傘ですが、普通の傘ではない、逆折傘。台湾を中心とするアジア貿易を軸にビジネスを展開しているインタービジネスブリッジが手がけるブランドです。以前、仲間の一人が持っていて、アイディアがあると感心した覚えがありました。
Img_56381jpg
 逆向きに開くので、閉じたときに手が濡れません。自分も濡れないし、他人も濡らすことがないので安心です。立てかけなくても自立して立ってくれます。手を放しても倒れません。
干すときも場所をとりません。また狭いすき間から開閉できるので、車の乗降も楽にできるのです。
 一本持っていたら重宝しそうです。

和泉木綿
 和泉木綿はその名の通り、大阪・泉州で江戸の昔から織られてきた綿織物です。ところが安価な輸入綿に押されて明治時代後半には姿を消してしまったのですね。この幻の地場産品”を蘇らせたのが、平山繊維です。白木綿(登録商標和泉木綿)の素材に、注染本染の染技法を駆使した製品を企画製造販売しています。
Img_56411
Img_56391jpg  ブースでは、よりモダンな新商品を多数提案していました。シャツなどのアパレルからストール、インテリア雑貨まで、ダブルガーゼの肌触りのよさが魅力です。
 職人の技術がこんなところにも生きています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 9日 (金)

ギフト・ショー春 ライフ×デザイン⑴ ニッポンモノイチ

 第85回ギフト・ショー2018 ライフ×デザインLIFE×DESIGN展が、1月31日から2月3日、東京ビッグサイトで開催されました。「暮らし デザイン 新時代」をテーマに935社が出展。
 中小企業を支援している中小機構の地域の活性化・ブランド化を推進するプロジェクト「ニッポンモノイチ」も出展していました。セミナーも行われ、中小企業基盤整備機構の阪本 洋氏をモデレーターに、ワールドフォトプレスの坪井 一雄氏とスカイモーションの杉原 広宣氏がパネリストとして登壇、「“気づき”があれば商品力が上がる!~商品開発プロセスストーリー~」をテーマに、このプロジェクトに参加した6社の商品開発プロセスが語り合われました。

 新商品開発で重要なことは、①本質に立ち返ること、②お客様視点に立つこと、の二つ。魅力を「見つけて」、魅力を引き出す「気づき」、方向性を決定して言葉で客に「伝える」ことがポイントと指摘します。
 とくにキャッチフレーズは、商品開発を進める重要要素。「商品の特徴」と「企業メッセージ」を表現するコピーを考えることが鍵になると強調していたのが印象的でした。

「つむぐ、いとやのタオル」 旭紡績 (大阪府泉南市)
 創業150年の綿紡績会社で、糸屋がつくるタオルブランド「糸屋のタオル」で市場に参入。
 Img_56441しかしお客様の視点に気付いたことで、「つむぐ、いとやのタオル」のコピーに変更。この言葉により商品開発が進んだといいます。
 色は白/黒の二色コントラストでモダンにディスプレーし、イメージアップ。黒は京都紋付とのコラボによる漆黒染めで差別化したといいます。

「あたたかさ 春夏秋冬 くらしきぬ」 クラビズ (岡山県倉敷市)
Img_56481jpg  シルクを使ったインナーを展開している企画会社です。
 「シルクは温かい」という原点に返り、「冷えとり」効果のある「腹ぱん」や「靴下」といったアイテムを提案。
 「春夏秋冬」の言葉を入れて、一年中あたたかいことを伝えるキャッチコピーで、販売を伸ばしているといいます。

「宮島のこころとかたち」 博多商店 (広島県廿日市市)
Img_56541  明治初期創業のもみじ饅頭の老舗です。店主が建築家ということから手作りの高級杓子を開発、「宮島杓子(BIWA)」を製造販売しています。
 全体を俯瞰してみることでやりたいことの整理がついたそう。コピーには、宮島をもっと知って欲しいとの思いが込められています。

「萩は和の色COCON」 萩陶苑 (山口県萩市)
Img_56511  萩焼でこの色は見たことがありません。
 でもこれこそ萩焼が誕生した当時の土の色だそうです。
 萩焼の本来の色こそ、実は新しいことに気づかれたとか。「和の色」というコピーが効いています。

「桐のあぐら椅子」 増田桐箱店 (福岡県古賀市)
Img_56551  桐箱には日本の文化があり、それを広めたいという強い熱意に気付きたそう。
 軽く安定性のいい玄関椅子を桐箱でつくって提案。あぐらがかけることから、「あぐら椅子」と名付けたといいます。

「V-TISS」 トーマ (奈良県大和高田市)
 家具づくりで90年の歴史ある老舗です。
 仕上がりの美しい、組み立て簡単な「Vカット工法」を発明した会社でもあります。この本来得意としていた技術を活かし、ユニット型のボックス家具をデザイン、ブランド成功に導いたといいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 8日 (木)

BFGU“ファッションとAI”―人間性とデジタルの共生

 第10回目を迎えたBFGU(文化ファッション大学院大学)ファッションウィークで、1月30日、シンポジウムが開催されました。テーマは「“ファッションとAI(人工知能)”―人間性とデジタルの共生」です。
Img_56281jpg  パネリストは、日本アイ・ビー・エム シニアマネージングコンサルタント GBS 事業本部 コグニティブ推進室の岡田明氏、YUIMA NAKAZATOブランドを手がけるデザイナーでアーティストの中里唯馬氏、文化ファッション大学院大学 ファッションクリエイション専攻 教授の吉田康成氏で、モデレーターとして日本放送協会 情報システム局 副部長小川徹氏が参加しました。

 口火を切ったのは、ファッションをライフワークとしているという小川氏です。最近のテクノロジーの変化に着目し、これまではワーキング・ウイズ・マシーンだったのが、これからはメイキング・ウイズ・マシーンとなり、ファッションの世界に一気にAIが入ってくるといいます。AIと人間がコラボしてアートを創る時代が来ているとし、とくに「AIとクリエイティブ」に絞って語り合いたいと提案しました。

 最新のテクノロジーとクラフトマンシップの融合で注目のデザイナー、中里氏は、終了したばかりの今春夏パリ・オートクチュールコレクションの新作について、次のように語りました。
 それは縫製がほとんどされていない、パズルのような組み立て式の服で、小さいパーツを組み合わせ、つなぎ合わせて仕立てられています。縫製しないメリットは、瞬時に組み換えが利く、サイズや形の変更はパーツの交換で可能、キモノのように一部調整するだけで代々着用できることなど。パーツは一つひとつ形が異なっていて、着る人独自の番号がふってあり、もしも壊れたらその部分だけ取り替えて修理できるそう。
 今シーズンは「宇宙」がテーマで、宇宙空間で長く着続けられる一着をJAXAとコラボレーションしてつくったといいます。首都高で使われなくなった横断幕をカットするなど、リサイクル素材も使用したとか。
 また服づくりの工程がすべて詰まっている移動式テーブルを発明。この机一つあればパターン作成・裁断などの作業が、AIの機能により自動的に最適化される仕組みで、データ入力などカスタマイズの時短につながるそうです。
 オートクチュールの民主化に向けて、いよいよ動き出したといった感じですね。

 岡田氏は、AIの進化について、IBMのAIワトソンとトミー・フィルフィガーとのコラボなどから、ある程度のクリエイティビティのパターン化はできるようになってきたといいます。しかしデザイナーの心中、思いまではコピーできないとも。
 提示はできても、決めるのはやはり人間といいます。

 吉田氏は、教育者としての立場から、AIの役割は、学生の創造力を引き出す手助けをするカウンセラー、といいます。AIと対話することで、先入観が壊れ、思いがけない気づきが与えられる、そこから新しいアイディアが生まれることを期待しているなどと語りました。

 これを受けて中里氏は、AIが出す最適解が果たして正解なのか、必ずしもそうとは限らないのではないか、といいます。確かに非合理的なものの方がよいということもあります。最適解を見つけるためにAIを利用してもよいとは思うけれど、デザイナーはその先をつくっていかないといけない。だからAIは現状、デザイナーのクリエーションのサポート役にはなれない、と。
 とはいえ、最後にAIの使い方について、次のように話したことが印象的でした。
 ―オートクチュールは客との対話が大事です。たくさんの人とコミュニケーションして、その人に合う一点ものを届けたいと思っているのに、それができない。だからデザイナーの代わりにAIがより多くの顧客とコミュニケーションしてくれるようになるといいと思うのです。―

 ファッションという人間の感性が問われる分野で、AIがどれだけ関われるのか、その可能性を探る、大変興味深いシンポジウムでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 7日 (水)

「パリジェンヌ展」アートとオートクチュールの緊密な関係

 今、世田谷美術館で「パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」が開催されています。パリジェンヌとはパリに生きる女性です。ここではとくに18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちにスポットがあてられていて、展示されているのは、ボストン美術館所蔵の作品、約120点です。
Img_56221
 先日、関連イベントのレクチャーがあり、まだ雪が残る砧公園内に立置する世田谷美術館に行ってきました。
 講師は京都服飾文化研究財団理事、名誉キュレーターの深井晃子氏です。「アートとオートクチュールの緊密な関係-アメリカ女性とパリジェンヌ」をテーマに、絵画から見たパリモードとアメリカ女性との関わりなどについて語られました。

 深井氏によれば、「パリジェンヌ」とは何かというと、定義はない。けれどこの言葉が重要な意味を持つようになってくるのは、19世紀の半ば頃からで、オスマン男爵によるパリの都市改造計画でモダン・パリが出現して以降といいます。
 オートクチュールが創始され、また大西洋横断航路の定期サービスも開始されるようになり、米国人実業家たちが夫人を伴いパリに来て、美術品を収集するようになったのもこの時代でした。ボストン美術館の収蔵品も彼らコレクターのコレクションを集めたものといいます。ボストン美術館に印象派の作品が多い理由がわかります。
 印象派の画家たちは、パリジェンヌの肖像画をたくさん描いています。つまり当時のアート作品からその頃の流行が類推できるわけです。

 講演では、パリジェンヌとパリモードを読み解く鍵となる絵画が多数紹介されました。
9f3307674f1327e35e0a579d21e66940   たとえば本展のポスターにも掲載されているマネの大作「街の歌い手」(1862年頃)です。ギターを抱えたこの歌手は、流行のカシミアショールを身に着けていません。カシミアショールは庶民にはあまりにも高価で贅沢なものだったのですね。もちろんオートクチュールのモードでもありません。でも彼女は最新流行の衣装を装っています。この絵は、既製服が登場して、服の民主化が進行し、誰もがその気になれば流行のファッションを着用できるようになったことを表わしているといいます。

Im_parisienne201706_03_2  またもう一つ、ポスターに取り上げられているのが「チャールズ・E・インチズ夫人」(1887年)という、ジョン・シンガー・サージェントの作品です。この実業家夫人はボストン社交界の美女といわれた女性だそうです。もうパリジェンヌになりきったといった姿で描かれています。
 アメリカ女性にとって、パリモードはまさに憧れの的だったことを示すような作品ですね。
 他にもルノワールやドガらが描いたモデルやミューズのお話があり、改めてパリジェンヌとはどのような女性を指していうのか、知り得た気がしました。

 展覧会では18世紀のエレガンスから19世紀、20世紀のモダンシーンまで、美しいパリジェンヌたちを描いた作品が数多く展示されています。 
 これらの作品に見るパリジェンヌひとり一人の生き方を、探ってみるのも楽しいですね。今を生きるヒントが見つかるかも、と思います。
 なお開催は4月1日までです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 6日 (火)

「ロボデックス」展 Tシャツ折り畳み機が話題に

 ロボット総合展「ロボデックス」が、このブログで昨日まで掲載していたウェアラブルEXPOと同時開催されていました。
 約300社の最先端ロボットか展示される中、繊維関連で話題を集めていたのが、クラボウのTシャツ折り畳み機です。
 大きなアームが白いTシャツを持ち上げて、ゆっくりとした動きで上手に畳んでいく様子が実演され、来場者の注目の的になっていました。(動画をご覧ください。)


 ロボットの手は、こんなに柔らかいものにまで及んでいるのですね。
  今後、縫製工場などで利用されていくことでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 5日 (月)

ウェアラブルEXPO ⑵  注目の新技術

 (昨日のブログの続きです)
 今回の第4回ウェアラブルEXPOでは、新たな技術に目が向きました。そのいくつかをご紹介します。

東洋紡 TOYOBO
Img_55251
Img_55261_2  「ココミ COCOMI」のスマートウェア(上写真)の展示に引き寄せられて、中に入ると、目に付いたのが妊婦さん用の下着です。これは東北大学東北メディカル・メガバンクが取り組む“産後鬱(うつ)”研究向けに、ユニオンツールの心拍センサーと「ココミ」を使用したスマートテキスタイルで、綿杢ニット使い。
 生体情報の活用シーンが、様々なウェアに広がっていますね。

島精機 SHIMA SEIKI
Img_54921_3   無縫製横編ホールガーメント機の世界企業が初出展し、旭化成のウェアラブルデバイス「ロボ電」を組み込んだニットウェアを発表していました。
 ロボ電(このブログ2017.11.23付け参照)は、伸縮性を有する電線です。チューブ状の電線内に冷水を通すと、夏は涼しく、また温水なら温かいウェアとして着用できるアイディアです。

クラボウ KURABO

Img_55291  新製品「スマートフィット」を提案。取得した生体情報を解析し、リアルタイムで現場作業者の熱中症などのリスクを評価するシステムです。
 その実演も行われていました。


帝人フロンティア TEIJIN FRONTIER

Img_55371  関西大学とのコラボによる「圧電刺繍(e-stitch)」を開発。これは昨年このブログ2017.1.26付けで紹介した圧電組紐を応用したものです。様々な刺繍パターンを解析し、ファッション性を兼ね備えたウェアラブルセンサーを実現させたものとか。
 ブースでは圧電刺繍を施した見守りペットウェアや圧電インソールなどのアイテムも紹介していました。

ミツフジ MITSUFUJI
Img_55181  心拍数などの生体情報をスマホで手軽にモニタリングできるアプリを開発。
 介護・福祉問題の解決に、離れて暮らす家族の「見守り」サービスを実現しています。インナーはソフトな感触の導電不織布です。

シンド―  SHINDO
Img_55541  機能性副資材、イー・ストレッチ(e-stretch)を開発。
 右の頭に巻いた鉢巻きがそれで、よく伸びる導電性ストレッチテープで、ソフトで肌当たりがよく快適といいます。

 

ヴォルトスマートヤーンズ VOLT SMART YARNS
Img_55321jpg_2  銅など金属を使った導電性の糸を紹介。
 この糸使いの織物によるかっちりとしたウェアも見せていました。




イスコ ISKO

Img_55561_2  導電素材によるデニム素材を開発。スマホと連動し、温熱効果を体験する実演が行われていて、私も試してみました。確かに温かい!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 4日 (日)

ウェアラブルEXPO ⑴ 特別講演「ARとウェアラブル」

 ウェアラブル端末の活用と技術の専門展、「ウェアラブルEXPO」が、1月17日~19日東京ビッグサイトで開催されました。Img_54851出展企業は163社、来場者は14,751人を数えたといい、連日大にぎわいの盛況でした。

 セミナーも多数行われ、私は初日の特別講演「AR/VRがウェアラブルにもたらす革新」に参加しました。

 最初に登壇したのが東京大学大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻教授 廣瀬 通孝氏です。「ARとウェアラブル」をテーマに語られました。ウェアラブルコンピュータの基本的特徴と、この技術の最近の話題や将来の展開について、私のような素人にもわかりやすい講義で、印象に残る講演会でした。下記に簡単にまとめてみます。

 まずはウェアラブルコンピュータについて。20年前に携帯ブームがあり、そこからPCが持ち運べるものとなり、どんどん小型化したことにより使い方が変化し、ウェアラブルの概念が生まれました。その特徴は個人と適合しているインティメイトなものであること。だから入れ歯やメガネが貸し借りできないのと同様に、ウェアラブルPCはシェアできないものであるといいます。
 これがARと結びつくとどうなるのでしょう。ヒューマンインターフェースでは今、大革命が起こっているといいます。これまでは機械が人間に歩み寄っていたのが、ウェアラブルにより人間を機械に近づける方向へシフトしている、これはサイボーグの哲学であるとも。
 実際、AR技術の普及で、機械によって拡張された人間が出現するようになってきているといいます。この拡張デバイスをしのばせて、様々なことができるのがウェアラブルPCであると、解説されました。
 次にその特性でとくに重要な体験記録についてです。自分が何をしたのかという記録ですね。これは記憶の拡張に進み、過去の出来事がわかるようになります。過去がわかると未来も予測でき、賢く生活できるようになってくるというのです。
 この技術は既に高速道路の渋滞解消など、随所に採り入れられ始めていて、テレビ番組で人気のブラタモリでも、何の変哲もない場所のかつての様子を見せてくれるなどしています。博物館でも利用されて、失われた原風景を蘇らせるなど、来場者を楽しませています。
 ウェアラブルPCにより時間軸を遡る体験ができるようになったのです。これは考えてみるとほんとうにおもしろいと思いました。「覆水盆に返らず」ではなく「覆水盆に返る」ことが可能になってきたのです。
 最後にウェアラブルPCは今後不可欠な要素となっていく、そしてその成否は超分散システム→自律分散システムの設計にかかっているなどと述べられ、時間切れとなりました。
 今まさに新しい産業構造が生まれている、私たちはその大転換の時代を生きているのですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 3日 (土)

第44回モード・イン・フランス展 「ラベル」ゾーン新設

 第44回モード・イン・フランス展が、1月10日から12日、ベルサール渋谷ファーストで開催されました。結果報告によると70ブランドが出展、1,500名が来場し、昨年同期と比べると横バイでした。とはいえ百貨店からの来場者数が大きく伸びたといいます。

 とくに今回、目玉となったのが、新設の「ラベル(Labels)」ゾーンです。7社が出展し、出展料の優遇もあるとか。抜擢の基準は次のようです。創造性、熟練の技術、受け継がれるものづくりの遺産、そしてメイド・イン・フランス(フランス製であること)。

 今年は日仏友好160周年記念年です。また来年の経済連携協定(EPA)発効へ向けて動き出す年でもあり、出展各社の日本市場への期待は大きい様子です。会場では随所で活発な商談風景を見ることができました。

 初の試み「ラベル」ゾーンで、取材したブランドをご紹介します。

リュー・ベガン RUE BEGAN
 200 年以上の昔より数多くの縫製工場が集まるフランス北部トロワでハイブランドのクリエーションを支えてきたアトリエ・ダリアーヌが、 2017 年にスタートさせた自社オリジナルブランドです。Img_54281その歴史あるストリートの名前をブランド名にしたそうです。
 今シーズンは、ウインタースポーツのメッカ、「雪山リゾート」をテーマに、マウンテンスポーツをイメージさせるプリントのアノラックや、刺繍使いのジャージートップなど。都会的でクールなメンズ、ユニセックスファッションを展開しています。

ヴィトス1925 VITOS 1925
同様にトロワで、1925年にスタートしたストッキングと靴下工場を起源とするブランドです。Img_54471ストッキングの伝線を修繕する画期的な機械を発明し、この機械をVITOSと名付けたことから、世界中にこの名が知れ渡ったとか。
 その後、五代目が得意のニットを中心にブランドを蘇らせ、大人の女性に向けたウェアを提案しているといいます。ナチュラル志向をコンセプトに、素材は環境配慮のリサイクルカシミア糸使いなど。レトロと最新トレンドを融合した個性的で、しかも長く着続けられるコレクションです。

キャロリーナ・リッツラー CAROLINA RITZLER
  ブランドを象徴するのが、オールインワンのコンビネゾンです。Img_54301 元々男性の作業着ですが、その概念を覆し、成熟した女性のセンシュアリティーを表現するアイテムとしてデザインしています。もちろんコンビネゾンの他にも、ケープやトレンチコート、ワンピース、スーツなど様々なアイテムを揃え、充実したコレクションを展開しています。
 アトリエはパリ10区にあり、有名メゾンのコレクションも手掛けるなど、クオリティはお墨付きとか。多くのセレブリティー、ペネロペ・クルスやグレイス・ジョーンズ、ローラ・スメも愛用しているそうです。

ヴァランティーヌ・ゴティエ VALENTINE GAUTHIER
  デザイナーの名前を付けたブランドです。Img_54351jpg 2007年にブランドを設立し、2009年にパリのマレ地区にショップをオープン。今年、パリのボーマルシェ大通りに新たなショールームとフラッグシップショップを開店予定とか。女性的なスタイルに男性的な素材の組み合わせなど、都会的でモダンなコレクションを展開しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 2日 (金)

シンポジウム「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは」

 最近、SDGs(エスディージーズ Sustainable Development Goals)という言葉を耳にするようになりました。これは国連で2015年に取り上げられた持続可能な開発目標です。これを踏まえて、ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(略称WEF)主催のシンポジウムが、昨年12月12日、東京・青山で開催されました。
Img_52272jpg  主題は「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-」です。関心の高いトピックであるだけに、会場は満席で、熱気がこもっていました。 

 冒頭、WEF会長の尾原蓉子氏が、「消費者意識が変化し、テクノロジーの進展とともに流通・販売も変容、企業の社会的役割も変換し、社会的責任を果たすことが要請されるようになってきました。本シンポジウムがこの問題の解決につながることを期待しています」と挨拶。

 第一部基調講演では、3人の講師が登壇。まず慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史氏が、「SDGsが地球と人間にもたらす変革」をテーマに講演しました。
 SDGsについて、国連で全ての国、米国や北朝鮮も含む国々が合意した文書で、企業の良心に基づく行動への要請であり、法的義務はないこと。貧困や格差をなくし、地球温暖化を食い止めることなど17の分野で、2030年までの達成を目指す行動指針が採択されていることなどを説明。
 その背景やプロセス、様々なアプローチを実例とともに語られました。これによると日本は北欧などに比べると遅れているようです。とはいえ一部で推進の動きがあると、地方創生に向けた自治体SDGsの取り組み、例えば北海道下川町のバイオマス産業都市や沖縄の読谷村、また先進的な企業の例も紹介。ただしまだ本質に迫るところは希少なので、今後は本質に則った事例をつくることが課題といいます。
 このためにはSDGsの本質を社会の変革と捉え、フォアキャスティングではなく、未来から発想するバックキャスティングで行うことが重要であり、矛盾のない未来をつくることがポイントと強調しました。
 次にパタゴニア日本支社支社長 辻井隆行氏が「多様な価値観が創るこれからの社会」と題して、同社の環境ビジネスを、フェアトレード、自然環境保護、環境再生事業、カーボン・ニュートラルなどを軸に解説。リスクを認識して、先行すべきと述べ、SDGsを先にやる企業に先行者利益がある、と指摘。
 さらにオーガニックコットン事業の草分けであり、社会企業家でもあるアバンティ代表取締役社長 渡邊千惠子氏が登場。同社の理念などを語った後、とくに新鮮に思えたのが同社ブランド「プリスティン」のリサイクル、「リプリプロジェクト」のお話。これはお気に入りの一枚を、染め替えたり刺繍をしたりなどして、新たな光を当て、再び使用できるようにする事業。
 また国産綿プロジェクトに触れ、国内綿花自給率をプラスの方向へもっていくと力強く発言、風力発電による「風が作る繊維プロジェクト始動」にも言及しました。

 第二部は、ファッション・ジャーナリストでWEF理事の生駒芳子氏をコーディネーターに、上記3人とのパネルディスカッションとなりました。
 エコやエシカル、サステイナビリティはビジネスを停滞させるのではないか、という質問に、これは逆にビジネスの強力なストーリーになると主張。三者三様に、「先にやる方がお得」、「エシカルはもうカル」などと力説しました。

 最後にファッション業界へのメッセージとして、SDGs はビジネスのリスクではなく、「リスト」であると断言。「2030年にどのようなビジネスが成立しているか、想像力を駆使してみて。未来はもう決まっている」との締めくくりのフレーズが印象的でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 1日 (木)

「イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事」

 昨年12月、三宅一生氏と交流の深いクリエイティブディレクターの小池一子さんによる著書「イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事」の発売記念トークイベントが、青山ブックセンター本店で行われました。
Img_52281_2
 出演は、著者の小池一子氏、企画を手がけた三宅デザイン事務所代表の北村みどり氏、装丁を担当されたアートディレクターの浅葉克己氏で、制作までの貴重なお話を聞かせていただきました。

31kcvenybl_sx386_bo1204203200__2  本書は、2016年2月にタッシェンより発売された書籍「Issey Miyake 三宅一生」(北村みどり企画・責任編集)に収録された小池一子氏のエッセイ8章に、書き下ろしの第9章を加え、新たな読み物としてまとめた単行本です。各章の扉絵には、横尾忠則氏によるイッセイミヤケのパリコレ招待状の中から厳選した30点が掲載されています。

 トークでは、三人三様、三宅一生氏と繋がっているからこその知られざるエピソードがあふれていました。
 まずは三宅一生氏との初めての出会いから。小池氏は、多摩美の学生だった一生さんを田中一光氏に紹介されたことが始まりだそう。浅葉氏は80年代初め頃、広告制作プロダクションで知り合ったとか。北村氏は、三宅一生氏が日本で本格的に服作りを始めた頃、東洋系モデルを探していたことから、スカウトされたことが最初だったといいます。
 その後北村氏は、一生さんの腹心となり「アーヴィング・ペンと三宅一生」などの展覧会を始め、様々なショーやイベントを手がけていきます。横尾忠則氏デザインのパリコレのインヴィテーション制作の裏話や、「オム・プリッセ・イッセイ・ミヤケ」ブランドの秘話などを、楽しく語られました。

 書籍のユニークな仮名文字のタイトルについても話が出ました。小池氏は「一生さんと話していると、不思議な気持ちになって、この人どこからきたの?」といつも思うそうです。一生さんがスーパーコンピューター誕生と同年に生まれたことから、「宇宙から来た人としか思えない」と話されていたことも印象的です。
 またタッシェンから本が出版された後、2016年に国立新美術館で「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が開催されました。このときの開幕パーティに、フランス大統領の使者としてジャック・ラング氏が来日し、なんと三宅一生氏にフランス政府から芸術文化勲章のレジオン・ドヌール勲章コマンドゥールが授与されたのです。小池氏は三宅氏の仕事がフランスで大きく評価されていること、同時に人とのつながりや友情に感動したと振り返っていました。ほんとうにすばらしい出来事で、一生さんは本当にもしかしたら宇宙人かもしれませんね。

Img_52371  本の裏表紙には、浅葉さんによる「一」の文字があります。「一」は一生氏と小池一子氏を表しているのですね。

 私も読んでみて、三宅一生氏のバイブル本になること間違いないと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年1月 | トップページ | 2018年3月 »