ミラノウニカ⑴ 次なるファッション・テキスタイルとは何か
2019年春夏向け素材を発表するイタリアのテキスタイル見本市、第26回ミラノウニカ(MU)が、この6日から8日、フィエラミラノ・ローで開催されました。私も開幕の前日にミラノに到着し、連日会場を巡りました。
今回出展したのは416社で、昨年2月展に比べ51社増えて14%増という二桁台の増加。これにオッセルヴァトーリオ・ジャッポーネ(日本のパビリオン)34社、オッセルヴァトーリオ・コレア(韓国のパビリオン)20社が参加し、出展社数の合計は470社となりました。来場者の出足も好調で、随所に活気があふれていました。
初日、恒例のオープニング・セレモニーで、MU会長のエルコレ・ポッド・ポワーラ氏、シンギュラリティ大学教官兼アドバイザーのデヴィッド・オーバン氏、バンカ・セッラ・ホールデイングのピエトロ・セッラ氏、コンフィンドゥストリア・モーダ会長のクラウディオ・マレンツィ氏、経済発展省政務次官のイヴァン・スカルファロット氏が登壇しました。
冒頭、衝撃を受けたことが一つありました。それはMU共同創設者で前会長のシルヴィオ・アルビーニ氏が急逝したというお知らせです。アルビーニ氏は国際化の立役者で、MUへの日本企業参加の道を拓いた方です。一同立ち上がり、同氏の業績に拍手、遺影に追悼の意を表しました。
MUでは今回、全体を流れる大きなテーマとして、「次なるファッション・テキスタイルとは何か?」を掲げています。新しい世代、とくにミレニアル世代が求める新しい市場へ向けて、MUが打ち出した答えは、サスティナビリティからデジタルへ、ファッションテックへの大潮流でした。
ポワーラ会長をはじめ登壇者たちが各々、このテーマをもとにスピーチしました。
サスティナビリティについては、トレンドエリアにエコ・サスティナビリティ証明付き製品コーナーを開設。今シーズンのトレンドテーマ「地球を救う」のスローガンの下、この特別なセクションで、個々の企業の製品づくりへの真摯な取り組みを証したサンプル展示が行われました。サンプル数は53社から250点。ポワーラ会長は、サスティナビリティは今後サバイバルしていくための必須条件になると強調しています。
デジタルやファッションテックについては、新たなフロンティアを開拓するものであり、MUは未来と取り組む姿勢にさらなる進化を促していく、としています。
MUの新たな転換を印象付けられた開幕式でした。
なおコンフィンドゥストリア・モーダ会長のクラウディオ・マレンツィ氏から、イタリアテキスタイル産業における2017年の実績が披露されたことも付け加えておきます。
イタリアのテキスタイル産業の売上高は1.3%増、貿易黒字額も0.4%増と好調で、イタリア製服地の輸出先では第一位が中国、二位はドイツだったのこと。雇用も2年連続で安定しているといいます。
とくに注目は、テキスタイル部門の黒字額です。テキスタイル/ファッション産業の売上高は総売上高の15%程度。それにも関わらず、テキスタイル部門の黒字は貿易黒字全体の25.4%にも達しているのです。イタリア製テキスタイルの成長が、イタリア経済に大きく貢献していることがわかります。
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