歌川国貞展 ~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~
「歌川国貞展 ~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち」が今、静嘉堂文庫美術館で開催されています。
実は歌川国貞という浮世絵師について、私はまったく知識がありませんでした。先日、この内覧会に参加し、太田記念美術館の主席学芸員日野原健司氏や静嘉堂文庫の主任秘書成澤麻子氏、ナビゲーターの青い日記帳Tak氏によるトークショーでお話しを伺い、ほんの少しだけ国貞通になった気がしました。
歌川国貞(1786-1864)は、美人画と役者絵の第一人者で、後年三代歌川豊国と称した人物です。常に第一線で活躍し、活動期間も50年と長く、作品数は1万点以上にも上るとか。錦絵版画をもっとも多くつくった絵師だったといいます。その点数があまりにも多いことから、それがかえって価値を低めたのではないかともいわれているようです。
本展では、この名手の作品の中から、活き活きとした江戸の女性たちや、迫力のある役者の舞台姿を描いた錦絵を中心に、肉筆画や工芸品を含む91点を展示。またポーラ化粧美術館の所蔵品も参考出品されています。
江戸の多色摺り木版画の錦絵は、写真の無い時代のファッション画です。展示品は、岩崎家のお嬢様たちが着物の柄や髪飾りなど当時の流行を知る参考のため、収集したものだそうです。きちんと画帖仕立てにされているので、展示に苦労したとのことでした。でもそれだけに美しい色が保存されていて、着物文化がリアルに伝わってきます。
花魁たちだけではなく、市井の普通の女性たちの日常のワンシーンを捉えた描写も多く、150年前の江戸の空気感を感じました。
上は「今風化粧鏡」。こういうのを大首絵というのですね。
左手前の女性は、口の周りを黒くしてしまったところ。鉄漿を付けるのに失敗した場面です。
真ん中の絵は「蚊やき」です。寝間着姿の女性が、蚊帳の中に入ってしまった蚊を、紙燭の火で焼いている図。 よく見ると小さな蚊が描かれている、おもしろいシーンです。
右は役者大首絵として有名な五代目松本幸四郎の「仁木弾正左衛門直則」。
反った大きな鼻が印象的です。
江戸の劇場の様子がわかる「芝居町 新吉原 風俗絵鑑」。絹本着色の肉筆画です。
「双筆五十三次」です。双筆というのは、二人の絵師による合作で、本シリーズは東海道五十三次の宿ごとに、前景の人物を歌川国貞こと三代歌川豊国が、背景の風景画を歌川広重が担当して、刊行されたもの。
この他、紹介しきれませんので、どうぞ会場まで。URL http://www.seikado.or.jp/
会期は前期 1/20~2/25、後期 2/27~3/25となっています。
なお写真撮影は、美術館より特別の許可をいただきました。
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