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2017年8月11日 (金)

北関東織物の旅 ⑵ 大麻博物館「農作物としての大麻」

 服飾文化学会の夏期セミナー、北関東織物の旅の2日目は、大麻博物館からスタートしました。
 大麻博物館は、2001年に栃木県の那須高原にオープンした私設の小さな博物館です。
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 実はこのブログ2016.7.29付けで、紹介していますのでご参照ください。私は高安淳一館長のお話を伺い、ぜひ現地を訪れてみたいと思っていました。
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 大麻というと「えっ、大丈夫なの?」と言われ続け、違法な薬物と認識されています。 しかし大麻は、古来より人々に親しまれ、繊維を衣服や縄・釣糸・漁網に、種を食料に、茎を建材に、葉や根を薬用にと幅広い用途で利用され、神道の世界ではその繊維を清めの道具として用いるなど、日本の伝統・生活文化と密接な関わりを持つ農作物だったのですね。
 とくに栃木県は、国内生産の約90%を占める大麻の産地となっているそうです。

 とはいえ1950年代に大麻取締法が発効して以来、大麻には悪いイメージがつきまとっています。
Img_00901 高安館長の危機感は非常に強いものがあるようで、今年の年頭に「大麻という農作物」という著書も出版されました。私も購入して読ませていただきました。

 かつて麻と言えば大麻のことを指しました。麻に大を付けて大麻というようになったのは、他の麻と区別するため、埋没しないようにするためであったといいます。また大いなる、という尊重の意味を込めての名称でもあったとか。

 実際、麻には様々な種類があり、おなじみのリネンは亜麻ともいい亜麻科の植物、苧麻はラミーで日本では「からむし」とも言われるイラクサ科、そして大麻は英訳するとヘンプで、これこそ真のあさ科植物だそうです。とはいえ日本の大麻布と海外のヘンプでは様々な点で違いがあるといいます。
 たとえば糸づくりでは、海外産ヘンプは機械紡績で、繊維の構造をバラバラにしてから糸にするのに対し、Img_01031jpg日本の大麻布は、手作業で繊維を延々とつないでいくのだそうです。
 生えていたときの天地の向きを変えないように、また繊維の空洞のチューブ構造を活かしながら績んでいくそうで、その方法を館長ご自身が実演してくれました。

Img_00861jpg  こうしてつくられた大麻布は柔らかくて、使い込むとベビーの肌着にも使えるといいます。

 

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 早く乾いて濡れないことも実験して見せていただきました。
 チューブ構造のため繊維内に水分を保持し、蒸気として発散するので、濡れた大麻布を身に着けても、さらっとした感触なのですね。
 夏涼しく、冬温かい性質も中空の綿繊維に似ています。

 丈夫で耐久性があるのも麻の特徴です。昔から漁網やつり糸などにも利用されてきたといいます。
 あるとき館長も大麻のつり糸で釣りをしたそうです。そうしたら植物なので魚が自然に近寄ってきて、おもしろいように釣れたとか。そんな楽しいエピソードも印象的でした。

 今回の訪問で、大麻が、夏の暑さや冬の寒さを防ぐように日本で独自に進化した自然素材だったことが分かりました。「農作物としての大麻」、その文化の啓蒙活動に取り組む高安館長に改めて敬意を表します。

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