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2017年8月10日 (木)

北関東織物の旅 ⑴ 世界遺産 富岡製糸場を訪問して

 今夏の服飾文化学会の夏期セミナーは、北関東織物の旅でした。北関東は古来より織物の一大産地です。絹織物や麻織物、綿織物の伝統が現在も息づいているのです。産地の魅力ある企業の工場や職人の技などを見学し、繊維産業を取り巻く新しい動きや今後の方向などを探ってきました。

 台風5号が北へ逸れた8日、予定通り世界文化遺産の富岡製糸場を訪問しました。
 ここは2014年に日本近代の産業遺産として初めて登録された工場で、東京から近く、糸へんでもあり、私もすぐにでも行ってみたいと思っていた人気スポットです。どんなところかしら、と大変興味を持っていました。 

 富岡製糸場は明治維新後の明治5年、生糸を輸出するために建てられた洋式の繰糸器械を備えた官営の模範工場です。ガイドがとくに明治5年という年を強調していたのが印象的でした。
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Img_00341  上は国宝に指定されている東置繭所の入口です。
 建設に携わったのは、フランス人のオーギュスト・バスティアンで、木造レンガの外壁はフランス式の積み方になっているといったことなどを伺いました。

 その2階に乾燥させた繭を貯蔵したといいます。
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 上はその貯蔵室の内部です。かつての活気に満ちた面影を偲ぶことができます。薄明るいひんやりとした静かな空間で、広々としていました。

Img_00641jpg  右は、資料室のある東置繭所の1階で行われていた接緒の実演です。復元されたフランス式操糸器を操っているところで、生糸はこんな風につくられていたのですね。
 


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 上は巨大な操糸場で、建物は国宝に指定されています。
 工場は当初官営でしたが民間に移り、三井、次いで原三渓(生糸貿易で財を成した実業家で、横浜の三渓園で有名)が後を継ぎ、その後片倉工業が1939年から2005年までオーナーを務めていたといいます。
Img_00461  かつての姿を維持したまま保存されていたことが、世界遺産につながったのですね。片倉工業に感謝です。
 場内には、昭和39年に導入されたという日産の自動操糸機が設置されていて、つい最近まで稼働していたといいます。

Img_00491pg  右は、明治6年に建設された首長館(ブリュナ館)です。指導者として雇われたフランス人のポール・ブリュナが家族とともに暮らしたという邸宅です。
 のちに工女の夜学校として利用されたとのことでした。

Img_00551  右はブリュナエンジンです。富岡製糸場の設立の際、輸入された蒸気エンジンで、ポール・ブリュナの名前が付けられています。当時はフランスが絹織物技術で最先端を行く国であったといいます。 

 ここでは工場労働者は女工ではなく、工女と呼んでいるのですね。
 Img_00231右は「お富さん」と名付けられたマスコットです。フランス人の飲む赤ワインを見て、それを血と思い込み、「生き血を取られる」などというデマも流れて、なかなか人が集まらなかったとか。
 またガイドによれば「女工哀史」にみるような酷い待遇はなかったそうです。診療所の設備もあり、8時間労働も順守され、福利厚生は整っていたといいますが---、このあたりのことはよく調べてみる必要がありそうです。当初はフランス風に扱われていたとしても、次第に変質していったとみるのが正解でしょう。

 この富岡製糸場で、今回内部に入場できたのは、国宝の東置繭所と操糸場だけでした。それ以外の建築物、重要文化財指定の首長館や検査人館などは中に入れなくて外観のみでした。ですから、Img_00211jpgスマートグラスによる「CG映像ガイドツアー」が役立ったと思います。
 これはこの4月から始まった新しいサービスです。もしも雨が降っていたらできなかったツアーで、ちょうど雨の合間だったこともあり幸運でした。
 音声だけではきっと物足りなく感じられるのではないかと思います。
 次回行くときの参考にしてください。

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