« 服飾文化学会大会作品展示 和服地でデザインする現代服 | トップページ | 特別講演 安達市三氏が語る「ファッションデザインの軌跡」 »

2017年6月14日 (水)

「ファッションとアート 麗しき東西交流」展 シンポジウム

Img_79291jpg  横浜美術館で開催されている「ファッションとアート 麗しき東西交流」展で、5月27日に行われたシンポジウムに参加しました。(本展について、このブログの2017.5.1付けでオープニングの記事を掲載しています。)

Img_79321
 シンポジウムの主題は「ファッションとアートにみる東西交流の諸相」です。

 第一部は基調講演で、京都服飾文化研究財団理事/名誉キュレーターの深井晃子氏が登壇しました。「ファッションとしてのジャポニズム」をテーマに、19世紀後半の絵画の中の着物を中心に語られました。
 ジャポニズムとは19世紀後半、欧米に広がった日本の芸術文化の影響で、とくに万博をきっかけに日本ブームが巻き起こったといいます。
 当時の絵画には、日本の着物を纏った女性像が数多く見られ、画家たちは着物姿とともに、屏風や扇、花瓶、傘、浮世絵など、様々な日本のモチーフも好んで描いたようです。
 同氏は本展で展示された絵画作品4点を取り上げ、ジャポニズムが単なる異国趣味を超えて、生活文化の広い範囲に及んでいたことを解説されました。画家たちがいかに日本趣味にはまっていたのか、それらにまつわるエピソードを交えながらの楽しい講演でした。

 第二部は発表です。
 最初は岡部昌幸氏(帝京大学教授、群馬県立近代美術館館長)による「ジャポニズムの広がりー19世紀末から20世紀の工芸・装飾美術・生活芸術」です。
 最近発見されたという「女性芸術家の部屋」という古書から、ジャポニズムと当時の人々の生活との結びつきを紐解かれました。日本趣味が当時の西洋の人々の暮らしの隅々にまで入っていたことを知る手がかりになります。
 とくに当時の女優サラ・ベルナールに関するお話が印象的で、現在サラ・ベルナール展を準備中とのこと。これも楽しみです。

 次に周防珠実氏(京都服飾文化研究財団キュレーター)による「輸出された室内着」。
 当時、横浜の絹織物商、椎野正兵衛が輸出した室内着についての研究発表で、大変今興味深かったです。上質な羽二重に手刺ししてつくられたというキルティングの室内着で、服飾品の輸出の嚆矢となったといいます。室内着といっても、ティーガウンとしてお客様をもてなすホステスガウンだったとのことです。背中心に縫い目のない一枚仕立てで、スカートにはマチ布がはめこまれていて、スカートの裾広がりに対応しています。
 展示品を鑑賞して、そのあたりをチェックし、洗練されたおしゃれなガウンだったと再確認しました。

 最後に内山淳子氏(横浜美術館主任学芸員)による「日本画に描かれた洋風ファッション」です。
 大正から昭和初期にかけて、洋装は皇族だけではなく、一般庶民にも浸透し始めたことを、当時の画壇の日本画から検証されました。とくに鏑木清方作品の美しさが心に残り、今度はぜひ清方作品を集めた美術館に行ってみようと思ったことでした。

|

« 服飾文化学会大会作品展示 和服地でデザインする現代服 | トップページ | 特別講演 安達市三氏が語る「ファッションデザインの軌跡」 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/588192/65417593

この記事へのトラックバック一覧です: 「ファッションとアート 麗しき東西交流」展 シンポジウム:

« 服飾文化学会大会作品展示 和服地でデザインする現代服 | トップページ | 特別講演 安達市三氏が語る「ファッションデザインの軌跡」 »