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2017年5月15日 (月)

コットンインコーポレイテッド 2017米国と日本の市場動向

 今年も米国コットンインコーポレイテッド社による「マーケット・リサーチ・プレゼンテーション」が4月21日、東京・日本橋で開催されました。講師は例年通り同社マネージャーでマーケット・アナリシスのジャスティン・コーテス氏です。
Img_71821  世界の市場を調査している同社の資料から、とくに2017年の米国と日本の市場動向について分析された結果を、「EMBRACING DISRUPTION (新しいテクノロジーを受け入れて突破口を見出す)」を基に解説されました。
 テーマは大きく二つあり、一つは「RETAIL RADICALS (小売ラジカル)」、もう一つは「JAPAN REIMAGINED (再構築される日本)」です。

 まず一つ目の「RETAIL RADICALS (小売ラジカル)」です。これは今まさにグローバルトレンドとなっているテクノロジーに焦点を当てたお話しで、小売業がテクノロジーをいかに駆使しているかについて、4つのポイントに絞って、語られました。
 第1に、カスタマイゼーションです。競争力を高めるにはこのテクノロジーが欠かせないと断言します。
 オンラインセールスはますます加速します。しかし先進国では衣類離れに歯止めがかからない。2016年の総支出にみるアパレルシェアは米国、日本とも3%、EUも4%で、2030年までの伸び率は米国やEUで1%程度とごくわずかとみられています。これに対して中国やインドでは現在5~7%で、2030年には倍増が予想されるなど、成長の可能性が非常に高い。
 こうした状況下、業績を伸ばすことができるのはテクノロジーで他と差別化可能なカスタマイゼーションを採り入れている企業といいます。例えばこの3月にオーダーセーターを2時間で完成させる「セーター・ロボット」をローンチしたアディダスや、この2月に「CODE COUTURE」を立ち上げたH&M。トップショップのウエアラブルテクノロジーに特化したスタートアップの発掘、及び育成プログラム「TOPPITCH」などを映像でプレゼンしました。
 第2に、触感・質感といった問題解決への努力です。これはオンライン販売の向上をはかるのに不可欠といいます。
 アンケート調査によると、10人中7人がオンラインでカスタマイズできるブランドを購入すると答えていて、とくにミレニアル世代ほど高いそうです。ただしオンラインでの服の購入は、試着できない、質がわからないといった不満があり、返品も多くなります。そこでこれを限りなく解消する突破口を開くことが鍵になります。例としてファッションレンタルビジネスの「RENT A RUNWAY」が行っている、顧客とほぼ同じサイズの人が衣装を着装する動画サービスや、ギャップが導入している「試着室アプリ」、これは体型に合ったアバターが試着するものなどが紹介されました。
 第3に、グローバルにローカライズするということです。とくにアパレル支出の増大が見込まれる中国やインド市場にフォーカス、各地域の特性に合わせたカスタマイゼーションや交流が重要になってくると指摘します。中国も広東はファッショニスタが多く、上海はアスレティックに熱心、北京はインターナショナルというように、求めるものが異なると数字を上げて解析。インドでは女性運動の一環として、女性たちにスポーツ参加を促すプログラムを提案するナイキの事例など、成功例を挙げました。 
 第4に、サスティナビリティの追求で、多方面から天然素材が推奨されているといいます。マイクロファイバーによる水質汚染や、レーヨン繊維の使用で樹木が伐採され森林枯渇が起こっている問題などに言及。世界中の85%の人々がコットンは環境にやさしいと回答し、3人中2人が化合繊使用を不快に感じ回避しているとの調査報告を公開しました。コットンに関する誤った情報を正すことを強調していたことも印象に残りました。

 次に二つ目のテーマ、「JAPAN REIMAGINED (再構築される日本)」です。日本は今後少子高齢化の影響でマーケットが縮小し、2030年のアパレル消費額は7.9兆円と現在より17%減少すると予測されています。こうした中、明るいと見られているカテゴリーが下記4つです。
 1つは、アクティブウェア市場です。機能的な服を購入する消費者が増え、2020年に向けて販売額は17%増と見込まれ、ワードローブの主要アイテムになってくるといいます。
 2つ目は、デニムです。二人に一人がデニムを着用するようになり、オフィスで、また洗練されたものならディナーでも、ジーンズをはく機会が拡がるといいます。2022年に売上高は現在より9%上昇するとの見方も示しました。
 3つ目には、オンラインショッピングです。2030年には日本人の99%がインターネットにアクセスするといわれ、ますます勢いを増しそうです。2021年にEコマースサイトでの販売は46%になり、55%がモバイルで買い物を楽しむようになるといいます。そこでサイズ、フィット、マテリアル、レビューといったきめ細かな情報の伝え方が大事とアドバイスされました。
 4つ目は、アパレル輸入で、サプライチェーンが多様化するといいます。品目としてはニット81%、織物19%の割合で、ニットが圧倒。とくに東南アジアからのサプライヤーの急増は止まらず、この流れは変わらないとみているようです。

 なお日本における調査は、15~54歳の男女を対象にオンラインで実施、第3者機関に依頼し、CCI国際綿花評議会とコットンインコーポレイテッド社とのコラボレーションで行われたといいます。

 最後に、同氏のセミナーは今回で終了とのことです。毎年、世界市場と日本のマーケット動向について貴重なお話しを伺い、大いに参考にさせていただきました。心よりお礼を申し上げたいと思います。ほんとうに長い間、ありがとうございました!

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