全国アパレルものづくりサミット― ITとデジタル技術の進化
第4回「全国アパレルものづくりサミット」(主催:日本発ものづくり提言プロジェクト)が、昨年12月17日、東京・新宿の文化学園で開催されました。今回は、「ITとデジタル技術の進化」という大きな情勢変化を踏まえて、日本発ものづくりの活路を考えようというものでした。テーマとなったのは「今、改めて考えよう!日本のものづくり― ITとデジタル技術の進化の中で」です。来場者は約300人を超し、この問題に対する関心の高さが伺えました。
いつものように二部構成で、第一部は、大きな影響力を持つ「楽天」と「Makuake(マクアケ)」のプレゼンテーション、第二部は、パネルディスカッションです。同プロジェクト実行委員会発起人、久米繊維工業会長の久米信行氏の司会進行でスタートしました。
第一部では、まずサイバーエージェント・クラウドファンディングの代表取締役社長・中山亮太郎氏が、同社が運営するクラウドファンディングサイト「Makuake」について語りました。
Makuakeを立ち上げたのは、3年前だそうです。それが今や国内クラウドファンディング利用度ナンバーワンに成長し、これまでに調達した資金は約20億円以上とか。
クラウドファンディングとは、「つくりたいモノやサービス」のアイディアを持つ人が、専用のインターネットサイトを通じて呼びかけ、不特定多数の人から広く比較的少額の資金を集める方法です。資金を提供する側は、思い切ったコンセプトの新商品や面白い体験などを先行的に購入できます。つくり手からすれば、売上金を使ってつくるといった仕組みなので、リスクはありません。同氏はこれを先行予約販売型プラットフォームと呼んでいます。
成功例として、水をはじくパーカや、防弾チョッキにも使われる強力なケブラー素材使いのジーンズ、ストラップと組み合わせられる腕時計「ノット」など多数紹介。「ノット」は銀行からの融資で、ついにリアル店舗をオープンさせたといいます。
いずれも共通点は、人に語りたくなるようなストーリー性があることだそう。ヒットさせたい企画があれば、Makuakeへどうぞというわけです。ネット掲載は無料、集めた金額の15%はMakuakeのものだそう。
最近は中小だけではなく、大手も使い始めているといいます。
商品的には、アパレル関連の比率が高いそうで、ファッションは今後ますます伸びると思いを寄せていました。
次にバトンタッチしたのが楽天のスタイライフ事業部 ビジネスマネージャーでファッション事業部シニアマネージャーの松山 奨氏です。来年創業20周年で、現在、ネット通販の3割強のシェアを誇る楽天は、2020年には、シェア5割を目指すといいます。日本のEコマースと言えば、すなわち楽天といってもいいほどの存在感で、その影響力の大きさは誰もが認めるところです。楽天カードの伸び率もトップ、スーパーポイントで買い物促進を図るなど、楽天経済圏を確立しています。
この同氏が、スマホ時代のヒットの手がかりを解説しました。
とくに印象的だったのは、従来の3Lが、スマホの登場により3Fに変わったという部分でした。3Lは、Long page、Live、Long tailのことで、それが3F、つまりFirst view、Flick、Fastになったといいます。画像を見てフリックする回数が多いほど、購入率が高まるそう。もちろんアクセス数も重要です。このため良い写真やコピー、動画を埋め込むことが求められているといいます。中でも動画は焦点になるとか。こうした手続きや編集、ビジュアルなどのサービスについても言及。
とくにファッション分野は、年間15%の成長率、商品数も17%増と年々伸びているそうです。クロスボーダートレーディングも活況で、世界35カ国で日本製を販売、メイド・イン・ジャパンの価値をシームレスにアピールしているといいます。楽天の世界発信、ますます期待されます。
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