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2016年12月12日 (月)

「sacai」を世界的ブランドへ押し上げたディレクションとは

 デザイナーの阿部千登勢さんが手がける「sacai (サカイ)」は、日本を代表するファッションブランドという以上に、世界のトレンドを引っぱる存在になっています。今や売上げも100億円を超えるビッグ・ブランドです。その成長の原動力になったのが、10年程前に「sacai」のクリエイティブディレクターに就任し、ブランドPRからデザインまで幅広くブランディングに携わってこられた源馬大輔氏です。

Img_24081pg_2  先般開催された「第7回ファッション ワールド 東京 秋」で、同氏による特別講演会が開かれました。テーマは「『源馬大輔』的ディレクションの極意」です。WWD 向千鶴編集長が、同氏にそのディレクションの極意をインタビューするという形式で進行しました。
 会場には、「sacai」のような世界的ブランドを目指そうという業界関係者が数多く集まり、満席の盛況でした。その概要は次のようです。

 まずは阿部さんとの出会いから。
 源馬氏は当初、阿部さんから「私を一流にしてください」と言われたといいます。「sacai」は前後左右、自由自在の組み合わせで新しいクラシックを創造するブランドです。そこで「何よりも伝えることがすべて」と考えた同氏は、メッセージを持っていただこうと「ハイブリッド」をキーワードに据えたそうです。
 当時、展示会のみだった「sacai」に、世界を目指すにはパリコレで認められることが一つのステージになる、パリへ行くならランウェーショーで見せることを提案したのも源馬氏でした。「見せ方で見え方は異なる」の言葉も説得力があります。「良いものだから見てください」というだけでは足りない。そのブランドの背景や雰囲気まで見えてこないと、良さは伝わらないといいます。
 向氏が「sacai」のムードのある広告ヴィジュアルを見て、「ここまで大胆に制作するのは珍しい」と評すると、源馬氏は、「ショ―のルックブックは事実だが、それだけではデザイナーのコンセプトは伝わりにくい」。さらに「事実は脳裏に焼き付きにくい。しかしムードは脳裏に焼き付いて離れない」と、これも名言と感心しました。
 また「sacai」が世界に大きく飛躍する契機となった、英国のスタイリスト、カール・テンプラー氏のことも話題になりました。2010年に彼と契約したときに、「ヨーロッパの王道をいくのか? それともアウトサイダーでいくのか?」と問われたそうです。何よりも「ラグジュアリーブランドに勝ちたい」という気持ちもあって、「王道のプラットフォーム」を選択。テンプラー氏のスタイリストの領域を超える仕事ぶりも功を奏して、今があるといいます。
 昨年からは靴のデザイナー、ピエール・ハーディをパートナーにシューズブランドを立ち上げ、そして今年はケイティ・ヒリアーとバッグのブランドもスタートさせました。これもラグジュアリーブランドでは売上げの6~7割がバッグなど雑貨だからだそう。
 ナイキやアップルウオッチなど様々なブランドとのコラボレーションの成功も見事です。その秘訣はと訊かれて、「自分たちが心から楽しめるかどうかが、判断の基準」。「阿部さんも自分が着たいと思う服をつくっている」、それをデザイナーのパーソナリティを含めて、どう伝えていくかが重要といいます。

 「sacai」を堂々の世界的ブランドへと押し上げたその裏には、このような人物の活躍があり、様々な才能で支えられていることを強く印象付けられた講演会でした。

 

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