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2016年8月 2日 (火)

写真の先駆者「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」

00133f0d  先日、三菱一号館美術館で開催されている「写真に生命を吹き込んだ女性―ジュリア・マーガレット・キャメロン展」の“青い日記帳×キャメロン展”内覧会に行ってきました。
 館長のお話しによると、ジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-1879)は、写真を芸術へと高めた先駆者です。本展は彼女の生誕200年を記念する国際巡回展で、日本初の回顧展。同館では開館当初から女性アーティストシリーズを企画されていたそうですが、その第2弾がこれでかなったと挨拶されました。

 東京都写真美術館の三宅学芸員の姿もあり、当時の社会背景や写真技術などを語られました。
 キャメロンは、インドのカルカッタ生まれの英国上流階級の女性で、48歳でカメラを手にしたそうです。写真が発明されたのは1820年代ですので、それから20年くらいしか経っていません。まだ写真の引き伸ばし技術などはなく、展示されている写真が、すなわちネガ原板のサイズで、このサイズの写真が入る大きさのカメラが必要だったといいます。ですからカメラ自体、大きくて木製で重く、三脚を立てて撮るのですから力も要りますし、女性でよくもまあ、とビックリです。

 見どころとしては次の3つのテーマ、肖像写真、聖母群、幻想主題があります。

Img_76121jpg  肖像写真は、社交界で交流した著名人や家族がモデルです。
 ソフトフォーカスを用いて、被写体の内面性に迫ろうと試みたといいます。
 右は、ハーバート・ダックワース夫人(1872年頃)。 

 聖母群は、ルネサンス絵画の構図に倣い、モデルを聖母マリアに扮装させて撮ったといいます。
Img_76021  
 上は「精霊の実」(1864年)。キリスト教の9つの美徳を写真で表現した連作です。(写真はクリックして拡大しご覧ください)

Img_76261jpg  幻想主題は、詩や物語などのワンシーンを写真で再現した寓意性に富む、絵画のような作品です。
 その代表が左の「ベアトリーチェ」(1866年)。本展のポスターに使われている写真です。
 白いターバンを巻いたこの女性は、16世紀イタリアに実在した人物で、父の殺害を企てて処刑された悲劇のヒロインといいます。

 一枚の写真を完成させるには、かなりの時間がかかった時代です。モデルは静止したままじっとしていなければならなかったとか。作品に同じモデルが繰り返し登場するのはこのためでもあるようです。

 意図的に焦点をぼかしたり、ネガに傷をつけて手作業の痕跡をあえて残したり。キャメロンの写真には、単なる記録媒体ではない、芸術的感性が感じられます。
 とくにヴィンテージ写真に興味のある方、必見でしょう。
 開催は9月19日までです。

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コメント

本展を観て来ました。版画の様に入念に絵作りしたポートレートですね!!チャールズ・ダーウイン等著名な人も登場。ラファエロの絵画に倣った写真もあります。当事、絵 を描くための参考に過ぎなかった写真の性格を、彼女は独立したアートとして確立していったんだと思いました…。

投稿: PineWood | 2016年8月 3日 (水) 08時11分

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