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2016年8月

2016年8月31日 (水)

旅の思い出 青森周遊の旅 ⑶ ねぶたの家「ワ・ラッセ」

 青森と言えば、ねぶた祭りです。お祭りには行けませんでしたけれど、青森駅前にある“ねぶたの家「ワ・ラッセ」”で、にぎやかな気分を味わってきました。
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Imgp69991  その迫力はまさに超ド級。スケールが並外れて大きい! 衝撃のアートでした。これが街中を練り歩きながら、踊り手たちが乱舞するのですね 今度ぜひ見てみたいものです。
 ちなみに「ワ・ラッセ」とは、ねぶたのかけ声の「ラッセラー」と「笑い」をかけた造語だそう。威勢のいい笑い声が響いてくるようでした。

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旅の思い出 青森周遊の旅 ⑵ 棟方志功記念館

 (このブログの8/26の続きです。)
 青森に行ったらぜひ訪れたいと思っていたのが、棟方志功記念館です。建物は校倉造りを模したような感じで、風情のある日本庭園がありました。
 枝垂れ桜が満開でした。
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 鎌倉市の鎌倉山には以前、棟方志功のアトリエがあり、そこが美術館になっていて、私も時折散歩したものでした。ところがいつの間にか、それがなくなってしまいました。

Img_57701  再び目にした今回の展示は、春らしい「柳緑花紅」がテーマでした。
 花札の図柄をヒントに自然を装飾的に描き出したものが多く、その独特の作風、裏から絵具を浸み込ませる「裏彩板画」の技法など、異彩な魅力を放っていて、改めて魅せられました。

Scan0457_2  志功は、版画のことを板画と表現しています。 板の木の魂をじかに生み出さなければダメとの思いから、あえて板という字を使っていたそうです。
 ビデオで片眼しか見えない志功が、板に顔がつくほど近づいて制作する姿を見ました。板の声を聴きながら仕事をしていた、と感動しました。

 左はそのときのチケットで、釈迦十大弟子の中の「舎利弗の柵」です。

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2016年8月30日 (火)

「VRが拓く未来への扉」セミナーで驚愕のVR体験

 今月初めに行なわれた国際ファッションセンターのKFCネットマーケティングセミナー「VRが拓く未来への扉」に参加しました。最近ファッション業界でも、VR(ヴァーチャルリアリティー)を利用したプロモーションが広がっていることから、興味津々でした。初めてのVR体験はまさに驚愕! ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をつけて入った空間は、実にスリリング!でも面白かったです。

 セミナーでは、まずユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの伊藤 周氏がVRについて解説されました。
 
Img_77851 VRとはVirtual Realityの略で、「仮想空間」と和訳されています。しかしVirtualは「虚像」ではないことから、これは誤訳だそう。「実質的現実」あるいは「ほぼ現実」の意味であるといいます。
 またもう一つ注目されているのが、Augmented Reality、略してARで、「拡張現実」と訳されているものです。
 ARはVRを内包するもので、VRの次に来るのがARと考えられているようです。ポケモンGOにも適用されている概念ですね。しかし現在のところ、非ゲームの世界で花開くのはVRの方といいます。
 VRは、つまりHMD ヘッドマウントディスプレイのことで、スマホの進化とともに様々なものが開発され、2013年に登場した Oculus Riftは、小売り販売などに積極的に活用されています。Diorは昨年、オリジナルのヘッドセット「Dior Eyes(ディオールアイズ)」を発表して話題になりました。ショーや展示会でハコスコを配る企業も増えていますね。
 これは、いずれネットやスマホのような必須アイテムになっていくもの、と思われます。

 次にプロノハーツの藤森匡康氏が、同社の事業を紹介されました。とくに力を入れているのは製造業とゲーム業界の融合による、楽しいモノづくりといいます。2014年にドラえもんのひみつ道具、「どこでもドア」をつくってパリのジャパンエキスポに持っていったお話しを伺い、夢がついに現実になった、と思いました。何しろ遠く離れた場所にいても、HMDで見れば、実際に自分がそこにいるかのように感じられるのですから。
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 この後、prono DR(ヘッドマウントディスプレイ)や、ホログラム映像を現出させる最新のホロレンズなどを体験させていただき、本当にビックリ!

 ファッション情報が、「見るもの」から「体験・共有するもの」へ変化していることを体感したひとときでした。

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2016年8月29日 (月)

「これからのファッション教育を考えるシンポジウム」

 今月7日、「ここのがっこう」主催の「これからのファッション教育を考えるシンポジウム」が、上野の東京芸術大学で行われました。
 「ここのがっこう」は、ファッションデザイナーで「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」を手がける山縣良和氏が設立した学校です。今夏は日本の学校として初めて、ロンドンの名門校、セントラル・セント・マーチンズ美術大学のファッション学科とコラボレーションし、サマーコースを実施したことで話題を集めました。
 山縣氏は、このシンポジウム開催の主旨を次のように述べています。「日本にはアカデミック機関でファッションを学べる環境がほとんどない。英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートにファッション学科があるように、日本においても国立大学でファッションを学ぶことができるよう、そのきっかけになればと思う」と。
 会場が芸大キャンパスであったことも、驚きでした。同大学の学生が大勢つめかけていて、満席状態。私の隣席もデザイン学科の学生で、ファッションに大変興味があると話してくれました。この夏、東京メトロ銀座駅構内で目に留めたファッションの展示(このブログ2016.7.25付け)も、同大学卒展からのものでした。このファインアートの殿堂のような大学でファッションへの関心が広がっていることが、素直にうれしかったですね。

 シンポジウムは、「世界の学校の教育環境がどのようなものなのか」を主題に進められ、最初にコルクルーム主宰 安達市三氏が登壇。「日本のファッション教育の始まり」について、ご自身の体験を基に講演され、皆真剣そうに聴き入っていました。
Img_79121  次に座談会があり、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉研究員の栗野宏文氏とセントラル・セント・マーチンズ美術大学講師の西尾マリア氏、ここのがっこう 代表の山縣良和氏が、「世界のファッション教育」をテーマにディスカッションしました。
 とくに興味深かったのは、様々な事例を挙げて、ファッションがいかに社会潮流と関連しているか、社会を見る目の大切さや本当に良いデザインとは何か、といったことが語られたことです。セント・マーチンズも新しくサスティナブル学科を創設したといいます。
 また同校では先生はガイドかサポート役で、すべては学生自身が考えて行動しないといけないという教育方法も、日本は見習わなければ、と思うところでした。
 最後に「日本におけるファッションデザイン教育」と題して、山縣良和氏がファッションデザイナーの坂部三樹郎氏と認知言語学者の宇野良子氏のお二人と議論。「ここのがっこう」が目指す方向を、日本の風土性から論じられていたのが印象的でした。

 「ここのがっこう」は、その出身者が欧州のファッションコンテストで数々の賞に輝くなど、今やファッションクリエーションで注目の学校です。かつて長沢 節が開いた「セツモードセミナー」のように、日本を代表するデザイナーやクリエイターらが輩出する学校になるのも夢ではないでしょう。
 東京芸大にもファッション学科ができて、「芸大か、ここのがっこうか」と言われるようになる日も近いのかもしれません。そんなことを考えながら、会場を後にしたことでした。

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2016年8月28日 (日)

早くも2017年春夏コレクション発表始まる!

 このところとみにコレクションや展示会の時期が早まっています。
 東京の有力若手ブランドも、例年より早くコレクションを発表し始めています。

Img_82011  こうした中、つい先日、8月24~26日、東京・恵比寿のデペシュ・モードを会場に、2017年春夏展を開催したのが、「ディウカ divka」と「イン・プロセス IN-PROCESS」です。

 「ディウカ divka 」は、デザイナーの田中崇順とパタンナーの松本志行が手がけるブランドで、海外展開も好調のようです。今や日本と海外の売上の割合は6対4になっているといいます。
 昨シーズン、東京コレクションでモデルを使ったファッションショーを披露しましたが、今シーズンはこれを止めて、パリとニューヨーク、上海の展示会に出展するそうです。東京コレクションは10月中旬なので、これを待っていては生産が間に合わない、ということのようです。
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 2017年春夏へ向けて、テーマは“to whom”です。世界の人々を意識した今までにない新しい提案に思われました。
 素材のバリエーションも増えています。プリントに加えてデニム、何とシルクのデニムもありましたし、ツィードや先染め、しなやかなレザーなど、このブランドらしい斬新なパターンに落とし込まれて、小粋な大人の服に仕上がっていました。

 カラーも春らしい明るいカラーが多く、とくにポイントのミントグリーンがさわやかさを強調していました。

Img_81891  「インプロセス IN-PROCESS」は、デザイン・デュオのスティーブン・ホールと大原由梨佳によるブランドです。東京コレクションでは、これまで6年半にわたりファッションショーを行い、新作を発表してきましたが、今季は「ディウカ」と同様、中止。その代わりにパリとニューヨークの合同展に参加するといいます。
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  プリントなど柄に定評のあるブランドで、今季のテーマは「IMMEMORIAL MODISH」。太古のモチーフやデザインなどをモダン化したコレクションといいます。とくにメソポタミア柄のジャカードや古代エジプト風の幾何学模様の洗練されたシックなドレスに魅せられました。またウォッシュ加工のインディゴ染めニットも可愛かったです。
 素材はリネン使いが目立っていました。

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2016年8月27日 (土)

オルセー美術館協力 生誕170周年「エミール・ガレ」展

Img_82181jpg  今、サントリー美術館で開催されている、オルセー美術館協力 生誕170周年「エミール・ガレ」展を見てきました。
 ガレは昨年も信州安曇野のエミール・ガレ美術館で見ました(このブログ2015.7.8付け参照)し、何度も見ています。ですからちょっと食傷気味でした。
20160802_2152556  でも昨日、同館のプレミアムトークの後に見たガレ展は、本当にすばらしくて、改めてエミール・ガレの凄さに感動しました。 ガレは生物学者でもあったそうです。その徹底した自然描写が実にリアル!しかも詩的で幻想的な美しさをたたえています。
 ちらしで使われている写真は、昼顔の形をした花器で、本物の蛾が飛んでいるようでした。これがガラスでできているとは、思われない感じです。

Scan04621 Scan04622 左は購入したポストカードの一つで、蜻蛉のはかなく妖しい雰囲気が表現されています。

 右は茄子の形をした花器です。




Scan04611jpg  ガラス器とともに、デッサンも展示されていて、制作の過程がわかる構成になっていたのも、さすがサントリー美術館、と思いました。

 右もポストカードの一つで、アイリスの花。

 なお本展は28日、明日までです。

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「小田野直武と秋田蘭画」展 プレミアムトーク

 昨日、東京・六本木のサントリー美術館で行われた「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画」展 プレミアムトークに招待していただき、秋田蘭画の世界を知りました。

Scan0460  サントリー美術館では、本展を11月16日から2017年1月9日まで開催します。そこであまりおなじみではないと思われている秋田蘭画の魅力を広く伝えたいと、トークイベントを開いたといいます。

 登壇されたのは、同館企画委員でもある美術史家の高階秀爾氏、京都美術工芸大学学長で秋田県立近代美術館名誉館長の河野元昭氏、法政大学総長の田中優子氏です。

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 18世紀半ばに江戸で開花した秋田蘭画について、その背景や画風などを語っていただき、大変興味深く拝聴しました。

 この小田野直武という人は、江戸時代中期の秋田藩士で、あの杉田玄白の著作「解体新書」の挿絵を描いた画家だったといいます。絵の名手で、平賀源内に誘われて江戸でその才能を開花させます。当時、日本は鎖国していましたが、長崎の出島を通してオランダや大陸文化が入ってきていて、江戸にはそうした文物が豊富にあり、人々の大きな興味の対象だったようです。オランダから来た油彩画も人気で、直武はこれらに触れ、西洋画の要素と東洋、日本を融合させた新しい絵画を創作します。
 高階先生は、日本人は海外のものをそのままコピーするのではなく、それらに手を加えて独自のものを作り上げるのが得意な国民で、小田野直武もそうだった、といいます。彼が表現した独自の洋風画が秋田蘭画と呼ばれているのです。他に秋田藩主の佐竹曙山や角館城代の佐竹義躬らの絵師たちがいて、本展で代表作が紹介されます。

1  チラシに使われているのは、小田野直武の名作「不忍池図」です。
 前景の植木鉢はオランダ静物画の影響でしょうし、花は中国風の芍薬の花です。先生方もおっしゃっていましたように、日本的な情景に陰影法も見られ、西洋と東洋という二つの世界が見事に調和していると思いました。

 この秋田欄画は、直武が32歳の若さで亡くなるまでの約7年間がピークだったようです。その後、司馬江漢らに継承され、浮世絵にも反映されていったといいます。

 それにしても江戸時代って、知れば知るほど面白いですね。
 田中優子先生が語られた直武の背後にある物語や平賀源内が何故捕らえられて亡くなったのか、そんなことを想像しながら展覧会を拝見するのを楽しみに待っています。

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2016年8月26日 (金)

旅の思い出 青森周遊の旅 ⑴ 三内丸山遺跡を訪ねて

 今年のゴールデンウィークに、青森県をほぼ一周する旅行をしました。車でしたから、かなりいきあたりばったりで、いろいろなところに行ってきました。
 ときまさに春爛漫の候で、桜が満開でしたが、山は雪景色。そのことを忘れないうちに、主なスポットを記しておきます。

 最初に行ったのが、三内丸山遺跡です。私は歴史マニアで、とくに古代の遺跡に興味があります。
 平成4年、ここで縄文時代前期から中期の大規模集落跡が見つかり、ぜひ訪れたいと思っていました。
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 広々とした敷地に入ると、物見やぐらのような巨大な物体が見えてきます。
 これは祭祀用なのか、何なのか、目的はわからないといいます。

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Img_57311jpg_2  点在しているのは竪穴式住居跡で、15棟が復元されているとのことでした。床は地面を掘り進んでつくられていて、中央には炉がありました。

 長さが32mもある大型の竪穴式住居跡にも入ってみました。これは集会などに利用されていたようです。

20160428114758imgp81551  大型の掘立柱建物跡です。ここには6本柱の長方形の建物があったと考えられているそうです。穴の中には、直径1mものクリの柱が残っていました。

 クリといえば、縄文人の主食はクリの実で、この集落は広大なクリ林に囲まれていたといいます。
 食料は豊富で、戦いをした痕跡もないことから、ごく平和な暮らしを楽しんでいたようです。

 この他、盛土といって、たくさんの土器や石器、土偶などが捨てられた場所を見学したり、子どものお墓を見たり---。人は亡くなると土器に入れて埋葬されたといいます。

20160428105010imgp81091  ミュージアムでは、たくさんの縄文式土器をはじめ、ムンクの「叫び」の絵のような土偶(写真右)や編カゴ(下の写真左)、漆を使ったイアリングなどのアクセサリー類(下の写真右)など、興味深いものがずらり。
 およそ5000年前のものとは信じられない、すばらしいコレクションでした。
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 ここではミュージアムもガイドさんもすべて無料だったこともうれしかったです。

 発掘はまだ始まったばかりといいますし、縄文の扉がさらに開いて、いつか世界文化遺産へ登録される日が来ますことを、私も待ち望んでいます。

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2016年8月25日 (木)

湯殿山大日坊瀧水寺 即身仏は清らかな衣をまとわれて

 森 敦の「月山」という小説の中に、即身仏の記述があります。今夏、ここ庄内地方にやって来た私、好奇心からちらっとでもいいのでそのお姿を拝観できたらと、湯殿山大日坊瀧水寺に立ち寄りました。

 Imgp90581住職の法話の輪の中に入れていただいた後、参拝者らとともに隣の部屋に通されました。ここにあの神秘の即身仏が安置されているのです。ちょっと緊張します。
 そこは光が差し込む明るい和室でした。想像していたようなうす暗い場所ではなかったことこともあり、少し前まで抱いていた恐怖感のようなものはなくなりました。
 お祓いを受けて、即身仏の真如海上人と対面します。清らかな衣をまとわれて、微笑んでいるような穏やかな表情に見えました。ロンドンやパリのミュージアムで見たミイラとは随分印象が違います。住職によると、今から200年以上前に起こった天明の大飢饉で民衆を救うため、自ら進んで生き仏になられたとか。
 明治時代の神仏分離で、この寺も焼き打ちに遭ったそうですが、この真如海上人だけは遺言により別棟に置かれていて、助かったといいます。死後の災厄まで見通していた高僧だったようです。

 ところで即身仏は海外でもトピックスになっていて、外国人もよく見えるそうです。英国BBCの記者が来訪し、特集番組がつくられるなどしているといいます。あるときこの記者がお守りを買って帰国したら、そのおかげか、交通事故にあっても無事だったというお話しをされ、私もそれほど信じているわけでもないのに、つられて購入してしまいました。
 お守りの中には、美しい紅白の小布が入っていました。これは12年ごとに衣替えする即身仏の衣の切れ端だそうです。何かいいことがありますように、願っています。

 本当に好奇心の塊と自分でも思う私。摩訶不思議な神秘の世界をほんの少しだけ垣間見ただけでしたけれど、満たされたような気分になりました。

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羽黒山・出羽三山神社へ 2446の石段を上る

 修験道の山、羽黒山・出羽三山神社には、以前スキーで山形蔵王に行ったとき、訪れようとしたことがありました。そのときはお正月で道路が大渋滞していて、たどり着けなかったのです。
 今回は何としても行ってみたいと、羽黒山の宿坊のような旅館に宿泊しました。石段が2446段もあると知り、ちょっと恐れをなしましたけれど、何とか踏破。山頂の出羽三山神社に参拝してきました。

20160813082534imgp02051jpg まず入口の随神門をくぐって、坂道を下ります。
すると朱塗りの神橋が見えてきます。その奥に滝があって、月山から水路を引いてつくったものだそうです。
 何となく清々しい気分になります。

20160813083402imgp02241jpg  その先を行くと国宝の羽黒山五重塔です。
 明治時代の廃仏毀釈で、神仏習合だった羽黒山は神社となり、寺院や僧房は取り壊されたといいます。しかしこの塔だけは奇跡的に残されたのですね。
 素木造りという、いかにも古びた感じの塔でした。

Imgp90391_2  ここから石段が始まります。フーフー言いながら、杉の古木に囲まれた参道を上りました。

 やっと赤い鳥居が見えてきました。あの鳥居を抜ければ到着です。2446段の石段ももうすぐおしまい!

 山頂の出羽三山神社は、月山神社と出羽神社、湯殿山神社の三神合祭殿のお社でした。とはいえ造りは豪壮で、権勢を誇った寺院の面影が感じられました。
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 外国人の姿も時折見かけましたが、ここは神聖な場所らしく、静かで落ち着いた雰囲気で、とてもよかったです。

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2016年8月24日 (水)

月山登山は距離が長かった!

 今夏のお盆休暇は、以前から行ってみたいと思っていた出羽三山の霊山、月山登頂を目指しました。
 レストハウスのある8合目までは、車で登れます。この日の朝はほぼ快晴で、駐車場から鳥海山を眺望できました。
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 登山口の弥陀ヶ原には、神秘的な池塘が点在しています。尾瀬や苗場山に似ていると思いました。
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Imgp89911  赤とんぼもたくさん飛んでいました。

 登りは、それほどきつくなかったのですが、石や岩がゴロゴロしています。9合目の仏生池小屋までも遠くて、距離が長かった! 急坂で大変だったのは、行者返しのところです。両手を使って登りました。

 途中、ニッコウキスゲ(下の左)やコバケイソウ(下の右)、チングルマ、イワカガミ、アザミなど、たくさんの高山植物の花畑に出会い、癒されました。
20160812162024imgp01481jpg 20160812132116imgp00901jpg  

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 雪渓もあちらこちらに見えます。以前ここにスキーに来たことが思い出されました。

Imgp89661  普通の人の1.5倍の時間をかけて、山頂(標高1984 m)に到着。月山神社に参拝しました。一人500円を支払って神主さんにお祓いしていただかないと、中に入れません。
 神域だからと写真撮影も禁止でした。
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 大パノラマを楽しんで、下山したらもう時刻は夕方5時を回っていて、足が棒。思っていた以上に、距離がある山でした。

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2016年8月23日 (火)

島根県立美術館 水の都「松江」の文化拠点

 今回の服飾文化学会夏期セミナーの終着点は、水の都「松江」にある島根県立美術館でした。
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Img_81791jpg  館内は広々としていて、全面ガラス張りです。 

 その向こうに広がる宍道湖の青がとても美しかった!

 美術館では企画展「東京国立近代美術館工芸館名品展 日本工芸の100年」が開催されていました。
Img_81811pg  日本の近現代を彩る華やかな工芸作品119点が展示されています。学芸員の方も説明してくださいましたが、とくに素材や技法に注目しながら、じっくり鑑賞しました。

 注目は、やはり明治期の輸出工芸、鈴木長吉の象嵌の「十二の鷹」でしょうか。金属の表面の糸のような彫りや、鷹の鋭い目に圧倒されます。また出雲市の出西窯の陶器に見る酸化コバルト(呉須)の濃い青も印象的でした。
 

 コレクションギャラリーでは、「森山大道コレクション」も行われていて、森山がパリに滞在した80年代末までの作品を見ることができました。白黒の幻想的な雰囲気の写真でした。

 この他、洋画から浮世絵、彫刻など、様々なコレクション展があり、見どころ満載です。
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 ロケーションといい、所蔵品といい、すばらしい文化の拠点が、松江市にありました!(上の写真は展望テラスから)

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2016年8月22日 (月)

出雲で「筒描藍染」の長田染工場を見学

 出雲地方には、嫁入り道具として家紋入りの風呂敷を持たせる風習があるそうです。この風呂敷は「筒描藍染」という技法でつくられます。この技術を代々守ってこられたのが、明治20年創業の老舗、長田染工場です。
Img_81741jpg  今回の服飾文化学会夏期セミナーで、この長田染工場を見学しました。4代目の長田茂伸氏と5代目の長田匡央氏の父子で営まれている小さな工房です。
 かつては50~60軒あったそうですが、戦後は2軒になり、今ではここ1軒のみになってしまったといいます。藍甕も以前は48個あったのが、今は6個のみ。ですからこの伝統の技法による藍染は現在とても珍しくて、県の無形文化財に指定されているのですね。

Img_81681jpg  この筒描藍染を実演していただきました。
 筒袋に入った糊を生地に絞り出して模様を描き、天然の藍で何度も染め上げます。
 描いているのは長田茂伸氏です。
 藍は播磨藍で、糊はもち米でつくっているそうです。

Img_81551_2  長田匡央氏が絞りのハンカチを染める工程を実際に見せてくださいました。
 筒描藍染の布は、生地が強くなって、紺の色も何十年経っても変色しない、虫もつかない、しかも消毒効果もあるのが特徴といいます。
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 誕生祝いの風呂敷です。    赤ちゃんの子負帯です。 

Img_81631jpg  店内風景です。
 風呂敷やのれん、テーブルセンター、バンダナ、トートバッグなどの外、蒲団や夜具の巨大なものも見られました。
 最近では、博多の岩田屋で販売し、好評だったそうです。三越伊勢丹などでも期間限定で販売されているとのことでした。

Img_81721  お店の傍に高瀬川という流れの早い川が流れていて、ここで糊落としなどの作業を行っているといいます。

 長田茂伸氏が忙しい時代があったことを振り返り、「明後日紺屋」とか「紺屋の白袴」といった言葉を出されたのが印象的です。
 伝統の技を継承していくこと、その難しさを思い、胸がざわめきました。

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2016年8月21日 (日)

出雲大社に参拝!

 昨日のブログの続きです。石見銀山の後、有名な出雲大社に行き、参拝しました。
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 ご祭神は縁結びの神として知られ大国主大神です。男女の縁だけではなく、あらゆるご縁を結ぶといわれて、私も神妙にお参りしてきました。
 参拝の作法は、ここでは「二礼四拍手一礼」です。一般の神社が二回手をたたく「二拍手」なのに、ここは四回で、やっぱり別格の神社、と思われました。
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   とくに迫力満点だったのが注連縄です。

 神楽殿のものは、太さが8メートルもあるそうで、日本で最大級とか。

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Img_80971_2  かわいい因幡の白兎の像もあちらこちらに置かれています。
 この兎の後ろ側には、2014年にご結婚された高円宮家の次女典子さまと千家国麿さんのお名前が刻まれていました。

 次いで隣接する島根県立古代出雲歴史博物館を訪れました。

 出雲大社の古代本殿の10分の1復元模型があります。かつては高さが96メートルもあったとのこと。今とは比べものにならない巨大な木造建築が存在していたようです。
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Img_81131jpg_2  ロビーには平成12年に境内遺跡より出土したという本殿の本物の巨大柱(宇豆柱)が展示されていました。写真は光ってしまい、うまく撮れなかったのですが----。その昔、大社がいかに大きかったかがわかります。

Img_81411_2  ガイダンスしていただいた企画展「いわみもの」も興味深かったです。
 石州瓦の「赤」は石見のシンボルカラーだそうで、ここでも目立っていました。

 車窓から眺めた民家の屋根が、この色で統一されていて、美しいと思ったことを思い出します。

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2016年8月20日 (土)

石見銀山大森地区 往時の街並みが広がる古民家エリア

 島根県で行われた服飾文化学会の今年の夏期セミナーで、世界遺産の石見銀山に行ってきました。
Img_80371  最初に訪問したのが石見銀山世界遺産センターです。「大久保間歩」の一部を再現した展示室があり、間歩という坑道を体験したり、30kgあるという銀塊を持ち上げるのに挑戦したり。
 またかつて坑夫たちが、足半(あしなか)草履を履いていたことにも目がとまりました。かかとがないので水を撥ねないとか。今、健康によいとのことで見直されている履物です。
 またここで開発された精錬技術が、リサイクルに役立っていることにもビックリ! 廃棄パソコンや使い済み携帯などは、実は「都市鉱山」と言われる有用な金属資源。そこからレアメタルを取り出す技術が、石見銀山に残されていたのですね。

Img_80491  続いて、江戸時代、天領だった石見銀山領の中心地、大森地区を、資料館(大森代官所跡)まで散策しました。ここは往時の街並みが広がる古民家エリアです。自動販売機も古木でおおわれていたり、赤い郵便ポストが置かれていたり。昔ながらの生活を大切にしている街の雰囲気が伝わってきました。
 
 とくに私が訪ねたいと思っていたのが、「群言堂」本店(石見銀山生活文化研究所)です。東京・日本橋にも店舗があって、私はのぞいて来たばかりでした。ついこの間、テレビ東京の人気番組「カンブリア宮殿」でも取り上げられましたから、この店の名は日本全国に知れ渡ったことでしょう。
 玄関には、アート作品「セロファンの海」が展示され、来訪者を涼やかに出迎えてくれました。
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Img_80411  店内は、かつての庄屋屋敷の風情そのままのインテリアです。「スロースタイル」にこだわった生活雑貨やファッション商品が並んでいます。ちなみにここでは「スロー」とは単に「ゆっくり」ではなく「非効率」という意味だそう。自然の材料を用いた職人の手作りや、さりげないシンプルなデザインが目を惹きます。
 中庭の緑が楽しめるカフェもありましたが、今回は時間がなくて割愛です。
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 次に向かったのが重要文化財の熊谷家住宅です。酒造業を営んでいた商家だったようで、蔵がたくさんありました。
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Img_80611  嫁入り道具や衣装の展示など、見どころはいっぱい。ただし団体行動ですので、ゆっくり時間をかけられなくて、残念でした。

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2016年8月19日 (金)

島根県立石見美術館「グラントワ」を訪問して

 国内の公立美術館で、西洋ファッションをテーマに常設展示する美術館は、神戸ファッション美術館と島根県立石見美術館の2館しかありません。今夏、服飾文化学会の夏期セミナーで、この島根県立石見美術館を訪問しました。

Img_79741jpg 同美術館は、島根県でもっとも西端に位置する街、益田市に位置し、劇場を併設する巨大な文化複合施設、愛称「グラントワ(フランス語で<大きな屋根>の意)」の中にあります。
 学芸員のお話しによれば、ここは建築家内藤廣の設計・デザインにより建てられ、この地方の伝統的な石州瓦が屋根や壁面に、約28万枚も貼られているといいます。その独特なガラス質の表面が、光を反射して時事刻々変化していく様子や、中庭の鏡のような水盤が印象的でした。この水盤は催しがあるときには消えてなくなり、広場に変身するそうです。 
 コンクリートの折れ壁がモダンな劇場は、オペラやバレエ公演ができる設備を備え、1,500席あるという、すばらしいものでした。
 2005年に168億円をかけて建造され、無駄使いと言われながらも、年間35万人もの人を集めているグラントワ、採算は十分見合っているようです。

 美術館では、コレクション展「ドレスの楽しみ」を見学しました。同館所蔵の衣裳作品でもっとも人気が高いのは、華やかなドレスの展示だそうです。
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 やはり目立ったのは、中央のウエディングドレス(上の写真)です。アンティークなレースを組み合わせたデザインで、ジャン=フィリップ・ウォルトによる1916年の作品。
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 とくに気になったのが森 英恵の美しいドレスです。
 森 英恵は、この益田市近くの町が郷里といいます。グラントワに服飾関連資料を所蔵する美術館がつくられたのも、この日本を代表するファッションデザイナーの影響力によるもののようです。

 右は、最近寄贈されたという1999年春夏コレクションからのイブニングドレスです。シルクシフォンに変わり水玉が刺繍されています。

 またマドレーヌ・ヴィオネの1938年のイブニングドレス、1950年代のクリスチャン・ディオールのボール・ガウンやクリストバル・バレンシアガのカクテルドレスなど、選りすぐりのドレスがあり、じっくり拝見してきました。

 この他、津和野町出身の森鴎外ゆかりの洋画家、原田直次郎企画展など、石見地方にちなんだ展示も堪能し、グラントワを後にしました。

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2016年8月18日 (木)

「ヨッテク2016」 興味深い学生のアイディア ⑵

 先般開催されたヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2016」、愛称「ヨッテク2016」で、今年も工学系学生による福祉器具のデザイン提案が注目されました。
 出展したのは、今年も日本大学生産工学部創生デザイン科内田研究室と千葉大学工学研究科デザイン科学専攻の学生グループです。そのいくつかの興味深いアイディアをご紹介します。

 まずは日本大学内田研究室から。片麻痺の方のためのアイディアです。
〇片手でラクラク計量スプーン
 これは片手でも容易に使用可能な計量スプーンです。
 計量スプーンを使う際は、片手でスプーンを持ち、もう一方の手で調味料などをスプーンに注ぐという両手の動作が必要で、片手しか使えない方は、計量スプーンを扱えません。
 そこで計量スプーン自体をコップにのせて、固定することで、片手でも簡単に扱える計量スプーンを考案したといいます。確かにこれなら液状のものも、粉ものも、片手で簡単に摺り切ることができます。素晴らしいアイディアですね。
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○ゴミ袋縛りクリップ

Img_76541jpg  ゴミ出しをする際、片手だけではゴミ袋を強く縛ることができません。そこでこのクリップと結束バンドを考えたそうです。
 使い方は、ちょっと複雑でしたけれど、慣れれば案外簡単にできそうでした。

 次に千葉大学の学生グループです。
〇片手でヘアアレンジができる「くるっぷ」
 これは「ヨッテクデザイン大賞」を受賞した作品です。「片手が不自由でも、おしゃれを楽しみたい」、「片手で髪を結びたい」、そんな思いに応えて片手でヘアアレンジをするための道具「くるっぷ」を考案したそうです。基本的な使い方を覚えれば、いろいろなヘアアレンジが楽しめるといいます。
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〇ろっくさん

Img_76711_2  松葉づえって、使っていないときは倒れやすいですね。でもこれがあれば、松葉づえは倒れません。
 これは二本の松葉づえをまとめてどこにたてかけても倒れないようにするストッパーです。
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 松葉づえ使用者の誰もが抱える問題に着目したアイディアで、私も体験したことがあるだけにちょっと感激しました。

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2016年8月17日 (水)

「ヨッテク2016」 テーマは「移動」 ⑴

Img_76521  今年も福祉のことがわかる総合イベント「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2016」、愛称「ヨッテク2016」が7月29日と30日の二日間、パシフィコ横浜で開催されました。

 今回のテーマは「移動」でした。

Img_76861 車いすや歩行器などの移動支援機器関連、福祉車両など、「あなたの移動を快適に」を謳うアイディアが随所に見られました。
 今話題の近未来型電動車いす、WHILL(ウィル)も出展していました。これは四輪駆動で最大7.5cmの段差も乗り越えられるという車いすです。

 またイベントで、とくに楽しかったのが、「心魂(こころだま)プロジェクト」のパフォーマンスです。
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 この「心魂プロジェクト」は、難病に苦しむ子どもたちやご家族と手をつなごうというアーティストたちの想いからスタートした団体だそうです。生きる喜びを表現することで共有するという理念のもとに活動されているとのこと。メンバーは劇団四季や宝塚歌劇出身のミュージカル俳優やパフォーマーたちです。ライブはさすがに本格的で、すばらしかったです。
 各地を公演し、その収益で、できる限り無償で病院や施設へのデリバリーパフォーマンスを行っているとのことで、頭が下がりました。

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2016年8月16日 (火)

特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」

Img_78001  オリンピック真最中の今、オリンピック発祥の地である古代ギリシャへの興味もあり、東京国立博物館で開催されている特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」に行ってきました。
 出品されているのは、ギリシャ国内から厳選された300件を超える作品です。さすがトーハクで、国内史上最大級のギリシャ展というように、見応えのある展覧会でした。第1章のギリシャ最古の文明、エーゲ海文明から、終章のヘレニズムとローマまで、これを見れば現地に行かなくても十分、と思えました。

Greecehyoushi  注目はチラシ表紙にも掲載されている名品、「漁夫のフレスコ画」です。ミノス文明期のもので日本初公開とか。漁労の仲間入りをする若者が生き生きと描かれています。今から3600年も昔のものとは思われない、鮮やかな彩りにも感嘆させられました。

 ミュケナイ文明の副葬品、アンフォラ(陶器の壺)も美しいものがたくさん出ています。1メートルを超える大きさのものも展示されていて、墓標として用いられたといいます。

 古代オリンピックの展示室も充実した内容でした。
 競技で優勝した競技者の像や、裸でボクシングをする光景を描いた黒絵のアンフォラ、輝く金冠など、たっぷり拝見しました。

 続いて古代ギリシャの文化を広めたマケドニア王国に入ります。
 中央にはアレクサンドロス大王の頭部が置かれています。32歳という若さで亡くなったというこの偉大な王をしばし偲びました。もし長生きしていたら、ローマ帝国はなかったかもしれないともいわれている人物です。歴史の不思議さを思います。

 ところで私はかなり以前のことですが、アテネに旅したことがあります。パルテノン神殿を訪れた記憶はあるのですが、そのとき見たはずの美術品のことなどすっかり忘れていました。
 今回、本展でまたいろいろ学び直し、古代ギリシャが何と多くの西洋文化を育んできたのか、まさに文明の原点であったことを再認識しました。

 なお開催は9月19日までとなっています。

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2016年8月15日 (月)

ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH

Img_78731  今、東京・上野の森美術館で開催中の「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」に行ってきました。
 受付でピンクのイヤホンを渡されてビックリしましたが、ピンクは本展のイメージカラーになっているようです。ピンクとは男性にファッションの楽しさを発見させた、ポール・スミスらしい色と思いました。
 このイヤホンを使って、スマホや携帯で会場内に設置されているQR コードを読み取ると、本展スペシャルアンバサダーの俳優・松田翔太さんによる音声ガイドを、無料で聞くことができます。
 写真撮影もOKです。

Img_78701  最初に入る細長い部屋が、絵画や写真のコレクションコーナーです。壁にずらりと展示されたコレクションは、まさに壮観!
 これはポール・スミスが10代の頃から集めていたというもので、彼のデザインの大きな着想源になっているのですね。
 アンディ・ウォーホルやデビッド・ホックニー、バンクシーらの有名アーティストの作品から友人や家族、ファンからのものなど幅広く揃っています。

 次にポール・スミスが、1970年に初めて英国ノッティンガムの裏通りにオープンしたショップの再現コーナーに出ます。広さは3メートル四方しかありません。ブランドはここからスタートし、パリコレに出展します。

Img_78381  それから40数年後、現在、店舗は世界73か国に拡がり、日本にも多数の店を構えています。いずれもその土地柄に合わせて、一つひとつが異なる仕様になっているというのも個性を重んじるポール・スミスらしいです。
 右上は各地にあるショップの写真と模型を集めたコーナーからのものです。

 その先を進むと、ロンドンのコベントガーデンにあるデザインスタジオをそのまま復元したような空間が現れます。
 様々なアイディアはここから生み出されているのですね。
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 デザインチームが、映画や写真、アーティスト、日々の日常の観察などいろいろなものを参考にしていることがわかります。
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Img_78171  ポール・スミスがとくに重視しているのは色だそうです。
 とくにシャツ柄のモチーフでもある明るいキャンディストライプは、ポール・スミス・ストライプとして知られるもの。
 右は、彼が本展のためにデザインしたポール・スミス・ストライプで飾った限定「ミニ」。ミニは彼の愛車でもあり、初期からコラボレーションしてきたといいます。

 2階にはそんな彼が手がけた数多くのコラボレーション商品が展示されています。
Img_78281 カメラやオートバイ、自転車、スノーボードなど様々。コラボレーションは彼にとって刺激的でチャレンジングな試みといいます。

 最後にアーカイブの中から厳選されたコレクションが紹介されています。
 ここでは伝統を基に、現代性も表現する「ひねりを効かせたクラシック」なワードローブが勢揃いしていました。例えば地味なグレーのスーツに派手な色目の裏地を仕込んだり、ボタンホールに色を付けてみたり。
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 英国風なのに、遊び心のある味付けのデザインは、さすが時代の空気をファッションに変換する天才!

 ポール・スミスの創造の秘密がぎっしり詰まった展覧会でした。今月23日までの開催で、9月11日から愛知・松坂屋美術館に巡回するそうです。ファッション関係者は必見でしょう。

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2016年8月14日 (日)

チームラボ「teamLab: Transcending Boundaries」展

 チームラボ (teamLab)のデジタルアート展「teamLab: Transcending Boundaries」が、東京・表参道のGYREで、9月25日まで行われています。
Scan04561  チームラボといえば、今夏、このブログ2016.7.31付けでご紹介した「DMM.プラネッツ Art by teamLab アート・バイ・チームラボ」を開催中のウルトラテクノロジスト集団です。

 今回は新作の中で、鑑賞者参加型の「Flowers on People」に注目です。真っ暗な部屋に入ると、中には何もありません。不思議と思っていると、その人に向けて花々が咲いていきます。じっとしていると、花はより咲き渡り、動くといっせいに散っていきます。花の生から死への移ろいを楽しむ作品です。
 映像は鑑賞者の所作により変化し続けます。この一瞬に現われた絵は再生されることなく描かれ続け、もう二度と見ることができないというのも特徴といいます。
Img_79251jpg  
 もう一つ、「境界のない胡蝶」は、作品のフレームという概念から解き放たれた「群蝶図」です。空間を自由に舞い、鑑賞者が触れると死んでいきます。

 いずれも鑑賞者のふるまいに影響されて変容する作品で、儚くも魅惑的。そんな無常の美意識を体感してきました。

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2016年8月13日 (土)

「踊れ彫刻 覆面男と服好き女」展 息の合った二人展

Odre_chokoku_20160730_001thumb660_2  先日、表参道のhpgrpギャラリーで開催されている「踊れ彫刻 覆面男と服好き女」展を見てきました。
 飯沼英樹×尾花賢一の若手彫刻家による二人展で、飯沼英樹氏は「服好き女」を、尾花賢一氏は「覆面男」を表現しています。

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Img_79161  飯沼英樹氏のそれは、「消費社会に生きる女性」がテーマの、美しいカラーをのせた木彫りです。エンジェルのようなカワイイ女の子や、ヨガスタイルの女性など、人々に元気を与えてくれる、そんな神秘的なパワーを感じる女性像です。

 尾花賢一氏は、覆面を被った男で、名もなき現代人の日常を表しているようです。

 現代に生きる男と女、その一端を映し出す、息の合った二人の個展でした。開催は今月27日まで。

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2016年8月12日 (金)

金魚絵師 深堀隆介「キンギョ・イン・ザ・スカイ」展

 横浜スカイビルも創業20周年。これを記念して「キンギョ・イン・ザ・スカイ」展が、28日まで開催されています。Img_79041
 金魚絵師として世界的に知られる深堀隆介氏の作品展で、美しい巨大な金魚がビルの吹き抜け空間を泳いでいる姿は、まさに今夏の風物詩!

 先日、ライブペインティングのイベントがあり、行ってみましたら、ものすごい人、人、人。Img_78871jpg人気ぶりがうかがえました。

 今回は初めてスカイブルーの地に白い雲を入れて描いたといいます。
 金魚には横浜のシンボルが塗り込まれ、七色の色彩が使われていました。最後に優美な尾が描かれて完成です。
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 アトリエは「金魚養画場」と呼んでいるそうで、金魚というモチーフに徹しているというのも凄いことと感嘆しました。

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2016年8月11日 (木)

ドローンによる空撮展「僕は空からの眺めが好き」

 ドローンの無人自動空撮システムのグローバルリーダー、DJI主催の空撮展「Perspectives by SkyPixel in Tokyo 僕は空からの眺めが好き」が、21日まで東京・表参道ヒルズで開催されています。昨日が初日で、その前日に行なわれた内覧会に行ってきました。
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Img_79551jpg  DJI JAPAN のクリエイティブディレクター中村明子氏によるトークイベントなども行われ、会場は盛り上がっていました。

 発表されたのはDJIが運営する世界最大のオンライン空撮動画/写真サイト「SkyPixel」のフォトコンテスト受賞作や選りすぐりの作品です。それらをストーリー性のある見せ方で展示したといいます。
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 すでにロサンゼルスやベルリン、香港、上海など世界各国で開催されていて、今年初めて日本にやってきたそう。
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 DJIのドローンも出品されていました。

 これまで空撮というと大がかりな装置が必要でしたが、ドローンならスっと上げるだけです。空中の様々な角度から撮影ができるようになって、これまで見たことのないような風景も目にすることができるようになったのです。
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 写真の新しい可能性を拓くドローン、それがこんなにも身近な存在になってきたことにも驚かされます。

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2016年8月10日 (水)

WEFシンポジウム「新たな視点でビジネスを立ち上げる」

  ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(略称WEF)主催のシンポジウムが、先般東京で開催されました。会長の尾原蓉子氏は今回、新テクノロジーの活用事例や展望に焦点を当てたといいます。
Img_76501 恒例のパネルディスカッションでは、WWDジャパン編集長の向 千鶴氏をモデレーターに、アーバンリサーチ社執行役員の乾 展彰氏とカラフル・ボード社の渡辺祐樹社長が登壇。いずれも業界の最先端の動きをとらえておられる方々です。「新たな視点でビジネスを立ち上げる―イノベーションをリードする現場力」をテーマに議論が交わされました。

 まずはセレクトショップ、アーバンリサーチ社の革新的リーダー、乾氏から。「すごいをシェアする」の企業理念のもと、2016年1月期は売上高545億円という高い実績をあげることができたといいます。その内EC の売上は20.7%で、残り80.3%はリアル店舗であるそうです。その上で消費者は「オンラインで見て、リアルで購入する」と分析。あふれる情報の中、消費者に選択されるためにはどうすればいいか、それには消費者の購買行動の変化を探ることが大切で、マスからコアへ、コアなコンテンツの開発こそ重要といいます。そして同社が展開する「フリーマンズ スポーティング クラブ(FREEMANS SPORTING CLUB)」を例に、コニュニティ ビジネスの重要性を指摘しました。
 また2014年に自社開発した「ウェアラブルクロージング(服の自動販売機)」にも言及。これはECサイトに連動し、3D技術を使った試着ができるバーチャル試着機です。ショッピングや試着が楽しめると、人気を集めています。この無人店舗の売上もリアル店舗に計上されているといいます。

 渡辺氏は、会社を創業して5年、ファッション人工知能アプリ「センシ― SENSY」を発表し、メディアで話題の人物です。そのヴィジョンは、「すべての人々に人生が変わる出会い」だそう。インターネットで何でも手に入る世の中になりましたが、便利になればなるほど逆に「出会えない」ジレンマがあることに気づいたことが開発のきっかけだったとか。
 センシ―は人間内部の情報である感性やセンスをデータ化するファッションのリコメンド・アプリです。これを活用することにより、人工知能がユーザーのスタイリストのように、世界中のECサイトから、ユーザーの感性に沿ったアイテムやコーディネートを提案してくれるといいます。今夏は、「あなただけのコーデをつくろう」と、"センシ―・クローゼット sensy closet"というサイトもスタートさせています。
 アパレルの在庫問題の解消や、DMのパーソナライズ化、需要予測のためのMDの最適化など、今や様々な分野で30件もの案件が進行中といいます。

 この後、向氏が「これからはAIが接客するようになり、販売員は要らなくなる?」と尋ねると、乾氏は「コストパフォーマンスもあり難しい問題。でも接客は人間だからできるものと思う」。渡辺氏は「人の役割が変わるだけで、雇用はなくならない。案内など代替される仕事はあるが、人はロボットから買おうとは思わないのではないか」とズバリ。
 また「コミュニティが果たす役割」について、乾氏は「キーワードはパーソナライズ化」。渡辺氏は「コミュニティは体験という出会い。店舗でもSNSでもどこでもいい、体験を提供できることが重要」などと語られました。

 今後ますます普及が見込まれるデジタルテクノロジー、これをどう生かせばチャンスを生かすことができるのか、有意義なお話しに聞き入ったシンポジウムでした。

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2016年8月 9日 (火)

「モード・イン・フランス展」 オープン形式に一新して盛況

 2017年春夏コレクションを発表する「モード・イン・フランス展」(フランス婦人プレタポルテ連盟主催)が、7月27日から29日、ウェスティンホテル東京で開催されました。出展したのは、フランスの選りすぐりのプレタポルテ、服飾雑貨、ライフスタイルブランドなど合わせて68ブランドです。そのうち初参加は30ブランドで、ここにはこれまで同時開催されていたアクセサリー見本市の「コレクション・フランセーズ」の終焉により移行してきたブランドが含まれています。
 また今回は、20周年記念という節目の年に合わせて、会場をオープン形式に一新。商品が見やすくなったと好評で、盛況のうちに閉幕したといいます。来場者も前回よりも2~3割増加した模様です。

 さらにもう一つ、特筆したいのが特別展示コーナーです。

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 これはパレ・ロワイヤルに店舗を構える最高級ヴィンテージ・コレクター、ディディエ・リュドDidier Ludotのコレクションです。1950年代から90年代までのイヴ・サンローラン'(写真上の手前はイウ・サンローランのサファリルック)やシャネル、クリスチャン・ディオールらの作品、20点が展示され、なかなか壮観でした。

 多々あった注目ブランドの中で、私がとくに気になったものを紹介しましょう。

〇アンナ・カザール ANNA KASZER
Img_75921  パリのマレ地区を本拠地とするブランドで、今回初出展だそう。ナチュラルで繊細なインド綿使いのバッグや小物、ストールが中心です。モダンなグラフィック感覚が人気を集めていました。
 パリのアトリエでデザインし、インドの工場で生産しているそうです。工場では男女が平等で働き、子どもが働くようなことはなく、縫製技術を世界へ発信しているといいます。
 写真はアンナ・カザールさん。コットンチェックのドレスがお似合いでした。

〇イヌイトゥーシュ INOUITOOSH
Img_75511  リズとマティルドの二人組のブランドで、今回初参加です。大胆な動物や風景、植物のデッサンなど、唯一無二の柄の大判ストールを広げて見せてくれました。フランス北部のソンムの湾に位置するアトリエで、折々の季節の中からインスピレーションを得ているといいます。素材はコットンやリネンなど天然素材が中心です。

〇トリコ・ジャン・マルク TRICOT JEAN MARC
Img_75901  1972 年創業のニットウェアのブランドです。洗練されたシンプルなデザインで色彩が美しい。工場はパリ近郊にあり、ブランドのノウハウを世代から世代へと受け継いでいるといいます。

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2016年8月 8日 (月)

復活オートクチュール 中里唯馬さんの挑戦

 モード界の最重要イベントがパリコレです。その中で年2回、1月と7月に開催されるオートクチュールコレクションが影響力を強めています。このオートクチュールをテーマに、先月25日、カラート71プロジェクトの第4弾が開催されました。題して「復活オートクチュール その強さの訳を全公開 ― パリ・オートクチュール招待デザイナー 中里唯馬さんを迎えて」です。
 まずファッションジャーナリストの織田 晃氏から2016/17秋冬オートクチュールコレクション報告があり、次いでゲストデザイナーとして初参加した「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」の中里唯馬さん(写真中央)が登場。ファッションジャーナリストの生駒芳子氏と織田氏によるインタビュー形式で、そのクリエーションの秘密が、デザイナー本人から語られました。
Img_75241  
 両親ともにアーティストでアトリエが遊び場だったという中里さん。モノを創造することは自然な発想だったそうで、アントワープ王立芸術アカデミーに留学します。卒業後は、アレクサンダー・マックィーンに憧れ、オーダーメードのデザインに興味を持つようになり、EXILEやレディ・ガガら、国内外のアーティストの衣裳を手がけて、次第に知られるようになります。
 パリのオートクチュールに挑戦しようと思ったのは、昨年末。3Dプリンターやカッティングプロッター、レーザーカッターといった最先端テクノロジーを駆使して、以前からこだわってきたホログラムプリントをPVCフィルムに施し、千羽鶴のように折り曲がるユニットをつくる素材技術を開発したことがきっかけといいます。

1_2  今回のコレクションでは、このユニットを200から300個、手作業で細胞のようにつなぎ合わせたドレスを発表。ミシンはほとんど使っていないそうです。

 そのユニットの一つが右の写真で、小箱の中でオーロラのような冷たい光を放っていました。

 テーマは「UNKNOWN 未知なるもの」で、アイスランドへ旅したときに見た氷にインスパイアされ、その原風景から地球外へとイマジネーションがふくらんでいったそう。 コレクションで発表した 人工の腕を取り付けた作品など、神秘的かつ未来的な世界を映像で見せていただき、まさに驚嘆!しました。 そこにはホログラムの粉末に漆を混ぜた塗料など、日本の伝統工芸も採り入れられていると伺い、またしても感嘆!の嵐です。(写真は、WWDジャパン2016.7.18付け掲載記事参照のこと)

 今後はプレタにも取り組み、数年後には誰もが手が届くような価格でオートクチュールを民主化したい。3Dプリンターだからできると語ります。
 そして将来の夢は、人間の身体をデザインすること、その内部までもデザインして、アンドロイドのようなものを創りたいとも。100年後、ファッションはそんな風になっているのかもしれません。
 日本の若き天才クリエイターの出現に、胸が躍りました。

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2016年8月 7日 (日)

渋谷パルコ “少しの間さようなら!”の「ラストダンス」

 今日は渋谷パルコが閉店する日です。最初これを聞いたときはショックでした。渋谷へは今も頻繁に行き、一番おなじみなのが渋谷パルコ。それがなくなるなんて----、信じられませんでした。でも3年間の休業ということで、オリンピックイヤーの前に新施設として生まれ変わるそうです。少し安心!

 一昨日、どんな様子か、見に行ってきました。
Img_77681  パート1のパルコミュージアムでは、「ラストダンス Last Dance」展が開催されていました。
 パルコと関係の深い12組のアーティストによる“少しの間さようなら!”の思いを込めた展覧会です。

Img_77701  右は、その内の一つ、漫画家のしりあがり寿氏の作品です。

 会場では森山大道と井上嗣也によるオフィシャルポスターも限定販売されていました。

 

 パルコパート3で行われていたのが、英国のグラフィティアーティストでステンシルアートのパイオニア、Nick Walker(ニック・ウォーカー)展です。
Img_77761jpg  
Img_77781  今回はシルクハットの紳士で知られる「VANDALISM」シリーズが展示されていました。

 ピリッと辛くてカッコいい---。若者文化を発信してきた渋谷パルコの最後を飾るのにふさわしい作品展、と思ったことでした。

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2016年8月 6日 (土)

経済産業省からアパレル業界への提言

 先月中旬、「経済産業省からアパレル業界への提言」と題したセミナーが、繊研新聞社において開催されました。Img_74691
 Fashion Studies と繊研新聞社との共催による特別企画で、講師は、経済産業省製造産業局 生活製品課 課長補佐(総括担当)菅野将史氏です。 担当官として「アパレル・サプライチェーン研究会」に参加され、この6月17日に発表された報告書について解説されました。(なおこの報告書はWEBサイトで一般公開されています。)

 開口一番、日本のファッションビジネスは非常に厳しい環境に置かれているといいます。ファストファッションやラグジュアリーブランドの台頭で、このままでは最終製品のよいところをすべて海外勢力にとられてしまうと警告します。また日本の繊維産業は産業用途では非常に強いが、生活用途では脆弱と言い切り、省庁として生活用途に注力していく考えであることを表明しました。

 現状の課題として、一つはアパレルと生地・コンバーターとのつながりの希薄さを指摘。有力SPA型多店舗小売業のように、素材メーカーと強固なサプライチェーンを築き、流通コストを削減することが急務といいます。
 二つ目はアパレルの国際競争力のなさです。繊維製品の輸入浸透率は今や数量で96.4%にも上っています。とはいえ金額ベースでは73%で、日本製はそれでも23%あり健闘しているといいます。それは生地が競争力をもっているからです。織物の輸出額を見ると、日本はイタリア、ドイツに次いで第3位、とくに伝統的な素材に強い。翻って韓国は化繊しかないそうです。アパレルは国産の上質な素材にもっと目を向けて、と発奮を促しました。
 三つ目は半年に1回という展示会サイクルの見直しです。NYファッションウィークでのSee Now Buy Nowの動きや、ザラの2週間単位という生産流通体制など、世界の新しい流れを紹介しました。
 さらに日本人の得意分野としてカテゴリー特化型を挙げ、デニムやメンズシャツなどの成功事例をプレゼン。物理的制約がある方が燃えるのが日本人、と推測されていたのも印象的です。

 今後の方向性として、まず取り上げたのが生地輸出の問題点。何と真面目と思われている日本人が納期を守らないというのです。日本はメーカー直ではなく、商社を通す方式が多いので、そうしたことが多々起きるのかもしれません。早急に改善する必要がありそうです。
 次に商取引慣行の是正です。オムニチャネル化対応が求められる中で、国際的に一般的な買い取り方式か、アパレルの直販売などが望まれています。それなのに委託方式という、いまだ古い慣習が消え去っていない現実に、唖然とさせられます。
 最後にデジタル化に触れ、ビジネスプロトコルの標準化や電子タグRFID、人工知能など革新的なサービスの重要性を実例で提示。取引のグローバル化に対応する新たな仕組みの導入など、アナログの多いアパレルには問題山積です。
 とはいえファッションウィーク東京のスポンサーもIT企業になりました。業界の風向きも変化しているようです。世界に打って出るチャンスは広がりそうですね。

 今回の報告書では、経産省と危機意識を共有できたこと、それ自体が大きな成果だったのではないでしょうか。これをたたき台に、業界のさらなる発展を期待しています。

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2016年8月 5日 (金)

「子どもは愛されたのか?ヨーロッパの子ども服の歴史」

 今、東京都庭園美術館で開催されている「子どもとファッション」展で、本展監修者で東京家政大学教授の能澤慧子先生の講演会が行われました。Img_75141jpg
 テーマは「子どもは愛されたのか?ヨーロッパの子ども服の歴史」です。
 西洋の歴史を紐解くと、かつて大人は概して子どもたちに無関心だったり、無視していたり---。現在の私たちからみれば躾という名の虐待も往々にしてみられたようです。

 能澤先生は、フィリップ・アリエスの『アンシャン・レジーム期の子どもと家庭生活』(邦題:〈子供〉の誕生 アンシャン・レジーム期の子供と家族生活)という著作に出会い、その内容に衝撃を受けたといいます。519k8x41nhl_sx340_bo1204203200_ そこには社会全体が子どもを「子ども」として捉えるようになったのは、18世紀後期以降のことと記されていたそうです。「子どもは厳しくしつけなければならない」という思想に長い間囚われていた大人たちは、子どもを現代と同じ様には愛され慈しんでこなかったのですね。
 
 講演は子ども服の歴史を、子ども服が誕生する以前の子どもたちが置かれていた状況や、こども服に見るジェンダー観などを交えて概観するもので、大変興味深かったです。

 まず人生最初の服からです。人は生まれるとすぐに、身体を細帯でグル巻きにされました。これが「スワドリング(包帯巻き)」です。乳児はミイラか繭のように縛られ、身体の自由を奪われます。子どもは放っておいては育たない、これは背骨をまっすぐにしっかりとさせる方法であると考えられ、中世以来行なわれてきました。
 しかし18世紀末に登場した自然主義思想家のジャン・ジャック・ルソーは「エミール」の中でこの慣習を糾弾、次第に廃れていったのです。

 このスワドリングは6~8か月頃までで、その後、足首まで届く長いワンピースになり、女の子は1歳半くらいで、大人とみなされ成人女性のドレス、男の子は男性用上着にスカートを着けるようになります。スカートをはく少年は、性のない、曖昧な存在と位置付けられたといいます。
 印象派のルノワールも我が子を女装させて描いています。ですからこの習慣は19世紀後半まで続いたようです。一昨年「こども展」という展覧会(このブログ2014.5.23参照)があり、そこで聞いた話ですが、無事成長した息子たちは、この絵を見て恥ずかしがったそうです。

 ともあれ男の子は5歳前後になると、ほぼ大人と同じ服装になります。ブリーチ(半ズボン)をはくので、「ブリーチング」と呼ばれ、一人前の男子になったお祝いの儀式が行われたそうです。日本でも「袴着の式」というのがありますが、それと似ていますね。
 大人のミニチュアのような姿となった子どもたちですが、その服装の中に、子どもであることの印のようなアクセサリーが見られたといいます。それがエプロン、ハンギングスリーブ、リーディング・ストリング、鉢巻きで、とくに女児に多く見られたようです。
 エプロンは服を汚さないように胸当てが付いています。とはいえ透ける薄地やレース製のものが中心で、装飾的です。ハンギングスリーブは腕を通さない装飾のための袖で、17世紀になると大人服では見られなくなりますが、子ども服では継続します。リーディング・ストリングは、子どもの背中につけた紐のことで、子どもが犬のようにつながれていたことがわかります。鉢巻きは頭を保護するためのもので、詰め物入りの帽子のようなものだったといいます。

 その後、18世紀後期になると、前述のルソーの影響もあり、子ども固有の服装が考案されるようになります。それが少年のスケルトンスーツで、短い上着と長いズボンをボタンでつないだ服です。そしてこの長ズボンがフランス革命後に、大人の服装に広がっていくことになるのです。
 そして19世紀、ようやく子どもが「子ども」として理解される時代となります。しかし子ども服は、当時の女性服と同様、装飾の対象で、とくに女児には着飾った衣装がたくさん見られます。子どももヴェブレンの唱える、富を持つ男性の見せびらかし消費の客体に過ぎなかったのですね。

Img_75161jpg  それが現代のようになってくるのは、19世紀末頃から。
 本展では、ケート・グリーナウェイの絵本が展示されていました。心地よさそうな服を着た、カワイイ元気な子どもたちが描かれています。

 現代までの子どもの在り方を、服装を通して大変わかりやすく解説していただき、またしても「かわいらしさは子どもがつくったものではなかった」とため息をつきます。
 少子化時代の今、「子どもは愛されたのか?」というタイトルにもドキッとさせられます。私たち大人は子どもという存在をどう見ているのか、考えるところ大な講演会でした。

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2016年8月 4日 (木)

「子どもとファッション 小さい人たちへの眼差し」展

 子ども服はカワイイ。でも西洋の歴史を追うと単にそうとばかりも言えない時代があったのですね。18世紀頃までは子ども服といっても大人服のサイズを単に小さくしただけのものだったといいます。
 子どもたちに服を着せるのは大人です。大人が子どもをどう見ていたのか、子ども服にはその時代のものの考え方が反映されています。

 今、そんなことを考えさせられる展覧会「子どもとファッション 小さい人たちへの眼差し」が、東京都庭園美術館で開催されています。

Img_74051 先般、この内覧会に招待されて行ってきました。
 展示されているのは、西洋の18世紀から20世紀初頭にかけての貴重な例と、明治時代以降の日本の洋装こども服、この他絵画やファッションプレート、絵本、写真など150点余りです。
 従来と異なるのは、オートクチュールなどによる作り手側からの歴史ではないことでしょう。子ども服の変遷をたどりながらも、着る人と着せる人、双方の心を読み解くファッション史になっているのです。

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 上は19世紀後半の西洋の子ども服です。

Img_74061jpg  右は少年の衣装でスカートを着けています。白いシャツとパンツの上にドレスを重ねたスタイルです。
 男の子たちは5歳頃まで、このような女の子の恰好をさせられていたといいます。この習慣は何と19世紀末まで続いたのです。

 「かわいらしさは子どもがつくったものじゃない」の展覧会コピーが、少子化の今、胸に響きます。大人と子ども、お互いが本当に尊重し合える社会になっているのでしょうか--。複雑な思いがします。

 なお本展開催は、8月31日までです。

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2016年8月 3日 (水)

「ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝」

1_2  今、パナソニック 汐留ミュージアムで開催されている「ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝」展に行ってきました。去る6/17のこのブログでも紹介した展覧会です。

 イタリア・ルネサンスの三大巨匠といえば、レオナルド・ダヴィンチとラファエロ・サンツィオ、それにこのミケランジェロ・ブオナローティです。絵画や彫刻など視覚芸術のあらゆる領域で他の追随を許さない作品を残したミケランジェロですが、本展では、とくにその建築に焦点が当てられています。
Ex_1  ミケランジェロは当時最大の勢力を誇ったメディチ家から、多数の発注を受け、個性的な建築物を残していたのです。その設計図や模型が多数展示されていて、とくにフィレンツェに現存するラウレンツィアーナ図書館の玄関室の階段の模型(写真右)が興味深かっです。マニエリズムからバロックへの先駆け?のようなデザインで、当時としては先進的だったことでしょう。
 なおポスターやチラシ掲載の写真は、このラウレンツィアーナ図書館の扉の裏側からのスケッチでした。

20160706_2126420j2pg_2 建築もさることながら、私はやはり人物画に惹かれました。
 やはりチラシの中にある「クマエの巫女」(写真右)。
 この人は年老いた女性です。でもそれなのに実にたくましく描かれていて、存在感があります。

 またローマのヴァチカン宮殿システィーナ礼拝堂にある大天井画の一部複製も展示されていて、私はとくに女性に注目しました。思った通り、女性なのに男性のように筋骨隆々としていて、女性らしくありせん。
 生涯独身を貫いたミケランジェロ、きっと女性よりも男性の方が好きだったのかもしれせん。
 下の写真は昨年、大塚国際美術館を訪れたときに撮ったものです。(2015.8.25参照) みんな筋肉ムキムキで中性的ですよね。
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 それにしても「万能の天才」とは、こういう人のことをいうのでしょう。

 全体に文書中心の地味な展覧会でした。でも実際に行ってみて、文字では表現できないところを堪能しました。開催は8月28日までです。

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2016年8月 2日 (火)

蓮沼千紘 作品展 脳内から迸る「編みもの」への情熱

 ハンドニットブランド「an/eddy(あん/えでぃ)」を手がける新進ニットクリエイター、蓮沼千紘の作品展が、表参道のギャラリーで明日まで開催されています。
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Img_77911  「In my head」をテーマに、脳内をイメージしたというインスタレーションが空間を彩る中、散りばめられているのが、他に類を見ないオリジナルなニット作品です。有機的な立体表現には手の温もり感がいっぱい、「編みもの」への情熱が迸り出ているのを感じます。

 アーティストのCHARAやmiwaらの衣装も提供されているとのこと、今後の活躍が期待されます。

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写真の先駆者「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」

00133f0d  先日、三菱一号館美術館で開催されている「写真に生命を吹き込んだ女性―ジュリア・マーガレット・キャメロン展」の“青い日記帳×キャメロン展”内覧会に行ってきました。
 館長のお話しによると、ジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-1879)は、写真を芸術へと高めた先駆者です。本展は彼女の生誕200年を記念する国際巡回展で、日本初の回顧展。同館では開館当初から女性アーティストシリーズを企画されていたそうですが、その第2弾がこれでかなったと挨拶されました。

 東京都写真美術館の三宅学芸員の姿もあり、当時の社会背景や写真技術などを語られました。
 キャメロンは、インドのカルカッタ生まれの英国上流階級の女性で、48歳でカメラを手にしたそうです。写真が発明されたのは1820年代ですので、それから20年くらいしか経っていません。まだ写真の引き伸ばし技術などはなく、展示されている写真が、すなわちネガ原板のサイズで、このサイズの写真が入る大きさのカメラが必要だったといいます。ですからカメラ自体、大きくて木製で重く、三脚を立てて撮るのですから力も要りますし、女性でよくもまあ、とビックリです。

 見どころとしては次の3つのテーマ、肖像写真、聖母群、幻想主題があります。

Img_76121jpg  肖像写真は、社交界で交流した著名人や家族がモデルです。
 ソフトフォーカスを用いて、被写体の内面性に迫ろうと試みたといいます。
 右は、ハーバート・ダックワース夫人(1872年頃)。 

 聖母群は、ルネサンス絵画の構図に倣い、モデルを聖母マリアに扮装させて撮ったといいます。
Img_76021  
 上は「精霊の実」(1864年)。キリスト教の9つの美徳を写真で表現した連作です。(写真はクリックして拡大しご覧ください)

Img_76261jpg  幻想主題は、詩や物語などのワンシーンを写真で再現した寓意性に富む、絵画のような作品です。
 その代表が左の「ベアトリーチェ」(1866年)。本展のポスターに使われている写真です。
 白いターバンを巻いたこの女性は、16世紀イタリアに実在した人物で、父の殺害を企てて処刑された悲劇のヒロインといいます。

 一枚の写真を完成させるには、かなりの時間がかかった時代です。モデルは静止したままじっとしていなければならなかったとか。作品に同じモデルが繰り返し登場するのはこのためでもあるようです。

 意図的に焦点をぼかしたり、ネガに傷をつけて手作業の痕跡をあえて残したり。キャメロンの写真には、単なる記録媒体ではない、芸術的感性が感じられます。
 とくにヴィンテージ写真に興味のある方、必見でしょう。
 開催は9月19日までです。

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2016年8月 1日 (月)

「東京ガールズコレクション」企画・演出・発信力の舞台裏

 東京ガールズコレクション(略してTGC)といえば、毎回3万人以上もの若人を集める一大イベントです。今をいくリアルクローズの祭典で、これが東京から発信されて世界のファッション界に大きな影響を与えているというのにも驚かされます。

Img_73131  このTGCに関する特別講演会が、先般、幕張メッセで開催されたライブ&イベント展で行われました。講師はこのイベントを運営するW mediaの取締役兼メディア事業局局長 一色 淳之介氏です。同氏が語る“「東京ガールズコレクション」に学ぶ、企画・演出・発信力の舞台裏”を簡単にレポートします。 

 まずTGCとは? 2005年にスタートし、年2回開催され、この9月に23回目を迎えるという、史上最大のファッション・フェスタです。誰もが手が届くファッションブランドが勢ぞろいしていて、普通の女性がショーを見ることができ、その場でモバイルを使って服が買えます。また毎回100名以上の人気モデルが出演し、安室奈美恵らトップアーティストや、写真家のレスリー・キーなど時代の旬をつくるクリエイターも集う、エンターテインメント性が強いイベントでもあります。
 さらにメディア・フリーの姿勢を貫いていることも特徴で、どのメディアにも属していないことから、全テレビ局やウエブメディアの全てと連携することできているといいます。これによりほぼ100%の認知度を達成していると胸をはります。

 次にその舞台裏について。収益性を高めるためにコンテンツに投資しているといいます。とくに若年層女性に刺さるような企画を生み出すことに注力していて、大学インターンシップの活用や、メディアとの協働、外部との事業提携で価値創造をはかるなど。ラインのライブや、ECのゾゾタウン、センシ―(人工知能)などとのコラボも例に挙げていました。

 最後に今後について。地方創生と海外展開をより一層強化していくといいます。
 前者ではTGCを多くの地方で実施し、その地の伝統工芸の発掘や、経済効果を高めることに貢献していく。たとえば眼鏡の聖地といわれる鯖江市や、博多織や久留米絣の福岡市、2014年復興支援で行った福島市では、県民が選ぶトップニュースの第一位にTGCがランキングしたことなどを紹介。
 後者では経産省のクールジャパンの旗印のもと、シンガポールでのアジアスタイルコレクションやタイTGCなどの取り組みをプレゼン。来年はニューヨークの国連本部での開催に向けて動いているそうです。
 すばらしい発信力! 世界へ向けて、オール・ジャパンでのTGC展開が、ますます期待されます。

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