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2016年7月10日 (日)

メアリー・カサット展 印象派を超えた女性画家のパイオニア

 今、横浜美術館で「メアリー・カサット展」が開催されています。
 Img_71391メアリー・カサット(1844-1926)は印象派を代表する画家といわれますが、一体どのような人物なのか、興味があって、美術史家のパメラ・イヴィンスキー氏の記念講演会に参加してきました。

 テーマは「国際的な印象派の画家、メアリー・カサットの生涯と作品 」です。イヴィンスキー氏は、カサットは女性画家のパイオニア、印象派をはるかに超える存在だった!といいます。画風は印象派から東洋調まで、様々な影響のものがみられますが---、どちらかというと傍流と軽視されてきました。しかし実は従来の枠組みにあてはまらない画家で、研究するほどに新しい発見があると語っています。
 そのポイントは次の3つです。
 
⑴ 女性であったこと。当時、パリのエコール・デ・ボザールは女性の入学を許可していませんでした。男性優勢の画壇でエドガー・ドガと出会い、印象派展に参加して、独自の画風を確立していきました。
⑵ フランスを拠点にしたアメリカ人であったこと。ペンシルヴェニア州ピッツバーグ郊外に生まれ、21歳でパリへ渡ります。アメリカの良家の子女という健全な文化をヨーロッパ文化と融合させ、自我を確立した新しい女性像を表現します。
⑶ 芸術が抽象へ向かう時代に具象画を貫き通したこと。温かい眼差しの母子像など、身近な女性たちの日常を明るい色彩で描き続けました。

Img_71431 ポスターに使われているのは、「眠たい子どもを沐浴させる母親」(1880年 油彩)です。 カサットといえば、この絵が思い浮かびます。印象派らしい名画ですね。
 イヴィンスキー氏は、ルネサンス期のコレッジョのマドンナを連想させるといいます。
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 もう一つ、チラシの絵で、「桟敷席にて」(1878年 油彩)も注目の傑作です。
 主体としての近代的な女性像が描かれているからです。双眼鏡を覗く黒いドレスの女性は、もう男性の目を楽しませる存在ではありません。自立した堂々とした女性として描かれています。

 さらに北斎や歌麿など日本の浮世絵を表現したジャポニズムのシリーズも興味深かったです。
1 右は、浮世絵によく描かれる湯浴みする女性を題材にした「沐浴する女性」(1890-91年 ドライポイント、エッチング)。
 「女がこんなに上手に線描をひけるなんて許せない」とドガが言ったと伝えられている作品です。

 展覧会では他にも多数、晩年にいたるまで約100点もの画業の全貌を展示しています。日本では35年ぶりの大回顧展。開催は9月11日までです。

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