« 「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 花に熱狂し、田園に遊ぶ | トップページ | モーハウス光畑由佳「APEC BEST AWARD」帰国報告会 »

2016年7月12日 (火)

ルノワール展 「服飾史から読み解くルノワール」

 「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展 」が今、国立新美術館で開催されています。
Img_71301jpg
Img_71181 この関連イベントで、先月24日、日本女子大学家政学部被服学科准教授の内村理奈先生(写真右)が、「服飾史から読み解くルノワール」をテーマに講演されました。
 私もよく知る内村先生がお話しされるというので、すぐに申し込み、拝聴しました。

 ルノワールといえば日本で大人気の画家です。その名画の数々を貴重な服飾資料とともに、服飾史の観点から語られました。

 冒頭、印象的だったのが「舞踏会」というキーワードです。

 まずは当時の時代背景から、絵画に描かれた衣装とファッションプレートとの近似性からスタートです。本展の注目作品に見る衣装とファッションプレートを並べて両者を比較解説されました。ちなみにファッションプレートとは、現代のファッション雑誌の役目を果たしていた版画で、19世紀はその黄金時代でした。

2  ポスターに掲載されている本邦初公開、ルノワールの最高傑作といわれる「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」(1876年)ではストライプの衣装、また「ダラス夫人」(1872年頃)の黒いヴェールが効果的な乗馬服スタイル、それに「田舎のダンス」(1883年)のモデル、彼の奥様となるアリーナが着用しているコットンの小花プリントのドレス、1それと対比される「都会のダンス」(1883年 写真右)にみる、ユトリロの母となるシュザンヌ・ヴァラドンをモデルに描いた白いシルクサテンのドレスなど----、比べてみますと本当にそっくりです。それにしてもよく似たファッションプレートを探されたと、感心しました。
 ルノワールは、父が仕立屋で母がお針子という家庭で生まれ育ったそうです。彼自身、流行のモードや服飾をよく理解していたようなのですね。衣装も集めていて、モデルの服は自分で揃えていたのではないかと推測されるといいます。
 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」と同年の「ぶらんこ」という作品には、青いリボン飾りのついたドレスを着用した女性が描かれています。このドレスは、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の絵の左端でダンスしている女性の服と同じもの、というご指摘もご明察と思いました。

 さらに同じ舞踏会でも、ルノワールが描写したのは、庶民階層の人々のものだったということも、心に残りました。「都会のダンス」の女性も、特別に豪華なアクセサリーは身に着けていません。同時代の他の画家が装飾をふんだんに取り入れた夜会服を描いているのとは、確かに対照的です。「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」も、上流階級でなくてもおしゃれをしてダンスを楽しんだ、そんな日常の一コマを絵にしたものだったのですね。

 ルノワールが生きたのは近代化の波が押し寄せた激動の時代です。でも彼の画作に悲しい絵は全く見当たりません。女性たちは皆、流行のモードを装い、幸福感にあふれています。ファッションは人を幸せにすると改めて思います。

 ご講演を伺い、ルノワールの温かな人物像にますます親しみを感じることができました。すばらしい講義に感謝です。
 なお本展開催は、8月22日までとなっています。

|

« 「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 花に熱狂し、田園に遊ぶ | トップページ | モーハウス光畑由佳「APEC BEST AWARD」帰国報告会 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/588192/63901426

この記事へのトラックバック一覧です: ルノワール展 「服飾史から読み解くルノワール」:

« 「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 花に熱狂し、田園に遊ぶ | トップページ | モーハウス光畑由佳「APEC BEST AWARD」帰国報告会 »