« メアリー・カサット展 印象派を超えた女性画家のパイオニア | トップページ | ルノワール展 「服飾史から読み解くルノワール」 »

2016年7月11日 (月)

「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 花に熱狂し、田園に遊ぶ

 渋谷Bumkamuraミュージアムで開催中の「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」に行ってきました。 
D0295094_18285187_2  トワル・ド・ジュイはパンフレットにもあるように、フランスで生まれたコットンプリントで、フランス更紗ともいわれる西洋更紗です。18世紀、クリストフ・フィリップ・オベルカンプが、ヴェルサイユ近郊の村、ジュイ・アン・ジョザスに設立した工場で生産されました。そこでジュイの布、トワル・ド・ジュイと呼ばれているのです。
 ロココの女王、あのマリー・アントワネットに愛されるなど、多くの人々を魅了し続けてきたフランスの伝統的なデザインの生地です。
 私は2014年秋、このトワル・ド・ジュイ美術館を訪れたことがあります。(このブログ2015.1.7付け参照) 本展は同美術館の協力で行われていて、その時のことが思い出されました。

 まずプロローグです。この布が誕生した背景を伝えるタペストリーが紹介されていました。長閑な田園風景が描かれています。そしてその次のコーナーが、当時の人々の熱狂ぶりを伝えるインド更紗です。金雲母使いの小花模様の更紗は、息をのむ華麗さでした。さすがマハラジャ!
 トワル・ド・ジュイはこのインド更紗を基に、花に熱狂し、田園に遊んだ王侯貴族の好みを反映したものだったのです。
 絹と異なり洗濯もできる、美しい綿プリントは大変新鮮なものに思われたと伝えられています。

O0480036013693082261  「木版プリントに咲いた花園」のコーナーでは、「グッド・ハーブス」(写真上のチラシ下部の柄など)と名付けられた色とりどりの花々がいっぱい。草花に擬態した想像上の鳥、コクシギル(写真右)も描かれていたりして、興味深かったです。

 創設から10年後には、銅板プリントが導入されます。これによりモノトーンでより繊細で写実的な描写が可能になったといいます。歴史や風景画など絵画的な題材のものが多くみられるようになります。
1_4
  たとえばポスターやチラシに掲載されている柄もその一つです。
 右の二人のうち一人は、マリー・アントワネットその人であると言われているそうです。
 またこの時代のアーティスト、ジャン=バティスト・ユエという人物が、トワル・ド・ジュイのプリント柄を描いていたことを、改めて認識しました。産業と芸術の融合は、この頃から始まったようです。

Exhibition5_1_2  その後ナポレオンからレジオン・ドヌール勲章を授かるなど、トワル・ド・ジュイはエンパイア時代にも大きな人気を博していたことがうかがえます。

 左のようなエンパイアスタイルのドレスなど衣装も出品されていました。

 こうして人々を夢中にさせたトワル・ド・ジュイでしたが、オベルカンプの死後、1843年、工場は閉鎖されます。
 しかしこの伝統は、19世紀末のアールヌーボー運動に影響を与え、現代に受け継がれているのです。エピローグで、ウイリアム・モリスやラウル・デュフィのテキスタイルデザインを目にし、感慨を新たにしました。
 西洋更紗は永遠!のクラシックです。

 展覧会は今月末までの開催です。ご関心のある方、ぜひお急ぎください。

|

« メアリー・カサット展 印象派を超えた女性画家のパイオニア | トップページ | ルノワール展 「服飾史から読み解くルノワール」 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/588192/63900481

この記事へのトラックバック一覧です: 「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 花に熱狂し、田園に遊ぶ:

« メアリー・カサット展 印象派を超えた女性画家のパイオニア | トップページ | ルノワール展 「服飾史から読み解くルノワール」 »