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2016年7月 8日 (金)

小さな驚きを与え続けること-三宅一生のテキスタイル創り

 先月初め、国立新美術館で開催された「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展の関連イベントに、Img_68321jpgテキスタイルデザイナーでイッセイミヤケ取締役の皆川魔鬼子さんが登壇されました。デザイン・ジャーナリストの川上典李子さんによるインタビュー形式で行われ、テーマは「小さな驚きを与え続けること-三宅一生のテキスタイル創り」です。

 皆川さんといえば、一生氏の片腕として30年以上もテキスタイル開発に取り組まれてこられた方です。それだけに現場での体験や様々なエピソードを伺い、改めて感動させられました。

 京都の染織工芸作家の家に生まれ育った皆川さん。ロンドンで就職したいと相談に行った先が三宅一生氏だったそうです。この出会いがきっかけになって、1971年よりイッセイミヤケのテキスタイルを担当するようになったといいます。

 最初に手掛けたのはイレズミ柄のTシャツシリーズで、横浜の刺青師のところに乗り込んだときの恐々とした気持ちなどを語られました。これが後の皮膚と一体化した服へつながっていくのです。
 当時はテキスタイルデザインというとプリントの図案を描くことでしたが、次第に先染めに移っていきます。刺し子や風通織、マンガン絣など、国内の綿産地などとのテキスタイルづくりは楽しかったといいます。1975年に発表した「一枚の布」は阿波しじら織で、白洲正子さんをモデルにした服は、一大センセーションを巻き起こします。

 その後も様々な素材開発に携わります。日本の価値を世界にどう伝えていくかにこだわりながらも、天邪鬼な一生氏に対してはいつも驚きを与えないといけなかったといいます。一生氏の考え方は毎週のように変わり、まじめに従いていくと追いつけなくて、当初とは違うものも開発しておいて、次はこれではと推測しながら、こちらを向いてくれそうなものをつくる努力をしたと、涙ぐましい苦労話もされました。
 それではテキスタイル開発の魅力とは何でしょう、と問われて、皆川さんは、やはり「人」であると。産地や工場の方々とキャッチボールしてつくったもの、それが一生氏をはじめスタッフを驚かせ、喜んでもらえることといいます。

 80年代から90年代はプリーツ加工を中心に取り組み、そうこうするうちに2000年、新ブランド「HaaT」を立ち上げます。というのもプリーツで合繊ものが多くなり、天然素材の仕事もしたいと思うようになったからだそうです。とはいえ工場が少なくなり素材づくりが大変であるとも。これからは繊維にとってよい環境をつくっていきたいといいます。

 最後に三宅一生氏との仕事について。1960年代から現在まで、常にブレずに同じ方向を向いて一貫してやっていて、未来を読む力があり、既成の枠にとらわれない。発想や実現の仕方に驚嘆しているといいます。但し進み方が早すぎて、ついていけないと思うこともあるそうです----。そして「どんな素材も服になる。モノづくりも、素材も無限です」と述べて、締めくくりました。

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