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2016年6月20日 (月)

FB学会講演会 オムニチャネル時代のファッションビジネス

 先月ファッションビジネス(FB)学会で特別講演会が開催され、同学会副会長で一般社団法人ウー マンズ・ヱンパワメント・イン・ファッション(略称WEF)会長の尾原蓉子氏が登壇されました。
Img_62311_2  テーマは「オムニチャネル時代のファッションビジネス~2016全米小売業大会より~」です。同氏はこの30年間、全米小売業大会に欠かさず出席され、ファッションビジネスの変化を如実に見つめてこられました。そのレポートは今年も繊研新聞紙上で発表され、多くの業界関係者の指針となっています。

 講演は、この2016全米小売業大会での概要報告をもとに、日本の業界に覚醒を促すものでした。
 冒頭「日本の業界は今、非常に大きな変革のターニングポイントに入っている」と語ります。①グローバル化、②ITデジタル化、③消費者価値観の転換という大波が押し寄せる中、従来の概念を変えるべきときが来ている。それなのに日本はユデガエル状態のままで、危機感が薄い。大手アパレルは存続の危機にあると言い切ります。 
 これを乗り切るためには、米国で起こっている巨大な変化に目を向け、それを採り入れることが必要と強調。そのキーワードは“デジタル”と“ディスラプション(創造的破壊)”であるといいます。
 その事例として、配車システムのC to CシェアリングサービスのUberやその対抗馬のLyft、メガネの垂直型コストミニマイズオムニチャネルのWarby Parker、ファッション衣料のレンタルビジネス Rent the Runway、会員制ディスカウントネットストア Jet.com、パーソナルナルなスタイリスト&コンシェルジュTrunk Clubなどを挙げて解説。スマホが登場し、産業革命以来の大変革、小売り革命が到来していることを喚起されました。
 次に米国ファッション小売業の動向について。上記ディスラプションの結果、ネット販売が急伸し店舗の閉鎖・縮小が起き、ビーコン端末の採用などモバイルへのさらなるシフトが進んでいる。レベッカ・ミンコフのブティックでは鏡がタッチパネルになっていたり、ノードストロムの靴売り場には足の測定器がおかれていたり---、店舗でのテクノロジー活用が進展。とくに“Macy’s One Bellow ”にみるようにミレニアル世代といわれる新しい消費者像への対応が急務となっていることなどをヴィジュアルで紹介。
 こうしてスマホの威力と利便性を体験してしまった顧客に対して、これからの小売業は、オムニチャネルの拡大以外に選択肢はないと断言します。そしてその本質を、企業ではなく顧客の論理で捉えることといい、店舗を感動体験の場とし、ファンをつくって、顧客との深い関係を築くことが求められていると力説。顧客を「個客」とし、「個客セントリック」の考え方で、「個客」へのパーソナル対応に注力していくことが重要と語りかけます。
 このために不可欠なのはコラボレーション(協業・協働)であると語気を込め、SNSやPinterestからの発信など、様々なICT業界との取り組みの重要性を説かれました。何とAIのワトソンの提案力にも言及され、印象的でした。
 最後に日本のファッションビシネスの課題として、何よりもEコマース化とデジタル化が喫緊事と意見し、日本はまだ緒についたばかりといいます。情報を一元化・共有化・可視化し、カスタム生産・カスタムオーダーやパーソナル・スタイリング・サービスなどといったパーソナル化が今後のキーポイントになると指摘されました。

 米国における最新ファッションビジネスの動向を脳裏に刻み、日本の方向性をはっきりと示していただいた、すばらしい講演会でした。

 なお、尾原蓉子氏の著作「ファッションビジネスの変容」(繊研新聞社)が出版されるとのことです。副題は仮とのことですが、「ファッションビジネスの未来は今、あなたがつくる」になるとか。楽しみに待っています。

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