世界に町工場の匠を売る男たち―⑴ エニシング帆前掛け
先月下旬、「国際ファッションセンター」と「つなぐ通信」とのコラボによる初のトークイベントが東京都立産業技術研究センターで開催されました。「つなぐ通信」は、東京を中心に近県に6万から10万部も配布しているというフリーマガジンです。このブログ2013.4.13日付けで、創刊号の紹介をしています。
トークでは、この3月15日発行の特集記事「俺たちの使命~世界に町工場の匠を売る男たち~」に掲載された(有)エニシングの西村和弘さんと(株)伊藤バインダリーの伊藤雅樹さんが登壇しました。いずれも墨田区に縁のある若手経営者で、町工場の技術を生かし、世界に向けたビジネスで実績をあげているといいます。その「売る力」とは何か、ざっくばらんに本音が語られ、大変興味深かったです。
まずエニシングの西村和弘さんが、前掛け専門メーカーになった経緯を語られました。
江崎グリコのトップセールスマンだったという西村さん。脱サラして、米国に留学します。「和」に惹かれるようになり、帰国後「縁(エン)は続く」をキーワードに「エニシングANYTHING」社を立ち上げ、漢字Tシャツ事業に取り組みます。
こうした中、豊橋で帆前掛けを生産していた芳賀織布工場と出会ったといいます。ここで40年前につくられていた昔ながらの仕事着、一号帆前掛けを復活させたいと、廃業寸前だった同工場を引き継ぎ、立て直すことに成功します。「世界で誰もやっていない。だからやってみよう!」と思ったそうです。糸は九州で紡績し、豊橋で製織し、羽生で染色し、小金井で縫製する、メイドインジャパンの自信作が出来上がり、ニューヨークの展示会など内外で好評を博したとか。顧客は法人向け7割、個人向け3割で、オーダーも可能だそう。
素材は、しっかりとした厚手の綿100%キャンバスで、感触が思いの外やわらかく扱いやすそうでびっくり。糸が甘撚りなのですね。価格は一号帆前掛けが5,500円、他に様々なデザインのものが用意されています。
とくに海外向けに日本伝統の帆前掛けは引きがあるとのことです。世界発信がますます広がりそうで、期待されます。
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