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2016年5月 3日 (火)

「ボタニカルダイの菱川恵介さんが考えていること」

 近年、とくに3.11以降、「ボタニカルダイ」の商品が急増しているのを感じます。このボタニカルダイを開発したのが、シオンテック代表菱川恵介さんです。この菱川さんによるセミナーが、このほどFASHION STUDIES主催により、東京・千代田区のものづくり館by YKKで行われました。題して「ボタニカルダイの作成者 菱川恵介さんが考えていること」です。
 日頃、表舞台には出てこない方です。このような機会はめったにないと思い、出かけて行きました。

Img_55581 まずボタニカルダイとはどういうものなのでしょう。菱川さんは「これは自然原料・自然色素を使用した染色中心の生産システムで、草木染ではない」。「江戸時代の草木染を再現しようとしても、色落ちや色褪せの問題で、今の品質基準をクリアすることはできない」といいます。そして「ボタニカルダイとは、草木染をビジネスとして問題ないようにした特殊技術で、媒染剤は使わず、天然の色素に化学染料を少し配合している」と話されました。化学染料の使用については相当に葛藤もあったようです。しかし染色堅牢度を保つためには、これしか方法がないといいます。

 世界特許も取得され、世界中からオファーが来ているそうです。とはいえ同社は顧客のオリジナルをつくるのが仕事といいます。たとえば小松精錬の「オニベジ」や、新内外綿の「トップ染杢糸ボタニカルダイ」など、いくつかの成功例を挙げ、今やラグジュアリーからグローバルブランドまで、有力ブランドがこぞって扱い始めていると話します。

Img_55591  それらの製品の一部も見せていただきました。

 いずれもふんわりと目にやさしい色合いで、しかも深みがあります。
 奥行きのある色調は、一つの植物の中に、100以上もの色素成分が含まれていることによるのでしょう。
 また植物と人間の皮膚のペーハー「ph」は、4.5~5.0で、ほぼ同じだそうです。植物の成分は生理学の上でも役立つと、身体の各部分の疾患を治す植物成分との関係も図で紹介していただきました。
 人は植物に触れると気持ちが和みます。植物には人の心を癒す不思議な力があると思っていましたが、こうした事実あってのことだったのですね。

 ボタニカルダイには、自然に生きる植物の力が凝縮されているようです。

 菱川さんが植物に惹かれるようになったのは、アパレル退職後、会社を立ち上げた頃で、自動車メーカーの仕事に関わっていたときだったといいます。元来、哲学や歴史から天体、地球物理学まで博識な方で、次第にものづくりの手法に疑問を抱くようになったとか。
 人間は植物の力で生きている、これをビジネスにできないかと模索する中、ある人が愛してやまないスミレの花でハンカチを染めたことをきっかけに、植物の研究に没頭するようになります。そしてついにボタニカルダイにたどりついたそうです。

 シオンテックでは、現在1,500種の植物原料があり、3,000種を染料化するシステムを持っているといいます。化粧品や食品、化成品、建材などの新しいライフスタイルに向けたノウハウも準備されているようです。同社は植物のすばらしさを新しいビジネス企画のツールとして提案し、社会貢献している稀有な企業です。

 繊維業界は今、大変厳しい時を迎えています。だからこそ元気の出る植物の色をつけてあげたい----と。最後に「花びらで元気になれ!」と語って、セミナーを締めくくられました。

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