MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事「一枚の布」集大成 ⑵
(昨日の記事の続きです。)
Cの部屋は、本展の中心的存在です。
デザイナーの佐藤 卓氏によるカラフルな遊び心あふれる空間で、90年代以降の作品群がコーナー別に展開されています。
ここでは日本の伝統文化や職人芸を最先端のテクノロジーと融合させた、三宅氏の「一枚の布」への限りない探求心を見ることができます。
「プリーツアイランド」コーナーでは、「一枚の布」から派生した「プリーツプリーズ」が展示されています。
服の形に縫製した後、プリーツ加工した画期的な服で、サイズを問わず着やすく、着心地がよいとあって、あっという間に世界のヒット商品となりました。
ここには「製品プリーツ」の機械も置かれ、これまであまり公開されることのなかった実演も行われています。
その原形が91年春夏に発表した「ハロー・プリーツ」(下)です。「ハロー!」と声をかけている陽気な人間の姿に似ていることから、このように名付けられたといいます。
フラワープリーツ、葉っぱプリーツ、鳥プリーツなど独自のプリーツ表現の世界が広がっています。
「仮想オリンピック」(上)です。プリーツ加工による二十数カ国のウェアがそろっています。1992年のバルセロナ五輪のためにデザインされたリトアニア選手団の公式ユニホームも見られます。
「A-POC」は、「A Piece Of Cloth(一枚の布)」と「Epoch(時代)」を合わせた造語です。 開発されたのは1998年で、1本の糸から筒状に連続して編み、ハサミで切ると服になります。コンピュータプログラミングを駆使して一体成型で生み出されるので縫い目がありません。
このコーナーには、造形作家の関口光太郎によるジーンズの塔(右)がそびえています。素材のデニムは綿100%で、編み地ではなく風通織ジャカードです。
そのプロセスは革新的で、服以外の製品への可能性が広がります。
以前はショップもありましたが、今はもうなく、再開が待ち望まれます。
「132 5. ISSEY MIYAKE」シリーズも展示されています。
2010年に発表された三宅氏の現在進行形のプロジェクトで、「Reality Lab(リアリティ・ラボ)」の研究・開発成果から生まれたといいます。
132 5の数字には意味があるのですね。1は「一枚の布」、3は「三次元の立体」、2は「平面」、5は「衣服として人が着用することによる時間的な広がり」を指しているのだそうです。平面の布が立ち上がって立体的な服になり、着用後はまた折りたたまれて平面に戻ります。ハサミや針、糸は使わず、スナップで止めて造形するという、これもまた革新的なデザインです。
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