MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事「一枚の布」集大成 ⑴
世界的なデザイナーとして知られる、三宅一生氏の「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」が今、東京・六本木の国立新美術館で開催されています。
先日、18日の国際博物館の日、再度行ってきました。(この日だけは写真撮影もOKでした。)
本展は三宅氏の1970年から現在に至る約45年間の仕事の集大成です。これを見ますと、同氏がいかに衣服デザインに革新を呼び起こしてきたかがわかります。とはいえそれが常に一定の考え方、つまり「一枚の布」に貫かれていることにも気づかされます。「一枚の布」は、平面の布をたたんだり、折ったり、曲げたりするなどして衣服になる、キモノやサリーの形に通じる構造です。同氏は、その可能性を探求し、西洋や東洋といった概念に捉われない普遍的な価値をもった衣服を生み出しました。
人間を中心に置いた服づくりというコンセプトのもと、衣服をファッションとしてではなく、デザインとして捉える視点で活動を始めたという三宅氏。「ジーンズやTシャツのように多くの人が自由に着られる服をつくりたい」、その思いは、ここに結実したように思われます。
展覧会はA、B、Cの3つの部屋で構成され、約200点の服が展示されています。
Aの部屋は、70年代の作品です。
まず目に飛び込んでくるのが、1970年に発表されたジャンプスーツ「タトゥ(入れ墨)」です。
刺し子を改良してやわらかい衣服に仕上げたもの。シャツは野球のユニフォームにヒントをとったデザイン(左上)。
また脚の部分が着脱可能でとり外すとショーツになるパンツなど、着る人が幾通りにも変化をつけられる楽しい正花木綿のトータルルック(右上)。
さらに横尾忠則氏デザインの、脱色した生地に着抜という技法でプリントした「パ
ラダイス」という作品(左上)、1976年に発表されたというベルト付きコート「丹前」(右上)など。
Bの部屋は、80年代の「ボディ」がテーマです。
繊維強化プラスティックや合成樹脂などを取り入れた「プラスティック・ボディ」やそれに続く「ボディ」シリーズが展示されています。当時、この近未来を先取りしたようなデザインに驚嘆したものでした。
ちなみにA、Bで使用されているトルソーは、「グリッド・ボディ」で、一枚の板をレーザーでカットしたパーツを組み合わせたものだそう。デザインはデザイナーの吉岡徳仁氏です。
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