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2016年3月 5日 (土)

ファッション史の愉しみ―石山彰ブック・コレクションより

 今、「ファッション史の愉しみ―石山彰ブック・コレクションより」展が、東京・世田谷区の世田谷美術館で開催されています。
001_2  これは16世紀末から約300年のファッション(服飾)の歴史をたどる展覧会です。

 展示されているのは、元お茶の水女子大学家政学部被服学科教授石山彰先生が、約70年の歳月をかけて蒐集された膨大な数の服飾史に関する研究書、ファッション・プレート、錦絵などからなるブック・コレクションと、神戸ファッション美術館所蔵の歴史衣装を合わせた約500点の資料です。ブック・コレクションは時代順に実物衣装と対峙され、美しくディスプレーされています。

 ところでこの石山彰先生は、私がもっとも敬愛する師であり大先生です。お茶の水女子大学で先生の研究室に入った私は、卒業後も大変お世話になりました。Img_42321jpg_2 パリに在住していた頃のことですが、カルチェラタンで先生と本屋を歩き、服飾専門書を探し回ったことが思い出されます。「本の虫」といわれていた先生でしたが、2011年に93歳で亡くなられ、膨大な図書を遺されました。 それを東京家政大学教授の能澤慧子先生が中心になって整理され、一昨年、神戸ファッション美術館で本題展が開催されました。今回は巡回展ですが、緑豊かな砧公園内の美術館で、また新しい表情を見せているようです。 

Img_53122_2  本展を企画された能澤先生によれば、ファッション情報の始まりは、16世紀のファッションドールやコスチューム・プレートといわれた服飾版画です。ファッション・プレートは、近未来の流行を予測するものとして1780年代に登場、それ以前のコスチューム・プレートと区別されるといいます。
 とくに流行の衣装を身に着けた男女の姿を描いたファッション・プレートからは、当時の人々の暮らしぶりまでもが伝わってくるようです。18世紀末には雑誌が刊行され、これをファッション・ブックと呼ぶようになり、19世紀半ば、ファッションに特化した大型のファッション・ブックが出版されます。20世紀初期には新しい版画技術「ポショワール」を用いたファッション・プレートが人気を集めますが、その後写真印刷へ移行し、贅沢なプレートは下火となっていくのです。
 ファッションは、移り行く一瞬のはかない美の連続です。これを視覚的に表現したプレートはまさに時代を映す鏡、と改めて思いました。
 最後に日本のバスル・スタイルのファッション・プレート、楊州周延の錦絵もあり、色刷りの美に驚嘆しました。先生は何とすばらしいコレクションをお持ちだったのでしょう。久方ぶりに感動で胸がいっぱいになった一日でした。
 ファッション関係者なら必見の展覧会です。開催は4月10日までです。

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