「ケアファッション」 ファッション性を高めて衣替え
加齢につれて体は変わります。変化は気づかないうちに突然現れて、以前は普通にできたことができなくなる、といったことが起こるようになってくるのです。たとえば肩が上がらなくなって、服が着にくいとか、指の力が弱くなって、ボタンが嵌めにくいとか---。
こうした身体機能の低下にお困りの高齢者や障がい者に対応する衣服が、超高齢社会の到来とともに、近年とみに求められるようになってきました。この秋開催の国際福祉機器展でも、衣服分野での出展が増えています。
このブログ2015.12.2付けで紹介した同展の“いつまでも元気に働く「10のコツ!」展”でも、“身だしなみ”は重要テーマとして位置付けられていました。中でも注目はユニバーサルファッション、つまり体の障害や体形、年齢にかかわらずおしゃれを演出できて、誰にでも着やすくデザインされたファッションです。とくに目を引くブースが「ケアファッション Care Fashion」でした。
「ケアファッション」は、昨年まで「ファミリージョイ」と称していた会社で、この福祉機器展では常連です。これまで介護衣料のイメージが強かったのですが、今年4月に社名変更し、よりファッション性の高いユニバーサルファッションへ衣替えしたといいます。
企画チームには、新しくファッションデザイナーの前野いずみさんが参加されていて、ブースでお話を伺いました。前野さんはご自身のブランド、ユニバーサルファッションの「キアレッタChiaretta」を手がけられています。ちなみにこのブランド名の由来は、カトリックの洗礼名「キアラ」から来ているとか。
「ケアファッション」は、幅広い層に手軽に、手頃な価格でファッションを楽しんでもらおうというブランドです。サイズバリエーションも豊富。それだけに、すべて日本製でオリジナルの「キアレッタ」とは異なる、別の意味でのやりがいを感じていらっしゃるようでした。
コンセプトは、着たり脱いだりを機能でサポートしながら、見た目は普通の服です。肩の上がりにくい方のためには、パターンを見直して、アームホールをゆったりととったり、背幅を広めにしたり、前開きを大きくしたり。ボタンも大きめのものにしたり、ボタンホールを斜めにして通しにくさを解消したり、スナップボタンやワンタッチテープ使い、マグネットボタンを使ったり。またパンツの着脱が難しい方には、両脇や裾にファスナーを入れたり、ファスナー全開にしたり、様々な機能が採り入れられています。その一方で、デザインもスマートに見えるように配慮されています。
素材も単に伸縮性があるなどというだけではない、色や柄、質感といった感性にもこだわっていると思いました。
ファッションには人を幸せにする力があります。ファッション性を高めた「ケアファッション」、今後の展開が期待されます。
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