JFW-JC/PTJ フォーラム「ファッション表現への視点」
先般、東京国際フォーラムで開催されたJFW-JC/PTJ2016AWで、リトゥンアフターワーズ代表/デザイナーの山縣良和さんが、同展フォーラムに登壇。「ファッション表現への視点」をテーマに、講演されました。
山縣さんといえば、今まさに「時の人」です。多彩なクリエイティブ活動で内外の注目を集めています。昨年「絶命展 ~ファッションの秘境」が評価されて、毎日ファッション大賞・特別賞を受賞したと思ったら、今年7月には同氏デザインのドレスがパリの有名セレクトショップ「コレット」のウインドーを飾り、「“七福神”、パリに降臨!」のニュースが話題になりました。「ここのがっこう」を主宰し、「東京ニューエイジ」で活躍する若いデザイナーたちの生みの親でもあります。
山陰のご出身で、哲学を学んだという山縣さん。何かに対して訴えかける精神の学校へ行こうと、パンク精神を感じていたロンドンのセントラルセントマーチンズ美術学校へ留学したといいます。自主性を重んじる校風で、2004年1年間休学して、ジョン・ガリア―ノのアトリエでインターンとして働き、プロの仕事を目の当たりにします。
この間、イタリアの国際ファッションコンペティション「イッツ(ITS)」に出品し、3部門で受賞。物語性のある作品が評価され、卒業制作でこの続きをつくったところ、英国の新聞、デイリーテレグラフに掲載されたといいます。
作品づくりでは、物語をつくって制作する習慣があるそうなのです。その後、帰国して立ち上げたブランド「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」の意味は、「その後に書かれた」です。もう一つセカンドラインの「リトゥンバイ(written by)」は、元々ご自身のブランドネームだったそう。
現在、神田に居住していることもあり、古本屋街で出会うアーカイブから発想が広がるといいます。とはいえコレクションに反映されるのは、本だけではありません。社会情勢の変化も大きいようです。
2013年春夏コレクションで発表した“七福神”のドレスは、2011年の東日本大震災がきっかけだったそうです。日本ならではのファッションクリエーションを見せたいと思うようになり、日本にも神様がいることに気づいたとか。それまで続けてきた「アダム」の神話は終焉ということになりました。
この“七福神”は、酉の市の熊手をヒントにデザインしたそうで、前述のようにパリの「コレット」のウインドーに出現して、フランスでも大きな反響を呼び起こしました。そして今秋冬は、大きな地球儀とともに、世界平和を希求する国旗をモチーフにしたコレクションを展開しています。
最後に、ファッションにはお互いをリスペクトし合うキャパシティの広さがあると強調。様々な要素を呑み込み尊重することが、クリエーションの源流と述べていたのも印象的でした。
ファッションの可能性を語り、ファッション業界に一石を投じた講演会でした。
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